「待ち伏せ」
著作者:花島賢一
男はそっとカーテンの隙間から外を覗いた。
「畜生!、まだいやがる」
男は落胆した。部屋の中をグルグル回ってはため息をつく。男は呟いた。
「俺が、いったい何をしたと言うんだ」
男は考えた。確かにこれまで良いことだけをやってきたとは言わない。 しかし、これではまるで重要参考人じゃないか、まだ、取り調べをされなだけいいかも知れない。
男は時計を見た。
「約束の時間まで後30分。今ならまだ間に合う」
男は独り言を言う、そしてカーテンの隙間から外を覗いた。
「あ、いない、奴らがいない」
男は目を疑った。数日前から居座っている奴らがいない。男はその場に座り込んだ。微動だにもしない。
考えた、何故だ。何故いなくなった。この数日間、雨、風、を忍んで張り込んでいた。それをいとも簡単にあきらめるのか?。 奴らには俺が部屋にいることは百も承知だ。だから、だから、奴らは居座ってたに違いない。もう一つ、疑問点がある。
それは何故、ばれたかだ。この件に関しては直接取引をした某所とそれに関与する某所だけだ。後者にしては知られるのは時間の問題だがまだ早すぎる。 これまで、いろいろやってきた。でも極悪人ではない。精々猫ばばぐらいだ。男は、考えに考えた。きっと罠に決まっている。
どこかに潜んでいるに違いない。
突然、電話が鳴った。
「俺だ、物は?」
「あるとも、半分の約束だな」
「よし、約束の場所で、約束の時間に」
「まっ、待ってくれ。奴らがいるんだ。少し時間をくれ」
「、、、駄目だ!。おまえを信用しない訳じゃないが、それが約束だ」
それだけ言うと電話は切れた。発信音だけが空しさをかもし出す。
また、カーテンの隙間からそっと外を見る。 いない、やはり奴らはいない。時間は刻々と過ぎている。
約束の物を鞄に無造作に入れた。500万円の大金も新札だと厚さはたいしたことない。
男は躊躇っていた。何回トライしても駄目だった。なのに相棒と組んで最初にトライしたら大金が手に入ったのだ。
また、電話が鳴った。
「何してるんだ!、約束の時間は過ぎているぞ」
男は時計を見た。
「わっ、分かっているよ。しかし、奴らが張り込んでいる。必ず捕まるよ」
男は落胆したように、話を続けた。
「もう、諦めようと思ってるのだが?」
「それは、お前の勝手だ。しかし、俺の金には一切手を着けるな。いいな」それだけ言うと電話は切れた。
男は意を決した。そして、カーテンの隙間から外を見た。 やはり奴らはいない、しかし、どこかに潜んでいるに違いない。 男はサングラスを掛け、目立たない服装を施しドアを開けた。
鞄を小脇に抱え、自然に振る舞って家を後にした。時折、後ろを振り返り、奴らが尾行してないことを確認しては先を急いだ。と、その時、物陰から奴らが現れた。
男は立ち止まり、息を飲んだ。
奴らは男に向かってニヤリと微笑んだ。
「募金、お願いしまぁす。宝くじ当たったんですって」
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