解決事例 H

新聞販売店 退職金・未払い残業代獲得 勝利報告会
  

 9月18日(木)練馬区立勤労福祉会館で練馬ユニオン主催により、≪新聞販売店 退職金・未払
い残業代獲得勝利報告会≫が開催されました。

  退職金が満額支払われるか心配   Sさんからの相談は「退職したいのだが退職金が満額支払
われるか心配だ」という内容で、Sさんが店長として働いてきた新聞販売店では、社長が「架空購読
カード」の責任を取らせるという口実で、退職金から購読料を払わせる仕打ちで退職金の全額を従
員に支払わない実態を見聞していたための相談でした。Sさんは店長会議の中でも労働問題として
ユニオンの話題もあったのでユニオンに相談しようと考えていました。

  「店長」は労働者だ!  会社側代理人の弁護士より「Sさんは店長であり、管理者なので残業代
は発生しない、『架空購読カード』作成で販売店に迷惑をかけたので責任を取れ」との主張があり最
大の争点となりました。
 ユニオンは店長の労働者性を主張し最後には認めさせました。また、退職金については労働債権
だから支払うべきという会社側代理人の発言もありながら、本社と社長は「謝罪文とお礼の文書を
書かないと退職金は払わない」という理不尽な要求を行い、Sさんとユニオンも屈従の思いで文書を
提出し解決にいたった経過が報告されました。

  退職金を人質にとられての悔しさ  Sさんは、「今でも日々の生活の中で悔しさが出てきます。
なぜ私がこのような目に遭わなければならなかったのか、社長の息子が今でも飄々(ひょうひょう)
としていると思うと悔しい。弱い立場の人間がこういうことになるのかなと思うが、一番悪いのは社
長だと思います。息子もある意味被害者かもしれません。今は仕事を見つけることが最優先で
日々がんばっています。今後ともよろしくお願いいたします。」と話されました。団交メンバーからは
「Sさんが団交で社長の息子若社長の横柄な態度に辛抱し、我慢して解決まで粘り強く闘った姿
勢は立派でした」の声もありました。団交メンバーでも大きな声で怒鳴りたかったという雰囲気の
若社長でした。Sさんも大きな声が出たときもありましたが、退職金を人質にとられての悔しさを
我慢しこらえて最後まで団交に出席し続けました。我慢しなければ退職金が取れない、Sさんが
辛抱してこらえて自分の姿勢を貫きとおしたことが、解決につながったのです。

  前近代的な搾取と恫喝まがいのパワハラ  今回の闘いを通して、新聞業界の大資本と販売
店が、部数維持のため従業員に自腹で新聞代を払わせている実態や残業代なしの長時間労働
の犠牲を強いていることが明らかになりました。販売店の経営実態、本社の地域担当者といわ
れる人の役割などその実態はわれわれの常識では考えられないものもありました。参加者から
 ・部数維持のため、従業員の自腹支払いの新聞営業は労働者にとっては蟻地獄ですね。
 ・最前線で働いている人が馬鹿をみることがあることを考えさせられました。
 ・解決への経過を読んで昭和の古い働き方がまだあったのかと、闘うのには怒りがないと自分
  を動かせない、今後は一人で考えないでユニオンと一緒に考えていけばいいのではないか
との感想が述べられました。

 最後に大山副委員長の「大新聞社を支えている労働者の前近代的な搾取と恫喝まがいの
パワハラのような実態を聞いて怒りを覚えます。この怒りを労働法制の改悪を目論んでいる
安倍政権を食い止める団結に結び付けたいと思います。Sさんも粘り強い闘いで解決したこ
とに自信をもって今後も私たちユニオンとともに歩んでいただけたらいいな」とのまとめで報
告会を終わりました。                         
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