夏のひとこま

夏休みには子供向けの様々なイベントが行われるが、先日その中で、大阪で行われた家族連れ向けの無料の野外コンサートに行ってきた。私の高校時代の友人が指揮するオーケストラの演奏で、彼に会うのも20年以ぶり以上ということもあり、楽しいひとときであった。彼の指揮姿も、どことなく高校時代を想わせるところもあったが、無料とはいえ、一切手抜きなしの、実にすがすがしい演奏で、彼の人柄がよくあらわれていたと思う。

その演奏もさることながら、実に大阪ならではだったのは、「指揮者体験コーナー」なるものだった。

要は、聴衆の中から数人が出てきて、指揮者のまねごとをするのだが、トップバッターの若い女性が面白かった。
指揮者が彼女にちょっとした練習をさせるのだが、シンバルが活躍する曲なので、彼がシンバル奏者の方を指差し、彼女に、「あれが活躍します。あの楽器ご存知ですよね。」と言うと、「ああ、サルのやるやつですね。」と女性のひとこと。これには場内大爆笑であった。関東人の指揮者に司会者が、「いや、これ関西のノリなんで、気にしないでください。」と弁解していたが、肝心のシンバル奏者は多分関西人なので問題はなかったであろう。そのあとの数人の「にわか指揮者」も十分笑わせてくれて、さすが大阪ならではのクラシックコンサートであった。

幾多の艱難を乗り越えてきたユダヤ人は、逆境のときでも常にユーモアを保ち続ているそうだ。
先行きの見えないといわれる時代だが、お堅いといわれる日本にあって、大阪の笑いは一服の清涼剤以上のものかもしれない。

余談だが、大阪生れの五歳の娘は、帰省中東京の祖父に大阪弁を教えていたらしい。それも、ひとりでボケとツッコミ二役で、掛合いのコツを伝授しようとしていたそうだ。