ブロードバンド

ブロードバンド(広帯域)という言葉がよく使われるようになった。
早い話が、通信速度の速いインターネット接続ということだ。従来の文字や、せいぜい画像、音声中心から、映像など大容量のデータが高速にやりとりできるようになり、インターネットの利用法もだいぶ変わりつつある。

もっとも、「要するにネットがテレビでなっただけじゃないか」と悪口言う人もいる。確かに、昔のパソコン通信時代からネットを利用していたものにとっては、情報をコンパクト化する工夫とか、たいていのものは無料で利用できる環境といった「古き良き時代」は急速に失われてしまって、今やテレビや映画と同じようなものが有料でどんどん配信されてくるという、派手ではあるが味気のないものとなってしまった。

とはいえ、ネットがテレビと同じになったわけではない。ネットの特徴である、双方向のコミュニケーションは、ますます使いやすくなっている。そのひとつの例として、今回は、LYCOS の提供している、My Broadcasting (MBC)という無料さービスを紹介しよう。

MBCは、無料で動画、音声によるライブ放送ができるというサービスである。しかも、放送中には、視聴者も交えてチャットができる。動画配信には、ブロードバンド環境が必要だが、音声のみで、ラジオとして放送する分には、アナログモデムでさえ可能だ。同時に視聴できる端末は10台までと限られているが、個人用でしかも無料だから、現状では無理もないだろう。

ホームページでは、オンデマンドによる配信が中心である。あらかじめ登録されているデータのなかから、好きなものを好きな時に取り出せるというのが特徴であり、また便利なところでだ。それが放送という形になると、時間も内容も選べないので、時代に逆行するのではないかと思われる。確かにそうでもあるのだが、ポイントは、「ライブ」というところだ。「今」起こっている出来事を共有する体験、それは、結局、人が単なる便利さ以上に求めているものなのだろう。「何でもそろってますよ。しかも安いですよ。」という、量販店型のやりとりだけでなく、店員と客のコミュニケーションや、オリジナル性、希少価値といったものも求められている時代ならではである。

その意味で、このMBCは実にタイムリーなサービスだと言えるのではないか。そこで、私自身も早速利用させてもらうことにした。とりあえずは、私たちの礼拝会の模様をライブ放送させてもらっている。事情で集会所まで足を運ぶことができない人も、時間を「共有」できる一助にという意図である。

これは、メンバー制で非公開だが、せっかくだから、公開の番組も流したいと考えている。しかしこれが実際のところ難しい。同時に視聴できる人数が少数であろうとなかろうと、番組は番組だ。たった30分でも、まともなものを作ろうとしたら、相当の労力がいる。だいたい、音楽を流すだけでも、著作権という面倒なものをクリアしなければならない。番組の質云々はその後だ。日頃、テレビ番組はつまらないものが多いと文句を言っているが、いざ自分が作るとなると、人のことをとやかく言える身分でないと痛感する。

しかし、あまり難しく考えず、あくまで、「マイ」ブロードキャスティングなのだから、思いきり「私」的にマイナーにやっても良いのかとも思う。そのあたりが、インターネットという曖昧な媒体の特徴なのだろう。