ツーポイントの作り方

このページにつきましては、15年ほど前にもタクボ精機製作所の営業の方から頼まれ 写真撮影までしましたが、細部に渡っての説明が難しくいまだに冊子の発行はされていません。
ホームページの話をしていたところ、直接インターネット上に掲載するように お願いされましたので、 田舎の眼鏡屋が でしゃばるようでいけませんが、全国の困っている同業者に向けて掲載致します。
また、もっと良い方法があれば 教えて頂きたく思いますので よろしくお願い致します。


特別に用意する物

1o方眼紙 色々と便利です。
直径1.0oのドライバーの先端をV字に削ってキリにした物 穴の位置を決める時に使います。
ドリル穴の面取り用の刃先 手動で十分使えます。(ホームセンターで購入)
プラ板
模型店で売っている0.3oくらいの物
レンズに直線を描く時に使います。

作り方

前フィッティングを行い、ダミーレンズにPDと高さを記入する。 右側のこの縦の欄は、後から気が付いた事を書きます。
ボクシングシステムに慣れている方は、ダミーレンズの天地の2分割の水平線を裏側から描いて作業する。 当店では、この方法が1番安心なので、そうしています。
レンズの種類を決めて、ツーポイントの穴の位置がPDを決めた位置から何o離れているか調べ、レンズの厚みを指定して注文する。
(プラスのレンズの場合は、直径指定で厚みを調節する。)
左の32oと37oと書いた方向は、レンズの直径や厚みを決定するのに1番最初に注意する所です。
この例では、最長37o×2=74oで、75o以上の直径のレンズが必要ですね。
レンズが届いたら、レンズメーターで印点し、ハーフカラーや 乱視の場合は印点を通過する水平線を記入する。

線の引き方は、レンズを2枚並列に置き、その上にプラ板を乗せて押さえるとかまぼこ型にカーブするので、直線を描けます。
全面染色、S面ではあまり必要有りません。 累進レンズのマークと同じに考えて下さい。
レンズ保護テープを レンズ止めの穴にかからないように貼る。 長時間の手作業でキズを付けたり、レンズが水焼け防止コートしてあるとマークが簡単に消えてしまうので表裏両面に貼ります。
(省いて作業する方もあります。)
右レンズだけをはずし、ダミーレンズは球面ですが 注文したレンズが非球面の場合はフレームのレンズ止め金具を少し眼の方に寝かせる。 この作業を先にやっておかないと、後にガタツキの原因になります。
何しろ0.1oでもガタツキますから…。
PDを正確にとりたいので、型板を右レンズ側からブリッジに押し付けマーキングする。(この時 ガタツキが有れば型板をヤスリで修正する。) 当店では、PDを中心に作った型板でもヤスリで修正する事も有りますから、実測して再確認し出来上がりの誤差を出来るだけ減らしています。
また、別の玉型に替える時には、この方法でPDを取っています。
レンズの高さを確認して、型板の水平線をレンズに写し取る。
加工機で平仕上げ加工を行い、側面磨きなどをする。
レンズ保護テープを使わない場合は、この時点で型板とレンズを重ねて持ち、型板の水平線を写し取る。
フレームのバリでレンズが傷つかないように、レンズ止めの金具部分をセロテープで包む。
製作中のレンズの上からブリッジ側の取り付け金具を乗せ、基準となる左ダミーレンズの水平線に習って手で固定しボルトの入る直径1.4oの穴の中でも 特にレンズ中心に近い所に自作のキリを挿して(この位置決めが後にレンズをフレーム側に強制的に引き寄せる事になるので特に重要です。)、後のドリルの穴を開ける時のポイント付けをする。

金具の取り付け方法が 前付け、後ろ付けでも方法は同じです。

穴の大きさとキリの太さの誤差が、後に0.2o内側に引っ張るようになって、ガタツキをなくす。
マジックなどでマーキングした円に最初に細いドリルを使って位置を確認してから もう一度太い穴を開け直すという方法より、点が小さく正確で早いです。
正面から見て水平線を合わせ、、取り付け金具とレンズに傷つけたポイントの位置が狂っていないか確認する。
智側の位置を テンプルをたたんだ状態で水平線を見ながら調節し、マジックで位置を書き込んでから、上記と同じ方法でポイント付けをする。
智側に上下に別れて2つの穴が有る場合(ファセットのような場合)は、方眼紙の上で右ダミーレンズの穴の位置を調べ、一度に両レンズにマジックで位置を書き込みます。
位置を決める際、フレームとレンズ切削面のカーブが合わずにガタツキが有れば、フレームを曲げるか レンズを削って 出来上がり時に困らないようにしておく。
左の写真は、タクボ精機製作所のDM-2を使った穴開け方法ですが、自作のキリでマーキングした部分を下側にして載せてから、表裏の穴の位置を決めて、
穴を広げるリーマーには、やはりマーキングした方から刺して 広げます。
ドリル(リーマー キリなど)で穴を開ける。
色々な方から どの方向に穴を開けるか聞かれますが,前面、後面それぞれに垂直になる角度を想定し、その中間的な角度が
一番自然ではないかと話しています。
穴を開ける位置が決まっているので、ドライバーを削って作った自作のキリ(1.4o)でも表裏2方向から穴を開ければきれいにできます。
実際に時計屋さんに教えてあり、ここではスチール棒をピンバイスにはさんで使ってもらっています。
道具は工夫次第です。
穴の面取りをする。 メガネ専用の面取りが有りますが、電動で動かすより手作業の方が安全だと思い、直径1cmも有るような面取りの刃先をホームセンターで買ってきて使っています。
工具が少ない人には良いかと思います。
右レンズ側を組み立てる。
この時、段付きワッシャーと平ワッシャーを下記の通り うまく使い分けると フレームに密着する。
通常は、金具側が段付きワッシャー きつい場合は、ナット側が 段付きワッシャー 少しゆるい場合は、両方 段付きワッシャー
ガタツク場合はフレームのレンズ切削面に当たる爪の部分を曲げる。
それでも直らない場合は、レンズ止め金具のボルト穴付近を曲げる。
更に駄目な場合は、開けた穴をレンズの中心側に楕円に広げ、2つの段付きワッシャーの合計が開けた穴の全長より長くなる物を入れて、ボルトとナットで絞めつけて臼状につぶす。或いは、ワッシャーに瞬間接着剤をつけて肉付けし、乾かしてから穴に入れる。
*瞬間接着材が乾かないうちにレンズに付くと、後日穴の部分が裂けてしまう事が数回有りましたので、レンズには瞬間接着剤が付かないようにお願いします。

この件につきましては、当方では一切責任を負いません。

ポリカーボネートのレンズの穴に瞬間接着材を塗ると放射状に全ての方向に裂けます。
このレンズの場合は、ジクロロメタン(アクリル板の接着時に使う溶剤で揮発性が高いので火気に注意して下さい。)でポリカーボネートの削りカスを溶かしてパテを作り 使用します。
また、この溶剤で開けた穴の荒れた表面を溶かして滑らかにし、割れにくくする事が出来ます。
左側のダミーレンズを外して、右レンズの水平線を基準にして 同じように製作します。
両方のレンズが出来てから全体の狂いを直し、長いボルトを切断して底付ナットをつけてダブルナットとし、レンズ保護テープを外して出来上がり。

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