自作麺棒を作ろう

 売っている麺棒では気に入らない方、自分で作りたいけれど作り方が分からない貴方!
簡単ですから 自分だけの愛棒?宝棒?を作りましょう。
丸い棒を作るなんて無縁と思っていた貴方にも、けっこう身近に有る道具で作れるんですよ。
ノコギリとカンナが自宅に有れば、後は努力次第…!
私 平林がお教えいたします。

まず、太さ30oで計算してみよう。

8角形の1辺を√2と考える場合と、2と考える場合で計算は違うが、ほぼ同じになる。

左側の 8角形の1辺を√2で考える場合、元の四角い角材の1辺が30oであれば、
30o÷(1+√2+1)順番を替えて30o÷(1+1+√2)で削り取ってしまう3角形の斜辺の長さ1を求め、
それを30oから2つ分引けば出てくる。
30−30÷(2+√2)〕=12.43

一方 右側の 8角形の1辺を2で考える場合、30oの角材の各辺を2分の1として
左上の灰色の部分だけで考えると以下のようになる。
30÷2ここで辺を2等分÷(1+√2)1を求め×22にもどして=30÷2÷(1+√2)×2
÷2と×2を相殺して
30÷(1+√2)=12,43
 ただし 実際には楕円になったり傷つけたりするので 、28oの直径の麺棒を作りたくても
30oくらいの角材から余裕を持って作らなくてはなりません。
太さの誤差の分を付け足して すこしだけ広げて作るわけです。
ここから製作します。
まず、最初に素材を探す。
写真は柱か何かの端材で、ちょっと丸とは
無縁な感じの 汚い檜の棒。
直径28oの麺棒を作りたいので、30〜32
oくらいの巾の線を引いて ノコギリで四角
い材料にする。
どんなに真っ直ぐだと思っても、切って細く
すると材料は暴れる。
写真は向こう側をゴムで止めて曲がりの
確認をした。
こちらに向いている面は 両方ノコギリで
切った面。
皆さんに分かりやすいように、赤いマジック
で波線を引いてから中央付近にカンナをか
けて平面を出した。
最初に隣り合う2面が完全に平面であれば
麺棒は真っ直ぐになるのでここが肝心だ。
こちらは上の写真とは反対側の面なので両
端を削って 平面を出した。

とにかく曲がりを直しておこう。

上級者

 上級者は、良く乾燥した素材を探したら、四
方正目のヒノキでも 必ず年輪 木目を見
ながら それに沿わせて直線を引き、仕上が
り時に麺棒が曲がらないようにノコギリを挽く。
とにかく製材された辺に沿わせて線を引いて
ははならない。
 必要ならば板目方向2回 年輪方向2回
合計4回ノコギリを使う事をお勧めする。

写真は赤身だけを取りたいので 右側を外す。
上側に来た木目面ではモノサシの左右に
斜めにノコギリを入れる線を引く。

 

上級者

また、細くすればそれだけ残有応力によって
年輪は暴れるので、30ミリ角に修正製材して
8角にして放置乾燥→半年後位に修正して
乾燥 →更に半年後に16角、丸にして
胡桃油を十分染み込ませ暴れさせて、
2〜3年かけて修正しながら仕上げれば良い。


写真は 左よく乾燥した状態で仕入れ、
右仕入れから15ヶ月後に30ミリ角まで製材
プレーニングフォームを作る。
これは作業台なので 作らなくても良い。

作るなら、長さ90cmくらいが便利。
写真のように 角材を固定できれば
プレーニングフォームでなくても良い。

分かりやすいように 素材の向こう側に
平林の「平」こちら側に「林」と赤いマジック
で書いた。
ちょっと写真がボケてしまったが、左が
面取りカンナ。中央が引くタイプの日本の
カンナ。右が押すタイプのアメリカのカンナ
(バンブーロッド製作に使っている。)

左下はホームセンターで売っている二等辺
直角三角形の角材をガイドとして
両面テープで貼り付けたところ。

巾は作りたい麺棒と素材の太さで変える。
28oの麺棒を作るなら28÷(1+√2)
で11,59oとなるが、実際にはもっと広い
13mm前後。
カンナは一機に 端から端まで長く引く。
そうする事で均一の太さになっていく。
ガイドに達して それ以上削れなくなったら
ひっくり返して 次の面を削る。
蕎麦打ちの 四つだしの要領で次の削る
面を上に持っていく。
試しにアメリカ製のプッシュカンナで削って
いる所。これは、ネジ式に刃の出し入れ
が出来るので繊細に削る事が出きる。
 
だいたい厚みが 基準方向の31oに近い
ので次の角に移る。
この時ノギスでなくても、ハタガネや、Dクラ
ンプで厚みを測るくらいで十分だ。
次々と削って行くが、写真で分かるように、
最初の基準になる4角の方向が(×と直交す
る面)細くなってしまった事が分かる。
最初の八角を整える。

できれば ここで半年近く放置
曲がった面を直し、減ってしまった分
8角を全体に小さく修正する。

ロクロ挽きに比べて、丸カンナ挽きの
麺棒が高いのは、この様に時間をかけて
直線に修正するためではないだろうか?
この次に16角にするわけだが、どこを削った
か削らないか分からなくなるので、右側の
//線のように 八角のうちにグルグル回して
印をつける。
16面になると どこを削ったか分からなくなる
ので 必ずグルグル回して印を全体に付ける。
おおよそ16面になった。
この時、長い面には//印の有る面と//印
の ない面が交互にできている。
両者の巾が 大体同じ巾になるまで通常の
ガイドの無いカンナで削る。
(ガイドが有るとかえって不便。以前に22,5°
のガイドを作って削ったが、ガイドが無い方
が良かったくらいだった。)
布芯を生地屋さんに行ってもらって来る。
内径約3cm長さ約15cm。これを写真のよ
うにカットする。

出来るだけ真っ直ぐな麺棒にしたい場合は
15cmと言わず サンドペーパーの長さに
パイプを切って作れば良い。

上級者

更に直線にするため 長いパイプを使う事にした。
サンドぺーパーも 長い辺を使うようにした。

(下のパイプ)

中に40番のサンドペーパーを入れ、外側に
出た部分も一緒に握る。
もし きつくて削れない場合は 順方向、逆
方向に回して調節する。
前後運動で削り、回す事で円形を求める。
行き返りの往復地点が削れないので
注意して削る。
太さはパイプの握り具合で簡単に分かる。
滑りが止まる所が太い訳だから、そこを丹念
に削って平均化する。
サンドペーパーは順に120,180、240の
細かい方にしていく。
500番1000番と言ったのを掛ける場合は
ガイドがなくても良い。
両端の仕上げは
端から2oから3oの所に紙を巻いて
円周の直線を求めカッターで線を引く。
先ほど付けたカッターの線から中心に向け
てカッターで削る。
3分の1くらい面が残って良い。
端の処理はいたって簡単。膝に途中をはさ
んで、そこを中心にして麺棒を動かし
サンドペーパーで麺棒の端を擦る。
この時手のひらのサンドペーパー側はなる
べく動かさずに、すり鉢でスリコギ棒を動かす
みたいに削る。
きれいに端の処理も出来た様子。
真ん丸に出来ました。

この後、スーパーマーケットでカシグルミを
(塩分の無い物、ケーキのトッピングでも
売っている)買ってきて、2枚重ねの布袋に
入れて砕き、麺棒を拭いて仕上げる。

何回も重ねて拭くうちに 出来すぎて、
麺体のドウの上を転がらずに 滑る事が有
るので ほどほどにしておく。
もし油が乗りすぎた場合は 240番くらいの
サンドペーパーで表面を荒らす。
この麺棒は、少し遊んで有ります。
端に別のケヤキを貼って火であぶり黒檀み
たいに見せました。
現在 巻き取り棒に使っています。


左側写真、勝手に付けた名前がトンネル鉋
下に鋼鉄のレールを敷き少し間隔があいている。
その上に16角形の材を乗せ、洋カンナの下に30oの下駄をはかせる。
どんなにデタラメにカンナをかけても 下のレールに密着していれば
平カンナのため正円に近い多角形で直径30oの 直線の麺棒が得られる。
 
右側写真 高さ30oの角材に前後に角材を渡し、下側をカンナの邪魔
をしないように(]角材が当たらないように)削り取る。
削ってみたら 結構毛羽立った。サンドペーパーが必要だった。
写真は自慢のプレーニングホーム。ねじで60度の溝の深さの調節が出来る。
麺棒製作には (縦方向がずれにくい)溝が有る事が重要のみ。
木材で製作可能。上に両面テープでトタン(ブリキ)を張れば良い。

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