これは、単なるふつーのサラリーマンが、日産スカイラインGT-R(BNR32)
を購入し、悪戦苦闘しながら  維持をしていく、記録である・・・・・・・。

第2章 認めたくないものだな、自分自身の
若さゆえの過ちというものを

1998年 春 某日
  私は、仕事で、A市にある客先へ向かっていた。
  はからくも、時間は正午になり、昼食をとろうと適当な飲食店を探していた。
  ・・・・・そのとき、私の目にある中古車店が眼に入ってしまった。
  その店はいつ見ても32GT-Rが置いてあり、しかもみな程度がよさそうなものばかりがある
  といううわさの店であった。

  「どーせ、いま食い物屋に入っても混んでるだろうから、ちょいと見ていくか・・・・」

  ・・・そう強引に理由付けすると私は社用車をその店につけた。
  

  店員「いらっしゃいませ。どのような車をお探しですか?」
  
  私 「あ、えと、32のGT-Rなんですが・・・・。」
  
  店員「それはちょうどよいところへいらっしゃいました。今ちょうど極上モンの1台があるんですよ」
  
  私 「は?どんなんですか?」

  そこにはガンメタのGT-Rが佇んでいた・・・。

  平成6年式 GT-R標準車  ワンオーナー 走行距離5,000km 
         350万円!!

  ・・・・完全に予算オーバーである。
  私の考えていた予算はコミで300万。
  酒もタバコもやらず、着る物にも特にこだわらず、このころからユニクロ
  の安い服を愛用していた私であるので、そこそこの金額のローンならけっこう
  払えてしまうのである。
  大金持ちでもないのに、酒もタバコもパカパカやる人は、それだけで結構な支出ですから
  GT-Rなんぞは買わないほうが身のためです。(笑)
  それはさておき、この差額では下手をすると86あたりが何台も買えてしまう・・。
  そんなことを考えながら思案していると店員が。
  

  店員「これだけの程度の32はもう出てきませんよ」(常套の殺し文句)
     「おまけにこれから茨城のほうからこれを見にくる人も居るんですよね」(殺し文句その2)
     「白だったら400万は値段がつきますよ・・・この車は」(殺し文句その3)

  そんな殺し文句等を聞きながら、実際はかなりくクラクラ来ていたのであるが、ここで、ほしいほしい光線を
  出すと、一気に敗北が決定してしまう。
  私は、冷静さを装って下回りや外装のチェックをはじめた。
  すると・・・リンク類から、マフラーまで、本当に新車のようにピッカピカなのである。
  こりゃ本当に走行距離5000kmのようだ・・・・・。
  
  さらに、運転席に目を向けると・・・・・・ん?なんか違う・・・。
  私は友人やらなんやらのGT-Rを結構見ているので、運転席の状況も結構知っているつもりだったが、
  何か違和感があるのだ。
  その違和感の正体は数秒の後に判明した。
  

  「え、えあばっぐがついとる?」  

  そう、世にも珍しいエアバッグ付の32GT-Rであった。
  今でこそエアバッグは当たり前にはなってているが、この車が発売されていたころは
  まだ珍しい存在であった。
  これは、まじで、ほとんど使われていないに違いない。
  きっと、バブルお金持ちのおっさんかなんかが「一番高いスカイラインもってこい」とか言って
  間違って買っちゃったような車なのに違いない・・・。(何の根拠も無いが)
  
  ううっ、ヤバイ。かなりほしいほしい病が出てきてしまっている。
  そして、口をついて次に出た言葉はこれだった・・。

 「これ、60回払いだと月々いくらになりますか?」

  そう、いくらなんでも一括で払える金なんか持ってるわけが無い。
  いわゆるの60回ローンである。

  店員「え?(^^; あ、じゃぁ、事務所のほうまできてください」

  そういって、事務所へ赴くとローンの計算が始まった・・・。
  頭金を50万円ブッ込むとして・・・・借りるのは約300万・・・・
  しばらくすると金額が出た。

  月々 37,500円    ボーナス 150,000円

  うううっ、なんか微妙に払えそうな額だ・・・・。
  そして運が悪い?ことにその日は通帳と印鑑まで持っていたのだ。
  私は・・・  

  え〜と、月々の給料が ・・・・・で、ガス代がこれくらいになるだろうから・・・・・・・
  んでもって、昼飯代とかが・・・・で,たまにゃ夕飯も外食だから・・・・・
  うんたらかんたら・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・いける!!

  という結論に0.2秒で達した。
  考えてみればこうなることは当然である。
  だって、あれだけ強烈な印象を受けて、欲しい欲しい欲しい欲しい欲しいって言って
  いたところに、目の前にそのものズバリな物を突きつけられたら、「いや、だめ!!」
  って言えんでしょが。(^^;
  思わず小さく「コクン」と頷くしかあんめぇ? 

 「く、ください!!」

  ああっ、とうとう、言ってしまった。
  なんか恋人の両親に言う言葉にも見えなくは無いが(^^;(私はまだ口にしたことが無い)
  ある意味完全敗北である。
  その場でいきなり契約書まで記入してしまった。
  しかし、そのばで、問題?が発生した。
  手付金を置いていけというのである。
  しかし、私の財布の中には給料日前というのも手伝って1,000円しか入ってない。
  おそるおそる。

  私 「あのぉ、手付金って1,000円でもいいんすかぁ?(^^;」

  と、聞いてみると、別にいくらでも良いとのこと。
  私は1,000円を支払って領収書までいただき、めでたく契約完了となった。

  350万円の買い物に1,000円・・・・・・。
  なんか、レア物スターウォーズのフィギュアのほうが多く手付金を取られそうな気も
  したが、相手が良いというのだから良しとしよう。

  そんなことを考えつつ昼食をとるのも忘れ、その日1日は夢遊病状態な私であった・・・。