直島を語る上で重要なキーワードが「サイトスペシフィック*1」なのだけれども、(直島関連本や、Webではこの言葉が句読点状態)ではその直島という土地のチカラとはなんぞやと。ではとことこ歩いてその答え探しをしようかと、まずは宮浦港から役場経由、地中美術館方面へ。
リュックにはお弁当と水筒。海岸でお昼にするのです。
季節は冬。枯れた草木の黄金色と青空。とんびはくるくるまわっているし。定期的に通過していく町内バス。
「あーみんな乗ってるなー」
しずかなひとり遠足。かつんかつんとリュックの中で水筒が遊んでいる音がリズムを刻んで、もくもくと歩く。

細い道、小さな階段、札所への案内板、朽ちた看板。

幼いころに行ったおばあちゃんの田舎みたいだなぁ〜懐かしいな〜。とゆー感じなのだけど私には田舎が無いのでした。でも、懐かしさの舞台美術がそこここにセットされているような。
おばあちゃんが「ようこそぉ」と声をかけてくれる。
風がかさこそと声をかけてくれる。
草木がざわざわと問いかける。

本村で家プロジェクトを見るために小休止。
おや。キミはどこのコ?
人懐こいにゃんこがバス停で歓迎。
うにゃ〜んうにゃ〜ん。

まて〜!!!!子供が鼻息荒く猫に突進。あー猫〜。

猫、猫、そうそう「みぃちゃん*2」に会いにきたのだった。猫パンチ炸裂みぃちゃん。
が、残念ながらこの日は会えず。
猫、猫とうわ言のように、念仏のようにぶつぶつつぶやき本村を徘徊すると、八幡神社。

猫だ。

山門の左手にちんまり。スタンダード展2に出展している上原三千代の「いつかは眠り猫」。

南寺の公園を左手に坂を上って海に向かう。

海でお弁当。
高松で仕込んだお昼ご飯。しっかりと塩を振って握った焼きタラコのおむすびと、蕗の佃煮、ちょっと甘めの出汁巻きに胡瓜と蕪の漬物、水筒には番茶。

…というのは理想のお弁当で、ホテルの朝食で出た、パンとハムと卵とみかんをそのままお持ち帰りしたのでした。

もそもそ。
水筒のホットコーヒーが美味しい。

「お弁当はおいしいですかー?」とでも聞いてきそうな小豆島からの潮風。
「そんな美味しくないです。パンはボソボソ。ハムは怪しいニオイがします。みかんは半分潰れてましたよ」
「でもコーヒーは美味しいんでしょ?」と聞いてくる。
「まぁね。でもちょっと薄いよ」
ひとり遠足は、頭の中饒舌。
一歩間違えれば電波が届いているヒトになるわけだけど。

さて、再出発。

琴反地池*3で、ヒゲの生えたアオ鷺が…と「なんじゃ?」と近づくと、ウナギを咥えたアオ鷺。
おおおい。

と〜れとれぴ〜ちぴち。
キミ、くちばしからビッチビチに跳ねてますけど。。。

と声かけようとしたら、目の前のアオ鷺に目を取られて側溝に落ちる。

私が落ちた音に驚いて、びちびちさせながら飛び立つアオ鷺。

ベネッセハウスから地中美術館までの途中にはヤギも。声をかけてもしらんぷりされたけど。

時間を早送りして、翌日は三菱マテリアル方面へ。

本村方面からバスに乗り宮浦港に到着。
降りない私に

「ど・どこへ?」
「えーっと終着までー」
「えええ?何もないよぉ〜????」
「あーえーでもいいんですー。行っちゃってください」

不安げな運転手さんにお願いをして、そのバスの終着「才の神」へ。

「ね、なにもないでしょ?」到着後、バスを降りてストレッチしはじめた運転手さんが一言。
「あーえーそーですねー…」とはいえ、初めての場所はどんな場所でもドキドキ。

…あ、でもここでもスタンダード展の展示があるのではないですかぁー。
旧床屋。三宅信太郎「魚島坂潮蛸峠」
てこてこと港を目指して歩く。古い建物がところどころに。朽ちているのに活き活きと主張する建物。
その建物の影から幼い頃の私が飛び出してくるような。
遊び場だった古い営団住宅の一角を思い出す。
草ぼうぼう、風雨を幾度も耐え忍んだ屋根瓦、カタカタと風に応えるガラス窓。
懐かしいランド!
そう、そーゆーアミューズメントパークなのではないかしらん?と。
ごはんですよー!
そろそろ昼ごはんにしましょう。

というわけで山本うどん。
ぎゃー!満席ではないですかぁ。
しかたなく生協で時間つぶし。さすが瀬戸内海の島だけあって魚介類は豊か。
…ここで刺身を買って宿で食べるっていうのもいいなぁ…
次回への夢が広がります。
本屋コーナーに100均コーナー、日用雑貨、お酒に生鮮品。

にしても…んもうやっぱり絶品すぎです!山本うどん!
繁盛して、待つことも多そうだけど、やっぱり直島来たら山本うどんだと!

あいかわらずの、喉越しよくしこしこの麺、ほんのり優しい汁に、こってりと味が染み込んだ肉のバランス!彩りかまぼこ、青々とした刻みねぎに、パラリとそして汁をほどよく吸った揚げ玉…美しくそして、んまい!
あーでもラーメンも食べたかった!地元のコらしい小学生がラーメンを頼んでいたのだけど
これもまた美味しそうで…
次回はラーメン!…でも肉うどん食べちゃういそう!じゃあ2泊して2回食べればいいのか!山本うどんで直島再訪(しかも2泊)を心に誓うわたくし。

おなか満足で宮浦港へ。ゴールは間近。。。のゴール手前にあるのが「007記念館」。
直島、ベネッセハウスが舞台となる「007赤い刺青の男」。その映画化実現への祈りを込めた記念館。
でですね、もし乗船するまで時間があるなら、ここのテレビを見るべし。
えー…とある意味感動。そして見終わったあとに「007赤い刺青の男」を読みたくなること請け合い。

乗船間近。
で、サイトスペシフィックを理解できたのか?と。

たかだか1泊で…というのもあるのだけど「理解」はできなかった。けど「実感」はできた。とゆー感じ。

なぜそこに?はわからないけど、たしかにそれは必要なのだ。

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*1サイトスペシフィック
美術作品が「特定の場所に帰属する」性質を示す用語。▲戻る
*2みぃちゃん
角屋周辺で出没するアイドル猫。猫パンチ注意。詳しくはold.verの「他観光」を参照▲戻る
*3琴反地池
積浦地区からつつじ荘に行く途中の池。 ▲戻る