直島観光

直島。最初にその小さな島にやってきたのは出張のついでだった。
週末にかかる出張で「じゃあ週末に小豆島にでも行くのもいいかな」と瀬戸内海の小島についてネットサーフをしていたら、流れ流され直島にたどりついたのだった。

「え?こんなとこがあるんだ」というぐらい誰も知らない小さな島。

大きな出張鞄をぶらさげてまっくらな港に着いたときは「ホントにそんなスゴイ作品があるのかしら?」と疑問すら感じたものだけど。でも、またたくまに直島は表舞台に。今ではツアーバスが各地からやってきて、アート特集と名が付くものでは常連となっている直島。

5年前はほんとに小さな種だった現代美術の聖地。今では紹介するサイトも書籍も多く、このサイトの意味も薄くなってきているけれども、それでも自分の直島への愛として、このサイトを続けています。
今年また3度目の直島上陸をはたしたのだけど、勝手知ったることもあれば、新たな発見もいくつか。そして直島への愛が深まることもあれば、移ろいゆく姿に昔の姿を重ねて切なくなることもあって、直島も、そして直島に対する自分の気持ちも成長し続けていると感じています。
今回のリニューアルに際し、昔の文章、写真も転用しています。変わらない気持ちはそのまま、そして新たなことは追加して…というリニューアルにしました。
2005年、2007年、2010年とそれぞれの想いをつらねた文章は、各文章の後ろに[2005TEXT]、[2007TEXT]、[2010TEXT]と記載してあります。大きくかわったことについては補足説明や、修正、もしくは大きく削除してあります。

あくまでもごくごく私的な備忘録ですが、お楽しみいただければ幸いです。[2010TEXT]


直島は瀬戸内海に浮かぶ人口四千人足らずの小さな島です。
島の北側には三菱マテリアルの製錬所がもくもくと煙をあげ、多くの瀬戸内海の島がそうであるように、漁業に精を出し、こじんまりとした港を訪れると、観光にはちょっと程遠いんじゃないかしら…と感じざるを得ない島です。

けれども、この小さな島はイギリスの旅行雑誌”CondeNastTraveller2000.3”で「世界の行くべき7つの場所」の一つとして紹介のあった島だなんて、想像もできない人ばかりではないでしょうか。

三菱マテリアル製錬所の反対側、島の南側にはベネッセコーポレーション(旧福武書店)が土地を買い上げ、安藤忠雄の建築物に収められた数多くの現代美術を堪能できる施設があります。それがこの10年ばかりのあいだに直島を世界的にも有名にした「ベネッセハウス」です。

このベネッセハウスを中心に、地中美術館、家プロジェクトなど直島という小さな島と現代美術のコラボレーションは進化を続けています。 そして、点在する作品はどれも胸を打つ作品ばかりです。

2年前、この奇跡の芸術島「直島」にはじめて来たときには、本当に情報が少なくて、点在するわずかな情報をかき集めて高松港から船に乗ったのでした。 それから、色々なメディアで「直島」は紹介され、Web上では間違えの無い情報がきちんと更新されるようになって、「さて、この「直島観光」はどうしようかな?」と。 当時、2年前、情報の少なさにやきもきしてこの「直島観光」を立ち上げたのだけれども(自分が再び直島に行くための健忘録でもあったのだけど)もう、ガイドとしての「直島観光」は引退だぁなぁ…と。

なので、リニューアルをした「直島観光」には作品を見るための工程(行程)についてのガイドや、見方のガイドはありません。(…とはいえ、ある程度のガイド的要素、情報はあるのですが) ただひたすらに、自分が感じた直島と作品について、綴っているのが「直島観光2007」です。 そんな私の独り言に、ひとりでも多くの方に共感していただければ幸いです。[2007TEXT]