庭について

親戚に農家が多く、子供の時に遊びに行くと畑で採ったきゅうりやなすやアスパラガスやみょうがやふきのとう、見栄えが悪くて出荷はできないが、味は最高のりんごや桃や梨、ぶどうや柿、栗やくるみがおやつだった。おいしかったし、たのしかった。りんごや桃、梨の交配や袋かけ、出荷の手伝いもたのしかった。ばあちゃんちのじゃがいもうまかった。米もばあちゃんちのだ。とうもろこしもたくさんたべた。菜っぱ類も新鮮だった。正直、りんごと梨と桃は買うものだとは思っていなかったぐらいだ。

実家は戸建の家だったが車の修理工場だったので敷地はコンクリートで覆われていたため、土がなかった。プランターにはつか大根の種を植えてみたが大きくならなかった。

庭がずーっとほしかった。たたみ一畳分でいいから、土の地面がほしかったのだ。実のなる木も植えたかった。

そして、念願の地面を手に入れた。すっごい、瓦礫だらけの地面だ。園芸用の土を入れるには金がかかる。じゃ、いい土にすればいいんじゃん。本を買った。枯葉を集めて腐葉土にして、生ごみを埋めて堆肥作り。ずーっとやりたかったことだ。長期戦で行こう。

枯葉を近くの公園から集めてきた。土をスコップで掘り起こして、大量の石をどかした。枯葉をいれ、発酵促進用に米ぬかを撒いて水を撒き上から土をかぶせた。そんなことを休みのたびにやっていたのだが、引越しのときにぶつけて痛めてほおって置いた右手の親指が痛い。お医者さんにいったら、どうしてすぐに来なかったの?腱がのびちゃってるよとあきれられた。シップ薬をもらって帰ってきた。でも、枯葉は集め続けた。夫に土を掘ってもらい、枯葉と米ぬかを撒いて水を撒いた。1ヵ月後痛みがとれないのでお医者さんに行った。またあきれられた。どーして、こんなにしちゃうのと。使っちゃだめだよと言われたので、添え木で固定して包帯ぐるぐる巻きにしてもらって、使えなくしてもらった。で、とりあえず枯葉を集めるのも石をどけるのも、しばらくやめた。

生ごみは直接土に埋めた。発酵促進に米ぬかを混ぜた。コンポスト容器を使う方法もあるが、ふたを開けたときのにおいに耐えられそうも無かったので、直接土に入れる方法を選んだ。ときどき、すこし前に埋めたところを掘ってしまって、くっさーとなることもあるが、今のところ、においでご近所に迷惑をかけてはいないようだ。ちゃんと発酵したごみは嫌なにおいはしない。昔行ったばあちゃんちの畑の土のにおいがする。ちゃんと発酵して腐葉土になった葉っぱもちょっとかび臭いようなにおいがする。でも、けして不快なにおいではない。

家の周りに雑草がはえてきた。雑草抜きは疲れるしごとだが、これも堆肥になると思うとなんかたのしい。せっせと雑草を抜いて土に埋めた。上からぎしぎしと踏み固めて雑草がそのまま育たないようにした。これもいい感じで堆肥になってきた。近頃、近所の雑草が気になる。きれいな花を咲かせている雑草もたくさん生えている。通勤途中、あそこの空き地の雑草を全部刈り取って我が家の土に入れたら、いい土になりそうだなぁなどと考えながら、歩いているのだ。

生ごみにかぼちゃの種とじゃがいもの芽もまぜて埋めたら、両方元気に育ってしまった。生ごみと一緒に発酵して堆肥になるんだとばかり思っていたのに、すごい生命力で、かわいい。でも、そりゃそうだな、かぼちゃやじゃがいもの下には栄養満点の生ごみ堆肥が埋まってるんだもの。

ねこの使用済みのトイレ砂も土に入れた。この砂は、土に埋めていい砂である。うちのねこのにおいがするのか、生ごみをほじくりかえす、のらねこくんはいないようである。まぁ、近所にねこをあまり見かけないからもともとのらねこくんはいないのかも、しれない。

去年の秋は、手の怪我で思う存分枯葉を集めることができなかったので、まだ初夏なのにもういまから秋を楽しみにしている。たくさん枯葉を集めていい土にしよう。雑草くん、うちの周りにたくさんはえてもいいよ、抜いて堆肥にしちゃうから。

で、右手はというと、いまだにあまり調子はよくないのだが、土づくりといっしょで気長にゆっくりと無理せずなおしていきたいとおもう。