製菓学校通信日記「7月のスクーリング・レポート」
・かなりハードだった学科授業
・ティラミスとクッキー2種〜クッキーは仕上げが味の決め手
・パン〜モンブロード玉砕
・アップルパイ・ミルフィーユ〜あまりの美味しさに圧倒
7月のスクーリング「かなりハードだった学科授業」
この夏のスクーリングは、10日間と、これまでで最長となりました。
というのも、去年受けていなかった学科の振り替え授業を受けることにしたからなのです。
卒業資格は取れなくても諦めようと思っていたのですが
卒業を間近に控えると欲が出てきて、
出来ることなら卒業して製菓衛生師を受けてみたくなってきました。
そうなるとゲンキンなもので、学科の授業も受ける心構え(?)が違ってきます。
授業は、試験対策といった趣が強いので
「ここはよく出ます」「ここはめったに試験には出ませんので飛ばしましょう」
等々のフレーズがよく出てきます。
製菓衛生師の試験は都道府県ごとに行われるので
大阪と九州とでは、ちょっと違うところもあるかもしれませんが
重要ポイントはそれほど変わらないでしょう(そうであることを祈っています)
10日間のうち前半は振り替えの学科授業でした。
1年コースに混じって受けるので、知っている顔も無くちょっとさびしい感じでした。
授業は一本100分で、4本連続うけると、かなり疲れます。
これではまるで高校時代の夏季補習並み、10数年も経過した今の私には酷です。
ちょっと油断すると眠ってしまいそうなので
10時間以上の睡眠をとって挑みました。
寝るだけ寝ておいたら睡魔も襲ってこないだろうと思ったので・・・・。
先生は全部、元保健所勤務だったという小柄で陽気なおじいちゃんです。
おじいちゃんも朝から夕方までのハード授業に文句たらたらです。
(何しろ先生なので立ちっぱなしなのです)
しかし燃える保健所マンであったに違いないと確信するほど
衛生について実体験を元に熱く語ります。ちょっと素敵です。
授業にメリハリをつけようとしてか、
途中途中で奥様と愛するネコの話が出てきます。
そういうときだけ、頭の中がすっきりと目覚めているのが我ながら情けない限りです。
笑ってしまったのは、今朝、奥さんが作ってくれたというお弁当のお話。
「家内が今朝、何思うたか弁当作ってくれたんですわ。
台風でもくるんちゃうかと思ったんですがね、
ひとつ感心したんですよ。おかずを全部冷ましてから詰め合わせてるんです。
さすがだと思いましたね」
・・・・・・・?聞いていて確か、去年の今頃受けた学科の授業で
まったく同じ話を聞いたことを思い出しました。
先生もネタ作りに大変です。
しかし、これだけの内容をすべて理解し覚えた上で受験することが
私に出来るのでしょうか・・・?
去年1年コースを卒業した友達は、見事この夏製菓衛生師に合格しました。
相当大変だったという話を聞いただけで怖気付いています。
ロールケーキとマドレーヌ〜大阪商人の先生が教える銘菓
後半は実習中心です。
初日は、ボックサンのオーナー福原先生の教えるロールケーキとマドレーヌでした。
この先生はケーキ職人であるのと同じくらいかそれ以上に商人魂を熱く燃やす方で
話はとても現実的で面白いものです。
よそでケーキを選ぶときは、その原価を計算してもっとも原価率の高いものを選ぶ
といわれたときは思わず笑ってしまいました。
「このラズベリーは一粒16円ですよ!ブルーベリーは8円!
このケーキは相当原価がかかってますから買い得です。
スフレチーズケーキを買う人はアホやね。あれは材料安い」
真顔で言われると、もう可笑しくて可笑しくてたまりませんでした。
マドレーヌは、それほど期待していなかったのですが
とてもおいしいものでした。
先生が長い間に改良を重ねて作り上げたレシピだということでした。
こうしたお店秘蔵のレシピを教えてもらえるのは
ラッキーだとつくづく思いました。
作り方も、古典的でシンプルだったので
授業が終わった後、閉店間際の道具街に
マドレーヌ型を買いに駆けつけました。
普通のシェル型を買うつもりが、顔馴染みになった店主の
「最近の流行はシリコンですね、プロの方はほとんどコレです」
という勧めに、プロでもないのに釣られてしまいました。

シリコンだと油を塗る手間がかからず型離れがとてもいいので、
前から気になっていたのです。
(後になって、詳しい友人から、シリコンは型離れはいいけれど焼き色がつきにくいと教えてもらい
後悔することになるのですが・・・・・・・・・・。)
スクーリングも2年目ともなると、電車の見当もつくようになって
一人でぱっと道具街に行けるようになったのは、私にしてはかなり大きな進歩といえます。
マドレーヌは、一番に復習しました。
というよりも、おやつに食べたかったから、というのが正しいところです。
なにしろとても簡単に出来てしまうので、
計量から“いただきまーす”というまで1時間でした。
学校ではきれいな色に仕上げるためにホワイトラムを使っていたのですが
それは常備しているダークラムで代用しました。
ダークだと、確かに色は茶色っぽくなるのですが
焼いた後も香りがしっかり残るので、私好みです。
ほんとうに、こんなに美味しいものが、あんなに簡単な手法で出来てしまうなんて
不思議です。
友人のアドバイスどおり、シリコンでは焼き色がつきにくいので
その分にはココアや紅茶を入れて焼いてみました。
普通の金属製の型は、学校で「離れ技」というスプレー式のオイルを吹き付けていたので
同種の物をクオカで購入して使ってみました。
結果は、やっぱり今ひとつ・・・・。
きれいな貝殻模様が出せませんでした。
もっと型を使い込むか、きちんとバターを塗って粉をはたく下準備が必要なようです。

7月の課題「ティラミスとクッキー2種〜クッキーは仕上げが味の決め手」
翌日はクッキーとティラミス。
これまた、いまさらクッキーをわざわざ習うのもねえ・・・それにティラミスも流行が終わったし・・・と思っていたのですが
やはりこれまた、受けてみると新しい発見がいっぱいで
またしても授業後道具街に走って絞り出しクッキー用の口金を買うことになったのでした。
その日の先生は、ドイツ菓子の有名店に30数年おられ、ヨーロッパへも通算12年行って修行されたという、
とてもダンディな方でした。
クッキーは型抜きと絞り出しの2種。
型抜きの生地はなんと厚さ8ミリに伸しました。
私が作るときは、3ミリから厚くても5ミリくらいだったので、
こんなに厚く作るのは初めてです。
焼き上がりの食感は、厚めのほうが生地の味がわかっておいしいと感じました。
今度から、うちで作るときも厚めにしようと思ったのは言うまでもありません。
絞り出し生地はとてもプレーンに星口金を使いました。
絞り出しクッキーは一つがとても小さくて食べた気がしないようでほとんど作ったことが無かったのですが
先生の絞り方を見て、目から鱗でした。
ほとんど二重巻きになるくらい、高さを出して絞っていくためかなりボリュームがでます。
天板に綺麗に揃って並んでいる様は、貝殻を連想するような美しさでした。
先生は、天板に左から右に絞っていくので、一つ一つを絞る方向は右巻きにすると
手の動きにロスが無く効率よくすることが出来ると話しておられました。
お店では大量に作るため、こうした工夫が大切だったということです。
もっとも、今では機械化が進んでいるので手で絞るお店も少ないそうですが・・・。
また、あまり綺麗に絞り出すと機械で絞ったような印象を与えるので好まれず
かえって不揃いにしたほうが今風だとも言われていました。
うーん・・・・。商品としてお菓子を作るって、むずかしいですね・・・・・・・。
とてもプレーンな2種のクッキーでしたが
生地の作り方の大切さはもちろんですが、
最後の絞り出し方、厚さの決め方で
クッキーの味がまったく変わってくることを実感しました。
どういう食感にしたいかを自分の中で決めて作ることが大切だと教えられました。
さて、自宅で復習してみると、スクーリングからほぼ一ヶ月経ってしまっていたためか
どうも絞り方が違っているような気がします。
いや、口金の切れがよくないのかしら(責任転嫁)
心がけなくても自然に不ぞろいに出来てしまうところが悲しいですね。

型抜きのほうは厚めに抜くことで型がはっきりと出るような気がしますし
複雑な形のものも、崩れにくいようです。
すぐに抜き終わるのも、面倒くさがりの私にはぴったりです。
普段は何度も伸すのが面倒なので、めったに型抜きは作らないのです。


実は一度も食べていなかった、本物のティラミス
ティラミスは最近人気も下火になってきているようですが
それには材料の質にも大きな原因があるようです。
本来ならばマスカルポーネチーズ100パーセントで作るものなのですが
クリームチーズの2倍以上の価格のため
ほとんどの洋菓子店ではマスカルポーネとクリームチーズを混ぜて作っているそうです。
そのため味のほうは今ひとつになりがち、ということでした。
先生の、100パーセント正統派のティラミスを食べて、あまりの美味しさに驚きました。
軽くてふんわりとした味わいながら、チーズの風味もしっかりとあり、
これまで食べたティラミスは何だったのだろうと思ったくらいです。
こんなに美味しいものがどこででも売られていたなら
きっとティラミスは流行で終わることなく
定番のお菓子のひとつに加わっていただろうに、残念です。
近所のお店ではマスカルポーネは手に入らないので
ネットで注文しました。
さすがに高価です。クリームチーズの約2倍、
250gで900円近くします。
そんな高価なものを使うので、生クリームもお気に入りのとても美味しいものを使って復習に取り掛かりました。
さて、私は大流行していたときでもあまりティラミスを食べたことが無かったので
マスカルポーネチーズとはいったい如何様な味がするものか、見当がつきません。
ちょっとすくってなめて見ました。
まず、ソフトクリームのような香りのよさを感じました。
チーズの香りももちろんするのですが、それよりも純正の生クリームに近い感じです。
これをクリームチーズに置き換えたら、まったく別のものになってしまうのは
間違いないと思いました。
ティラミス自体は作るのに特に難しいことは無いようです。
新鮮でいい材料を使い、正確に計量し、丁寧に混ぜて冷やし固めると出来上がりです。

話は飛びますが、時々おやつを食べたくて、夕食の準備をしながらキッチンの隅で
ばたばたこちょこちょと作ることがあるのですが
たいていそういう時は大満足のお菓子は出来ません。
お菓子って、気持ちと時間に余裕がないと、うまくいかないものなんですね。
今回スクーリングの復習をしながら特にそう感じていました。
ティラミスは易しく作ることの出きるお菓子ですが
落ち着いて計量し、丁寧に混ぜて濾して、冷やし固めると
実習で習ったものに近いものが、ちゃんと出来てくれます。
技術的に難しいものが出来たときももちろん嬉しいものですがこうして、
簡単なものを丁寧につくる時間もまた
楽しいものです。
食べてみるとまさに、実習で食べたあの味、
乳製品のいい香りがして、新鮮さを強く感じました。
こういう贅沢なお菓子は、ホームメイドが一番かもしれません。
7月の課題「パン〜モンブロード玉砕」
パンは、ブリオッシュとモンブロードというフランスパンの一種です。
ブリオッシュは型にいれてやくものと、編みこみにするものを実習したのですが
これはとても難しかったです。
しかも何度もやり直したので見た目も味も相当落としてしまいました。
先生が言われるには、生地は出来るだけ触らずにダメージを与えないようにして焼くのがいいということでした。
先生の丸め方や成型を見ていると、ほんの2,3回しか生地に触れていません。
それで魔法のように形が出来上がっていくのを、呆けたように見つめてしまいました。
自分の作ったブリオッシュがひどい出来だったので、
テーブルの上に並んだ先生のお手本が気になって仕方がありません。
後学のために是非一口味見をしたいと思い、
友達とともに先生にかなり露骨に謎掛けをしてみたのですが、
気づいてもらえませんでした・・・。
授業後、先生の作られるお手本のパンやお菓子は、いったいどこへ行っているのかと
皆で白熱した推理を働かせましたが、真相は謎です。
モンブロードは生地を機械でこねていきましたが
ドイツ製の最新式ということでお値段ナント200万円。
オーブンはフランス製で、これまたナント600万円也。
先生の言われるところによると、パンはかなり機械の性能によるところが多く
それも日本製よりヨーロッパ製のもののほうが格段に出来がいいそうです。
というお話はとても興味深いものですが、現実的に言って私がそうしたものを買う可能性はきわめて低いでしょう。
それで家庭用にこねるのに一番適した機械は何ですかと質問したところ
卓上ミキサー型のケンミックスでした。
後で調べてみると、これはパン捏ねのみならず、卵の泡立てにも使うものなのですが
10万以上の価格でした。
200万や600万に比べるとお安いですねえ?!
このモンブロードは先生のデモのみで、2個ずつ頂いたものを
ホテルでサラダをはさんで夕食にしました。
皮がバリバリと香ばしく、こういうものが自宅で焼けたらどんなにいいかと思いました。
家で焼くときのコツを聞くと、下火を効かせること、蒸気を十分入れることの2点が
重要だということでした。
家での復習を早くやりたくなってきます。
ところが、期待一杯で挑戦したモンブロードは見事に玉砕してしまいました。
先生は普通の強力粉で十分といわれていたのですが
腕と機械の性能不足を補うために(?)フランスパン専用粉を使いました。
なるべくいじり過ぎないようにして成形し、蒸気をたっぷり吹き
熱した天板に乗せて期待を込めてオーブンに入れたのですが、もうクープを入れる段階からして、違ってました。
授業では、クープを入れるとオーブンに入れる前からきれいに開いていった
のに、うちでやると、うまく切れなくて引き連れたようになってしまいました。
ものすごい不恰好です。


皮をバリバリとさせるには、十分焼くことだと先生が言われていたので
これでもか、
というくらいしっかりと焼いたのですがオーブンから出してもピチともスーとも鳴らず、
おまけに、さめるにしたがってへなへなの皮になってしまいました。
授業で先生が作ったものとは見た目も味もまったく別物です。

あの美味しいパンがうちで焼けるようになるかも、と期待していただけに
ショックは大きかったです。
クラスメートに玉砕の顛末を話すと、このタイプのパンは
7割がたオーブンの性能に左右されると慰められましたが
それにしても・・・・・。
7月の課題「アップルパイ・ミルフィーユ〜あまりの美味しさに圧倒されました」
一昨年の冬、しばらくパイ作りに精を出していたころがあったのですが
焼きたてはともかく、
冷めるとフォークでもなかなか切れないようなものになってしまいそのうちあきらめてしまっていました。
教室の黒板にある配合表で、粉が強力粉と中力粉のみなのを見て
これでサクサクハラハラのパイが出来るのかしらと不安になりました。
しかしこれが、本当に美味しかったのです。
アップルパイも層の重なりが美しく、フィリングは(おそらく市販品の)林檎のプリザーブだったですが、
これほど美味しいアップルパイは食べたことが無いと思いました。
私が焼いていたアップルパイは、アップルパイとは言えないと大いに反省しました。
よくカフェなどでアップルパイの美味しいお店、のような感じで看板メニューにしているところがありますが、
そういう手作り感のあるものではなく
プロの作る本物のアップルパイ、としてお皿の上で燦然と光って見えました。
ミルフィーユもしっかりと焼きこんであり、キャラメリゼされた表面の香ばしさといい
クリームとの調和といい、まさしく本物。
これほど美味しいものには、今後めぐり合えないかもしれません。
さすが30数年のキャリアを誇るドイツ仕込みのケーキ職人だとものも言えずにひたすら食べ続けてしまいました。
このパイの授業で使われていたのがパイローラーです。
先生の言われるところによると、お店では手で伸ばすことはなく、みなパイローラーで仕込んでいるそうです。
確かにこのパイを伸ばす作業は重労働で、すぐに麺棒を持つ手のひらが真っ赤になります。
これがパイローラーだとあっという間に均一に伸ばされ
時間がかからないため生地を途中途中で冷蔵庫に入れて締める必要もありません。
これがあれば、最高に美味しいパイが作れる(かも)!と思うのですが
さすがに道具街に駆けつけてさっと買うわけにはいきません。
おそらく数十万円かそれ以上のものなのでしょう。
(一瞬頭に、通販カタログでよく見かけるパスタマシーンが浮かびました。
実物は一度も見たことが無いのですがあれでパイを伸ばせないものでしょうか・・・・?!)
本当にお菓子というのは沢山の高価な道具がいるものです。
授業外も充実したスクーリング期間を過ごすことができました。
どの授業も発見や感動が怒涛のように押し寄せるインパクトのあるものばかりで
授業が終わるとへとへとになりました。
へとへとになりながらも、せっかくここにいるのだからと図書館で本を読み漁り道具街に通いつめ、
時間をフルに使うことに腐心しました。
スクーリングも回を重ねるごとにクラスのみんなと仲良くなり
実習の4人グループでは楽しく授業を受けることが出来ました。
同じ趣味を持つみんなと同じ場所にいることが出来るのは幸せです。

また、ネットの友達と同じクラスで受講しているのでとても心丈夫です。
授業の感想などを話していると、自分が見たこと以外にも教えられることがあって
勉強になります。
お菓子作りのこと、お菓子を載せる器のこと、お菓子とともにいただくティーセットのことなどどんどん話は広がり、
最終日にはずいぶん遅くまで話は止まりませんでした。
翌日の授業がなければもっともっと話していたかったくらいです。
一日だけ、午後の空いた日があったので、HPを通じて知り合った友人と
前から行きたいと思っていた、京都のお菓子屋さんに行ったり、
素敵なカフェに案内してもらったり、
地元の方の案内がなければ到底いけそうも無いようなところにもいくことが出来ました。
そういう場所で、同じ夢を持つ友達と話しこんでいると信じられないほど早く時間が過ぎてしまいます。
別れるときは、今度会うのは冬のスクーリングのときだと思うと別れがたく辛くなってしまいます。
通信教育というのは自分の努力だけで成り立っているものだ
というイメージがありましたが
ネットやスクーリングなどで人とのつながりが出来, 倍も3倍もふくらみのあるものになっていると実感しています。
これから先卒業しても何年経っても、大切なものになるに違いないと思います。