製菓学校通信日記「7月のスクーリング・レポート」

7月のスクーリング

待ちに待った、実習のスクーリングです。
今回は、5日間の日程のうち、2日間が衛生と栄養学の講義、残りの三日間が、洋菓子・和菓子・パンの実習でした。
正直に言うと、洋菓子のスクーリングは興味があったのですが
和菓子やパンはさほどでもなく、全部洋菓子だったらいいのに、なんて思っていました。
でも、実際は、どの講義もとても面白くて充実したものでした。

「見ることの威力に感動」

洋菓子はスポンジケーキでした。
まず午前中は、苺のショートケーキのデモンストレーション。
驚いたのは、先生はハンドミキサーを使わず、全て手で立ててみせてくれたことです。
それも、力任せにガチャガチャと立てるのではなく、かるく、リズムを持たせてチャッチャッチャと話をしながら進めていきます。
それ程力をこめているようには見えないのにどんどん生地は泡だってゆき、あっという間に出来上がってしまいました。
ハンドミキサーを使っても手で立てても、それ程時間は変わらないと言うことでした。
内心(まさか・・・・・・)
と思ったのですが、何しろ実際に目の前で見せてくれたのですから納得しないわけには行きません。
出来上がったスポンジに、シロップも打たずにナッペをしていきます。
その手つきの鮮やかなこと、プロですから当然なのですが、それにしても見事でした。

ナッペの仕方については、いろんな本でも紹介してあります。 ホームページにも載っていますが、
つい、そうした手順を一つ一つ写真を見ながら追っていくことをせずに 自己流にぺたぺた塗っていたので
これまで、お世辞にもきれいなものはできませんでした。

でも分かりやすく説明しながら、実演してもらうと、なんとなく分かったような気になるもの。
その後すぐに実習に入りましたが、見た直後だったので、わりにスムーズにナッペをすることが出来ました。
そうかーーーーー、こうやるのかーーーーーーーー、と実習の間中繰り返していました。

驚きと納得の連続だったスポンジケーキの授業でしたが
何よりも一番ショックを受けたのは、先生が作ったケーキを試食した時でした。
美味しい。本当に美味しい。
全く同じ材料を使い、ごく普通のルセットで作ったのジェノワーズです。
自分が自己流で作っていたものとは別物だと思い知らされる美味しさでした。
こんなに美味しいものができるなんて!

実際に目で見て、食べたことの威力は相当なものでした。
100冊の本を読むよりも強烈な体験でした。

質問の時間に、いつも悩みの種だった、きめの荒さについて聞いてみたのですがその答えにも、目から鱗、でした。
「原因の8割は、粉の混ぜ方にあるでしょう」
「いつも、三,四十回数を数えて混ぜてるんですが」
「一回の混ぜ方が足りないことが考えられます」
たしかに、先生が混ぜる時は、カードを使って大きく動かしていたようでした。
私が混ぜる時の動きの、3倍くらいはあるかもしれません。
なるほど・・・・・・・・・・・・・・・・。

もし先生のデモを見ていなかったら、同じ回答を貰ったとしても
「でも、三,四十回まぜてるんだもの、混ぜ足りないってことは無いはず」と思い、納得できなかったかもしれません。
見る、ということは本当にすごいことだと思います。


自宅に戻り、真っ先にスポンジケーキの復習をしました。
初めて、手だけで立てることに挑戦です。

スポンジケーキのきめの粗さについて、クラスの方たちにも相談したところ
ハンドミキサーの回転速度も関係あるのではないかということに行き当たりました。
本当にハンドミキサーは、機種によって速度がまるで違います。
羽根の形も様々です。
なので、いっそ手で立てたほうがちょうどいい速度になるのではないかと思ったのです。

先生の手つきを思い出しながら、チャッチャッチャとボールの壁にホイッパーを当てていきます。

すると、本当にハンドミキサーを使ったときと同じくらいの時間で生地が仕上がってしまいました!
先生のデモを見ていなかったら絶対やろうとは思わなかったことですが思いのほか力もいらず、あっという間に出来ました。

ナッペも教わったようにパレットナイフを持って仕上げていくとこれまで一時間以上もかかっていた作業が、半分ですみ
しかもかなり綺麗に仕上ることが出来ました。

翌日友人に試食に来てもらったのですが、「表面が綺麗!」と誉めてもらえました。
口の悪いオットも「さすが習っただけの事はあるねー、いままでのよりもだいぶグレードアップしているじゃない」
と言ってくれました。

ようし、習ったことは忘れずに身につけていくぞ!と浮き立つ思いでした。


「食べてもらおうという気持ちで・・・」

和菓子の授業では、葛饅頭と水羊羹を作りました。
葛饅頭は前月の課題だったのですが、餡を作るのに半日かかり葛生地の扱いにてこずって散々だったので
一体先生はどんな風に作るのかと思い見ていました。

最初に餡作りから始まりました。
「餡は20分で出来ます」と言う言葉に、(そんなに早く?)と信じられなかったのですが、
これまた、本当に話している間にさらし餡が出来てしまい、呆気に取られてしまいました。
自分では小豆を煮るだけで30分以上かかっていたのに・・・。
“小豆が指で押して潰れるくらい”と言うルセットの表現を取り違え煮すぎていたのです。
そのあと、小豆の皮を除きさらして絞って生餡を作るのですが
これも、作る手順の意味を理解していなかったので無意味に時間をかけていたことが分かりました。

葛生地を作って餡玉にかけていく作業は「餡玉にきれいにかける方法を考えましょう」といわれてビックリしました。
ルセットには手で包む方法、ラップで包む方法の2種類がかかれていたのでそれ以外のやり方など考えたこともありませんでした。
考えないと、いいものは出来ないんだなあと反省。

手で包み込んでいくやり方を見ていると、どうみても自分で作った生地と状態が違うような気がして、
実際に包餡をやらせてもらいました。
 葛生地の手触りが違う、伸びが違う、艶が違う・・・・・。
私が家で作ったものとは全く別物の葛でした。
練り加減でこうも違うのかと驚きました。

また、バリエーションとして、中の餡玉を白餡で作り
さまざまな色をつけた餡で模様をつけたものに葛をかけてみせてもらいました。
そのきれいなこと! 京都の和菓子、といった風情でした。

和菓子など興味は無かったはずなのに、いつのまにか、ウチに帰ったらこの綺麗な模様をつけた葛饅頭を作ろう!
と思っていました。

「せっかくここに来たのですから、どんどん聞いて、どんどん吸収してください」
と熱心に教えてくださり、時間を大幅にオーバーしての授業でした。
この講義で一番心に残ったのは、先生の 「食べてもらおうと言う気持ちで、作りましょう」 と言う言葉でした。
どんなものにも通じるなあと思いました。
つい、適当に作ってしまいがちな我が家の食事にも思いが及び、反省しました・・・・・。

通販で材料が届くのを待ちかねて、早速あの綺麗な葛饅頭作りにとりかかりました。
教わった通り、赤・緑・黄色の3色素で、様々な色をつくり
白餡に着色していきます。
恥ずかしながら、和菓子に関する素養を持ち合わせていないため
伝統的な模様が思い浮かばず、粘土細工のようになってしまいました・・・・。
(先生が作ってくださった模様を思い出せませんでした)

葛生地は思いのほかスムーズに作ることが出来ました。
餡玉にかける作業も前回に比べれば上手く出来たような気がします。

試食してみると、みずみずしくつるんとしています。
前回のものはまるでゴムのようだったことを思い返し、復習してよかったなあと嬉しくなりました。


「美味しいバターロール」


パンは基本のバターロールです。
これは、2人ペアで作業を進めていくのですが、私にとってとてもラッキーだったことには、ペアを組ませてもらった方が
とてもパン作りの上手な方だったことでした。
最初から段取りよく、てきぱきと準備をすすめてくださったのでスムーズに作業をすることが出来ました。
パン生地は、かなり時間をかけて叩きコネをしていくのですがなかなか先生がするようには、出来ません。
叩いては折り、向きを変えてまたこねます。
この一連の動作をなめらかに続けていくことの難しいことといったら!
でも、ちょっとした生地の持ち方、体でリズムを取ることなどを
パートナーに教えてもらうことが出来たので最後の方には少し要領を覚えることが出来ました。

自宅でパンを作るとき、こねるまでをホームベーカリーでやって後を手作業で作っていたのですが
出来上るパンは、いつももそもそとしてあまり美味しくありません。
手で最初からこねると、もっともそもそと固くなってしまいます。
どうしてかなあ、きっと粉が違うのかも、なんて思っていました。

でも、この実習でも、先の洋菓子や和菓子と同じく
先生の作ったものを試食して、がーーーーーーんと来てしまいました。
適度にふんわりして、いい香りがして、引きのある美味しいバターロール。
材料も作り方も、全く普通のものと変りません。
腕の違いが、こうもはっきりとあらわれるのかと思い知らされました。

この授業でも、「私が家で作るパンはもそもそして美味しくないんです・・・」
と先生に聞いてみたのですが、「ホームベーカリーでこねた後、仕上げに叩きコネをするといいでしょう。」 という答えでした。
叩きコネをすると、この美味しいパンになるかもしれないと思うと
またしても、「ウチに帰ったら、やってみなきゃ!」という気になるのでした。

早速帰ってから、やってみました。
散々叩いて、階下の方から苦情が来るのではないかと心配しながら・・・・。
経験不足のため、発酵の見極めが上手くつかめなかったので不恰好なパンが焼きあがってしまいましたが
味は、以前に比べてもそついた感じも少なくなり、かなり美味しいものになりました。
何度か繰り返して練習したら、何とかなりそうです。
先生の回答が、的中したことに感動しました。

今回のスクーリングでは、ネットで知り合った方と一緒に参加することが出来たのでとても心強く、楽しいものでした。
朝から晩まで、お菓子作りのことを話していられるのは、とても嬉しいものでした。
スクーリングの参加者は、思いのほか少なく、20名ほどでした。
年齢の幅は広いようでしたが、私と同年代の方も多くいらっしゃるようでした。
色々な情報も教えてもらうことが出来、感謝しています。

授業の後は閉館まで図書館にいてお菓子の本を片っ端から広げてみたり
試作したケーキを交換して、味見をしてみたり。
道具街へいって、製菓道具をあれこれと手にとって見るのも楽しいことでした。
ほとんどの道具をネット購入している私にとって、実際に見るのは滅多にない機会です。
山のように積まれている型類に挟まれて、
修行中らしき若者たちや、カフェのオーナーと思われる人たちの会話を聞きかじりながら
あれこれ手にとって見るのは、楽しい時間でした。

たくさんの道具の中で、私が買ったのはシロップを煮たりするのに調度いい、銅の小鍋です。
これまで、料理用と兼用だったので、初めてのお菓子用のお鍋です。
銅は熱伝導がいいと聞いたことはありますが、私にはそういったことは、まだよくわかりません。
それよりも、キラキラと輝く美しさに惹かれて買ってしまいました。
お店のお兄さんに教わったように、時々は酢とレモンで磨いていつまでも綺麗に使おうと思います。


子供2人を実家に預けての5日間。
私のスクーリングのために、息子は1学期間皆勤賞だったのに、幼稚園を一日休ませてふいにしてしまいました。
家族がいるのに、このトシで、こんなことをしていていいのだろうかという思いがおこります。
こんなわがままをしていられるのも、これが最後かもしれません。
そう思いながら、折からの大雨で着陸できずに、空港上空を旋回する機内に一時間もオーバーして揺られていました。

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