感想 |
解説 |
[お嬢様特急][メディアワークス][98/07/30][日本縦断軟派旅行]
どんなゲーム 特別急行ヴェガ。 その車両がたった一度、15日間で『稚内』から『夢の崎』まで日本を縦断する ルートで運行される事となった。 あなたはこの列車に乗りアテの無い旅をするのであった…、ってボンボン? このゲームは、この列車の旅で出会うギャル達と仲良くなり、終点『夢の崎』で ハッピーエンドを迎える事が目的で、舞台となるヴェガ車内と11ヶ所の観光地を 徘徊しながらメイン13名、サブ5名、合計18名のギャルと出会い、 会話を交わす事で進んでいきます。 システム面について ギャル達はマルチプル・デュアル・システム(以下MDS)と言われるプログラムに 基づき行動している様です。 このMDSによりギャル達は勝手に動き回るため、ある時間にそこに行けば 必ず会える様にはなっていません。 とは言え、彼女達には場所の嗜好があって、それを見極めれば出会いのチャンスを ある程度上げることが出来ます。まぁ、トゥルーラブストーリーと似たようなモンです。 また、ギャル達の主人公に対する好意度が上がれば、向こうから主人公に 近づこうとするようになっている様です。 確かにそうしてくれれば、上手く狙いの娘の好意度を上げることが出きた場合 なし崩し的にハートを射止める事はできます。 しかし、逆に序盤に偶然お目当て以外の娘と連続して出会うと、お目当ての娘に 会いにくくなります。しかもかなり絶望的に。これマイナス点ね。 あと、MDSはギャル同士の仲にも関係しているらしいんですが、それが実感できる 場面は残念ながら有りませんでした。 多分、開発側はギャル達に行動パターンを与える事により、毎回新鮮な気分で 遊べる事を期待してこのシステムを組んだと思います。 その精神は膨大な会話データにも顕われています。というのも、このゲームの もうひとつの売りに同じ台詞が二度と現われないというものがあるのです。 確かに、同じ会話を繰り返さないというのは非常に良い試みで、評価できますが これがMDSと組んだ事により不整合を起こしている部分もあります。 と言うのも、特定のギャルと連続して出会った場合にギャルの台詞や感情に ズレがあるんです。 例を挙げると、同じ場所に連続で現われて「ここにいたんだぁ。」と言ってみたり、 さっきまでしょげていたのに、次の瞬間には豪快に笑ってたり、さっきまで一緒に いたのにその事実が忘れられたりしています。 また、コレはかなりダルかったんですが、この主人公は目的地が無いくせに 途中下車しません。 何故か終点『夢が崎』が『伝説の樹』と同義になっています。 前者には何の理由付けもありませんが。
私は、最初に出会った星奈というギャルとラストイベントまで行ったんですが、 星奈は中盤の松本駅で途中下車します。 んで、オレに何の為に旅を続けろと? 一日一回程度携帯電話で話をする為に この旅を続けるんですか? いくらこの主人公がブルジョアなキャラでも、 いや、ブルジョアなキャラだからこそ、松本で降りて、ホテルに滞在して 星奈が暇になった時に会うべきでしょ? この場合星奈のいないヴェガなんて 東方不敗のいないGガンダムみたいなもんやん! そんな無駄に思える時間を大した目的も無く、あまつさえ惚れっぽいギャル達に かこまれて過ごすってのは拷問ですよ。 # しかも、同時攻略って結構難しいし… 残り半分の工程を過ごす時間を他のギャル攻略に使わせてよ! 半分の工程にかかる時間だけでも繰り返しプレーしたらすんげぇ時間がかかるんだから。 あと、セーブタイミングがゲーム時間の一日に一回のみなのもダルイです。 もっと任意のタイミングでセーブできても問題無いと思うんだが…。 …ふぅ、システムで言いたい不満はこんなモンかな? あとは細かい事ですが、独自のアニメーションプログラムによるティアリング有りの 全画面アニメや、メッセージが一文字単位で揺れたり拡縮するなど見せ方は合格点。 目パチ口パクが無いのも表情やポーズが多い事を考えると特に問題ありません。 しかし、音質がかなり悪くBGMも台詞も終始聞き苦しいです。 ここらへんPS版はどうなんでしょうね? 結論を言うと、意気込みは買いますが、システムをまとめきれてない、もしくは バランス調整が上手くいっていない部分があり、アラや詰めの甘さが目立つ結果と なっています。 キャラやイベント 先程も言った様に、このゲームでは1ゲーム中に同じやり取りが起こる事は無く、 イベント数も鬼の様にあります。えぇ、ホント凄いですよ。 また、キャラやイベント内容もかなりコテコテながら、大変魅力的です。 まぁ、嫌いな人はとことん嫌いなつくりにはなっていますが…。 しかし、特に後半の観光地でなんですが、あるイベントを起こす為に無理やり シチュエーションを作ろうとして、主人公を勝手に動かしすぎる部分があり、 かなり興醒めする事も多くありました。基本的にかなり眼をつぶる私がこんな台詞を はいている事から、この置いてけぼり感がどの程度か理解していただけると 有りがたく思います。 んで、キャラで気に入ったのは 1.山口星奈 :乱雑ながら繊細でやさしい少女。 2.桜井真美 :気が小さく、自分に自信が持てない絵描き。 3.七尾つばさ:幼なじみで主人公をお兄ちゃんと呼ぶ中学生。 この娘が登場する時の回想シーンに使われるCG枚数に驚愕。 4.松浦愛 :不幸が服を着て歩いている標本。だがいつも前向き。 5.飯山みらい:自由奔放アイドル。でもプライベートではおしとやかなギャップ系。 6.鹿島静花 :本当のお嬢様。プライドは高いが素顔は…。 7.津山菜々子:料理人を目指す浪速っこ。 静花との漫才は最高に面白い。 8.根岸ちひろ:こけるイベントで「にゃ〜」って言った、「にゃ〜」って! だって「にゃ〜」だよ「にゃ〜」! すげぇぜ「にゃ〜」! みんな、これからこけるときは「にゃ〜」だ! 「にゃ〜」
ちなみに売店で働くサブキャラ。ありゃりゃ、ほぼ半数がお気に入りですか。 でもまぁ、逆に地雷妄想女の秋子だけは排除して欲しい程イタいんだけど。 グラフィックレベル XEBECの名が出てる事からも分かる様にとにかく絵が高レベルで安定しています。 エンディングを見て納得しましたが、原画の担当会社も人数もヘタなOVAなら 裸足で逃げ出すレベルで、コレならあの気合の入ったデキに納得いきます。 ミニゲーム ヴェガの娯楽車両にはゲーム機が設置してあるんですが、ソレが結構面白いです。 いや、面白いのか? まぁ、なんだかんだとやってしまってたのを考えると 多分面白いんだろう。 内容的にはスロット、シューティング、ポーカー、ブラックジャックの4種類で、 最初に100枚与えられるコインを突っ込む事で遊ぶことができる。 # ハコっても再び100枚から始める事ができる。 当然勝てば(シューティングではある程度のスコアをたたき出せば)コインが増え、 増えたコインは景品のキャラクタ目覚まし時計に交換することができる。 でも、ヨダレたらしながらやる類のモノなんで、景品が無くても何となく やってしまってた様な気がする。まぁ、ご褒美があった方が断然良いですが。 ところで、シューティングは横シューで、その名も『SANO−ARM』なんですが あの『SIDE−ARM』と何か関係あるんかなぁ? 疑問なり。 総括 乗車駅を任意に選べ、ハートを射止めたギャルと一緒に下車できたとしたら、 ハッキリ言ってすんげぇ秀作に仕上がったと思うんです。 そりゃもう絵とコテコテさに不満を抱かないタイプの人間なら必ず通らなければ ならない程になるだけのモノを潜在的に持ってるんです。 # コテコテさは私をもってしても気になるレベルだったが…。 でも、1ゲーム中の半分の時間を無駄に近い形で過ごす事と、後半多発するバグは 大きなマイナス要素となり、かなり残念な評価しか出来ません。 まぁ、時間が無かった上に追い込みで失敗したんでしょうねぇ。 なんせ、後半には放送事故並にグラフィック真っ暗で台詞だけで処理してる 場面がいくらかあるし…。 おまけモードのぞんざいなデキをみた後ではそんな感想が出ちゃいますよホント。 |
判決 |
遊戯時間 12時間程度(1クリアー) 物語 ★★★☆☆ 人物 ★★★★★ 絵画 ★★★★★ 音楽 ★★☆☆☆ 遊戯性 ★★☆☆☆ バグ −★★★★★ 総合 ★★★☆☆ ひとこと 惜しい! 惜し過ぎ! というワケで『お嬢様特急 Plus』発売希望! |