データ |
タイトル | はじまりの森 | プレイ時間 | 8時間程度 /クリア |
機種 | SFC | ストーリー | ★★★☆☆ |
ジャンル | ファミコン文庫 | キャラクタ | ★★★★★ |
メーカー | 任天堂 | グラフィック | ★★★★☆ |
発売日 | 1999年 7月 1日 | サウンド | ★★★★☆ |
備考 | 書き換え専用 | ソフトウェア | ★★★☆☆ |
ゲーム性 | ★★☆☆☆ | ||
夏季限定で | ★★★★★ | ||
総合評価 | ★★★★☆ | ||
お気に入り度 | ★★★★★ |
本文 |
ストーリー ある夏休み、祖父の家に遊びにきたひとりの少年が1週間弱という短い間に体験した 不思議な心温まるお話。 駅で迎えを待つ間に螢を追って落ちた崖下で出会った不思議な少女。 # 藍の髪と浴衣を着ていたのでとりあえず万葉と命名。 最初は警戒していた少女と何とか打ち解け駅の近くまで案内してもらったのだが、 ほんの少し目を離した隙に少女は名も告げぬまま姿を消してしまう。 宝物である懐中電灯を貸していた以上に少女の事が気になった少年は彼女を探して 村を東奔西走するものの、村の誰もが少女の事を知らないという。 それでも諦めずに少女を探し続けた少年はついに少女との再会を果たす。 そして少女が語った真実が、少年の短い夏をかけがえの無い大切な宝物にするのだ! 以降はプレイしやがれコンチクショウ! システム 昔ながらのコマンド選択式アドベンチャーゲーム。 ミニゲームや多少の特殊処理を挟んではいるが、基本的にはフラグを立てる為に たらい回しにさせられるストレスの多いシステムになっています。 とはいえ、行動範囲を常に狭く限定し、コマンド総当りで何とかなる様にして ストレス発生を押さえる努力はしてありますから十人並の忍耐力があれば特に 問題無いと思います。 # 私は八人並くらいなんでヤバい時もありましたが。 気になった点があるとすればよく第三者の視点での意見やツッコミが入る事です。 イメージ的にはできるかな?の「あらゴンタくん、よかったわね〜」って いう呼びかけが近いと思います。 まぁ、すぐ慣れましたが「嫌いな人は嫌いだろうなぁ」って思ったんで一応 ここに書いときます。 あと、この話は全7章で構成されているのですが、クリアした章までなら任意の章から 始める事ができる点は極めてナイスだと思います。 # それだけフラグが単純であるという事の裏付けでもありますが。 魅力 この作品は味系なので、パッと見て合いそうと思ったらだいたいOKだと思います。 で、実際にやってみて特に魅力的に感じた点を以下に記述しておきます。 田舎 私には田舎というものが無い為、田舎に対する幻想みたいなものを持っています。 で、この作品に登場する村はそういった幻想の中に成立する田舎の約数を集めたものに 思えます。 自分の役割を持って日々を送る人々、学年を越えた結束力を持つ悪ガキども、古い 木造建築の校舎、魚の沢山採れる川、昆虫を採る穴場、古ぼけた社と夏祭り、縁側で 食べるスイカ、とうもろこし、ばぁさんの語る昔話… 幼い頃に憧れた田舎というものの条件を充分に満たした、住みたく無いけど行きたい場所がモニタの中に顕在化しているのを目の当たりにして、正直メッチャ感動しました。 もう速攻でバーチャル田舎へバーチャルインってヤツです。 ドット絵 基本画面は画面の4分の1程度の面積しか使っておらず、ハッキリ言ってショボい 部類に入ります。が、そんなのは一瞬で慣れます。 # スーパーゲームボーイのピクチャーフレームが気にかからないのと一緒。 何より、そこで展開されるドット絵の祭典がイカし過ぎで、そんなの気にしてる 場合じゃありません。 もうろく気味のばぁさんや、サザエさんカットの雑貨屋のおばちゃん、いつも扇子を 離さない村長さんや、大将、ノッポ、デブ、チビと昭和40年代テイストで構成された 悪ガキ4人組など、とんでもなく分かり易いキャラがイキイキと動いている様は非常に 微笑ましく、それを眺めているだけでペイできるかもと思えます。 でも、やっぱドット絵が一番凝ってるのはヒロインの少女でしょうかね? あの、いかにも『あなたの言っている事は良くわからないの…』って感じで小首をかしげる仕草や、ふたりで川沿いを歩く時のドット絵は「くはぁ〜!」って感じ。 キャラクタ この作品に登場する人々は、昭和中盤をステレオタイプに表現した感じと表現できる でしょう。以下にその一部を列挙します。 村一番の物知りで、杖と巾着を持って着物を着たもうろく気味のばぁさん。 代々を川漁師として誇りを持って生きる親子。 基本的にいい人なのだが、無理に偉そうなポーズを取っているっポイ村長。 村でたった一軒の雑貨屋を切り盛りするおばちゃん。 含蓄アリの意見を言う、温厚そうな校長。 閉鎖的で粗野にも思えるが、筋を通し、実力を重んじるガキ大将。 ノッポで冷静な悪ガキNo.2。 いつも腹を空かしているデブ。 ブカブカの帽子とシャツがトレードマークの弟分。 狂暴なブルドック。 # ハクション大魔王に出てきた様なヤツ。 この様な、ひとりひとりがしっかりとした個性を持ってこの作品を彩っています。 そして、システム上フラグが進行しないと同じ会話しかしなくなる欠点を前述の ドット絵の多様性がカバーしています。 # 当然の如く、合わない人には徹底的に合わない仕様であるが、個人的にはスッポリと はまってしまい、随分と作業感覚が和らぎました。 少年の友情 少年の友情っていうものをこんな風に魅せてくれる作品は久し振りです。 いや、悪ガキどもとの友情、コレがアツい。 最初は、無視された挙げ句に都会っ子扱いされるわ、女の子を探してると言えば オプションが付いてエッチな都会っ子にランクアップさせられるわ、物は素直に 返してもらえないわで、思わず泣きたくなります。 そりゃもう、絵日記に野蛮なヤツらと記述したとしても仕方無い扱いを受けます。 でも、腹を割って話をすれば、その意思を感じ取った上でチャンスを与えてくれ、 更にそのチャンスさえモノにすれば、かけがえの無い仲間として扱ってくれます。 彼等の物は自分の物でもあるし、自分の探し物は彼等の探し物でもある。 ガキ大将の将太を筆頭に大概の問題は(時に条件付で)相談に応じてくれるし、 大切な宝物でさえ惜しげも無く貸してくれる。 わずか数日間でそれだけの信頼関係を築く事ができる子供の特権をゲームの中で再び 体験する事ができる。 案外ありがちそうに思える内容だが、それを嫌味無く盛り込んで、しかもその関係を 続けている作品はほとんど無く、その方向性で成功しているものはどきどきポヤッチオくらいしかすぐには思い浮かびません。 まぁ、なんにせよこのプロセスは激オススメです! 少女の可愛らしさ あとはやっぱりヒロインの少女でしょうか? 最初のちょっとルト姫入った高慢調の喋りとは裏腹にメッチャ素直な部分との ギャップが凄まじく、前半のある場面でサクっと殺られてしまいました、ハイ、降参。 絵的にはジブリの描くところの、どちらかと言えばお顔の不自由な女の子チックな 感じなんですが、これはこれでグッとくるものがあります。特に笑顔。 もう、ここまでくればある意味ギャルゲです。やるな、任天堂。 しかも、ちょっと輪廻的巡り合わせも匂わせてあって、冒頭でも言った万葉度が 洒落にならないくらい高く、思わずアッチの世界に旅立ちかけた程です(はぁと) # 一緒に打ち上げ花火も見てるし。 総括 既に完成されているシステムの為、システム的な欠点は特に見当たりません。 あるとすれば、それはジャンルにまで言及しなければならなくなり、既に作品が どうこうというレベルでは無くなってしまいます。 よって、コマンド総当りのお遣いアドベンチャーには辛抱ならんっていう人には 間違ってもお薦めしません、ってか手出し無用です。 逆に気軽に遊びたいって人で、絵に抵抗が無い人ならばスーファミを掘り起こしてでも やってみてください。 きっと今のゲームには足りないものを再確認する事ができるでしょうから。 唯一の問題としては、SFメモリカセットの全ブロックを食いつぶす事でしょうか。 割高感の高いSFメモリカセットを食いつぶす上に書き換え料金を払うのは、さすがに どうかと思いますが、もし使っていないカセットがあるなら是非とも書き換えて やってほしいと思います。 って、ホントはROM化して欲しいんですがね。
first edition : 99/08/14
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ひとこと | 祖父、父、息子の3世代で楽しめるかも? |