データ |
タイトル | ファントムブレイブ | プレイ時間 | 120時間以上 (プリニガーX撃破) |
機種 | PS2 | ストーリー | ★★★☆☆ |
ジャンル | やりこみSRPG | キャラクタ | ★★★☆☆ |
メーカー | 日本一ソフトウェア | グラフィック | ★★★★★ |
発売日 | 2004年 1月22日 | サウンド | ★★★★☆ |
定価 | 8,800円(限定版) | ソフトウェア | ★★★★★ |
6,800円(通常版) | ゲーム性 | ★★★★☆ | |
購入価格 | 8,800円(限定版) | 総合評価 | ★★★★☆ |
お気に入り度 | ★★★★☆ |
本文 |
うん、ソフトのデキは上々だし、システムも面白い、延々とランダムダンジョンに潜る作業に中毒性もある。単体でみるとかなり良い仕上がりなのは間違いない。 ただ、かの怪作、ディスガイアと比較してしまうと、…いや、同社のやりこみ系であるということ以外、比較対象として適切でないことは承知しているが、だからこそ先に済ませておく。カンベン。 で、具体的な不満はというと、パラメータ持ち越しでの2周目がない、育成の結果に実感が伴わない、デフェンス重視でストレスが溜まるという3点。 ひとつめはマルチエンドではない本作にループの必要はない、といわれるかもしれないが、ストーリーで取り逃すと2度と手に入らないアイテムがあるのは興醒め。ここだけでもナンとかしてくれていれば不満はなかったのだが。 あとのふたつは完全な比較論。イノセントとその居住限界というまとめ方は数値を意識できてモチベーションの点で優秀だったなぁ、という思い出話と本作のゲーム性を無視した戯言。ただ、豪快かつ爽快な遊び心地はやはり重要だったとは思う。 本作は従来のマス目を利用したSLGではなく、移動を円内から指定する樹帝戦記タイプ。それに伴いスキルの影響範囲にバリエーションが増えていたり、足場に滑りやすさが設定されていたりするが、その程度の個性は序の口。 なんせ、やり込み重視のシステムは、コンファイン、スティール、ユニットとアイテムを近いオブジェクトと認識した持ち上げや投げ、プロテクション、ランダムダンジョン、称号、アイテム改造や合成などなど、とにかくテンコ盛り状態。ひとつひとつは単純だけど、これだけ重ねると壮観のひとこと。 正直、コレを全部説明したら疲れるんで軽くイクことにするよっ! まずコンファイン。コレはヒロインのマローネのみが使える奇跡で、SLGマップ上にあるアイテム(武器含む)に霊を憑依させ、肉を持ったユニットとして使役する能力。この際、コンファインするアイテムによりユニット性能が上下する。 ユニットには行動回数制限による除去(リムーブ)があり、リムーブされたユニットはその戦闘に2度と参加することはできない。このルールによりSRPGにありがちな単騎特攻は封じられる。…中盤までは。 なお、本作の行動は時間換算で、早いヤツは何度も行動が可能。要はストレイト・クーガー@スクライド並に速さ偏重。より早く動き、より速くリムーブされる(ような装備を持っている)というのが強さの基準。ちなみにリムーブまでの行動回数の基本値は職業ごとに決まっている。 スティールは敵からアイテムを奪う、もしくはリムーブ時にアイテムを持ち帰る確率を上げるための能力。前者は敵の能力を下げるのに有用。後者はユニットやアイテム強化の素材集めに必要。 もちろん、コチラも敵にアイテムを奪われることがあり、強化されたアイテムを盗まれると一歩も動けないまま全滅なんてことも。このあたり育成中盤の醍醐味。 逆に、持ち上げと投げを使って敵にマイナスパラメータ付きアイテムを持たせて弱体化なんてことも可能。更に敵味方問わず持ち上げて、そのユニットの持っている能力を使う、なんてことも。かなりハッチャけてるがソコにシビれる(略) プロテクションはディスガイアにおけるジオシンボル、ジオパネルに近い内容。オブジェクトが他のオブジェクトに追加能力を与えるというもの。 その内容はターン毎のHP回復や移動不能など戦局に関係するもの多数。特にコチラの不利なプロテクションを持ったオブジェクトをどのタイミングで破壊するかは、残った霊の数、リムーブまでの行動回数、移動距離などを考慮しなければならず、結構悩む。 そういった詰め将棋的なバランスはストーリーモードに集約されているようなんだケド、ワタシの場合はアイテム集めを取ったんで最後までは堪能できなかった。ちょっと残念。そういう意味ではやはり2周目は欲しかったなぁ、と。 ストーリーモードと対極にあるのはランダムダンジョン。コッチは育成系のやりこみに特化した内容。できることはレベル上げとレアを含めたアイテム回収、称号の育成で、やり込み要素のほぼ全て。よってゲーム時間のほとんどはランダムダンジョンで過ごすことになる。 称号はキャラのパラメータを上昇させるもので、任意に付け替えが可能。また、キャラやアイテムに付属してくるような決まった文字列だけでなく、ランダムダンジョンの付属する文字通りランダムな名称もある。なので、例えば"ロリ"とか"ペド"といった称号をマローネ(13歳)のお目付け役であるアッシュに付けてみたり、その他いろいろな楽しみ方が。 アイテム改造は技を拡張、合成はパラメータや技をニコイチにするもの。特にキャラクタ能力より装備能力の比重が高い本作では合成こそ強化の近道。 これらの要素を組み合わせ、早解きからやり込み、または詰め将棋的な遊びまでフォローできるシステムをバランス良く調整していることは正直、感嘆するほかない。 SLGパートも、ストーリーモードはフェイの問題、ランダムダンジョンはモンスターハウスとしての方向をキッチリと向いており、荒削りではあるが可能性は充分。 そういう意味では全体を通して見える未完成な部分が惜しくて仕方がない。例えば少ない登場人物すら活かしきれていないストーリーモード、装備の速さに偏り過ぎたバランスなどなど。ユニットの能力差を埋めるためのヒーラー = 宿屋&教会や商人 = 武器屋、改造屋、称号師、ダンジョン師といった特徴もベストを目指したうちのベターではないかと思えるほど。 もちろん、それは本作が不出来だといっているのではない。冒頭にあるようにデキはかなりいいと断言できるし、そうでなければ100時間以上も遊んだりはしない。だからこそ、消化不良気味のところを含めてもう一歩先が見たい。マール王国にはじまり、ラ・ピュセルを経てディスガイアが生まれたように、本作の延長線上にガツンと遊べる怪作が生まれることを切に願う。 あ、ストーリーは序盤鬱な旧名作劇場系。多少の黒さはあるし尻すぼみ感も高いが比較的王道。ライトノベルが読めるなら耐性は充分だろう。
first edition : 04/02/28
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ひとこと | 次回作への期待が募る。 |