データ |
タイトル | 暴れん坊プリンセス | プレイ時間 | 40時間程度 /コンプ |
機種 | PS2 | ストーリー | ★★★☆☆ |
ジャンル | 10代ノベル系ADV + 戦闘SLG | キャラクタ | ★★★★☆ |
メーカー | 角川書店/ESP | グラフィック | ★★★★☆ |
アルファシステム | サウンド | ★★★☆☆ | |
発売日 | 2001年11月29日 | ソフトウェア | ★★☆☆☆ |
定価 | 6,800円 | ゲーム性 | ★★★★☆ |
購入価格 | 6,800円 | 総合評価 | ★★★☆☆ |
お気に入り度 | ★★★★☆ |
本文 |
桝田省治、桜瀬琥姫、アルファシステムの名前を前面に出して売り出した本作、フタを空けると「戦闘システムは面白いのにな〜」といわざるをえないモノに。 別にお約束や物書きの定義するパロディが面白くないワケではなく、その非難の多くはディスクアクセスをはじめとしたシステムプログラムもしくはADVパートにおける人形劇の不出来に集中。 内容はティーンズノベル桝田味という感じ。 理不尽で豪胆、したたかながら包容力のあるヒロインにはじまり性同一性障害の元聖騎士などキャラは充分。 その分物語は予定調和の内容だが、元が水戸黄門や暴れん坊将軍のパロディだからそれも当然。 物語の舞台はシルバーベルという、かつて銀の産出で潤っていた小国。 東西を大国に囲まれた立地ながら、代々の王女に受け継がれた竜の力により争いは防がれていた。 今日はルージュ姫の戴冠式。 主人公であるシオンは幼きころルージュと交わした約束を守り、竜の力の暴走を防ぐもの『聖騎士』として10年ぶりの再会を果たす。 10年の歳月では考えられない変貌を遂げた、つまり竜の力に飲み込まれたルージュと。 聖騎士の奥義で暴走を防いだシオンであったが、生命を削る奥義の使用回数は残り2回。 ワガママが服を着て歩いているようなルージュの作戦参謀に任命されたシオンの運命はいかに。 ストーリーモードは1話完結式、全8話。フェイクラフト作品群やサクラ大戦みたいな流れ。 構成はプロローグ、ADVパート、戦闘パート、エピローグで構成され、各話は1時間〜4時間程度の内容。 本作最大の問題はこのADVパートで、単なるフラグ立てのために、無駄な部分の多いマップ上を、長いディスクアクセスに耐えながら、イラストとかけ離れたポリゴンキャラで歩き回る必要がある。 しかもポリゴンキャラの演技はテンポも悪く、一流声優陣も台無し。 マップ上に配置された市民キャラも所在なげに下ネタを連発しているだけではこちらもやりきれない。 デザートから男までをカバーした、ジャスミンのグルメ日記も同じ理由で心の底からは楽しめない。 パロディに関しては勧善懲悪の代名詞である時代劇をメインにアニメなどからいくらかの場面やセリフを加えた程度でイマイチ。 アニメ、ゲーオタの自分が慣れ親しむパロディとは違うので特に。 ただ、リストラ、脱税、警察の腐敗、爆破テロ、政治家の横領などの国内/世界情勢に関するパロディは愉快。 さらにそれらをことごとくブチ壊していくルージュのやり口も、継続が前提の時代劇と逆ベクトルでまた愉快。 いわゆる『桝田節』を期待していた人間にはウケが悪そうだが、これはこれで嫌いではない。 イマイチ感が高いストーリーモードに対して戦闘はかなり良いデキ。特に戦闘に特化したスコアアタックモードこそ本作の華。 それこそストーリーモードをチュートリアルと位置付け、そのシステムの不出来を積極的に水に流すべきほどに。 その戦闘、基本は最大4対4のターン制。 ターンを8つのフェイズにわけ、各コマンドにジャンケン準拠の相性をもたせたことで起こる相殺/圧倒を駆使することを前提とした戦略性の高いシステムは固定戦闘ならでは。 また、各キャラにやる気の設定があり、その数値によって強さや使用コマンドが変わってくるのでここも頭の使いどころ。 やる気は、コマンドその他で戦闘中にも上下するので、ギリギリまで調整するとテキメンな結果が生まれたりもする。 そこらへんのテイストは完全にカードゲーム。装備品ややる気をデッキ、ACTをマナに置き換えるとわかりやすい。 で、特定の課題(デッキ)に特化した対策デッキをカツカツまで詰めていくというストイックな遊びがスコアアタックの醍醐味。 このテの行為が好きならプレイの価値アリ、というほどに楽しめる。 戦闘評価は参戦したキャラがおのおのの趣味により採点し、その傾向はターン数、最大ダメージ、被害、やる気などなど。 ゆえにただスマートに勝つだけではスコアが上がらず、人によっては理不尽と感じることも。 良い成績をあげると声優インタビューやモデリングビューア、セルフパロディ劇などのおまけが充実。 中でも小杉十郎太氏のインタビューにおける伊達っぷりと、青野武、八奈見乗児、永井一郎各御大が子供に扮するパロディ劇は永久保存版の内容。 ついでにいっておくと、声優陣は異常に豪華。アクが強いともいうが一聴の価値アリなのは確か。 また、藤田淑子さんが性同一性障害のキャラ、大谷育江嬢がネコ科娘といった配役に関するパロディも声オタとしては押さえておくべき。 それにしても見事に値崩れを起こし、発売後1年を過ぎてもその供給がストップしていないのは驚き。 裏を返せばそれだけの期待をもって発売されたということだが、見事に空振りして、今はオフィシャルすら存在しない事実は涙すら誘う。本編にネタで入っていた次回予告も同じ理由で笑えなくなったモンだ。 結論を簡単に書くと、冒頭に書いたようにストーリーモードこそ不出来だが、全体としては悪くないデキ。値崩れしているからこそ戦闘と声優目当てに買い。ハマれば充分モトはとれる。そんなトコ。
first edition : 03/03/08
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ひとこと | 諸般の事情はユーザにとって意味を持たんのよね。 |