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データ
タイトル 東京23区制服WARS プレイ時間 5時間程度
/クリア
機種 PS ストーリー ★★☆☆☆
ジャンル 「だよね!」洗脳電波系ソフト キャラクタ ★★★☆☆
メーカー マップジャパン グラフィック ★★☆☆☆
タオヒューマンシステムズ サウンド ★★☆☆☆
発売日 1998年 3月26日 ソフトウェア ★★★☆☆
定価 6,800円 ゲーム性 ★★☆☆☆
購入価格 1,480円 だよね! ((||;゜Д゜)
総合評価 ★★☆☆☆
お気に入り度 ★★★★☆
備考 電波が好きなら…

本文
いつかどこかのプレステで
 いや、いつかはやろうと思っていたさ。ただその時が訪れただけに過ぎない。
 このゲームから放たれる波動から逃れる術など、誰も持ってはいないんだから…



違和感
 このゲームを開封した時に奇妙な違和感を感じた。
 少し手を止めてその原因を探った結果、その違和感の原因は、
「お願い 涼子を助けて −亜美−」それは一通の手紙から始まった。
というストーリー導入のフレーズであると判明した。

 いや、これだけを見れば別にどうと言う事は無い文章である。そう、普通に流せる。
 だがこのフレーズが、説明書はまぁ当然としても、帯に、パッケージ裏に、更には CDのレーベル面にプリントされているのだ。
 この事態を見て「何をどうすればここまでこのフレーズにこだわれるんや!!」と ゲーム始める前からかなり魂のこもったツッコミを入れてしまった。
 そう、まんまと術中にハマったのである。



確信犯? なデモ
 とりあえず、その内容を文章化する能力が無いので年表としてまとめる。

1990年代後半 制服を着用した女子高生の活躍が始まる。

21世紀のある年 パリコレクションに制服ファッションが登場し、世界中を巻き込んだ
         制服ブームが起こる。

翌年       女子高生に参政権を持たせよう運動が起こる。

     10月 七転八倒制服禁止令発令。
         その文面を以下に示す。

         文部省教育委員会通達 第410810号
            女子高生ノ健全ナル精神ト
             独自性ヲ守リ尊重スル為
             集団デノ同一ノ服装ハ
               コレヲ禁ズル

     11月 来崎竜治が制服の自由を掲げ、H・E・L・Pを結成。

翌年    4月 第一次制服ウォーズ勃発。

      7月 文部省とH・E・L・P全権大使籐堂麗羅との頂上会談が行われ、
         通達 第410810号の無期限凍結を条件とし、H・E・L・P
         の武装解除を約束。

     10月 少女達の行き場を失った力が暴走し、その暴動が第二次制服ウォーズ
         にまで発展。

     11月 謎の制服組織HEAVENが登場。東京の多くの地区を支配する。

 なんつう内容だ…
 この、あまりに唐突に突き出されたお話に目眩を覚えずにいられなかったのは 仕方の無い事であろう。



プロローグはさりげなく?
 デモだけで既に腰が立たないほどのダメージを受けた私を待っていたのは、 プロローグという名の追い討ち攻撃であった。
 もう逃げることは出来ない。闘って死ぬしか道は残されていない。そう観念するしか なかった…

 その問題のプロローグは、主人公が8年ぶりに東京に戻った経緯の説明から始まる。
 幼なじみの結城亜美が送り付けてきた手紙、「お願い 涼子を助けて」と 書かれた手紙…
 字が下手だから手紙を出すことなど無い亜美が主人公を頼って書いた手紙。
 亜美と共通の幼なじみ来崎涼子が何らかの事件に巻き込まれて行方不明に なったという手紙。
 その手紙を受けて、主人公は単身沖縄から東京にやって来たのである。
 何故か学生服を着たまま…、って、なんでやねん! 私服で来いや!!

 そして、主人公は思い出す。
 亜美の口癖が「だよね! だよね! そうだよね!!」である事を。
 その脈絡の無い主人公の回想に私はかなりマズいモノを見てしまったような気がした。
 出来れば「気がした」のまま通り過ぎたかったのだが、その希望は亜美の 登場により粉砕される。

 何故か主人公は亜美涼子との思い出の場所だからと東京タワーへ赴く。
 普通、このテの観光スポットにジモピーが行くのは学校行事くらいのモンだと思うが、 こいつらは何故かわざわざ東京タワーに行ったらしい。
 ここらへん地方出身者の考えぽくっていただけないが、まぁ許容範囲内と言えよう。
 そう、亜美に比べればこんなモノは大海に揺れるワカメの一葉みたいなささやかな モノである。

 東京タワーを降りた主人公は、女子高生とおぼしき集団に制服についてイチャモンを つけられてしまう。
 …みなさんもうお判りですよね。ここで亜美、登場!
 そして、女子高生とおぼしき集団をたたんだ亜美との会話で、あの呪いのワード…、 それを聴いたものはさながらバンシーの声を聴いたかの様に凍り付き、時には マンドラゴラの叫びを聴いたようにぶっ倒れる、あの禁断のスペル…、「だよね! だよね! そうだよね!!」(CV:桑島法子)を 拝聴することになる。

 この時、我が背中にサムいものが通り抜けた事は言うまでもない。
 このあと何回聞く事になるんだろうなんて恐ろしい事をノンキに考えながら…

 そんなギリギリ現実にしがみついている状態でも攻撃の手が緩まる事はなく、 とどめの一撃とばかりに「制服には不思議な力があるのよ」という 遠距離精神攻撃が放たれ、かくして私は「…そうなのか? それでいいのか? いや、もういいや」の境地にたどり着くのであった。

 ここでこの心境をジョナサン・ジョースターの言葉を引用させてもらい表現すると 「ボクの中で何かが切れた…」が一番適切であろうかと思われる。
 だがしかし、これで初めてスタート地点に立つ事が出来た。それも事実だ。
 ただし、二度とは抜け出せぬ迷宮へのスタート地点ではあるが。

 プレーヤーを置き去りにしたまま続く亜美との会話で、手紙の送り主が亜美では 無いと判明する。
 居場所の無くなった主人公を亜美はただ見たいからという理由でフェリー乗り場に 連れて行くのだが、何故かそこには行方不明のはずの涼子がたたずんでいる。
 涼子曰く、この出会いは「制服の不思議な力のおかげ」らしい。

 ふむ、納得。

 涼子は兄の竜治を探している事を告げ、主人公と亜美はそれを手伝う事にする。
 かくして一行は制服ウォーズの爪痕深き東京の街をさまよう事になったのである。

 ここで引き返せば、「だよね! だよね! そうだよね!!」という台詞を 13回以上も聞かされ、自分の口からも漏らす事になったり、あまつさえ、その台詞を 心待ちにする事にならずに済んだのに…



ジャンルはひと昔前のアドベンチャー
 このゲームは、東京都マップ画面と区マップ画面に分かれていて、東京都マップ画面で 区を選択し、区マップ画面の各場所をポイントすることによってストーリーが展開する という、とてもじゃないけど98年産のゲームとは思えないシステムを採用している。
 しかも、展開は一本道だしグラフィックは死んでるし…
 だが、だがしかし、そのマイルドに電波を含んだ展開は結構面白く思えたりするのだ。
 この時点で、私の洗脳はほぼ完了してしまったと思って間違い無いだろう。幸なのか 不幸なのかは別として…

 さて、最初に訪れたのは中野区。
 いきなり危ないさん1号に出会いスラップスティックな展開。
 まるでうる星やつらの様なドタバタのすえ天野香織@半熟降霊士が仲間になる。
 しかも、そのドタバタ劇が結構面白かった自分もいる。ぐはっ!

 新宿区で仲間になるのは清水さやか@まごころさん
 この人は普通の人?

 世田谷に向かうとまたしても危ないさんだぁ! という危ないさん2号遠藤美咲@電波娘が登場。
 何だかやばげな言葉をブツブツ喋る人だが、正気に戻ってもフランス語で挨拶する というアレな人。何でもフランス帰国子女らしい。
 それにしても、この娘の住んでるマンション名がたねうまなんだが、 製作者はかなり逝ってる人みたいだ。
 他にも、ギャグか設定か解からないけど、ハンバーガーショップで半額5万円とか、 いやはや何ともな部分もアリ。
# 物価が上がっているという設定なのだろうか?
 
 渋谷区に登場するのは番長の中の番長に憧れるお嬢様真行寺霞@新世代番長
 コイツの番長論およびアッチの世界は必見! これだけでモトが取れたと思った程の アレ&サムさ具合。
 でも、最強番長ってどんなんだ?

 目黒区の神無月小夜@だしぃも、アメリカ人が思い描く日本人よろしくコギャルを 曲解している以外は普通の人間なので結構安心できます。

 杉並区で出会う柊瑠華@ロリイは、いきなり主人公に「奇麗なレンズをしている」と 言い出す危ないさん3号
 ここで展開される亜美涼子瑠華のやりとりも浮きまくりでいい感じでありんす。

 大田区では、敵組織ヘブンのリーダー藤堂麗羅@年増が仲間になる。
 この人が実は危ないさん0号

 そんでもって、文京区での最終決戦を終わればエンディング。

 「って、全然23区ちゃうやん! 8区しか無いやん!!」なんて 視野の狭い事を言っちゃいけない。禁忌というモノは何にでも存在する。
 このゲームはそれがちょっと多いだけなのだ…
 女子高生とその制服の力がキーワードになってるくせに男の主人公も制服の力を いかん無く発揮してたりとちょっと重要な部分に触れたら駄目なだけ…
 たったそれだけなのに、なぜ涙がとめどなく溢れるんだろう…



戦闘方式
 このゲームの戦闘はキャラクターひとりひとりをカードに見立てたカードバトル方式に なっていて、相手に対応したを持ったキャラクターを後出し方式で選ぶ様に なっている。
 このは、フォースルナレイのみっつにわかれていて、それぞれ三竦みに なっているので相手より強い属のキャラクタを選べるかが勝利の鍵を握っている。
 先程後出し方式と言ったが、当然のわからない敵もいるため、闘ってみないと 相手のが分からない様になっている。
 これではただの運試しであるが、キャラクターにはそれぞれ部下を持たせる事ができ、 その部下を当てることによって相手のを割り出して闘えば良い仕組みに なっている。
 まぁ、戦略性はあるにはあるが、単調でつまらないというのが正直な感想であろう。

 ところで、取り説での三竦みの法則表がフォースルナレイフォースと なっているんだが、実際のゲーム中の表記では、と略記されている。
 英語のつづりは、フォース:Forceルナ:Lunaレイ:Rayなので、 本来はになると思うんだがどうなってるんだろう?
 この思い込みの為に初戦敗退をきっした私が馬鹿なだけなんでしょうか?
 何だか納得いきません!



これが本当に98年産か?
 ん〜にしても、制作期間3ヶ月って感じの出来だなぁ。
 いろんな意味で最低限しかつくってないってのがプンプンと匂ってくる出来だし。
 これでプログラマ4人も使ってるんっしょ? 信じられないよ。
 もしかして、1ヶ月で仕上げたとか?(いくらなんでも無理っしょ)



この腐ったシナリオはいったい…
 あと、スタッフで言えば、シナリオって北条千夏さんのモノなのかなぁ?
 いくらなんでもこれが一線で活躍している人の本では無いと思うんだが。
 どうかしてる基本シナリオと言い、アッチの世界とコッチの世界を行き来しないと 書けないと思われる台詞がポンポン飛び出しているあたりは制作側の人間がいろいろ 削る上で改竄しているとしか思えないし…
 いや、結果としてはとてつもないモノに仕上がってはいるんですがね。
 狂気と正気の狭間を垣間観る事が出来る、破滅的なそれでいて安心できる様な、 そんな気持ちを抱く事が出来るモノに…



田中有紀美
 このゲームのエンディングに何故か起用されている不運さに同情したんで、 名前を覚えてあげて下さい。
 元Melodyゆきどんと呼ばれているらしいです…

 それにしても、「お願い 涼子を助けて −亜美−」それは一通の手紙から始まった。の うちの一文を田中有紀美にするくらいしても良かったんでは?
 ちなみに曲名はあなたの涙の場所になりたいです。

総括しておこう
 てなわけで、万人には間違ってもお薦めしませんが、ここを訪れる人のウチの 1割程度にはお薦めできるんでは無いかと思えたりはしますなぁ。
 どう、あなたは?

first edition : 99/02/27
ひとこと お薦め出来ないお薦め商品。
木村貴宏不幸伝説を更新したのも見逃せない。

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