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データ
タイトル 学園戦隊ソルブラスト プレイ時間 12時間程度
/5クリア
機種 PS ストーリー ★☆☆☆☆
ジャンル 未完成ADV キャラクタ ★★★☆☆
メーカー キャラバン・インタラクティブ グラフィック ★★★☆☆
メーカー クリエイティブ ヘッズ サウンド ★★☆☆☆
発売日 1999年 2月 4日 ソフトウェア ★★☆☆☆
定価 5,800円 ゲーム性 ★★☆☆☆
購入価格 2,000円 ブルー&A ★★★☆☆
総合評価 ★★☆☆☆
お気に入り度 ヽ(*`Д´)ノ投げっぱなし?

本文
ストーリー
 私立天照学園には双子の兄妹がいた。
 兄〜龍居〜は容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、更には天王丸財閥次期頭首という あらゆるものに恵まれた存在で、学園の生徒会長をも務めていた。
 ある日、妹〜華月〜は、KS団という組織をつくり、ロボット兵を用いて龍居に 喧嘩をしかけてきた。
 しかし龍居は、この事態を楽しむ為に解決する為に、学園から選りすぐった5人の 少女達による戦隊を組織していた。
 それが、学園戦隊ソルブラストである!



キャラクター
■天王丸龍居(CV.井上隆之)
 このゲームの主人公。
 天王丸財閥の御曹司で、私立天照学園の生徒会長をつとめるナイスガイ。
 なんでも100mを9秒台で走るらしい。

■天王丸華月(CV.藤田さゆり)
 龍居の双子の妹。
 我が侭なお嬢様で、金使いが並ではない。

■百合沢美織(CV.前田愛)
 龍居と華月の幼馴染で生徒会副会長をつとめている。
 龍居を兄の様に慕っているらしい。
 イベントの選択肢によってはソルホワイトになるかも。

■鳳火燐(CV.桑島法子)
 ソルレッドをつとめる熱血、大食らい、格闘少女。
 体操着ベストドレッサーかつ、桑島声でボクキャラなので、そのスジにお薦め。

■清伊泉(CV.杉浦智子)
 ソルブルーをつとめる天才少女。
 ブルーと言えば冷静沈着であるが、実はナイーブな心を護る為にそっけなく なっているだけで、実はかなり、いやスゲぇ可愛い娘なんで、ぶきっちょ好きには たまらないキャラ。

■黄瀬京子(CV.御崎朱美)
 カレーが好きなだけ(でもないが)でソルイエローをつとめる事になったコギャル。
 1日1食はカレーを食べなければいけない以外は、メンバーで一番の常識人かも れない。

■華翡麗(CV.吉田弥生)
 ソルグリーンをつとめる。
 中国からの留学生で、誰とでも友達になりたがる事から付いたあだ名が 『友達通り魔』。
 成長数値もイベントも影が薄い根っからのグリーン。

■桜井智恵理(CV.前田千亜紀)
 ソルピンクをつとめる内気な娘…に見えるが、おそらくメンバー中1番図太い性格。
 オカルト、推理、居合抜きとイマイチ繋がらない趣味、特技を持つ。

■海内敦也(CV.野島健児)
 龍居の悪友で、学園の一部女子からカップリングの対象とされているらしい。
 頭の中は面白おかしく生きる事と女の子の事しか無いヤツだが、龍居と一緒に いたいが為だけに大学に合格したり、龍居と同じくらい足が速かったりと、そら恐ろしい 面を持つ。
 イベントの進め方によっては、一度だけキャプテンAに変身するかも。

■花田紀子(CV.山本真奈美)
 校内番組を取り仕切っていて、龍居を格好のネタとしている。
 イベントの進め方によっては、一度だけソルオレンジに変身するかも。

■三条三紀(CV.小松里賀)
 KS団の参謀を勤めている。
 天王丸家と何やら因縁があるらしいが…



ゲームについて
 龍居が卒業するまでの1年弱の間、幾度も襲い掛かる華月や三条の魔の手から龍居学園の平和を守るのが目的。

 ゲームは基本的に育成パートで隊員のスケジュール決定と実行を行う事で進行し、 そこにアドベンチャーパートが割り込む形となる。

 アドベンチャーパートの締めには戦闘が起こり、その終結と共にひとつのイベントが 幕を閉じる。



育成パート
 1週間(月〜土)の予定を立てる。
 予定は何曜日に、誰が、何をするという方式になっていて、1日にひとりだけしか スケジュールを決定できない様になっている。
 メニューは、長所を伸ばす、短所を補う、特殊技能を鍛錬する、武器を強化するの 4つから選択する。
 この時、武器強化以外の特訓対象にしたキャラクタの好意度が上がり、時期がくれば 好意度が最高のキャラクタのイベントが起動する仕組みになっている様である。

 ところで、ここのインターフェースは恐ろしく悪く、特に移動方向のわかりにくい カーソル移動、キャンセルボタンを多用しがちな予定入力、LRでのキャラ切り替え時の メニュー表示が直感的でないことによりストレスが溜まってしまう。
 正直もうちょっとなんとかして欲しかったところ。



アドベンチャーパート
 ここはキャラクタが勝手に動いて進み、プレーヤーはたまに現われる選択肢を 選ぶだけである。

 ここで気にかかったのは、音声と文章の同期をとらせる為に、表示されている文字が キーウェイト無しで強制的にスクロールしてしまう点である。
 これは、音声重視のシステムでまれに見うけられる仕様であり、単体ではそう問題に する様な点ではないが、このゲームの場合は単に文章の区切り方が下手でそうなっている 事が多く、首をかしげるしかなかった。



戦闘パート
 パッと見では、タクティカルコンバットっぽいが、実際はソルブラストメンバーの 5人にフォーメーションを組ませて戦わせるターン制のコマンド入力戦闘である。
 戦闘はBP(バトルポイント)というものを消費して戦う方式で、通常攻撃、 武器攻撃、必殺技のどれかから行動を決定する様になっている。
 後半になれば2回攻撃ができる様になったりもするが、基本はオーソドックスで、 特別な事は、必殺技使用時に隣接する味方ユニットのサポート能力を得て、より強力な 技とできる事くらいであろう。

 ここもインターフェースが良くないが、まぁ、説明書を読んでやるぶんにはギリギリ 許容範囲か。



ファーストインプレッション
 PC−Engineと見間違うオープニング、勝手に動く主人公、鼻につく 部分の多いテキスト、単語レベルのアニパロ、意味の希薄な育成面白味の無い戦闘…
 キャラはそこそこだが、内海敦也が一番キャラ立ちしているのがいやはや…
 イベントも特別面白いものは無く、時折軽く笑えるか? という程度。
 結論としては、全く駄目ってわけでも無いが、逆に突出したところがどこにも無く、わざわざやるのも時間の無駄ってとこか。



育成モノとして…
 隊員は放っておいても結構育つが、逆に頑張って育てたところで良い結果が得られる わけでもありません。
 また、戦闘のバランス自体が激ヌルで、運が悪ければ最後の戦いで被害が出る程度の ものですから、実際のところ隊員を強くする為ではなくイベントを起こす為のフラグを 操作する為に育成パートが存在する事になります。
 つまり育成パートは正常に機能していません、って駄目じゃん。



恋愛モノとして…
 ギャルそれぞれはそこそこの個性を与えられているが、巷に溢れる作品群と比べて 特に突出したキャラがいるわけではありません。
 加えて、クリスマス、バレンタイン、告白の各イベントがどのギャルでも大して 展開が変わらないですし、キャラ毎に起こるイベントも質、量共に平均以下と言わざる えません。
 とは言え、恋愛要素はどちらかと言えばおまけと言えますし、ここでは多くを 望まぬが吉でしょう。



戦隊モノとして…
 名前からもわかる様に一応は戦隊モノなんですが、実際に含まれている要素は キャラの個性と色、そして基本的に5人で戦う程度のもので、他に目立った点は ありません。
 はっきり言って戦隊モノが好きな人なら激昂必至でしょう。
 だから言います。このゲームは戦隊パロディとはあんまり関係ありませんので、 そのスジを期待している人は買うべきではありません。



じゃぁ、何だ?
 育成モノとして機能していない、恋愛モノでも無い、戦隊モノとしても不充分…、 「では何なのか?」と問われたとしたら私の答えはこうです。

 「これはデジタルコミックです」

 こういった主人公が設定されているゲームはたくさんありますが、そういったものの 多くは、主人公の意思を選択肢で問い掛けて来たり、テキストを共感できるものにして プレーヤーとの一体感を生み出そうとしています。
 しかし、このゲームの場合はそれが無く、選択肢は龍居の行動を決定する手段で、 テキストも龍居の心情を語ったものでしかありません。
 ゆえに、龍居を中心とした世界を見るデジタルコミックに分類するのが一番しっくり くると判断します。



戦う理由
 主人公の龍居は、この兄妹喧嘩をいつものレクリエーションの一環として楽しんで います。
 龍居にすればそれで充分な理由となるのでしょうが、プレーヤーがそんな気持ちを 素直に受け入れるとは限りません。
 この兄妹喧嘩の理由は、このゲームの起承転結の起にあたる部分で、この部分を 語らずに話を始めることはできないはずなのに…、やっちゃってるんですよ、コレが。
 確かに説明書やイベントで、華月が美織にヤキモチを妬いている事は明示されて いますが、本当に必要なのはそんな1行レベルの説明ではなく、華月の正直な気持ち なんです。
 そして、起がそれなら、結は龍居が華月の気持ちを受け止めてやる事です。
 いつものレクリエーションで始まった喧嘩を、血を分け、同じ時を過ごし、そして 慕ってくれている不器用な妹に対する、華月の兄としての自覚あるレクリエーションに しなくてはなりません。
 さもなければ、龍居の、そしてソルブラストの1年間はその意味を失い、ひいては プレイする意味を希薄なものにしてしまうのですから。

 そういった理由で、この兄妹喧嘩という設定は全然活かされていません。
 これなら双子の弟が何者かに操られて、「ボク達のどちらかしか必要無いんだよ…」 とかワケのわからない事をほざきながら裏生徒会とかを組織して(以下中略)という どこかで聞いた様な展開の方がまだ素直に楽しめるってもんです。
# それはそれで面白くないというツッコミ不可。

 他にも、華月が持つバレンタインへのトラウマの原因が語られていなかったり、 後半に登場する四戸リョージや五藤博士の影が異常に薄かったりと、シナリオ関係への 不満が多く、正直「完璧にしろとは言わないが、もう少し何とかならなかったのか?」と 思わずにはいられない。

 いや、制作時のコンセプトがそういうものなら別にいいんですがね。



総括
 おバカな設定のゲームをつくるからといって、設定を疎かにしていいわけでは無い。
 むしろ、おバカな設定だからこそ説得力を持たせる事に全身全霊をつぎ込まなければ、 ならないはずである。
 このゲームをつくったスタッフには、その『覚悟』が足りなかったのでないかと思う。
 いくらシナリオ2人、プログラマ1人、デザイナ2人、サウンド2人程度の開発人員で やったにしても、シナリオのレベルはもっと上げる事ができたはずなのだから。



薦め…るのか?
 比較的短時間で何も考えずにプレイできるから、クリアするのが快感だなんていう クリアフェチの人にならお勧めできるかも?
 しかし、同じ時間を割くなら他にもっといいゲームがあるんで、わざわざ手を出す 必要も無いでしょう。

first edition : 99/05/19
ひとこと お手軽だがやるほどのモンでもない。

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