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データ
タイトル Catch! 〜気持ちセンセーション〜 プレイ時間 8時間程度
/2キャラ攻略
機種 PS ストーリー ★★★☆☆
ジャンル ギャル系ノベル擬装型ミニゲーム集 キャラクタ ★★★★☆
メーカー パンドラボックス グラフィック ★★★☆☆
発売日 2000年 8月10日 サウンド ★★★☆☆
定価 1,980円 ソフトウェア ★★☆☆☆
購入価格 1,980円 ゲーム性 ★★☆☆☆
総合評価 ★★★☆☆
お気に入り度 ★☆☆☆☆

本文
テンポというもの
 やっぱ、音声が入ったからですかねぇ?
 いやね、今回、システムのテンポがメチャ悪いんですよ。

 画面表示はもちろんの事、メッセージが表示されるまでにもタイムラグがあるくらい ですから、そりゃもうかなり。

 パンドラMAXシリーズのシステムは、ゆっくりとではありますが進歩していたんで、 今回の改悪には失望すら覚えてしまいました。
# コアシステムをカスタマイズしているんなら仕方ないですが。
# 同時に複数ライン走ってますからね。

 なんせ、既読文章の読み返しやスキップといった機能が、揃うんではないかと 思っていた矢先に、逆にテンポが悪くなっちゃぁ、ねぇ…


 実はそのテンポ、表示等の表面的なシステムにとどまらず、ゲーム全体においても 随分悪いものになっています。

 特に、自由移動の時にマップから行き先を選ぶ画面で、イベントの有無、もしくは 誰がそこにいるのかといった情報が表示されないのはちょっと…

 ギャルゲ黎明期ならまだしも、今は無駄な作業を極力排除すべき時代だと思いますし、 仮にそういった作業をゲーム性というのであれば、もう少し行き先を減らすなり、 任意にセーブ/ロードができる様にして、幅を持たせるべきではなかったかと思います。



システムについて
 ここで、本作のシステムを軽く紹介しておきます。

 まず、基本となるのは、ノベル+会話画面。


 自由時間や下校時には、それぞれ校内、町マップから任意の場所を選び、そこにある イベントを見ることができます。
 この時、校内では、前述のノベル+会話画面でイベントが進みますが、町マップでは チビキャラの演技によってイベントが進みます。

 このチビキャラの演技ですが、どうもしっくりきませんね。

 確かに動きを表現するのにはもってこいですし、システムにそういった機能がある事も わかるのですが、ここはバストアップと効果で処理した方がよかったと思います。
 そして、重要な場面を一枚絵イベントに置き換えれば、随分と華があるものになった はずですから。
# 原画の発注、グラフィッカーの労力という問題はありますが…


 セーブは、ストーリーの節目でのみ可能で、1ファイル1ブロック方式。
 要はメモリーカードが空いている分だけセーブできます。

 ロードはタイトル画面のみで、やりなおすにはソフトウェアリセット等をしなければ なりません。

 また、ファイルにはエンディング達成度が記録されているので、同時攻略をしても 反映されないという、かなり切ない事になっています。


 音声は、ストーリーに関わるキャラに関して言えばフルボイス。
 設定はON/OFFのみで、任意のキャラに対するON/OFFは不可です。

 声優の演技は、女性陣に関してはそう問題はありませんが、男性陣には問題アリ。
 特に、クラスメイトの生稲役の声優さんが声、演技共に聞くに耐えられず、 初回プレイから音声OFFにしてしまったくらいですから…
# コイツ、キャラも最低だったんで、マジ、気分を害しましたよ。

 男性陣で基準に達していたのは、クラスメイト兼参謀の滝沢役の声優さんだけかなぁ?
# 関俊彦似の声で得をしているっていうのもありますが。



シナリオまわり
 で、肝心のシナリオなんですが、端的に言えば生徒会対立モノ。

 憧れのヒロインと同じ学校に通う事になって喜んでいた主人公が、些細ないざこざから、 学園の全権を掌握する生徒会に目を付けられ、最終的には退学をかけた争いにまで 巻き込まれます。
 おりしも、曽祖父の代で交わされた約束を果たす為にやってきたというくノ一と同棲する 事になった主人公の運命は?
 といった感じの、どちらかといえば、いや、問答無用のベタシナリオ

 登場するギャルは、ヒロインの本間あゆりを始め、くノ一のしずく、クラス委員長、 生徒会の刺客から保険医まで合わせて(おそらく)8人。
# 保険医は攻略対象か微妙。
 それぞれに、とんがったキャラ立てに成功していて、うまく使えば非常に面白い 作品に仕上がったハズです。


 さて、なぜハズなのかと言えば、そりゃ、あんまし面白くなかったからです。

 その最大の原因は、主人公がヒロインであるあゆりに終盤まで傾倒している事です。
# あゆりルートなら全然OKなんですが…

 確かに、ストーリー上で重要な位置にいるあゆりを疎かにはできませんから、 そうなるのも解かりますが、あゆり以外を狙っている場合は、その事で主人公と プレーヤーの意思に食い違いが生まれ、結果、冷めるのも事実です。

 また、ダブルヒロインと言っておかしくないしずくの扱いが低いのも問題アリです。
 せっかく同棲という扱いやすい関係にあるのに、ほとんど特訓相手程度にしか 使われていないのはどうかと感じました。
# 確かに多少のイベントはありましたし、もっとあるのかもしれませんが…

 締め方についても、2パターンのエンディングを見た限りでは、やっと甘々の関係に なったところで終わっているので、食い足りない印象を受けます。
 ここで、スーチーパイアドベンチャーデートモード並のクリア後イベントを 付加していたら評価も随分と違ったんですが…

 まぁ、イベントを線形ではなく分散させて配置しているんで、その全てを見ないと ナンとも言えないってのが本当のところですが、さすがにあのシステムで繰り返し プレイはツラいですよ…
# 攻略本を買ったけど、収録されているだけで何の役にも立たなかったし。


 問題と言えばもうひとつ、シナリオのシーケンス化が挙げられます。

 というのもこのゲーム、システムこそはノベルアドベンチャーの体裁をしていますが、 実際には、脱衣麻雀と同じ流れでゲームが進むんです。
# ゲームオーバーありの華蘭虎龍学園…
 要は、ストーリーとストーリーをミニゲームで繋ぐ方式になっているんですよ。

 ただ、根本的に違うのは、脱衣麻雀がご褒美の為にゲームするのに対し、本作はストーリーを進める為にミニゲームをするという事です。

 これがねぇ、実際にやってみると作業性が強くて、結構なストレスになるんですよ。
 ゲームオーバーはいいとしても、その場コンティニューぐらいはさせてもらえないと、 やる気も萎えるってモンです。

 まぁ、生徒会対決モノっていうくらいですから、その勝負をミニゲームで処理するって いうのは全然OKなんですが、対決方法を全てミニゲームにして、流れを単調に してしまうのは感心しません。
# 1話完結のお話なら、そういうものと認知できるんでアリなんですが。

 また、そのミニゲームなんですが、これがちょっと問題アリなんですよね。
# ゲームとしてではなく、その使われ方が。
 というのも、4本のミニゲームのうち2本がランダムに依存しすぎているんです。
 ストーリー上、どうしても争いが避けられない以上は、必ず勝てる様にするのが 当然なのですが、これがどうにも…
 確かに、対戦前にヒントを得れば勝率を引き上げる事ができるのですが、それでも 勝てない事があり、特にザコに負けた時のストレスはかなりのものです。

 要するに、無駄になる時間、退屈を感じる時間が長いんですよね。
 これが5年、いや3年前なら、まだ評価も違ってくるんですが、きょうびの作品と しては問題があると言わざるをえません。



解決されぬ素朴な疑問
 実は、本作をやって、疑問に思っている事がふたつあるんですよ。
 もしかしたら作中で語られているのかもしれませんし、おまけの外伝シナリオで 語られているのかもしれませんが、少なくとも絶対に判明する事では無いようなので、 ここで提示だけしておきます。

 ひとつは、生徒会長であり、ラスボスでもある香林聖悟が、なぜ女尊男卑の考えを 持つようになったのかと言う事。
 コイツがこの考えを持つ事から始まった騒動を、その解明無しに収束させる事は、 本来できないと思うんですよ。
 聖悟の両親が再婚している事から、聖悟が片親に育てられたという事はわかるんで、 そこが原因だろう推測はできます。
 しかし、それだけで、男に触られる事を汚らしいというようになるとは思えません。
 主人公が、聖悟が実は良いヤツだったんじゃないかとか言う場面があるんですが、 そこに同意できる様に、事実関係をハッキリとさせて欲しかったと思います。
 でないと、聖悟の位置付けが固定されませんから。

 もうひとつは、保険医の雪白やよいの正体。
 まぁ、ベタな設定なら、聖悟の姉、もしくは母親というところなんですが、
私のプレイでは、彼女のイベントをほとんど起こす事無く終わってしまったので、 何とも言えません。
 もしかしたら、やよいの攻略により、聖悟の意図がわかるのかも知れませんが、 それは許したく無いところです。

 要は、ストーリーの根幹に触れる部分は、劇中で完結させて欲しいのです。
 そしてこの2点については、その必要があるのではないかと思った次第です。
 まぁ、かなり勝手な意見なんですが、ものすごく気持ちが悪いんで…



グラフィックの好みなど
 さて、だいたい書きたい事は書いたんで、あとはグラフィックについてだけ少し。

 今回、キャラデに瀬口たかひろさんという漫画家を起用しています。

 この人の漫画を読んだ事が無いんで、本作のグラフィックのみの正直な感想を 述べますと、うまいとも思えないし好きでもないというところでしょうか。
# おまけの原画で、左右の目の位置がずれてるのは手を抜きすぎっしょ。

 これは、原画が悪いのか、それともグラフィッカーが悪いのか判断できませんが、 少なくとも出来上がりは良くないと思います。

 また、バストアップについてですが、身長差を正確に表現しようと試みた結果、 メッセージウィンドウに首まで隠れるキャラがいるのはどうも…
 その志は買いますが、メッセージウィンドウを採用する以上は、嘘をついてでも 見栄えを優先すべきだったと思います。



総括すれば
 メーカーによると、このゲームのジャンルは恋愛アドベンチャーって事になって いるんですが、恋愛についても、アドベンチャーについても中途半端な印象を受けます。
 恋愛も入り口に立ったところ、アドベンチャーも脱衣麻雀の類型では、そう思われても 当然でしょう。
# 個人的には華蘭虎龍学園の方が、まだスッキリしていて好きです。

 20あるエンディングを全て見る事で、もしかしたらストーリー的な不満は埋まるかも しれませんが、システムの鈍重さ、展開の単調さ、イベント探しの面倒さ、それら 全てが繰り返しプレイをする気力を奪います

 せめて、システムが軽く、イベント位置のヒントがあれば、そしてセーブ/ロードが 任意にできれば、違う評価を得たかもしれませんが、残念な事に、それは仮定でしか ありません。

 安かろう不味かろう
 たかだかエンディング2つで吐いていい言葉ではありませんが、プレイする気力を 失った時点での評価も、ひとつの基準である事も否定はできません。

 ま、攻略情報さえ充実すれば、あとはシステムが重いだけなんで、しばらく待ってから プレイするのであれば、ある程度楽しめるんじゃないかと思います。


 個人的には、パンドラMAXシリーズを応援しているんで、次回作には期待したい ところです。

 とりあえず、システムへの既読文章の読み返しとスキップの組み込み希望!
 あと、前作からの連動に踊らされない事もね…

first edition : 00/08/17
ひとこと 気の長い人か、攻略情報のある人なら…

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