データ |
タイトル | オアシスロード | プレイ時間 | 9時間程度 (クリア) |
機種 | PS | ストーリー | ★★★☆☆ |
ジャンル | 黄昏探求(SLG + RPG) | キャラクタ | ★★★☆☆ |
メーカー | アイディアファクトリー | グラフィック | ★★★★☆ |
キライ製作所 | サウンド | ★★★★★ | |
発売日 | 1999年 2月15日 | ソフトウェア | ★★★☆☆ |
定価 | 5,800円 | ゲーム性 | ★★☆☆☆ |
購入価格 | 2,980円 | 総合評価 | ★★★☆☆ |
お気に入り度 | ★★★★☆ |
本文 |
砂漠化が進行し滅び行くのを待つのみとなった黄昏の世界、オアシスロード。 プレーヤーは砂漠の王リブスの命を受け、交流の途絶えた街と街とを結び、交易を行ないながら世界探求の旅に出ます。 そんな導入で始まるこのゲームの目的は隊商を率いて都市の地図を作成し、遺跡や口伝を調査しながら世界の破滅の原因を探求することです。 途中、特産物をしかるべき土地へ流通させ、失われた技術を復興したり、進路を阻む者を強制排除しながら進んで行きます。 このゲームの軸は、マップ作成、交易、戦闘なのですが、ズバリ言わせてもらうと、つくり込みが甘いためゲームとしての楽しみは薄めです。 それぞれを要素毎に言わせてもらうと… マップ作成での問題点は、現在地点の情報しか確認できない点。後に述べる交易では、どこに商品を運ぶかが重要なのですが、その輸送先が行ってみないとわからないのです。 確かに略図を紙に控えておけばいいだけなのですが、これはマップ上をフリーで移動できるようにして、ポイントした地点を表示する機能が必要だったと考えます。 交易に関しては、商品を流通させることにより街の特産物や技術を復興させがメインになっていて、隊商を組んでひと儲けという要素が皆無になっています。 いや、儲けは確かにあるのですが、基本的にある街に需要のある商品を運搬したら一律倍額で買い取ってもらえるので、資金調達をしようと思えばふたつの街を往復するだけでMAX金額まで容易に儲かってしまい、以降の交易はゲームを進行させる為のお遣いに成り下がってしまいます。ここはせめて縛りが欲しかったところ。 戦闘に関しては、ユニット間に性能差がほとんどないことがひとつ。どんなユニットでパーティを組んでもそれなりに闘えるが、逆に言えば特定のユニットを使ったからと言って大した恩恵を感じられません。 また、ジェルという媒介を召還して使用する魔法で戦局が劇的に変化するのは面白いのですが、いかんせんバランスがユルく、ボスクラスの敵でも出てこない限りその醍醐味は感じられません。 もう少しバランスをキツくして、多少の魔法を使用しなければならないようにすれば楽しく遊べるし、ジェルを隊商に加える意味もあったので残念に思います。 その他にも、気候の変化や、クラスの進化や退化など、駆使する機会があれば非常に良さげなフューチャーがてんこ盛りで、バランスとチュートリアルさえ整えば、駆け引きのアツい戦闘に仕上がったことでしょう。 その他、マップの探索や他の隊商との取引は、隊商の中からひとりを選んで行うのですが、そのキャラクタがマップ画面でしか切り替えられない上にRボタンで順送りしかできないこと、セーブデータ画面でデータ内容が全然表示されないこと、あまつさえソフトリセットやロードメニューがないことなど、全体に必要とされる機能が網羅されていない部分があります。マップ作成で言ったフリー移動もこの一部です。 アイテムの扱いはちょっと面白く、馬車に毒キノコが生えたり(アイテム追加)、骨と番犬があ(居)れば番犬が勝手に食料を狩ってきたり(≠ダジャレ、骨と獲物は置換)、家畜が勝手に糞をしてたり(アイテム追加)。また、家畜をバラして複数の加工品にしたり糞を燃料にしたりも可能。 ただ、金に事欠かない隊商において、食料や燃料が多少増えたところでありがたみはなく、加工についても材料と完成品が1:1で対応している単純さでイマイチ。ここはもうひと工夫欲しかったところ。 と、アラ探しをするとちょっとキビシイですが、ワタシは本作を気に入っています。その魅力の源は淡い色調で描かれたグラフィックであり、破滅の道を辿るという世界観であり、神代の時代に残された遺跡に残されている伝承、人々に受け継がれる口伝であり、そして何よりそんな世界の儚さや流れを言葉よりも雄弁に語っている音楽であったりします。 六千年以上も昔にさかのぼる伝承、神の存在、生命の木と呼ばれる聖地の存在、三千年に一度、光の使徒に導かれて起こると言われている大移動、三千年前に世界を焼き尽くしたヴリトラの炎、神秘的な響きを持った謎多き伝承が美しくももの悲しい響きを持った音楽と共に流れていくさまを眺める。ただそれだけの行為が、作業的感覚を持つゲーム進行に麻薬的な魅力を持たせており、前述したアラを全てチャラにしてもおつりがくる程の効果を挙げています。 # ただ、ラスボスと戦闘する理由がわからず、最後でかなり醒めてしまいましたが。 エンディングで語られる独白めいた結論も「うんうん」とうなずきながら読めるテキストでしたし、全体の筋は良かったと思います。 とにかくつくり込みが甘い。それゆえ惜しい作品止まりになっています。これはちょっとした操作系、表示、バランスの調整だけで化ける可能性があるだけに残念なところ。 まぁ、低難易度でプレイ時間が短いことを利点とするなら、その雰囲気を感じるだけで価値はあるかと思いますが。
first edition : 99/08/11
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ひとこと |
宝石の原石。磨けば光るハズ。 |