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データ
タイトル マール王国の人形姫 プレイ時間 18時間程度
/クリア
機種 PS ストーリー ★★★★☆
ジャンル ミュージカルRPG キャラクタ ★★★★☆
メーカー 日本一ソフトウェア グラフィック ★★★★☆
発売日 1998年12月17日 サウンド ★★★★☆
定価 5,800円 ソフトウェア ★★★☆☆
+1 3,800円 ゲーム性 ★★★☆☆
PSone Books 1,800円 むてぃ〜り (*´д`*)アハッ
購入価格 1,980円 総合評価 ★★★★☆
お気に入り度 ★★★★★

本文
 わたしゃ、あんましミュージカルって好きじゃないんですわ。
 確かに、観てみると面白いモノもあるんですが、観るきっかけがそんなにあるワケでは ありませんし、仮にチャンスがあったとしても、先入観による食わず嫌いが炸裂してつい 敬遠しちゃうんですよね。

 そんなミュージカルとRPGを融合させ、いまや日本一ソフトウェアの代表作と なったソフトが、このマール王国の人形姫(シリーズ)ですが、サテ…



 本作のストーリーは、架空の童話『人形姫物語』をもとにしています。
 ここには、人形と心を通わせる能力をもった少女コルネットと、その無二の友人、 人形のクルルとの冒険が記されています。

 あらすじは以下の通り。
 ある日、おじいさんにイノチウム(人形たちの生命の源、宝石=通貨)集めを頼まれた コルネットは、不思議の森に出かけました。
 そこで、コルネットは猫娘系魔女、ミャオに集めたイノチウムを巻き上げられそうに なるのですが、間一髪のところで現われた剣士に助けられます。
 彼の名は、フェルディナンド
 ここ、マール王国の王子様でした。

 目の前に現れた『私の王子様』が、ホンモノの王子様だった。
 身分違いの恋に胸を痛めるコルネットでしたが、クルルの後押しもあって、アタックを 開始することにしました。
『女は行動力』のモットーに賭けて!

 おりしも、王子の花嫁候補選びを兼ねた、ミスマールコンテストが開かれることとなり、 コルネットはこれに参加し、なんとか優勝します。

 そして、やっと王子様に告白できるかと思ったとき、不思議の森で撃退されたミャオが 親玉の大魔女、マージョリーを連れてやってきました。

 そこで、美少年好きのマージョリーは王子様にひと目惚れし、連れ去ってしまいます。
 ごていねいに、魔法を間違って石化した上で…

 そして、それがコルネットの旅の始まりでした。



 システムの方は、ワールドマップ方式の採用と、タクティカル風味の戦闘が特徴では あるが、基本は至って普通のRPG。

 ただ、日本一ソフトウェアが初挑戦するRPGということもあってか、全体的に つたない印象を受けます。

 それは、効果音の不足であったり、説明不足、強引、ブツ切れに思えるイベントで あったり、街中に『とりあえず配置した』という感じのアイテム類であったりします。

 効果音については、メッセージのページ送りやアイテム獲得のジングルを入れるだけで 随分と印象が変わるハズです。
 音楽に力を入れている本作が、効果音を軽視している(ように思える)のは、さすがに マズいところでしょう。

 また、イベントまわりは、例えばラッパを吹くことにより人形が仲間になるという ことや、モンスターが人形に姿を変えるということについて、全く説明がなかったり、 各イベントが思ったより淡白で、「あれ、終わり?」と思ったことが多々ありました。

 しかし、個人的に一番気になったのは最後のアイテム関係。
 私は、取りこぼしが気持ち悪いタイプなんで、目印がないところに無造作にアイテムが 配置されていると胸をかきむしりたくなっちゃったり…

 とはいえ、ライトなRPGとしてみれば、これらもさほどは気にならないんですが。

 逆に、そのライトな部分、特に難易度が低い点がアダになっている部分もあります。
 それは仲間になる人形たちの使い道がコレといってないこと。

 本作の戦闘はコルネットと最大3体の人形、NPCからパーティが構成されます。
 イベントで仲間になる人形は、隠しを含め23体が存在し、それに加え、モンスターが 仲間になることもあります。

 私のプレイでは、戦士系のキッド、弓兵のテル、回復要員のシャルテをメインに 使っていましたが、こと戦闘においては、キッドとテルがいれば問題ナシ。
 モンスターはおろか、他の人形を戦線に投入する必要すら感じませんでした。

 人形たちには、それぞれ特定条件で発生するサブストーリーがあって、その中には 世界観の一端を説明してくれるものもあるのですが、さすがに、そのために存在すると いうのは寂し過ぎますし、モンスターについては完全に蛇足。

 ほかにも、全体のボリュームが少なく、せっかくのキャラをキッチリと活かせていない、 お使いに終始しているうちに終わってしまう、ダンジョンの背景を使いまわしすぎていて 変化が感じられない、迷いやすい、装備品のバリエーションが少ない、といった不満を 感じました。
# 背景については、おかげでCD読み込みが非常に少なくもなってますが。



 さて、ゲームにスレた人間の戯言はここまでにして、素の感想を言わせてもらうと、 結構面白かったです、というよりは感じがよかったといった方が正確でしょうか。

 そう感じた点をまとめると、おおよそ以下の2点に集約されるでしょう。

 ひとつは、その軽さ。
 CD読み込み、移動、メニューまわり、セーブ/ロードをはじめとしたシステム全般は もとより、戦闘も簡単、イベントも短め、とにかくストレスがありません。
# ただ、エンカウント率は偏りすぎているように思えますが。

 ふたつめは、その雰囲気。
 独特の色使いで描かれた背景と魅力的なキャラ、童話的雰囲気のなかで繰り広げられる 悲喜劇、優しい響きを持つ音楽が混ざりあってできた、非常にあたたかく、少しだけ 切ない世界。

 これは、この雰囲気を持っている時点で勝ちといえるくらい素晴らしいです。

 また、町人ひとりひとりが、本筋とは全く関係ないドラマを繰り広げているあたりも 世界に華を添えていたように思えます。



 ついでに、ドットフェチ的観点から言わせてもらうと、本作のドット絵は、形状、 動き共にかなり頑張っており、一見の価値はあると思います。

 この際、マルチAVケーブルやS端子で出力するより、通常のAV端子で出力した方が 映えるような気がします。
# 一応、この3つの出力で確認しましたが、背景ともども、にじませた方がいい感じです。




 総評すると、ゲームとしてみた場合、全体のかみ合わせが良くありませんが、 グラフィック、プログラムのつくりはしっかりとしていますし、なにより雰囲気は抜群。

 当然、前述したように残念な部分は多々あるのですが、RPG制作初挑戦にしては 成果は充分といえるのではないでしょうか。

 それにしても、あの日本一ソフトウェアがねぇ…
 個人的にはRyoji氏のグラフィックでのようなバカゲー路線を走って欲しい ところですが、それは無理でしょうなぁ…

 ともかく、本作は比較的誰にでもオススメできる良作じゃないでしょうか。
 ちょうど、年末にはPSone Booksにもなってお買い得ですし。

 ただ、フラグ管理や情報操作がアマく、ゲームやRPG初心者がやると詰まる可能性も あるんで、ちょっと注意が必要ですが。



 あ、冒頭で心配したミュージカル云々についてですが、その演出自体、数えるほどしか 使われていなかったこともあって、特に気になることはありませんでした。

 ただ、感触としては、最も力の入っていたマージョリー一家のシーンくらいのものなら 入っていてもアリかとは思います。

 サテ、リトプリでも始めるか。

first edition : 01/10/22
ひとこと スタッフロールのオーツー岸上大策氏の名前をみて「日本一だなぁ…」と安心するのはどうか?

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