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データ
タイトル 星の丘学園物語 学園祭 プレイ時間 42時間程度
(6周/CGコンプ)
機種 PS ストーリー ★★★☆☆
ジャンル 学園祭SLG キャラクタ ★★★★★
メーカー アトリエ彩 グラフィック ★★★★☆
メディアワークス サウンド ★★★★☆
発売日 1998年 9月 3日 ソフトウェア ★★★☆☆
定価 5,800円 ゲーム性 ★★★☆☆
購入価格 1,980円 居心地 ★★★★★
総合評価 ★★★★☆
お気に入り度 (*´д`*)好きだよぅ…

本文
 心地良さ、爽やかさ、それが本作には封じ込まれています。

 それはグラフィックの淡い色使いや、舞台となっている秋という季節のせいだけでは無く、'80年代少女漫画にも似たフワリとした感触、夢物語としての側面がそう感じさせているのでしょう。

 自分を含む人の輪に誰一人として悪者、人を無神経に傷つける者がいない、美しく澄んだ箱庭。その中で繰り広げられるちょっとした人間劇。それらが初秋の落ちついた雰囲気を本作に与えています。



 今からホンの少し未来、2010年10月、私立星の丘学園に主人公が転校してくる場面から物語は始まります。

 おりしも学園祭の準備期間。歴史が浅く、共学になったばかりで男手は貴重。当然、主人公には多大な期待がかけられることになります。ウハウハでもありまな板の鯉でもあり、ともかく、慌ただしい3週間が始まるのでした。



 ゲームは平日の自由時間と学園祭の準備を軸に進んで行きます。

 自由時間は授業開始までの20分、昼休みの20分、準備開始までの10分、準備の合間の10分、帰宅までの10分で、学園祭の準備は1日に2回、最終日のみ4回できることから、70分、もしくは90分+遅刻した時間を足したものがトータルタイムとなります。

 その間、学園マップ上の移動可能な場所を選択することによりイベントが発生し、一律5分の時間が経過します。どんなに短い会話でも5分、学園内を東奔西走しても5分。

 他にも誰がどこにいるのかが一目瞭然になっていたり、そのご機嫌までもが顕在化しているなど、理屈よりシステムを大切にしてプレイヤーに余分な負担をかけていない点は高く評価できます。

 学園祭の準備対象のクラブは7つで、どこの手伝いをするかを選択することによりその部の完成度をいつもよりわずかに上げることができ、また、手持ちのアイテムを寄贈することによって永続的に作業効率を上昇させることができます。

 他には授業と休日が存在します。

 授業はHRでクラスの日常を描き、月・水・金の授業中に一度ずつ問題を当てられ、それに正解すると主人公のパラメータが上昇します。

 休日は学校直営のコンビニでバイトをすることによりパラメータが上がり、収入も得ることができます。で、その収入は学園祭で使用する備品に化ける、と。…この主人公、スゴい! あと、バイト帰りには寄り道パートがあり、そこには重要イベントが密集しています。



 で、以上のシステムにご機嫌の要素が加わることでゲームが成立しています。ご機嫌は快晴から雷雲までの4段階で現されており、雷雲の状態でその日が終ると落雷。ご機嫌を損ねたキャラはもちろん、交友の深いキャラの好感度まで一緒に下がり、リカバリーは困難を極めます。

 もう、このバランスが小憎らしい程に絶妙で、手を広げすぎたり、偏ったりすると白雲が多発。

 白雲な・ら・ばっ・ま・だ・い・い・がっ! これが雷雲になると部活を連続で手伝ってリカバリー、休み時間の多くを使って悪化防止という対症療法になる上、そうこうしているうちに別のキャラに雷雲が発生。ダムの決壊を手で押さえてふさいでる気持ちに…

 しかも、これに登下校のお誘いが発生するとまた恐怖。というのもこのお誘いを受けるにせよ蹴るにせよ、誰かのご機嫌を損ねてしまうので。特に下校は落雷に直結するので激しくドキムネ。場合によっては即リセットで同日をやり直すことに。

 そんなときの新(♂)、直樹(♂)による誘いはまさに助け船。野郎からの誘い、10分のロスというデメリットを受けながら「心の友よ〜!」と叫ばずにはいられない。

 まぁ、追い込まれないように好感度を上げるキャラを限定するのもテなんですが、そうするとキャラ固有アイテムの収集がままならず、クラブ達成度が上がらないというジレンマが。ウマい。



 本作の攻略対象はメイン9人、サブ10人、隠れ1人の計20人。その内容も中等部の後輩から先生、購買のおねぇさんまで実に様々。大ボリュームゆえイベントコンプリートは大変ですが、ボンヤリとプレイしても4〜5人はクリアできるので意外と気楽。2周目以降はプレイ効率も上がるので、ダレずにプレイできるでしょう。

 また、個々の破壊力も高く、特に攻めが強く守りに弱い生徒会役員、水沢翔子、男前だが異性を意識した瞬間からボロボロになる秋月伊吹、純粋ゆえにハネっかえっている片栗かすみ(そしてイベントに登場する校長に萌え)あたりはツボ。ベストエンドにおける後日談で転げ回ること必至。



 何かを成し遂げるために努力すること、終盤に近づくにつれ高まる高揚感、成果を実らせる友人たち、我が子の活躍をみるような感慨、労をねぎらう後夜祭、祭のあとの静寂。

 祭における一連の流れがキッチリと表現できている点、皆の頑張りがあったからこそ成功したと思える点が非常に好ましいと感じます。

 そしてそう思えるのは実直なキャラクタの魅力とちょっとしたエピソード、主人公の個を排斥し、縁の下の力持ちに徹するシステムのおかげでしょう。

 プレイヤーの気持ちを揺さぶるのではなく包み込む、冒頭に述べたような夢物語的感触に特化した本作、世界に心地良さを求めるならコレ。オススメです。

first edition : 99/10/14
ひとこと 2種類あるオープニングムービーも画質はともかくいいデキです。

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