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データ
タイトル DEBUET21 プレイ時間 10時間程度
/クリア
機種 PS ストーリー ★★☆☆☆
ジャンル ロボっ娘アイドル育成SLG キャラクタ ★★★★☆
メーカー NECインターチャンネル グラフィック ★★★☆☆
発売日 1998年 9月10日 サウンド ★★★☆☆
定価 5,800円 ソフトウェア ★★★☆☆
購入価格 1,480円 ゲーム性 ★★☆☆☆
ロボっ娘萌え ★★★★★
総合評価 ★★★☆☆
お気に入り度 ★★★★☆

本文
 西暦2020年、総合電気メーカーの老舗、ネオ・エネジー・コミュニティで、 ひとつのプロジェクトが実行にうつされることとなった。
# eo・nergy・ommunity=NEC

 i計画と呼ばれるそれは、人間に近い思考を可能としたOSをアンドロイドに搭載し、 その実用化を目標に、感情のデータ化と蓄積を目的にしたフィールドテストをおこなう、 というものであった。

 試験体となる3体のアンドロイド、そのうちの1体であるI−D21TP3には、 ネオ・エネジー・コミュニティ傘下のジャック・ショウプロより、新人アイドル 神崎アイとしてデビューさせるという(無茶な)決定が下った。

 プレイヤーは、アイのマネージャーとして、スケジュール管理と未熟な情緒を補う役を こなしつつ、2020年度アイドル大賞を目指すことになります。

 アイのハード稼動限界まで約1年。
 最後の瞬間をアイがどのように迎えるのか、それはプレイヤーの腕次第です。



 1年間で寿命がつきる人に近い思考を持つアンドロイド…
 正直、ロボフェチくんとしては、あんなイベントやこんなイベントを頭の中で 編集し、2クール程度の妄想シナリオ(ロボフェチ幻想=ファンタジー)を組み立て 号泣するのがスジなんですが、そんなコトをしていたら社会復帰が更に困難になるため、 渋々プレイを開始。
# やっぱり最後は友達3万人で…、人間になっちゃ駄目なんだ!(血涙)



 ゲーム期間は2020年1月1日から12月31日の1年間。
 基本的なシーケンスは1ヶ月ごとにわけられ、それぞれ10日にコミュニケーション、 月末に現在のアイドルランキングが発表されるようになっています。

 で、それ以外の日は、レッスン、仕事、充電、ハード修理のいずれかを選択することで 進んでいきます。

 レッスンは、SONGDANCEACTの3種を、エレガントアクティブと いった方向性と、イージーノーマルハードの難易度で選択することができます。
 この際、レッスンを担当するのは、誕生の3人娘となっているのですが、前作との つながりは、3人娘の登場と舞台となるプロダクションが同じ程度だったりします。

 レッスンは一度に連続で5日間までの予約が可能で、より長く、連続で成功した方が 多くの経験値が入るため、効率の良い育成を目指すのであれば、レッスンに失敗したら リセットをした方が良いことになります。
 しかし、レッスンの成否はランダムまかせな上、実行中はアニメスキップが不可なので、 それには相応のストレスを覚悟しなければなりません。
# これで2年ほど前に一度封印してしまいました…

 仕事は、内容と所要日数、ギャラが表示されるので、その時点で達成可能なものから スケジュールやバッテリー残量、方向性と相談して決めることになります。
 序盤は、レッスンの邪魔にならないように、充電も考慮して仕事を入れねばならず、 なかなか思い通りにならないのですが、この試行錯誤には微妙な面白さを感じました。
# いや、ホント微妙ですが。
 また、スケジュールは締め切り直前で決定するほどギャラが跳ね上がるのですが、 粘っているとライバルに仕事を取られる可能性もあるんで、ちょっとした決断が 必要にもなります。
# それでもダメなときはダメですが。

 充電とハード修理はその名の通りで、これを怠るとアイが故障してしてしまい、時間の ロスにつながります。
 また、充電についてはバッテリーを取り替えることにより最大容量が増え、連続稼動が 可能になります。

 で、レッスンと仕事、ハード交換により、パラメータと資金、知名度を相乗的に高めて いきながら、年間通しての総合アイドルポイントでトップを目指すことになります。



 育成については、ちょっとパラメータ操作が単純すぎるかな、という気がします。
 そのおかげで数値の把握自体は非常に簡単になってもいるのですが、何をやるにも (行動に対する基本値×日数)分の体力が減る、というのもどうかと思います。

 反面、数値がどのように反映されるかという点が掴みづらいために、難易度は高く、 効率の良いプレイはおろか、普通に育成するにも攻略本があった方が良いと感じました。

 また、レッスンについてもランダムの成否が非常に重要だったり、その育成結果が コミュニケーションのわずかなやりとりと仕事の遂行能力にしかつながっていないのは 問題アリです。

 ハイ、今、かなり重要なことを書きましたが、気付かれたでしょうか?
 そうです、本作は育成シミュレーションに分類されるべき作品であるにかかわらず、育成の成果がイベントとして反映されないんです。
# 固定イベントが起こるか否か、程度はあるかもしれませんが。

 通常、うまく事が運ぶと起こるであろうイベントがないということは、例えるなら ご褒美抜きの脱衣麻雀みたいなものです。
 確かに、アイドル大賞を受賞するための育成シミュレーション部分は残りますが、 それで本当に誕生の名を冠して良いものなのでしょうか? つか、それ以前にそれを どれほどのプレイヤーが望むんでしょうか?
# エンディングが、バッド、グッド、隠しの3種類しかないのも誕生としてナンですし。

 題材を考えれば、ベタなりに面白いイベントができたハズですし、ライバルを含め、 登場キャラが良く動きそうに感じただけに、この点は残念でなりません。本当に。



 本作の特徴として、その声優陣の豪華さが挙げられると思います。
 ヒロインの神埼アイ役の野上ゆかな(現ゆかな)嬢をはじめ、中川亜紀子嬢、池澤春菜嬢、長沢美樹嬢、柳原みわ(現まつもとみわ)嬢、草地章江嬢、山口由里子嬢、大塚明夫氏、笠原弘子嬢、かないみか嬢、冨永みーな嬢と、 当時としてもナカナカの顔ぶれではないかと思います。
# 欄外には雪乃五月嬢の名もあります。

 また、野上ゆかな嬢〜草地章江嬢については、キャラクタ名義のシングルCDが 発売されたりと、妙に力が入っていたのも(結果は別として)印象的でした。

 しかし、本作の声で一番注目すべきは、月末にあるアイドルランキングの司会を 務めているマスコットキャラでしょう。
 これ、菊池正美氏が声をあてているのですが、ぶっちゃけカウントダウンTV
# 2人であること、テンポの悪さやネタのサムさという点ではランク王国に近いですが。
 パロディを本人がやるのも普段なら感心しませんが、この場合は他人がやっても別物に なるだけなんでアリかと思います。つか、わざわざ予算かけんなとツッコむべきと判断。

 しかし、いくら声優陣が充実していても、ビジュアルがかなりのしょんぼり感を 醸し出していることは否めません。
 いくら最大表示モデル数を2体に抑えても所詮はPS、箱組み丸出しのモデリングに テクスチャが貼られているさまは、ローポリ好きという特殊な性癖を持つ人(私とか) を除けば、喜ぶ人はいないと断言できるでしょう。
# しかもアイのアゴはしゃくれ気味だし…

 一応売りになっているモーションキャプチャも、モデリングが硬いために手打ちと 見間違うしょんぼりさですから救われません。
 オマケに、隠しエンディングでアイが再起動するシーンは失禁しそうなデキですし。

 ポリゴンをメインに据えたことで失ったものも多くありそうなだけに、この早過ぎた 試みを残念に思わざるを得ません。
 今の技術でじっくりつくれば良いものになりそうですしね…



 育成が単調難解、イベントも少量とくれば、あとは、各パラメータがレッスンによって 緩やかに、パーツ交換によって劇的に上昇していく、あるいは、ランキングを昇りつめて いくさまを眺める。
 そんなところに楽しみを見出せるかにかかっているように思います。
# 通帳の残高を眺めて微笑む、みたいでなんかイヤな感じですが。

 まぁ、ゆかな嬢が好きとか、アンドロイドやローポリ好きといった特殊な嗜好があれば (私とか)多少は楽しめると思いますが、基本的に素材の割に残念すぎるデキといえる でしょう。いやマジで。

first edition : 02/08/13
ひとこと 敷島博士よりモリモリ博士の方がもっと好きです。

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