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データ
タイトル ドラゴンクエストZ エデンの戦士たち プレイ時間 120時間程度
機種 PS ストーリー  ★★★☆☆
ジャンル 国民的RPG キャラクタ  ★★★★☆
メーカー ENIX グラフィック  ★★★☆☆
発売日 2000年 8月26日 サウンド  ★★★★☆
定価 7,800円 ソフトウェア  ★★★★☆
購入価格 7,800円 ゲーム性  ★★★★★
堀井節  ★★★★★
ムービー −★★☆☆☆
総合評価  ★★★★☆
お気に入り度  ★★★★★

本文
 フィルター。
 我々の世代にはガンダムドラクエに対してそれなりの思い入れが存在し、それ故に、 新作が発表された場合、時に好意的に、時に否定的になりすぎるきらいがあります。

 今回、私は好意的なのだと思います。
 残念ながら確証はありませんが。



 まず、遊びはじめて感じたことは、作品全体のあたたかみでしょうか。
 なんというか、「戻ってきたな」と思えるようなそんな感じがします。
 これは長く続いた続編モノでも、ドラクエならではのスタンダードさがそう思わせて いるのでしょう。

 システム面で特筆すべきことは、やはりディスクアクセスの早さでしょう。
 これは、マップ切り替え、戦闘の開始、終了時、その他どこをとってもストレスを 感じさせない見事なデキです。

 その実現のために、データの並び、オンメモリで処理できるデータ量の調整など、 システムに大きな制約もでたと思いますが、大成功だったと思います。
# アイテム図鑑がマップ上でしか見ることができなかったりするのはそこらの問題だと 思いますし、シナリオがショートシナリオの集まりになったのももしかしたら…

 また、全体の操作性も軽快で、カユいところに手が届くようになっており、終始 快適にプレイすることができました。



 ゲーム本編の方のシステムは…、個人的にはあまり評価できません。
 というのも、基本システムがDQ6のものなんですよね。

 実は私、DQの中で、6だけは嫌いなんですよ。
 特に、中途半端なキャラクターや、無駄な職業経験値稼ぎが必要なバランス、妙に 仲間になりにくいモンスター、面白味のないシナリオ、ワールドマップで処理落ちする プログラムなどなど…
 初めて2回プレイしなかったドラクエ、いえ、初めてイヤイヤ終わらせたドラクエが この6だったんです。

 で、7のシステムを組んだところが6と同じときたら…、最初に述べたフィルターが 悪い方向に影響しても仕方がありません…

 まず、移動面で言えば、マップの回転機能ですが、これを効果的に使っていた場面が ほとんどなかったことと、街の中を詮索するときの手間が増えたことを考えると、 無かった方が良かったと思います。

 戦闘、転職についてですが、これはゲームを効率良く進めるという攻略要素としては 面白いと思いますし、たくさんある技の意外な使い方などが見つかった場合の面白さ、 そして話題性というものがあるので、それなりにいいとは思うのですが、やはり、無駄な 職業経験値稼ぎの発生や、ボリュームが膨れすぎたことによるテンポの悪さ、効率的な 戦闘をしようとすると使えない技がやたらと増えたことなど、マイナス点も見られます。

 いや、正確に言えば、時間が湯水のようにある人や、1本のゲームをずっと続ける人なら 何の問題もありませんが、時間の無い人やゲームのスタックを増やしがちな人にとっては マイナスとなってしまうかもしれません。

 まぁ、今となっては、こんなまったりとした戦闘はドラクエでしか味わえないもの なんで、これはこれでいいとも思えるんですが。

 ただ、ただです。時の砂が何度も使用できるのだけはイカンでしょう。
 そりゃ、バランスさえ取れてりゃ文句は言いませんが、本作の場合は、一発死にや 嫌なコンビネーション、中ボス以上の敵が多用する複数回攻撃など乱数によるバランスの 偏りを是正するために、時の砂が使われているように思われてならないんです。
 (邪推とはいえ)これひとつだけで、もう私の戦闘に対する評価はガタ落ちです。

 ドラクエには、話すというコマンドがあります。
 本作では、この対象に仲間が含まれるようになり、また、戦闘中にも実行できるように なりました。
 といっても、そんな大々的にしゃべるわけではなく、あくまで、その時のフラグ条件や 戦闘での状態をチェックして感想を述べる程度のものですが。

 これは結構面白かったですね。
# 特にマリベルのメイドネタ。
 キャラクターのイメージを高める方向に作用していたと思いますし。
 ただ、そのキャラクターがやたらと鳥山明臭いのはどうにかして欲しかったと 思います。
# ガボメルビン、お前らだ!
 なんか、ドラクエという存在が鳥山明ワールドにカテゴライズされるみたいで、 どうにも釈然としなかったもんで。

 他には、カジノやモンスターパーク、移民の村に隠しダンジョンなど、様々な要素が あり、これらは充分なお楽しみ要素として楽しめるものになっていると思います。
# しかし、ムービーだけはやめて欲しかった…



 シナリオは、約3〜5時間程度で終わるショートシナリオが連なっている形に なっていて、テンポ良く、コツコツとプレイできるようになっています。
# 社会人としてはちょっと嬉しかったり。

 それぞれのシナリオは、主に人間の二面性を強調したものが多く、冴木忍属性のある 私としては、結構良かったです。

 特に今回は、時間の概念がねじれているため、あるシナリオで登場した人物が、 数年、または数十年後の世界に登場し、精神的に成長した姿を見せてくれたりして、 感慨深いものがありました。

 ただ、骨となるシナリオがおざなりというかなんというか、とりあえずラスボスを 登場させました的なもので、その存在自体に疑問を持たずにはいられず、終盤にきて 急激に失速していったのは難ですが。



 やっぱり、プレイしていて「かえってきた」と思うゲームってのは貴重ですよ。
 こればっかりは簡単には得られない感覚ですから。

 今回の一番のポイントは、やはり村人ひとりひとりまで行き届いた堀井節でしょう。
 フラグが変わる度に村人に話しかけることを苦としないだけのあたたかみ、そして、 時に痛み、希望、友情、出会い、分かれを臆面もなく謳うことができるのは、こういった スタンダードの最大の強みであり魅力でもあります。

 ファイナルファンタジーという片翼が、ハード性能の向上によりしかるべき、そして 望まざる進化を遂げたのとは逆に、ドラクエは今も愛すべきドラクエでありつづけて くれました。
 6で受けた私の失望を打ち消して、なお余りあるだけの王道モノに仕上がっています。

 また、リアルタイムにプレイした場合は、コミュニケーションツールとしての側面も あって、周りの人や、今はほとんどゲームをプレイしなくなった友人と、学生のときの ようにアレコレ情報交換しながら楽しめたのも、ドラクエならではだったと思います。
# ただ、悲しいかな、最後までプレイできない人も増えましたね。

 フィルターというもの。
 もし、これがかかっていなければ、ドラクエでなければ、その評価はどうであったか、 それはわかりません。
# そもそも手を出していなかったのは間違いないでしょうね。

 しかし、そういったフィルターがかかるゲームが1本くらいあっても悪くない、と、 今はそう思っています。

 また次のドラクエもドラクエであり続けますように。

 あ、発売は遅れに遅れてもいいですよ、プレイすんの大変やし。

first edition : 00/12/27
ひとこと データコンプはサスガにムリ。

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