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データ
タイトル ブレードメーカー プレイ時間 13時間程度
/クリア
機種 PS ストーリー ★★★☆☆
ジャンル ???SLG キャラクタ ★★★☆☆
メーカー 翔泳社 グラフィック ★★★☆☆
発売日 1999年 7月 1日 サウンド ★★☆☆☆
定価 5,800円 システム ★★☆☆☆
購入価格 1,180円 ゲーム性 ★★☆☆☆
総合評価 ★★☆☆☆
お気に入り度 ★☆☆☆☆

本文
 マリーのアトリエを調合→(期日、材料、技能不足)→産業廃棄物A
 いくらなんでも産業廃棄物はヒドい喩えですが、端的に表現したらそんな感じ。



 ゲーム自体は、トイズドリームまじかるアンティークパルフェシリーズで おなじみの経営シミュレーション方面

 制作がゼロ・システムという時点で地雷であることはほぼ確定しているのに、 システム構築やデータ調整の難易度が高そうなジャンルで不安が倍増です。
# まぁ、この不安は実際のものとなるのですが。



 お話は、主人公であるアレフが父の訃報を受け取る場面から始まります。
 医学を修めるため、家出同然で飛び出してからおよそ5年振りの里帰り。
 そこでアレフを待っていたのは彼の妹アロアと執事のロイター、その娘ベルダ、 そして莫大な借金でした。

 借金の返済期限まであと半年。
 もし返済できなかった場合、抵当である家はもちろん、アロアまで失うことを知った アレフは、家業である武器屋を継いで借金を返済することを決意します。



 ゲーム期間は1月頭〜6月末までの7ヶ月間。
 ただし、5月末に借金が返済できなかった場合は、そこでゲームオーバーです。

 1ヶ月は4週間で構成され、1週間は月〜土の平日と日曜日に分かれています。

 平日は、商品の販売と、工房にいる職人に武器や道具の作成を依頼でき、日曜日は 町に出て情報収集や素材の仕入れができます。
 逆にいえば、アレフは冒険もしませんし、商品を直接作成することもできません。



 商売の基本は6人いる常連冒険者にアイテムを売ることで、その時の対応(値引き) 次第で彼等の好感度および店の評判が上下します。
 また、彼らがイベントをクリアすることで装備していた商品の人気が上がります。
 冒険者の行動パターンは固定で、毎月第1週に買い物、第2週に冒険へ出かけ、もし イベントクリアに失敗した場合は、第3週に買い物、第4週に冒険へ再挑戦します。

 ですから、冒険者が店を訪れるまでに良い装備と道具を揃え、できる限り安価で 提供することがひとつの鍵になります。というかほぼ全てかもしれません。
 あとは、人気商品をひたすら増産していればクリアできるでしょう。

 冒険者の行動は、アロアが使う魔術で依頼内容ごと覗き見することができます。
 人間として最低気味ですね。

 お話自体は各冒険者の事情を反映しつつ、最終的にひとつの陰謀とひとつの伝説に 向かって収束していきます。

 件の借金も、アレフの父親が伝説を追った結果だったという風に、ある視点から みればまとまっています。

 しかし、マルチエンディングになっているせいで、特定冒険者以外は歯切れの悪い 終わり方になってますし、なにより、デフォで治りそうなアロアの脚が治らないのは どうかと思います。

 まぁ、いずれにせよ、一本道な上生々しい話も多いので、極端に好みが分かれることに なりそうですね。



 客は、冒険者と大口の顧客、一般客の3種類に分かれます。
 このうち大口の顧客は嗜好に合った商品があれば大量に購入してくれるありがたい 存在と定義されていますが、手間のかかる商品を欲しがる傾向があるんで、一般客を 優先した方が効率が良いでしょう。



 日曜日に移動可能な町ですが、これはほとんど意味がありません。
 メインは素材や備品の買い付けと情報収集となるのですが、情報に価値が皆無なクセに ディスクアクセスだけはいっちょまえにやりくさります。シット!
 しかも、このテのつくりをしていると当然起こるはずの町イベントがプロローグを 除くとひとつしかないというのも責任者出て来い状態です。もひとつシット!

 ほかにも、売れ筋商品を自分で制御できない、作成日数がかかりすぎる商品が多く、 実質限られたアイテム以外は定番商品となり得ない、何かをする毎に画面切り替えと ディスクアクセスを必要とする、などなど、アラを挙げればきりがありません。



 正直、経営シミュレーションに分類するのはおこがましいですね。
 そもそも、経営によってイベントが発生した覚えもありませんから。

 また、青山総一氏のジャケ絵をみるとギャルゲにみえますが、そういった要素も皆無。
# 少なくともエンディング以外はそのハズです。
 確かにかなりおかしな体型をしたギャルはたくさん登場しますが、恋愛要素は もちろんイベント自体も存在せず、あくまで客、従業員と店主(もしくは覗き魔)の 関係でしかありません。
 おまけに声も入ってないともなれば、JAROに電話されても文句言えませんよ。

 それを踏まえた上で、あえて分類するならば人形劇ソフトといえるでしょう。
 なぜなら、本作で一番つくり込まれ、プレイ時間の大半を締めている部分が、冒険者の イベントを覗き見する(ホント眺めてるだけの)部分だからです。

 じゃ、他のパートは何かといえば、RPGの経験値稼ぎ。要はつなぎの単純作業。
 こう書くとナンですが、イベント発生タイミングが判明している上での単純作業が 実は妙なテンポを生み出すことになっていて、わずかな麻薬性を生んでいたりもします。
# ただし、作業とご褒美の単純なループに弱い人間限定。
 そういう意味では、ソフトの不出来が功を奏しているような気がしなくもありません。



 理想は大きく現実は厳しく、なのかどうかはわかりませんが、コンセプト、システム、 データの全てにおいて内容が薄過ぎて、良かった探しをする隙すらありません。
 むしろ、繰り返しプレイとイベント作成が容易なジャンルを、全く逆方向の内容に できたなぁと感心してしまうくらいです。

 そんなわけで評価は完全無欠の地雷。
 未開封の人は一生そのままで、安く売っているのを発見しても放置の方向で…

first edition : 02/08/18
ひとこと サスガにコレはない。

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