データ |
タイトル | どうぶつの森 | プレイ時間 | 1日20分×かなり |
機種 | N64 | ストーリー | 評価対象外 |
ジャンル | 団らん補助箱庭ゲー | キャラクタ | ★★★★☆ |
メーカー | 任天堂 | グラフィック | ★★★★☆ |
発売日 | 2001年 4月14日 | サウンド | ★★★★★ |
定価 | 6,800円 | ソフトウェア | ★★★★★ |
購入価格 | 6,800円 | ゲーム性 | ★★★☆☆ |
とたけけさん | ★★★★★ | ||
総合評価 | ★★★★★ | ||
お気に入り度 | ★★★★★ |
本文 |
記録には残らないだろうが、記憶には残る。 そんな言い回しがありますが、本作はまさにその好例といえるでしょう。 本作を分類するとすれば、牧場物語等と同じ箱庭ゲームとなるでしょう。 とりたてた目的もなく、各プレーヤーが思い思いの時間を過ごす、そんなソフトです。 # ゼルダから戦闘を抜いてマッタリさせた感じですかね。 一応の骨子は部屋の模様替えで、壁紙、床から千以上におよぶ家具、化石、魚や昆虫、ハニワ、洋服などを陳列して、自分だけの部屋を演出することができます。 # もしかしたら、千もないかもしれません…(あんまり情報は仕入れてないモノで) 作中では、評点システムもあるのですが、点数が低いからといって特に問題もなく、 気楽に模様替えを楽しむことができます。 部屋の模様替え以外にもできることはいろいろあります。 その多くは家具や洋服といったアイテム集めに繋がる行為ではりますが。 以下に例を挙げると…、 買い物、釣り、昆虫採集、果物借り、貝拾い、ゴミ捨て場あさり、植林、伐採、 穴を掘る、果物を埋める、花を植える、落とし穴を掘る、化石の発掘、ハニワの発掘、拾得物横領、住人(CPU)とのコミュニケーション、住人の小間使い、手紙を書く、 ストリートライブを聴く、リセットさんに怒られる、バルーントリップ、など。 ファミコンエミュによるゲームを除けば、ほぼゲーム的要素はなく、それゆえ ゲームになじみのない人でも比較的気軽に楽しむことができると思います。 この森に住む人々(?)は、題名があらわすように全てどうぶつです。 本作は女性スタッフが多いようで、そのためかコビが少なく、パッと見「う〜ん」と 思うキャラも多いのですが、それが不思議なことに、しばらく『村』で暮らしていると 『美人は3日で飽きるが、味のある顔は飽きがこないの原理』がはたらくのか 妙な愛着がわいてきます。 # 最初「キモい」を連呼していたキャラに慣れたのは自分でも驚きです。 また、カートリッジにはタイマーを内臓してあり、季節ごと、時間ごとにメッセージが 変化し、それぞれにマンガ的な演出がほどこされているため、会話自体も楽しいものに なっています。 本作の特殊性は、そのコンセプト、身近な人間とのコミュニケーションを補助するアイテムとしての性格が大きく作用していると思います。 その特殊性をシステムから見てみると、ひとつのデータを多人数で共有することに 尽きるでしょう。 これがどういうことか簡単にいえば、ひとつのカートリッジのバックアップRAMを 『村』ひとつとプレーヤー4人分に分割し、データをロードしたプレーヤーが『村』を 自由にいじることができるということです。 これは他の『村』からコントローラーパック経由でやってきたプレーヤーにも 同じことがいえます。 要は、プレーヤーそれぞれの足跡が、『村』というキャンバスに残っていくんです。 従来のゲームの多くは、プレーヤーひとりに対しひとつのキャンバスを与えるのが 定石となっています。 それは、制作側が自分達の意図した遊びを提供することに大きく起因しているのですが、 本作は、そこをスパッと割り切って、『村』という開けたデータに対するプレーヤーの 働きかけや感想を、コミュニケーションの手段としたのです。 例えば、『村』唯一のお店で新しい洋服を買った。 それを兄弟に話してみたり、見せびらかしたり、手紙に添付して送ったり… 友達に話したり、見せびらかしたり、コントローラーパック経由で宅配したり… 生活時間の合わない家族と、『村』の手紙越しに近況報告をする。 果物の樹を切り倒されてケンカ、地面に置いておいた貴重品を盗まれてケンカ。 買ったり、拾ったりしたものを、いちどみんなでチェックしてから分配。 自分の『村』と友達の『村』を比べて、『オラが村』談義、オラが部屋談義。 カートリッジという閉じた世界にあるからこそ、直接顔をあわせることになる。 そのとき話のネタになる、それが重要な要素だと私は考えます。 これが、ネットワークで同時に遊べてしまうとしたら、チャットでだいたい済んで しまい、リアルワールドでの会話の盛り上がりに欠けがちです。 これは、別にネットワークゲームを否定しているわけではなく、64ならではの、 小学生をメインとした客層に合ったつくりだということが言いたいのです。 もし、私が現役小学生で、どうぶつの森をやったとしたら、5年後、10年後に、 兄弟や友達と、「あぁ、あんなゲームもあったなぁ…、ガキだったしケンカもしたし」 といったことを思うでしょう。 # もしかしたら、ケンカ別れするかもしれませんが。 良くも悪くも記憶に残る、そんな作品になったのは、この世界が閉じているという ことが重要なのだと、そう思うんです。 # …でも、ゲームキューブで発売予定のどうぶつの森+は、ネット対応したほうが いいとは思いますが、サテ、どうなりますかね? サテ、本作のもうひとつの大きな特徴は、その暴力的なデータ量でしょう。 もう、とにかくひたすらヤケクソに多い! 比較的少ない壁紙や床でも60以上、洋服や家具も軽く200以上、もしかしたら その倍以上あるようです… それらを組み合わせて部屋に配置するとなれば、まず同じデータにはなりえません。 『村』の形状も一定の法則をもとに自動生成されていますし、住人にしても200人 以上から13人が選ばれるワケですから、同じ『村』が作成される可能性は皆無に 等しいといえるでしょう。 この異常なデータ量が、ともすれば単調になる生活に彩りを添え、『オラが村』度を 高めていることは間違いありません。 少なくとも、商品を日替わりで売っている店に顔を出して、何も買うものがない という状況になりにくいだけで、習慣性を持たせることができますから、それだけでも 効果は充分だといえるでしょう。 # 私は最近倦怠期ですが… いや、ホント、めまいがしそうな数ですよ。 どの『村』にいってもいる、レギュラーメンバーともいえるキャラがいます。 常勤は、雑貨屋のたぬきち+α、郵便局のぺりこ、ぺりみ、郵便配達員のぺりお、 犬のおまわりさん×2、おさるの駅員さん。 それぞれに魅力があって、特に昼の顔ぺりこと夜の顔ぺりみの対照はすごいモノが あります。 # ぺりことぺりおが付き合ってるという話を聞いたときのハートブレイク具合が… その他にも、定期的、もしくは不定期で『村』を訪れるキャラもいるのですが、 特にお気に入りのキャラがふたりいるので紹介しておきます。 毎週土曜夜、駅前にやってきてはギター、口笛、咆哮でストリートライブをしているとたけけさん(犬) 彼のレパートリーは50曲を超えるといわれ、週に1回聴いたとして、1年はかかる という計算になります。 曲自体はステレオタイプなモノや、どこかで聴いたフレーズを用いたものですが、 ヴォコーダー風に演奏される曲は非常に面白く、ゼヒとも2枚組とたけけサントラを 発売して欲しいモノです。 リセットさん。 いえ、コレ、私がこのソフトを購入する原因となったキャラなんですが、 名前の通り、プレイ中にリセット、電断が起こった次のロード時にあらわれ、主人公に お説教をするキャラです。 ま、要約すると、 「このソフトにゃ目的なんてないんやし、リセットなんかせずきままにマッタリやったれや」 それに対しては、 「そんなん知るか、オレはオレのやりたいようにヤる」 しかし、桜玉吉風味の外観を持ったキャラは非常に立っており、テキストからも 制作側の遊び心が伝わってきます。 また、チョッとしたところのようですが、本作のサウンドは非常に良い仕事を しています。 とはいえ、ただ単に音楽が良いというのではなく、SE(サウンドエフェクト)が とにかく高水準だと思います。 # もちろん音楽も大好きですよ。 例えば、自分の足音。 足場が違う場合や忍び足、駆け足の時、音が違うのは当たり前。 しかし、真に特筆すべきは、ステレオ分割をSE単位におこなっている点です。 例えば、セミ2匹がプレーヤーの右と左で鳴いているとしましょう。 その場合、セミの鳴き声は、実際に右と左から聞こえてきます。 そして、BGMを除いた多くの音は、同じ方法で鳴るのです。 物音が3つなら3つ、4つなら4つと、その音の数だけ。 ゲームを遊んでいる人の中には、モノラル環境で遊んでいる方も多いと思いますが、 裏ではこんな職人芸が展開されています。 どちらかと言われれば希なのは確かですが、特に任天堂ブランドで発売されている 作品には、こういったSEに対するこだわりを感じるものも多いので、興味のある方は ゼヒとも聴いておくことをオススメします。 いいソフト、それは確かです。 しかし、本作にも残念な点はあります。 次はそんなマイナス点について… # ま、どちらかと言われれば些事ですが。 まず、前述したゲーム性が皆無な点。 まぁ、こんなマッタリとした箱庭ゲームにそれを求めるのか、と問われれば、それで 終わりなんですが、せめて、毎月のイベント、例えば運動会やラジオ体操のような プレーヤーが参加する余地のあるものには、ミニゲームを入れてもよかったのでは ないかと思います。 イベント時の住人の動きは、確かに見ているだけでも味があるのですが、プレーヤーが カヤの外というのはあまりといえばあまりですから。 また、住人の個性というかタイプ分けについて。 これが思いのほか少ないようなんですよね。 私の『村』に住む住人13人は、4タイプのいずれかに分類されていて、平均すれば 3人が同じ会話パターンを持っています。 せっかく外観は味があって、テキスト自体も面白いのに、これではせっかくの個性が 台無しです。 # 住人の部屋はそれぞれ個性的なんですがね。 次に、おつかいのたらいまわしについて。 プレーヤーは、住人から依頼を受けて、おつかいをすることができます。 まぁ、そのほとんどは「〜から、〜を返してもらってきて」というもので、それだけで 作業感が高いのに、相手に会ったら、「〜に又貸ししたから、返してもらって」という ことがよくあります。 しかも、1度ならず2度、3度とたらいまわしにされることもあり、住人のルーズさや おつかいの代価の低さにムカつくことしきり。 おつかいをやらなきゃいいっていえばそうなんですが、もう少しなんとかならなかった のかとも思います。 しかし、極めつけはやはり、そのインターフェースの悪さでしょうか。 # 特別ひどいのではなく、ちょっとずつナニなタイプ。 買い物や郵便物の受け付けなど、いちいちメッセージが入り、ひとつずつしか処理が できないのは、会話の味を出すためということで認めましょう。 ですが、メッセージ送りや、選択肢の配置についてはかなりダメダメといえます。 また、通常、選択肢というものは、よく使うもの、間違って選んでも問題のないものを デフォルトにするのですが、本作はそれができていません。 おかげで、プレイしていてイライラすることも多々あります。 操作系は、基本的に3DスティックとA、Bボタンで全ての操作ができるように なっており、それは非常に素晴らしいことです。 しかし、だからといって他のボタンを使ってはいけないということもありません。 そこらへん、LRボタン以外にも便利機能等を付加しておいてくれれば、非常に 楽になったのにと、残念でなりません。 面白いハズ、でもその正体がつかめない。 本作は、そんな不思議なソフトです。 できれば家族や友人を巻き込んで、いっしょに楽しめれば、かなり長くマッタリと 遊ぶことができるでしょう。 まぁ、一度入手したアイテムは、カタログという形でコレクションされていくので、 コンプリートゲーマーが、途方もなく商品の多いボルタック商店と思って挑戦する ことも可能ですが。 # だいたい挫折するハズですが、やるならゲームキューブ版で始めた方がいいでしょう。 ま、なんにせよ、毎日、少しずつ、マッタリとをキーワードに、箱庭ゲーム好きに オススメってのが基本ですね。 最後に、プレーヤーの母親が週に1〜2回送ってくる手紙。 結構いい感じのモノが多いんですが、その中でもひとつ、特に大好きなものを 挙げておきます。
げたばこに
あなたのくつを みつけたわ ドロだらけだけど あらえなかったの じぶんであらってね ははより
first edition : 01/08/19
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ひとこと | バルーントリップだけでも★★★★★だがね。 |