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データ
タイトル ASTRO BOY 鉄腕アトム
アトムハートの秘密
プレイ時間 10時間以上
("むずかしい"クリア)
機種 GBA ストーリー ★★★★★
ジャンル トレジャーACT キャラクタ ★★★★☆
メーカー セガ グラフィック ★★★★☆
トレジャー サウンド ★★★☆☆
発売日 2003年12月18日 ソフトウェア ★★★★★
定価 4,980円 ゲーム性 ★★★★★
購入価格 4,380円 総合評価 ★★★★★
お気に入り度 ★★★★☆

本文
 GBAの性能を使ってメガドライブの、しかもトレジャー作品がつくられるとは…、長生きはしてみるモンじゃのう。



 例えば、難易度に"かんたん"と"むずかしい"しかない、7段階に変化"しない"セブンフォース、ボス戦のパターン化とタイムアタックなどはモロにエイリアンソルジャーだし、ゲージ式のパワーアップはガーディアンヒーローズを連想させる。

 ゲーム本編の手触りはやいまん氏のそれで、特に、殴る/蹴るといった近接戦はシルエットミラージュに近い感覚。通常移動もガンスターヒーローズの直系といえるだろう。

 また、序盤背景の発色やドットパターンがメガドライブのソレだったり、回転拡大縮小や半透明を(表現における)ギリギリの線(スプライトがチラつくならチラつく範囲でやってやる、的な)で使っているところなど"今風"とかけ離れており面白い。

 反面、ステージを細かく区切り、無限コンティニューを採用といったところはかなり"今風"で、クリアするだけなら凡人でも(エプシロンとラスボス以外は)そんなに苦労はしないハズ。なんせ、かんたんモードなら必殺技がほぼ使いたい放題だし。貧乏性でそれができない人でない限り、な(挙手しながら)。



 ゲームは全8ステージをいくつかの短めのパートに分け、アクションときどき横スクロールシューティングで構成。アクションはパンチやキック(シューティング時不可)、ダッシュ、ジャンプ、ジェット、フィンガービームという基本動作に加え、必殺技ゲージを消費してのマシンガン、アームキャノン、EXダッシュが可能。

 この中でも発生中無敵となるダッシュとジェット、敵を一時硬直させるマシンガンは重要。特にマシンガンは強力で、場合によってはマシンガン→パンチ&キックを連発するだけで終わることも。

 まぁ、むずかしいモードでは必殺技使用回数の上限が3回なんで使用タイミングをはかる必要はあるんだけど、裏を返せば、かんたんモードや"ただクリアするだけ"のプレイではちょっと大味にも感じる。



 パワーアップはアトムハートの成長によりひとつずつゲージをアップすることができるというもの。アトムハートの成長はステージに隠れている手塚キャラと出会う(理解する)ことで可能。

 実は本作のシステム、というかシナリオ、手塚オールスター(もちろん欠けはあるが)でありながらキッチリとまとめ上げられていて実に良い。特に(以下超ネタバレ反転)1周目をバッドエンドとして火の鳥を配置、時間を越える能力を与えるという設定で任意ステージの任意パートに戻ることを可能に。以降、タイムやスコアアタックを可能にするだけでなく、全体のボリューム不足を抵抗なく水増しすることに成功。コレは見事。手塚作品へのリスペクト、システム化、キャラゲを一歩越えたゾルゲール哲氏(だけではなかろうが)の仕事には敬意すら覚えた。



 メガドライブ時代から続くトレジャー製アクションゲームの手触りを持ちつつ、決して時代に逆行していない、なおかつ(鉄腕アトムというより)手塚作品のキャラゲとして高い完成度を誇る逸品。

 学習型ゆえ初回プレイは難しいが、プレイ単位が短くテンポは良い。反面、全体のボリュームがやや物足りないが、それゆえ突き詰めたり、気軽に1周という昔懐かしい反復プレイを可能にしている。

 難をいうなら、ザコ敵を駆逐していく爽快感が薄いのと、フラグ管理の問題で隠しキャラが回収できない場合がある、という2点が残念。処理落ちに関しては、確かに多発するので人によっては不快に思うかも。

 ともあれ、アクション好きでもそうでなくても、アトム(手塚作品)好きでもそうでなくても安心してオススメできる1作。キャラゲだからと避けるのはもったいないデキなんで、よほどのアトム(手塚作品)アレルギーでない限りはやる価値アリかと。

first edition : 03/12/29
ひとこと 重厚長大に反乱するかのようなその姿勢、シビれる。

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