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データ
タイトル コトバトル 天外の守人 プレイ時間 20時間程度
/クリア
機種 GBC ストーリー ★★★☆☆
ジャンル カードバトルRPG キャラクタ ★★★★☆
メーカー アルファドリーム グラフィック ★★★★★
発売日 2001年 3月 9日 サウンド ★★★★☆
定価 4,500円 ソフトウェア ★★★★★
購入価格 1,480円 ゲーム性 ★★★★☆
総合評価 ★★★★☆
お気に入り度 ★★★★☆

本文
 例えるならMSX全盛期のコナミ
 プログラム、グラフィックともにハードの限界まで使いこなしているのではないかと 思える職人技のオンパレード。

 こと、末期に入ったハードではそういったソフトが発売される可能性が高く、この コトバトルも、その1本といえるでしょう。
# 逆に納期が圧縮された駄作も多いんですがね…



 ゲームは、ここ数年流行しているカードバトルを題材としたRPG。
 この世界でカードはコトダマと呼ばれ、それぞれに漢字1文字で現されていて、 コトダマ40個でひとつのデッキが構成されます。

 コトダマは、例えば、火、水、風、土といった感じで、それぞれのカードには文字に 相応しい能力が持たされています。
 カードの能力は、モンスターアイテム魔法に分かれますが、ひとつのコトダマに 全ての能力が備わっており、戦局を見極めて、どの能力を具現化させるかを考える必要が あります。

 本作の戦闘において、一番特殊なのは、コトダマの履歴システムでしょう。
 これは、コトダマが使用した順番に4文字まで記憶されるシステムで、先入れ先出しの 法則(Queue)が採用されています。

 先ほども述べたように、本作のカード、コトダマは文字で現されています。
 そして、履歴には、その文字が順に登録され、組み合わせによっては意味の通る 単語になります。
 火と花で花火、花と火で火花、水、力、発、電で水力発電、といった風に。

 その単語は、モンスター、アイテム、魔法のいずれかの能力しか持っておらず、 その効果も必ずしも役に立つものばかりではありませんが、使い方次第で戦局を変える だけの重みがあります。
 特に後半戦でライブラリアウト(カードが無くなる)の可能性がある闘いでは、 履歴にどれだけの単語を並べることができるかが鍵になったります。

 これらのコトダマを駆使して闘うフィールドは3体のモンスターが前衛に、コトダマ使いが後衛に配置されるかたちになっています。
# 変則として、コトダマ使いがいなかったり、敵がボス1体ということもありますが。

 コトダマ使いはコトダマを使うことしかできず、魔法攻撃以外では敵のコトダマ使いに 攻撃する手段を持ちません。

 ここで、魔法攻撃だけで決着をつけるようなデッキを構築するのもテではありますが、 基本戦術は、やはりモンスターを召還して壁をつくり、アイテムでモンスターを強化、 回復したり、魔法を使ってモンスターやコトダマ使いにダメージを与えることでしょう。

 モンスターは、アイテムや魔法を使わない限り、正面にいるモンスター、もしくは コトダマ使いを攻撃します。

 アイテム、魔法の効果は様々で、前述のように、敵のコトダマ使いを直接攻撃するもの もあれば、モンスターを強化、回復したり、相手のコトダマの履歴をずらすものまで あります。

 また、コトダマやモンスターには行動にうつるまでの時間が設定されていて、能力の 高いコトダマ、モンスターほど発動までに時間がかかる傾向にあります。

 ですから、デッキの構築には、各コトダマのモンスター、アイテム、魔法の効果から、 その速度、履歴でコンボが組みやすい組み合わせを考慮する必要があり、結構頭を 悩ませることになります。



 ゲーム自体は、ポケモンチックなRPGで、比較的簡単なシナリオを戦闘で繋げて いく形になっています。
 しかし、全体のテンポは良好ですし、世界中にちらばるコトダマ使いとの戦闘も豊富で 決して退屈なものではありません。

 また、コトダマ集めはもちろん、使ったことのある履歴の組み合わせが見れたり、 やたら強いコトダマ使いがいたりと、クリア後もやり込むことができる要素があるので、 じっくりとプレイしたい人にもオススメできます。



 しかし、本作で一番評価すべきは、そのグラフィックでしょう。
# プログラムもかなり頑張っているんですがね。

 16×16ドットのキャラクタの表現力はもちろん、スプライトキャラのBGへの 潜り込みを違和感無く見せる力量や、キャラとキャラを違和感無く繋げる技量には 感服するばかりです。
# プログラム的素養も必要な作業ですしね、コレは。

 まぁ、ぶっちゃけた話、256色とか、32,768同時発色とか可能な昨今、 多くの人は気にすることはないでしょう…、でも、この仕事はまさに職人技!
 ドットフェチ属性入っている人は、ゼヒとも観ておくべきでしょう。



 私のプレイスタイルから、カードゲームとして重要な対戦というものは未経験ですが、想像の範疇で答えるなら、比較的確率論で闘えると思います。
 ただ、使えるコトダマと使えないコトダマの差が大きそうで、最終的に出来上がる デッキのメインとなるコトダマに偏りが出そうな気はします。

 また、本作はプレーヤーにレベルのパラメータがあるので、条件をそろえるのであれば、 最高レベルまで上げておいた方がいいでしょう。



 結論をいいますと、全体的に標準以上の良作で、同時期に発売されたアドバンスの ソフトと比べても決して見劣りすることはないでしょう。
# 画面云々じゃなくですよ、念のため。

 確かに他機種で発売されているRPGと比べると小粒ではありますが、それだけに 細部まで行き届いていますし、何より、ゲームボーイというハードにマッチした内容だといえます。

 また、無名のメーカー(失礼)が、これだけ丁寧な作品を、世界観やシステムから オリジナルで仕上げていることは、充分評価に値すると思います。
 まぁ、チョい技術的観点から惚れているという点に世間とのズレを感じたりもしますが、 ここはひとまず、私の心の手帳に、ひっそりとアルファドリームという会社を刻んで 締めといたします。

first edition : 01/10/16
ひとこと いい仕事だ。

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