データ |
タイトル | MISSING PARTS the TANTEI stories |
プレイ時間 | 16時間程度 /クリア |
機種 | DC | ストーリー | ★★★☆☆ |
ジャンル | 探偵モノADV | キャラクタ | ★★★★★ |
メーカー | F・O・G | グラフィック | ★★★★☆ |
発売日 | 2002年 1月17日 | サウンド | ★★★☆☆ |
定価 | 5,800円 | ソフトウェア | ★★☆☆☆ |
購入価格 | 5,800円 | ゲーム性 | ★★☆☆☆ |
お人好し度 | ★★★★★ | ||
総合評価 | ★★★★☆ | ||
お気に入り度 | ★★★★☆ |
本文 |
見習い探偵、真神恭介の事件簿。 その全6話からなる事件簿の第1話、第2話を収録したものが本作となります。 # 3部作としたら出費がキビシイなぁ… ゲームの方は極めてオーソドックスなアドベンチャーゲーム。 ジャンルは探偵モノということで、特に推理をしなくてもクリアは可能です。 # 探偵モノ≠推理モノ、これ重要。 必要なのは、テキストを読む、移動先の決定、選択肢の決定、虫メガネで画面上の 特定ポイントをチェックする。これだけです。 当然、文章を追いながら推理をすることは可能ですが、歯応えを期待したら肩透かしを くらうかもしれません。 ふたつの物語は財閥の豪邸を舞台とした連続殺人事件モノと芸能プロダクションを 舞台とした殺人事件モノ。 多少の寄り道要素や評価といったものは存在しますが、基本的には一本道の展開。 その代わり、各話のボリュームはなかなかのもので、クリアにはそれぞれ7〜9時間 くらいはかかると思います。 では、各話の感想など… # 私は細かいことをゴチャゴチャ考えるのはニガテなんで参考にならないでしょうが…
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読む場合は文字反転を使ってください。 第1話は、事件が立て続けに起こり、その度に情報が整理されたためいい感じに 思考できたと思います。 また、人間関係の複雑さも手伝って犯人の特定ができなかったのもいい惹きに なっていました。 ただ、その人間関係が最後の方まで解からなかったために推理という点については 「どうだかなぁ…」って感はあります。 確かに終盤はテンポよく進んだ方が構成としてはいいと思いますが、事実の判明から 事件の解決までにもう少し間があった方が良かったかもしれません。 サブタイにもなっているオルゴールの扱いは事件の中心にありながら直接関係は していないという絶妙な配置になっており、この点は良かったと思います。 ただ、オルゴールの譜面を得るのにインターネット検索→midiという流れに なったのは時代を感じると共にお手軽過ぎるイメージがあります。 確かにあの時点でオルゴールが直ってしまうとエピローグが弱くなりますし、 冗長にならないという意味では正解ですが、ちょっと… 第2話は、キャラクターが事件現場に居合わせていないことや、調査が直接事件に 繋がるまで時間がかかったことで考える時間が少なかったり、整理すべき情報を 忘れてしまったのがツラかったと思います。 ここは要点をまとめた『捜査ファイル』機能が欲しかったですね。 # 自分でメモれという意見多数。 また、フリー移動時に盲導犬的に動かされたことでキャラクターが勝手に動いている のを眺めているだけになってしまっているのもいただけません。 ここは第1話で移動の自由度が高かったことがアダになったかもしれません。 他にも、決定的証拠とされた付け爪とそれに対する証言が証拠として弱く感じたり、 容疑者のひとりに対しての「性格が悪い」という意味ありげな証言が無意味だったり、 捜査を混乱させていた『ある人物』の失踪に関するオチを苦しく思えたりと、細かい 部分で納得がいかなかったのもシンドかったところ。 # まぁ、私だけかもしれませんが… ストーリーはそこそこ、と表現するのが一番しっくりきます。 システムはグラフィックとメッセージウィンドウを基本としたシンプルなものです。 また、ボイスはなく、安普請なのは否めないところ。 ま、この程度なら特に気にもなりませんが。 ただ、メッセージスキップが標準装備されていなかったり、クリア後にCG閲覧ができないのはちょっとシンプル過ぎ。 反面、シンプルなつくりながら効果を上げていた点として、人物や背景の演出が 挙げられるでしょう。 これは、人物の配置数を既存のものより増やし、拡縮効果で遠近感をつけたり、背景を 拡縮効果やスクロールで演出するといったもので、場面によってやや統一感に欠ける 気もしましたが効果はそれなりにあったと思います。 グラフィックは基本的に美麗で、特に人物グラフィックの多彩さは特筆モノ。 今までの岸上大策氏の絵から比べると骨太になって等身も上がったので、華がない ように感じるかもしれませんが、これは探偵モノにあわせた結果だと思います。 # 個人的にはいままでで一番好みです。 ただ、一部人物の頬の稜線に修正が欲しいのと、首をかしげたような絵が多いこと、 背景の塗りが地味すぎる点を残念に感じました。 サウンド関係は、BGM、SEともに足りない印象がありますし、音についても もっとこだわってほしかったところ。 で、キャラクターなんですが、コレが本作のキモになっていると思います。 レギュラー陣をちょっと紹介しておきますと… ■真神恭介 本編の主人公で駆け出しの私立探偵。 困っている人を放って置けないお人好しは依頼にきたはずの探偵事務所でなぜか 働いているという底抜け具合。 探偵としてはまだ未熟で周囲の人間に助けられることも多いが素質はあるらしい。 ■鳴海京香 鳴海探偵事務所の所長代理、とはいえ父親である鳴海誠司が失踪したために 事務所を切り盛りするハメになったというだけで探偵業自体はまったくの素人。 20代後半の美人ではあるが、随分と幼い性格をしている上に恭介をはるかに 凌駕するお人好しで事務所のジリ貧具合を加速させている。 ただ、実直な分頑固で融通が効かないところもあり、そのせいで成美との関係が ギクシャクしている。 無類の時代劇好きで子供のころからエアチェックを欠かしていないようである。 ■月嶋成美 日光をやたらと嫌うことから吸血鬼のあだ名を持つ女性。 勘は鋭く抜け目もないようであるが、基本的に面倒くさがりで、経営している アンティークショップ『セクンドゥム』に行っても寝ていることの方が多い。 また、下戸のクセに酒好き、酒乱のオマケつき。 下僕1号の哲平や2号の恭介は、ことあるごとにスピリットに呼び出されて、 酒の相手をさせられたり、介抱させられたり、暴走を止めたりしている。 京香とは過去にある事で揉めてから犬猿の仲となっているが、どちらかといえば 成美が京香をからかって楽しんでいるだけに見える。ま、そこらへんは大人です。 ■白石哲平 柏木久蔵宅の居候。 関西弁バリバリでひょうひょうとしているため軽いイメージを与えるが、意外と お人好しで恭介とはいいコンビといえるだろう。 過去になにがあったのかは分からないが、幾多の修羅場をくぐっているようで、 裏ルートの情報収集に関しては恭介より数段頼りになる存在。 ■柏木久蔵 好々爺然とした風体の老人。成美の育ての親で目利きの師匠でもある。 ご隠居という立場にいるはずだが古物商のそれだけにとどまらぬ情報収集能力は いまだ現役であるようにも思われる。 その正体については不明な点が多いものの成美を見る目は非常に優しい。 ■鴨居奈々子 恭介の行きつけのネットカフェ『サイバリア』でバイトをしている高校生。 京香や哲平とも顔見知りである。 いわゆる天然娘、しかも迷惑な方で、人の話を聞かない上に失敗も多く、あまつさえ 客(主に恭介)にヤバげなメニューばかり食わせようとする。 正直、なぜバイトをクビにならないのか不思議なのだがそれがキャラになっている。 ただ、ネットをはじめとした噂話に詳しく顔も広いため、ちょっとした情報源として 活躍することになる。 ■氷室裕 今回のふたつの事件を担当する刑事。 老獪、というのであろうか、非常につかみどころがない性格である。 鳴海誠司の元部下だったことから京香とは面識があり、また、恭介のことを買っている ようで共同戦線を張ることもある。 様々な説明を省き「………で?」から会話を始めるのが特徴。 個人的には本作No.1キャラクターです。 ■森川直治 氷室の部下で、猪突猛進型のいわゆる熱血刑事。 口が悪く、恭介とは会う度に漫才のような口ゲンカをしている。 ただ、根は意外と小心者でお人好し。そのため哲平や恭介にからかわれたり、 成美に下僕3号の称号を与えられるハメになる可哀想なヤツ。 # オイシイとも言う。 ■八重島かおる バー『スピリット』のマスター。 バーテンダーとしてのウデは確かで、こだわりのカクテルは絶品モノ。 日々、成美の被害(器物破損、営業妨害など…)を受けているにもかかわらず、今日も もてなす用意をおこたらない、おそらく本作イチのお人好し。 # カスミンのバー『ストレンジャー』と同じくらい行きたい店だ… ■諏訪高貴 諏訪法律事務所の所長。 鳴海誠司の知り合いということもあり恭介の捜査に協力してくれる。 一見、サボり癖のある気さくなおっさんであるが、その実、敏腕で顔も広い。 余談であるが秘書の緒川梨沙さんの尻にしかれているのが少し羨ましい。 この他にも、各話には個性豊かなゲストキャラクターが登場しストーリーを彩ります。 特にヒロインにあたるキャラクターは保護欲を刺激しまくりで、思わず護ってやりたく なること必至。 # 本作の女性人は基本的に強いですがね。 バランス的にもう少し『食えない』キャラを徹底して作品に幅を持たせて欲しかった 気もしますが、同時にこういった透明感のあるキャラがF・O・Gの作風だとも 思えるんでそこらへんの評価は微妙なところ。 全体的にシンプルなつくりだけにこのキャラたちを気に入るか否かで本作の評価は 随分と変わります。 それこそ、気に入ればそこそこ面白いテキストアドベンチャー、気に入らなければ 一本道で平坦な凡作と評価されることでしょう。 私の場合、事件の行方を追いながらその間にあるキャラ同士のかけあいを楽しむという スタイルが心地良く、ヤメどころを決められないままズルズルと、ってな感じで 楽しむことができました。 ですから、ライトノベル感覚で過大な期待さえしなければそれなりに楽しめるん じゃないでしょうか。 ところで続編が発売されるとしたらタイトルはどうなるんでしょうね? Vol.2とか付けるのか、それともMISSING PARTSの方を 変更するのか、はたまた続編の発売自体がそんなに怪しいのか… # 低コストで続編をつくらないと会社がもっとアブないかもしれんが… できれば作品としても商品としてもハッピーエンドを迎えることを祈って筆を 置きたいと思います。
first edition : 02/02/02
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ひとこと | 「………で?」を日常会話で使うことにあこがれます。 |