100hit/蒼神 水鶏様/「漆黒の如し変わらない空」 100hit(蒼神 水鶏様:一回目)リクエスト作品
「漆黒の如し変わらない空」

―ファルが旅立った時、別の場所でも冒険は始まっていた。

「何だ兄ちゃん、俺様とやろうってのか?」
「…だとしたら?」

―1人の青年が酔った男にからまれている。

―とある町の酒場―

「俺様達の美味い酒を不味くしたんだ、兄ちゃんの金で弁償してもらうぞ!」
「…金は持っていない。」
「兄ちゃんは旅人なんだろ?金くらいは持っているだろうが。」

―酒場のマスターは、「もめ事する位なら外でしてくださいよ」とカウンターから言った。青年はこくりと頷き、こう言った。

「…表に行くぞ」
「兄ちゃん、ここでやろうぜ。」
「…他人に迷惑をかける気は無い。表で待つ。」

―酒場を出ていく前に青年は言った。

「…“兄ちゃん”は止めろ。俺の名は…“ソラ”だ。」
「ちぇ、気取りやがって。」

―そう言うと、ソラと名乗る青年は、酒場から出ていった。

「どうするんですか?彼…ソラ君はやる気ですよ?」
「売られた喧嘩は買わねえとなぁ…。」
「ただ…私は、彼の強さを知っています。それでも…やるのですか?」
「お前にグダグダ言われる筋合いなどねぇ!」
「分かりました…ただ、表でやってください。店を荒らされては困りますからね…。」

―酒場のマスターは、グラスを拭きながら言った。周りを見ると、まだ飲んでいる人がいた。

「…わあったよ」
「それでは…。」

―そして酔った男も外へ出ていった。

「…来たか。」
「さぁ、とっととやろうぜ。」
「…。」

―そう言われると、ソラは腰に差していた鞘から「紅」と呼ばれるレイピアを、酔った男は、斧を取り出した。

「…来い。」
「お前からだ。」

―一息してから、お互いに走り始めた。それぞれの武器を持って。

「はっ!」
「ぐぬおっ!?」

―ソラは、一撃で片そうと思ったのだろう。人体急所の一つ…頚動脈を狙っていた。
 しかし…それは僅かに反れた。それでも一撃は与えたのだ。

「…酔いは覚めたか?とっとと…家に帰れ。でなければ…」
「でなければ…何だ?」
「この手で…貴様を殺す…!!」
「お前なんかには殺されねぇよ。」
「1つ言っておく。俺は…数限りなく人を殺すのを見せられ、見せてきた男だ…それでも、やるつもりか?」
「俺様は…1人じゃねえんだぜぃ!!」
「…その戦法は、もう見飽きた…。」

―そう言いながら、流れる様に敵の急所を突き、敵の攻撃を避けて行った。もう、かなりの数が減っている。

「雑魚は雑魚にしかならん…。」
「なぁ…!?」

―一息付いた時にはもう、全ての手下が倒れていた。

「悪かった!許してくれ!!」
「…貴様は…これだけの数を土に還らせたのだ…。そんな貴様を…許す訳には行かない!!」
「―!!」

―この日、字にならない悲鳴が夜の町に響き渡った。



100ヒットリクエスト小説です。
リクエストしてくれたのは、「蒼神 水鶏」さんでした。
テーマは「オリジナルメンバーのシリアス小説」と言う事で書かせて頂きました。
今回は…メインがソラ一人しかいなかったりして…。
しかも途中からダークになっちゃたりして…。
結論として言えば、ソラメインで行くとこんなにダークな話になるという事ですね…(滝汗


なお、この小説は蒼神 水鶏様のみに捧げる小説です。
他の方は、転載・保存を禁止致します。

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