変身した旦那



こんなことを書くと、怒られるかもしれない。
でも、最近はヤツの懐もかなりでかくなったから
多分怒らないであろう。←牽制。

うちの旦那の話である。

わたしの体調がおかしくなった頃、彼はたいして心配もしていなかったし
気にも留めていなかった。
どれくらい気にも留めていなかったかというと、

あるとき、彼が会社からプレゼントされた家庭の医学を見ていたわたしは
甲状腺機能亢進症のページを発見した。

「もしかしてわたしの病気はこれかもしれない」
「そうだね、似てるね」
「ほら、この病気の人はとにかく神経が細かく働きますから
周囲の人はやさしく接することが重要ですって書いてあるよ」

甲状腺についてのページを全部読まされた彼は読んだ後、こう言った。

「ふーん、そうか。じゃ少し気をつけるかな」

3分後、彼はわたしに喧嘩を売った。
少しって、3分かい。ウルトラマンじゃあるまいし。

病気が確定したとき、彼は東京に単身赴任をしていた。
電話で甲状腺機能亢進症だったことを告げると
「その病気死なないんでしょ。じゃ、いいじゃん。」
と、あっさり彼は電話を切った。

以後、薬のことも、どんな病気なのかも一切なにも聞かなかった。
再三、どんな病気か調べてよ。
ほら、ネットのここにこういうサイトがあって
病気の情報も載っているから調べて見てよ、と言っても
えっちなサイトや、自分の趣味のサイトは積極的にみるくせに、
病気のことについてのサイトは一切見ようともしなかった。

友達との関係で悩んでいて相談しているのに
「友達に話せば?」
とか
「心がすごく苦しい」
と言えば、
「じゃあ寝てれば?」
と言ったり、とにかくいつもそんな風だった。

一緒に住んでいた頃。

「心が苦しい」とか
「死にたい」とか
「昼夜が逆転する」とか
「騒音がダメ」とか
「心にささくれができている」とか
「心が石で押さえつけられている」とか

そういうことばかりを訴えていたわたしは
「急に家事をしなくなった頭が少しおかしい怠けてるやつ」
だったのだろう、彼にとって。
たぶん。

ご飯を作らないといっては喧嘩して
小遣いを渡さないといっては喧嘩して
わたしの気に食わないことを言ったといっては喧嘩して
彼の声がでかすぎるといっては喧嘩して
ほんと、ありんこほどの原因で毎日毎日喧嘩をしていた。
日曜日なんて朝から晩まで体力の続く限り喧嘩をした。

数々繰り広げられた喧嘩のなかで一番くだらないのは
「ゆで卵事件」だ。

彼が子供を連れて実家にご飯を食べに行った。
帰りに、義母がわたしにと、ご飯を包んでくれたのを持ってきてくれた。
その中にゆで卵が3個入っていた。
わたしはとてもおなかが空いていて、どうしてもゆで卵を2個食べたかった。
実家でご飯を食べてきたはずの子供が
「ぼくもゆで卵2個食べたい」という。
「じゃ、パパにゆでてもらいなよ」
というと、彼はわたしがゆでるべきだという。
体を動かすのもつらかった時期、卵をゆでるのさえ億劫だったわたしは
彼にゆでるように食って掛かった。
喧嘩を避けるため、自室にこもろうとする彼に、
わたしはわざわざ台所へ行き、鍋をつかみ
彼に突きつけて卵をゆでろと言った。
そこまでするのなら、自分で卵くらいゆでられたはずであるが
もう、わたしは彼に卵をゆでてもらうまで気が治まらなくなっていた。
すると、突然、彼はわたしの腹に回し蹴りをした。思い切り。
とめようとする子供の頭を叩き、片手で振り払った。
その反動で子供は窓に思い切りたたきつけられた。

この事件を境に、日々の鬱憤がたまっていたわたしたちは
過去のいろいろな思いが一気に噴出し、
離婚問題にまで発展した。
ゆで卵一個で離婚問題に発展したうちなんて、
世界広しといえども、うちくらいなものだろう。
今考えても、超くだらない喧嘩である。

ちなみに彼の名誉のため書いておくが、
結婚生活の中で彼が暴力を振るったのはこれ一回のみである。
しかも、この事件はうちにとっては、もういまや、友人を笑わすネタである。

のほほーんがモットーである彼は今、わたしよりも甲状腺について詳しくオタク化している。

わたしが何をしようと怒りもしなければ、
わたしが動ける動けないに関わらず、家事の8.5割を彼が手がけている。
よほどのわがままでない限り、わたしの願いも聞いてくれるし
知らない人と話をするのが苦手なわたしのために、近所づきあいや
子供の学校行事なんかも、99%彼が請け負っている。
とにかく、わたしにストレスがかからないようにかからないように
日々努力している。
ばせど〜の妻を持つばせに優しい理想の夫目指してまい進している。

何ゆえ、彼がそこまで変わったのか。
それはまだ語れない。




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