■JRAを一刀両断 〜牧場長@@〜編
 
 ローテーションの不整備さが招く弊害
 言いたいことは山ほどある。これが今のJRAに対しての正直な気持ちではないだろうか。

 まずわたくしがもっとも言いたいのは、ローテーションの問題。現在のJRAの競馬番組は正直言って、駄作であろう。「ダービーに始まり、ダービーに終わる」、これをJRAは明確にしているだけに、春競馬の3歳限定レースのローテーションはなかなか良い。しかしだ、ジャパンカップに3歳馬を出走させたいからという理由で、2週菊花賞を繰り上げたのはどういうことか。

 2週繰り上げた最初の年、3歳勢からは、2冠馬エアシャカール、ダービー馬アグネスフライト、オークス馬シルクプリマドンナの3頭挑戦したが、結果は惨敗。3頭の実績をみれば、3冠レースすべてのの勝ち馬に、牝馬の頂点を極めた馬。これほど実績に申し分のない陣容をしきながらの惨敗。馬のレベルもさることながら、菊花賞を2週繰り上げる意味のないことを、初年度から如実に表してしまった。

 特にローテーションが整備されていないものに短距離部門が挙げられる。「G2とはどういうレースで無ければいけないか?」という哲学的なことをここで長ったらしく語るつもりはないが、短距離部門の前哨戦は、それはそれはお粗末なものである。

 まず、高松宮記念とスプリンターズS、2つのスプリント戦の前哨戦は何か思い出してほしい。前者は阪急杯G3、後者はセントウルSG3である。G1の前哨戦がともにG3戦とはどういうことか? まだ、実績に応じて斤量が変わる「実績別定戦」ならば話はわかる。しかしだ。このG3・2レースはともに獲得賞金に応じて斤量が変わるという「賞金別定戦」。こんな前哨戦で、本番の力関係を見極めなさいと言う方がムリである。

 ブラックホークが安田記念を制したのは昨年のことだった。そして、陣営はレース後速くも秋初戦にスプリンターズSを選んだ。なぜか? ステップレースに出られないからだ。セントウルSに出走すれば、間違いなく60キロ超になる。2000年の番組改正から、スプリンターズSは「安田記念以来の出走」という馬が格段に増えた。マイルCSのためのステップレースとして見なされているならば、もはや、スプリンターズSはG1の価値はないと考えたい。

 そういうことからも、阪急杯、セントウルSはG2、いやG3のままでもいい。せめて、「実績別定」にしてもらいたい。それから、安田記念の前哨戦、京王杯SCもそうだ。96〜99年の間は、中3週だったが、2000年からは中2週。中2週になった途端、安田記念が異常なまでに荒れるレースへと変貌を遂げた。これも早急に中3週へと戻すべきである。どうせならば、スワンSも1週繰り上げてもいい。

 次に言いたいのは、春競馬の番組の薄さである。春競馬は、ダービーを中心に回っているためなのか、他のレース形態が非常に盛り上がらない。ダート路線などはどうであろうか? 2月に早々とG1をやってしまうため、夏はただ指を加えてるだけ。統一重賞路線が整備され、帝王賞が一応、春のダートの頂上決戦となっているが、売り上げ回復を図りたいJRAがそんなことを黙って見てるばかりでよいのだろうか?

 また、古馬戦線もまた然りである。もともと天皇賞・春には出走頭数が多くない。当然である3歳馬が出走出来ない時点で、フルゲートを望む方がおかしい。だからといって距離を短縮するなどとはもってのほかである。ついにJRAの幹部は頭が巻ききったか? 挙げ句の果てには、暑い中宝塚記念の施行では、売り上げどうのこうのよりも出走頭数が増えないのは当然であり、そこにメスを入れていくのがスジというものではないだろうか。

 さらには、牝馬も出走するレースがない。グレード制導入以降、2000メートル以上のG1に勝利したのはエアグルーヴしかいない。だからこそ、牝馬は安田記念などを目標にするしかないのが現状である。栗東の伊藤雄二調教師などに、春を全休させる馬が多いのもその性であろう。これはこれで問題があるのであるが・・・。

 だからこそ、わたくしは春競馬に牝馬のG1をヒトツ新設する案を提言する。JRAの売り上げが上がりさえすれば、その甘い汁を吸って活きている人間、具体的に言えば国会議員、もっと突っ込んで言えば橋本派の人間は満足するはずである。だったらば、ヘリクツなど言ってないで、牝馬G1を春競馬に新設すべきであろう。それができないのであれば、ローズSを「定量」のG2に格上げするなどしても罰はあたらないはずだ。

 本番が荒れるから、荒れないからというのは要するに、ファンの馬券の買い方が間違っているか正しいかと言うことになるわけである。だから、無条件で「マンシュウ、マンシュウ、マンシュウ!」と吠えている学習能力のない「穴党」の人たちは残念がるかもしれないが、正直荒れる本番のレースなどは多くて良いはずがない。荒れる、荒れないというのは、ローテーションが整備されているか、されていないかという点が非常に重要であるということをもう一度考え直してほしい。

【牧場長@@】