■有馬記念 VTR Vol.5 〜2001年第46回大会〜
 
 時計の針が進み始めたとき
 2000年、2001年、世紀をまたいで競馬を盛り上げたのは間違いなくテイエムオペラオーだった。そのテイエムオペラオーが引退するときが来たのである。ジャパンカップで、この年のダービー馬・ジャングルポケットに敗れ、長かった「オペラオー朝」には、世代交代の足音が確実に近づいていた。

 1番人気はテイエムオペラオー。2番人気はメイショウドトウ。ここまでは昨年と同じだった。そして、3番人気には、上昇度著しいマンハッタンカフェが名乗りを上げていた。

 ゲートが開くと、大方の予想通りホットシークレットが出遅れ、同じ勝負服のトゥザヴィクトリーがハナを奪った。そして昨年とは違って、メイショウドトウ、テイエムオペラオーは早め早めの競馬。中山巧者シンコウカリドが2番手に上がったところで、最初のホームストレッチに入った。

 正面スタンド前を通過する馬群は縦長の展開となっていたが、トゥザヴィクトリーが逃げるレースは明らかにスローペースへと落ち着いていた。テイエムオペラオー、メイショウドトウ、マンハッタンカフェはほ、ほぼ同じ位置取りでレースを進めていた。そして、その後ろには、2冠馬テイエムオーシャンがつけていた。

 向こう正面に入ってもペースは上がらず、トゥザヴィクトリーが1馬身の逃げを打っていた。最後方からはナリタトップロードが進出し、復活にかけていた。そして、3コーナー間近、馬群が固まった。外の方からトウカイオーザが動き、その外にナリタトップロード。そして、その2頭をこじ開けるようにマンハッタンカフェが動き始めた。

 テイエムオペラオー、メイショウドトウは外目を上がって最終コーナーへ入った。しかし、誰の目に見ても、マンハッタンカフェの脚色の方が勝っていた。内でトゥザヴィクオtリーが逃げ粘りをはかるなか、大外にマンハッタンカフェが持ち出し、その内に、テイエムオペラオー、メイショウドトウが進んでいた。しかし、マンハッタンカフェはテイエムオペラオーを並ぶまもなく斬って捨て、メイショウドトウを振り切り、残り50メートルでトゥザヴィクトリーを交わし、先頭でゴールインした。

 このレースを最後に、競馬の中心であり続けたテイエムオペラオーが引退した。ジャパンカップ、有馬記念と、相次いで3歳馬に敗れ、世代交代は終了した。それは止まっていた時計の針が、進み始めたことを意味していた。

 この、テイエムオペラオーを負かした2頭は後に、春の天皇賞で1着、2着するのである。この日、マンハッタンカフェの勇士を見た、中山競馬場に詰めかけた競馬ファンは、ニューリーダーたちのへの期待で胸躍らせていた。本日快晴。晴れ渡る青空までもがその事実を認めているようだった。

【牧場長@@】