スタジオ工事


1・浮き床造作

a・96Kグラスウール敷き込み

壁の色が白の部分がKBB型枠で外壁、コンクリートの部分が室内壁にあたる部分である。
スタジオ全体に密度96Kのグラスウールボードを2重に目違いにて床に敷き込む。

縁の部分をセルフレベリングコンクリートの高さの分立ち上げる。浮き床と建物の縁を切って完全な浮き構造にするためである。
機材用のマルチケーブルを配線する空配管もグラスウールの中に埋め込んで貰った。

b・亜鉛鉄板敷き込み・気密シート敷き込み・配筋

亜鉛の鉄板を敷き込む。これはコンクリートを打設する際の型枠の意味で施工される。縁の部分も立ち上げたグラスウールに合わせて立ち上げ、バスタブ状にする。
その上に気密シートのフィルムを敷き込む。これはコンクリートがグラスウールに染みこんで空気層としての役割を果たさなくなる事を防止する為に施工される。
コンクリートの強度を出すために配筋もする。

c・コンクリート打設

厚さ70mmのコンクリートを打設する。
グラスウール25mm×2+亜鉛鉄板0.8mm+防湿シート+コンクリート70mm=約126mm床が上げ底になる。
以上で湿式の浮き床の完成。

2・防音換気扇設置


吸気側。吸気は自然吸気。

排気側。排気は電動ファンで強制排気。接合部分は全てシーリング剤でシーリングされ気密性を保持する。

コンセント・照明等の配線を行っておく。

3・防音ドア取付


ヤマハの防音ドアを取り付ける。
RCへ鉄筋を打ち込み、そこへドア枠を溶接して設置する。
本来なら、防音ドアは浮き構造の一部として、浮き床・浮き壁に取り付けるのが理想なのだが、施工上の問題などで我が家では、ドアは駆体側へと取付を行った。

4・釣り天井造作


防振吊り具。ゴムブッシュで振動を吸収する構造になっている。

スラブ天井に埋め込みスタッドを打ち込み、防振吊り具を介して野縁を組んでいく。
スラブ面から、野縁の下側天井面までは、233mm。これが空気層となる。

5・浮き壁造作


釣り天井と浮き床で挟む様に、2×4材で浮き壁を造作する。

この際、野縁などが、壁に接触したりしないように、気を付ける。
RCの壁面から、縦木の壁の内側面までの距離は、130mm。これが空気層となる。

6・吸音材充填


天井にロックウールを敷き込む。

壁には、32Kのグラスウールを充填する。

ドア枠の隙間にもグラスウールを充填する。

7・石膏ボード貼り上げ


天井に石膏ボードを貼り込んでいく。ボードは継ぎ目が重ならないように2枚重ね貼りをする。
この際、ボードとボードの継ぎ目は、遮音コーキングというコーキング剤を充填し気密性を保持する。

壁も同様に遮音コーキングを入れながら2重貼りにする。

8・天井仕上げ


天井の仕上げに、吸音性のあるロックウールの天井材(オフィスの天井でよく使われているもの)を貼り上げる。

9・壁仕上げ


壁の反射面に設定した部分は、通常のクロス仕上げで仕上げる。打ちっ放し模様のクロスを使用した。

吸音面に設定した壁は、グラスウールにガラスクロスを縁貼りした物を貼り上げて仕上げを行う。

10・電気設備


照明は、白熱灯のスポットライトを設置する。蛍光灯は整流器が付いているので、そこから発生するノイズをギターやベース等のピックアップマイクが拾ってしまうのでスタジオでは使用しない方が良い。

スイッチやコンセント類は、防音性向上の為に壁にあける穴が最小で済む様にあえて露出型を使用する
地下であるので湿気が溜まりやすいので、換気扇はタイマー制御で毎日定期的に、夜11時〜朝7時まで自動的に換気を行う

エアコンの配管は事前に浮き壁を作る前に行い、真っ直ぐにスタジオ内から外へ抜くことはぜずに、数m横に這わせてから浮き壁内に引き込む様に設置してある。配管穴は配管後発砲充填フォームで埋めて気密性を確保する。

呼び出し用のフラッシュライトを設置する。演奏中はちょっとやそっとの音では聞こえないので、2Fからボタンを押すことによってフラッシュライトが点滅することにより用事があることを告げる為のものである。レンタルスタジオで終了5分前に点滅するアレと同じ意味のものである。

スタジオの階段室には、2Fと内線通話が可能なインターホンを設置する。フラッシュライトで呼び出して貰い、スタジオの外に出てインターフォンで話をするという運用になる。

以上で機材を入れてスタジオの完成!

とHPで説明すると簡単なのだが、実際にはかなり大変であった。
なぜこういう仕様になっていうのか?なんでこういう施工をするのか?ということを、現場監督と職人さんにきちんと伝えて理解して貰った上で工事を行わないと、やり直しやり直しの連続で工事は進まないし、お互いに疲れ果ててしまう。専門の防音業者を使う分にはこういう苦労は無いのだろうが、安く上げようと思うとそれなりに苦労は必要であるということである。