音響特性


今は便利な物でパソコンのフリーソフトでスペクトラムアナライザーが手に入ります。
PCの音源カードのマイク入力にマイクを繋いで、どんな周波数でどのぐらいの音量がでているかを測定(実際にはマイクの特性やらなんやらで多少の誤差は出ますが、素人が遊びで使う分には十分です)出来るWaveSpectraというソフトウエアです。

WaveSpectraと同じ作者のソフトで、測定の音源にはWaveGeneという色々な周波数の音が出せるテスト信号発生ソフトもあります。

この二つを使うことにより、スタジオの音響特性を測定することが出来きます。スタジオの周波数特性を調べることによって、PAのイコラーザーで音響特性をフラットに修正したり、マイクがハウリング起こしやすい周波数を割り出しそこの周波数をイコライザーでカットすることにより、ハウリングを起こしにくくする事が可能になります。

測定には、PCのヘッドフォン出力をPAに接続してWaveGeneによりホワイトノイズ(広く全体的な周波数が発生するので全体を測定するときはこれを使うのが便利)を発生させ、同じくPCに接続したマイクロフォンによってWaveSpectraでスペクトラムをアナライズする(笑)のであります。
WaveSpectraは、ピークホールドモードにしておきます。

 
使用した測定機材
PC DELL INSPIRON 1100
マイク SONY F-V510

1・PAとスタジオの音響特性

まず、WaveGeneでホワイトノイズを発生させ、PAの全てのイコライジングをセンターにして、PAの素の状態の音響特性を計ってみます。一応練習の時を想定してフットモニターも全てドライブしてみます。

ここで注意すべき点は、ボリュームを上げすぎないこと! 音響特性の測定なので、音が大きい必要は全くありません。要はバランスを見るだけです。ホワイトノイズ等のテスト音源は通常の音楽やボーカル等ではあり得ない周波数をずっと出し続けます。よくスピーカーの仕様にMusic80W Normal40W等という表記がありますが、これは音楽を聴くなら時々80Wぐらい入れても壊れませんけど、連続的に入力するなら40Wぐらいまでです。という意味です。許容入力は大きい方が偉いという風潮があるため通常スピーカーの耐入力はMusic(瞬間最大許容入力)だけが表記してある場合が多いようです。ですから今回のように連続的に音を出す場合は、通常使うレベルの半分のボリュームが限界の出力と思っていれば、スピーカーを壊しません。

ちなみに、私は不用意にボリュームを上げて見事にPAのミッドスピーカーを4本飛ばしました・・・・シクシク・・・・。

気を取り直して、下記が素の状態の測定結果です。

400Hz付近と4KHz付近に山があります。

これをグラフィックイコライザーを使って山を削って測定したのが下記です。

だいぶ山が平らになりました。まだ若干山が残っていますが、手持ちの16バンドのグライコではカット出来ない谷間の周波数のためこれで良しとします。

この状態で音楽を聴いてみます。
曲は、tamba trio の mas que nada です。今度は音楽ですので、限界ギリギリまでボリュームを上げて見ます。

さすがに、PAウーファー(200W+200W)+PAハイ(150W+150W)+フットモニター(120W+120W+150W+150W+150W+150W)をフルドライブ(W数はパワーアンプのW数)で一曲聞くと気が狂いそうなぐらいうるさかったですが、以前はホーンセクション等の耳障りなキンキン音(多分4KHzあたり)が聞こえていたのですが、それが無くなり全体的に落ち着いた感じの音になりました。ウッドベースの音でスタジオ全体が揺れてましたけど(笑)

2・ボーカルの音響特性

次に、PAにボーカルマイクを繋いでそれを音源に音響測定をしてみます。
ボーカルマイクは、BHERINGERのXM8500というマイクです。58を買うお金が無かったので安物ですが、結構安物とは思えないなかなか太い良い音のするマイクです。
マイクは、コンプレッサーリミッターゲートを通してPAに接続してあります。
PAで今までよりボリュームを上げてもハウリングを起こしにくくなっています。この状態でボリュームを上げて行って、ハウリングを起こす周波数をスペアナで確認してそこを下げていくとどんどんハウリングは起こさなくなりますが、音が痩せてしまうのでそれはしないことにします。

リバーブをちょっとかけて気持ちのいい音にして自分で歌を一曲アカペラで歌ってみます。誰も聞いていないので、大声でシャウトしながら恥ずかしげもなく歌ってみます。
曲は、水戸黄門のテーマ曲です(笑)

300Hz付近で、CDでは出なかった0dBというピークが出ています。録音された音楽とは違う、生演奏の怖さがこの辺にあります。
そして喉が痛くなりました。

3・キーボードの音響特性

他の楽器も計ってみましょう。ボーカル同様PAに繋ぐのがキーボードです。Kスタジオではキーボードアンプも用意してあるのですが、それはキーボードのニアモニター用がメインで外に出す音は、やはりPAを使います。
オンボロのYAMAHAのDX21をPAに繋いで音をだしてみました。

まずは、プリセット音源のオルガンです。

ピッチベンダーなどを駆使して、出せる限りの低音から高音まで出してみました。

次が、ピアノの音です。

こっちのほうが強力です。

シンセ等のキーボードは電子楽器ですので、音色によってボリュームは全然違いますし、ハウリングを起こさないのでボリュームは上げ放題ですしほぼ全域の周波数を出すことが可能ですので、強敵です(笑)。ドラマーとしてはキーボーディストには控えめにお願いするようにゴマを擦っておきましょう。

4・ギターの音響特性

次はギターです。ここからは、PA設備は使わずにアンプからの音響測定です。

ハムバッキングのギターをFENDERのROC PRO100という100Wの真空管アンプに直結し、全てのつまみを10にして(笑)ギターをかき鳴らしてみました。アームを使ってこれでもかという低い音から、ボトルネックを使って超高音域まで幅広く音を出してみました(笑)

うるさくて脳が溶けそうでした。

5・ベースの音響特性

次はベースです。

アクティブピックアップのベースをBHERINGERのULTLA BASSという300Wのヘッド+15インチのキャビネット×2に繋いで、やっぱり全てのつまみを10にして(笑)ベースを弾きまくります。スラップからピック弾きまで一通り音を出してみます。

スタジオがぶりぶり揺れますが、途中であることに気が付きました。ボリュームは半分以上上げても、音が歪むだけでスペアナで測定されるレベルは変わらないと言うことです。アンプヘッドの特性上半分以上はボリュームを上げても出力が飽和してしまうようで実行値的には意味がないようです。電気の無駄使いですので、ボリュームの上げすぎには注意しましょう。

6・ドラムの音響特性

最後がドラムです。

死ぬ気で大きい音を出す様に叩いてみます。

酸欠で死にそうになりました。

ドラムはマイクやアンプを一切通さないスタジオでは唯一のフルアコースティックの楽器です。汗だくになって死ぬ気で叩いても、全楽器で一番小さい音量しか出すことが出来ないパートです。ピークで10dBの差があります。たったの10dBじゃないか?と思う方も居るかもしれませんが、10dBというのはすっごい音圧の違いがあります。気になる人はデシベルについて勉強しましょう(笑)

ただし、実際には私がテストしたようなボリュームで他の楽器が演奏することはあり得ません(他のメンバーに殴られます)が、他の楽器の人は生身のドラマーを労りましょう(笑)

しかし・・・元旦の深夜3:00になにやってんだか・・・・