除湿について考える


湿度80%

我が家の地下スタジオは、タイマーによる換気扇の自動運転をしている。また、温度・湿度計の付いた時計も設置されていて、湿度が数値でわかるようになっている。

スタジオにはドラムやギター等の楽器が置いてあり、楽器に適切な湿度というのは、一般的に50%程度だといわれている。

冬から春にかけては、換気扇だけで25℃で55%程度に保たれておりこれは結構優秀な地下室だなと思っていたが、梅雨に入って湿度が高くなるにつれて湿度計が26℃で80%という高い値を指している日が続くようになった。

これではさすがに楽器類がおいてあるので心配だし、カビ等の心配も懸念されたので、外部の湿った空気を取り入れる換気扇ではなく、深夜にエアコンの除湿運転をすることにした。

これにより、湿度は25℃で60%程度まで下がるようになった。むっとした感じも無くなり、ヒンヤリした地下室に戻った。

エアコンの除湿

エアコンの除湿について工藤建設のSさんから、あまり意味ないですよと指摘を受けたので自分で色々調べてみた。
その結果下記の様なことがわかった。
まず、従来のクーラーは部屋の温度が30度でエアコンを20度に設定した場合、コンプレッサーで圧縮と蒸散により空気を冷やしてエアコンからは15度ぐらいの空気が出て部屋の空気をかき混ぜて20度にするという方式で、20度になったところでエアコンが停止して、空気があったまってくるとまた15度の空気を出して、温度を調整するというのを繰り返すものであった。

このあとインバーター方式というのが出てきて、コンプレッサーをきめ細かく調整する(細かいことは難しいので省きます)ことで、20度に設定したら20度の空気が出てくるエアコンが登場した。これは効率よく電力を消費するため省エネタイプとして一気に普及した。

インバーター方式は、ずっとエアコンを運転させっぱなしにしておいて室温を一定に保つという事を前提にすると、非常に低い消費電力で運転することが可能な方式である(逆に我が家のようにエアコンはたまにしか動かさず、使うときは一気に冷やしたいという家では不向きな方式ともいえる・・・)。

ただしインバータ方式の欠点として、旧来のクーラーのように空気を急激に冷やすことをしないため、温度差を利用した空気の除湿という効果が薄いという問題が出てきた。(この辺がおそらくSさんの指摘してくれた事だと思う)

また従来方式の除湿運転というのは、コンプレッサーを動かして空気を常に冷やして除湿を行うため、部屋が冷えてしまうという欠点があった。

ここで登場したのが、最熱利用方式という除湿機能である。
これは従来どおり一気に空気を冷やし除湿をするのだが、その除湿された空気をコンプレッサーの熱を利用して設定温度まで暖めて、室内に供給するという方式である。
これにより、インバーターエアコンの除湿能力不足と、従来方式の部屋が冷えてしまう除湿の問題点を克服したのである。

ただし、この再熱利用方式には、重大な欠点がある。それはその動作原理のため電気の使用量が冷房運転の3倍近い電力を消費するということである。(カタログの消費電力の表示などにはこの事は触れていない場合が多い)

まとめると、

  1・インバータエアコンは、除湿を目的にした冷房は設定温度が高いと効果が薄い。
  2・最熱利用式除湿のインバータエアコンは電気代をケチる為の除湿運転は本末転倒である。

というのが判ったことである。

で地下スタジオに付いているエアコンは、このインバーター方式で再熱利用型の除湿機能を備えたダイキンのエアコンである(マイナスイオンも出るらしい)。ダイキンではこの再熱利用型の除湿を「さらら除湿」と呼んでいる。

我が家のエアコンは合計4台あり、同型のエアコンがLDにももう一台付いている。他の2台は滅多に使わないので一番廉価なインバーター方式ではないエアコンを選定している。

除湿機

工藤建設のSさんは、除湿専用機の導入を薦めたが、専用の除湿機というのは大きく分けて、2種類の方式があり、それぞれに下記の様な一長一短がある。
コンプレッサー方式 デシカント方式
得意な室温 高温 低温
室温の上昇 小さい 大きい
電力消費 少ない 多い
騒音 大きい 小さい
重量 重い 軽い
除湿をすると室温が下がるというイメージがあるが、どちらの場合も、室温は上昇する。主に夏場がメインで使用することを考えるとこれは得策で無い気がする。
それ以外にも
 ・除湿した水はタンクに蓄積され、いちいち捨てなければならないので手間がかかる。
 ・物理的に部屋を狭くする。
 ・新たに初期投資が必要となりランニングコスト(電気代)も発生する。
 等などの理由で、我が家では除湿機の導入は却下になった。

エコカラット

設計時には吸湿性能のあるタイル材のエコカラットを地下室に導入するつもりだったが、コスト面(特に工賃)でとりあえずやめておいたが、梅雨の時期はやはり必要だと思い、DYIでエコカラットの施工をした。
部材は施工が簡単な、パッチンカラットというのを選択した。

・元の状態は打ちっぱなし風壁紙である。まだ新築といっていい状態で、表面も凸凹等ないので、このままこの上に施工をする。


・専用のボンドをタイルの裏の所定の場所に点付けして、場所を決めてタッカー(ホッチキスの大きい奴)で、止めるだけの簡単施工である。


・一列施工が終わったところ。あっという間である。と言いたいのだが、下側を壁の幅木にラインを合わせたのだが、この幅木が曲者で実はまっすぐではなく、タイルのラインが凸凹になってしまうので、結局タイルがまっすぐに並ぶように、タイルの下側を調整して貼る作業が入ってしまったため難航した。


・2段目と3段目は、あっという間に張り上げが完了した。最後に幅木を張って縁取りをして面積的には2.5uのエコカラットの壁が完成。
INAXの推奨する室内面積に対するエコカラットの面積としてはだいぶ少ないが、吸音材仕上げになっている壁には施工できないので仕方が無い。やらないよりはやったほうがいいと思うのでしばらく様子を見ることにした。

下記の様な階段室側にも施工をした。

○窓が無いスタジオ用のトイレの壁面の一部

○地下階段室の壁面の一部


今回購入したエコカラットは、インターネットの通信販売を利用して、エコカラット3ケース(66枚)+エコヌール1Kg(ボンド)を送料・税込みで\24,990で購入した。
工賃は自分でやったので、ただである。施工に要した時間は3箇所で4時間程度(加工がなければ半分以下で終わったと思う)

 エコカラットを施工した途端に梅雨が明けてしまったので、単純な比較はできないが、現在のスタジオの湿度は、60%程度に抑えられている。
スタジオよりも、空調設備・換気扇の無い階段室側の方が効果が大きい気がする。前はムッとした感じがしたのだが、それほど蒸してる感じがしなくなった。
まだ1ケース弱部材が残っているので、状況を見ながらエコカラットの面積を増やしていくことにしよう。