断熱材を考える


先日現場を見に行っている時に、グラスウールの充填が不十分な箇所や気密がいまいちでは?と言うところを見つけたので修正をお願いしました。工藤建設さんはきちんと対応してくれると思いますが、じゃそれちゃんとやってなかったらどうなるんだろう?と気になったので断熱性能と隙間の関係(グラスウールの隙間率)について色々調べてみました。

一般的にグラスウールに限らず、住宅における断熱材の性能は、断熱材の性能よりも施工をする際にどの程度隙間を作らずに、住宅を密閉するかという隙間率が重要と言われているようです。
例えばきちんと密閉された空間であれば20℃の室温を30℃まで暖房するのに1分で済むところが、穴が開いた空間だと3分かかってしまうと様になってしまうと言うことです(あくまでも例えばです)。
丁度穴の開いたストローでジュースを飲む様なもので、隙間があると冷暖房の効率が悪くなります。つまり暖めるのも冷やすのも余分なエネルギーを必要になると言うことになります。

住んでいる家の断熱材がどの程度正確に施工されているか?という事が 断熱材施工の中で非常に重要な事になります。

工藤建設で使用しているのはマット状断熱材です。
このマット状断熱材は加工がしやすくコストが安いので非常に一般的に使用されていますが、その反面施工の際にその形状の為に隙間が発生する可能性もあります。従って、施工次第では断熱材が持つ本来の効果が期待出来ない事があると言うことになります。

色々資料を調べてみた所下記の様な資料を見つけました。下記はマット状断熱材の隙間とその性能の低下に関する資料です(どこが調べたデータなのかは解りませんでしたが、結構あちこちのHPに出ているデータなのできっと一般的なデータなのでしょう)。

隙間率 0% 3% 5% 7% 10%
性能比 100 73 56 39 13
  ※隙間率というのは、全施工面積に対する隙間の割合を100分率で表した物
※性能比は隙間率0%の時を100とした場合のものです。

驚きました。隙間がたった3%で性能が7割に落ちてしまい、5%で5割引き!10%ではなんと9割引!!驚異的な大安売りになります。ちょっとの隙間ぐらいいいんじゃないの?っていうのは、大きな間違いであるというのを再認識しました。

逆にギュウギュウに詰め込むと言うことは、どうなるんでしょう?隙間という観点から行くと、ギュウギュウに詰め込んであっても良いと言うことになりますが・・・。これも色々調べるとNGのようです。

理由は簡単です。グラスウール断熱は内部空気の停留による断熱効果を期待する工法です。ダウンジャケットや布団を想像してみるとわかりやすいのですが、あれは羽や綿がふっくらしているので内部に空気が溜まってその空気が暖まって抜群の保温性を発揮するわけですが、ぺしゃんこにつぶれてしまった煎餅布団になってしまうと非常に寒い状態になります。さらに湿気がたまると最悪ですね。グラスウールの断熱材もやはり同じ事で、潰れてしまっていたり湿気が溜まって空気を停留することが出来なくなると、断熱効果は半分以下になるといわれています。

断熱材の性能がきちんと発揮されないと、室内と外気の温度差が出来てしまい壁の中で結露を起こしてしまいます。結露を起こすと断熱材が湿気をおびて壁内のカビ・腐食を起こしやすくなります。
そして湿気を帯びて重くなった断熱材は必然的に重力に引っ張られて壁の中で落っこちてしまい、さらに隙間を拡大していきどんどん雪だるま式に性能を低下させていくことになります。典型的な悪循環です。

また工藤建設は内断熱工法ですので、グラスウールと石膏ボードの間には気密シートというポリエチレンのシートが貼り付けられ気密テープで密閉されます。

このポリエチレンシートは半透明な薄いフィルムですので、釘などに非常に弱くすぐに破けてしまったりします。このフィルムもやはり同様に、破れや隙間が空いていたのではせっかく気密性を高めて部屋の温度を逃がさない様にしている意味をなさなくなくなります。

グラスウールにしても気密シートにしても、人が施工するわけですから破って仕舞ったり寸法が足りなかったりする部分は必ず出てくると思います。それをそのままにしてしまうか、きちんと補修して補ってあるか、この差は居住してから歴然と出てくる問題です。何のためにその施工をやっているのか?と言うことを考えれば自ずと結論は出てくる事だと思います。

これが、建て売り住宅だと中身がどうなっているのか解らない所が恐い所です。格好良服を着ていても実はパンツが穴だらけのボロボロだったり汚れていたり、下手すると履いていない可能性もあるわけで情けないですよね。パンツ履いてないぐらいならまだ良いですけど、骨折していて継ぎ足してあったりしたら目も当てられないことになります。もちろん建て売り住宅が全部が全部そうだとは思いませんが、これを確認するのには出来て仕舞っている物を壊さないといけないというところがネックです。

ちなみに工藤建設さんでは温度分布測定による建築物非破壊検査のシステムを持っていますが、どっかの不動産やさんと組んで購入前の非破壊検査サービスなんてのも始めるといいかもしれません(業界から総スカン食っちゃいそうですけど)。

ちなみに我が家は太陽光発電のオール電化となる予定です。この太陽光発電のオプションに電気の発電量・使用量がモニター出来るシステムがあります。これのいいところは冷暖房にかかる光熱費を詳細に記録・モニターすることが出来ることです。当然我が家もこれを入れて貰っています。楽しみです。

またこの隙間という問題は、我が家で作る音楽スタジオの防音性能にも多大な影響を及ぼします。やっぱり工藤建設にしてよかった!という家になることを期待して待っていることにします。