まずは西部大開発についての説明です。
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中国ではいよいよ国をあげての国家プロジェクト「西部大開発」はじまりました。そして、2001年より開始される第十次5ヵ年計画はこの「西部大開発」が中心となります。ケ小平の「2つの大局」のもと改革開放はスタートしました。その後20年が経ち、沿海地区は順調に発展している裏腹に、西部地域ではまだかなり多くの貧困層を抱えています。いまや沿海地域と内陸部の経済格差は一人あたりのCDPは最大で10倍ほどになっています。その貧困地域の開発というのが西部大開発の究極の目的です。
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西部大開発の三本柱
では一体西部大開発とは何か?かつてアメリカでも西部開発というのが行われました。当時のアメリカ西部というのは未開の地であり、それを開拓するのがアメリカの西部開発でした。中国の西部開発は、これとは異なり、西部地区の再開発が主な目的となります。そして中心となるのは3点
- インフラ(社会基礎基盤)の整備
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産業政策
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生態環境保護
この3点を中心に西部大開発は行われていきます。このコーナーでは実際にどのようなプロジェクトが行われているのかを紹介し、問題点等を考察するコーナーです。
西部大開発の戦略
西部開発の戦略は基本的に以下のとおりである。
- 再開発、二次開発
- 全面的な開発:農業、工業、インフラ、生態環境
- 長期的な開発:4〜50年
- 地域ごとに異なる政策
西部大開発は、未開の地を開拓すると同時に、再開発でもある。というのは国有企業の軍転民がうまく機能していない地域が多く、赤字企業が多い。そのため、各地域ごとに異なった政策が採られることになる。インフラが未整備な地域にはインフラを整備し、産業構造改革が必要な地域では産業政策が採られ、先進地域では、さらなる発展を促すような政策が採られることになる。また、特にどの分野を発展させるといったわけでもなく、全面的な発展から始める。これは、西部地区には貧困層が多いので、まずは全体的な生活レベルの改善から始める。また、貧困地域を急速に発展地域に転換させるのは不可能に近いので、マイナスの弊害を生みださないようにするという意味でも、斬新的な改革を行う。
西部大開発の問題点
- 大量の赤字国債の発行
- 優遇政策が少ない
- 生産過剰の問題
- 国際環境の変化
まず、第一に挙げられるのが赤字国債の大量発行である。そもそも、この西部大開発自体が、無理やりに事業を行うことによって内需を拡大させているという批判を浴びている。現在中国は消費者物価が下がりつつあり、生産過剰、デフレ、国有企業の業績悪化の伴うレイオフ等の現象が起きており、今後、恒久的な赤字国債の発行は、現在の日本、80年代のアメリカのように大きな社会不安を引き起こすおそれもある。その他問題点を挙げればきりがない。しかし、改革開放が始まってから、いつかは西部地区を開発することが予定されていた。だからこそ、この西部大開発は、一時的に景気を調整するために開発を行うのではなく、恒久的な発展が期待される。
<2001年1月>
さてそれでは西部大開発コーナーのはじまりです。
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