天龍八部

※完全なネタばれです。注意してください


内容紹介  登場キャラ紹介  人間関係図  個人的な感想

内容紹介

 時は宋の時代の話である。宋の西南に大理石で有名な大理という国があった。そしてこの国の王族には代々“六脈神剣(一陽指)”という、指からレーザー光線(?)を発射する、ドラゴンボールの世界ような必殺技が伝わっていた。誰がなんと言おうとも主人公の段正淳は、現在の国王の弟、出家する兄の後を継いで国王になる予定であるが、この段正淳には人には言えない過去があったのだった。

 彼の夫人刀白鳳は、白衣族の出自であるが、その一族は一夫一婦制が原則である。段正淳もそれを承諾して彼女を娶ったのであったが・・・この男無類の女好きであり、あっちこっちで子供を生ませているというとんでもないやつであった。当然だが、世の女性の恨みもかう。それが原因で一体どれだけの無実の人たちの尊い命が失われていったことだろうか・・・この物語に出てくる女性で段正淳と関係ないのはもしかして葉二娘くらい?

 そして喬峰、彼も直接ではないが、段正淳の巻き添えを食らっていくことになる。ちなみに彼の転落人生の始まりは○○○の誘いを断ったことから始まる。彼は人格者(たぶん)なので、不義をはたらくことができなかった。

 とまあ、この物語は簡単に言えば「女の嫉妬は恐ろしい!」という物語である。(いい加減なことを書いてしまった・・・でもうそは書いていない・・・)

登場人物紹介



大理国王の弟。この物語においては何もかもすべてはこいつが悪い!この物語では一応段延慶、鳩摩智らが悪役なのかもしれないが、ストーリーが進んでいくうちに、「絶対こいつが一番の悪だ!」と思うようになってきた。彼には一体何人子供がいるのだろうか?


“北喬峰、南慕容”と称される、南慕容である。当初この呼称を聞いた時かっこいいと思った。世間で名が通っているのだから、射雕英雄伝の“東邪、西毒、南帝、北丐”のように、本来ならこのストーリーで二強にならねばならない存在であるが・・・始めは強かった(?)かもしれないが、後半は連敗続き、弱すぎ!情けない・・・特に最後。

丐幇のボス。射雕英雄伝の洪七公と同様に、降竜十八掌と打狗棒法を操る。おそらく、金庸作品のなかで、唯一初めから強い主人公ではなかろうか?と、同時に金庸作品のなかで、これほどまで不幸な主人公はいただろうか?

変装の達人。幼き日に父母と生き別れになり、慕容復に仕えていた。物語が進むにつれ、次第に喬峰に魅かれていくが、阿朱こそ段正淳の最大の被害者の一人であり、喬峰の手によって殺されてしまう。喬峰は悪くない。彼女も何も悪くない。すべては段正淳が悪い。
画像はTVBIの『天龍八部 六脈神剣 虚竹伝奇』からです。

人間関係紹介

  段正淳を巡る人間関係は以下の通りです。
  
  • 刀白鳳 : 一応段正淳の正室。段誉の母
  • 秦紅綿 : 木婉清の母
  • 甘宝宝 : 鐘霊の母
  • 阮星竹 : 阿朱、阿紫の母
  • 王夫人 : 王語嫣の母
  • 馬夫人 : 丐幇副幇主夫人、康敏

個人的な感想

 この物語は、直接は関係ないが、『射雕英雄伝』と共通点がかなり多いので、まずは『射雕英雄伝』を呼んでおくことをお薦めする。丐幇や一陽指など、共通点も多い。

 この作品が他の作品と違うのは、主人公の喬峰が、あらかじめ完成されたキャラクターであり、初めからかなり強い!しかし、さすが金庸!彼のために用意していた人生は、悲惨なまでの転落人生だった。
 “北喬峰、南慕容”と称された慕容復も終わりがあれで、見事な転落人生。ここまで落とされるキャラクターも少ないのでは?でも、この種のキャラ、結構好きです。物語をかき回してくれるので。

 この作品、個人的にそれなりに面白かったのだが、後で考えてみると、壮大なスケールの物語のわりには、ストーリーのどこに焦点を置けばよいのかとなると、「?」である。キャラクターを楽しむという点では面白いが、ストーリーはいまいちよくわからない。勧善懲悪という概念もこのストーリーではかなり薄い。最後は一体何が悪なのかわからなくなるのも特徴だろう。一応、喬峰−遼、段誉−大理、慕容復−燕というお国の事情を抱えるストーリーなのだが、この小説は、それぞれの生き様を書いた物語だと思う。

 たぶん、この『天龍八部』は金庸小説の応用編のような感じだと思う。金庸小説に慣れた人にとっては面白いかもしれないが、他の作品を知らない初心者にとっては、なんだこれは?と思わせるような要素もあるのではないか?


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