書剣恩仇録


内容紹介  登場キャラ紹介  人間関係図  個人的な感想

内容紹介

 時は清朝乾隆帝の時代、紅花会による打倒清朝の物語。
 
 紅花会の4番目、文泰来が朝廷につかまった!紅花会の面々は文泰来を救うべく総出動した。しかし、ここに一人いけない事を考えている奴がいた。彼の名は余魚同、紅花会の末弟である。彼はあろうことに文泰来の夫人駱冰に恋をしてしまったのだった。人妻に対する恋、報われぬ恋。しかし、ある日、千載一遇のチャンスが巡ってきた。旦那の文泰来はいない、駱冰とふたりっきり。今しかない・・・
 彼は以下のように考えました。

 「たとえ天下の財宝を集めたとて、文泰来を救えたとて、どうして半日の逢瀬にかえられようか。」(注:こんなことは実際は言ってません)

 そして彼は文泰来に扮して駱冰の前に現れた・・・

しかし・・・彼の恋はあえなく終わったのだった。だって文泰来がここにいるわけないじゃん!そりゃばれるって!

頑張れ余魚同、そのうちいい人が必ず見つかるはずだ!

登場人物紹介



通称「火手判官」どうでもいいことだけど、日本語の「判官びいき」の「判官」って、弱い人のことですよね?ちなみに、この人は全然弱くないです。かなり強いです。もともと武当山(太極拳発祥の地)出身なのに、汚い手ばっかり使います。こんな悪人は狼に食べられてしまうべきです。


陳家洛の兄らしい・・・。実際の乾隆帝も実は漢人だったという伝説が存在している。こんな奴が実際に皇帝だったら、そりゃみんな打倒しようと考えます。裏切ったり、でたらめなことを言ってはいけません。民の信用を失います。


紅花会の14番目、武当山の弟子。あだなは「金笛秀才」。ちなみに「きんてきしゅうさい」を変換したら「金的秀才に」なりました。彼は決して急所蹴りが得意なのではありません。笛が武器です。



体に香を帯びているという伝説を持つ、ウイグル族の姫。姉のホチントンから実力(単なる陳家洛の勘違い?)で陳家洛を奪い取る。最期は、国ために身を乾隆帝にささげ、陳家洛のために殉じてしまった。私だったら彼女を乾隆帝に差し出すようなことはしません。

人間関係紹介

実は鍵を握っているのはホチントンですね

 もし周芷若がホチントンの立場だったら、自分の妹を毒牙にかけるようなことをしただろうか・・・?彼女ならやりそうです。

個人的な感想

 私のこの物語に対する印象は、水滸伝の小型版である。宋江をトップとした108人が、陳家洛をトップとした14人にダブる。それぞれが何らかの技能の持ち主で、実力は別として、かっこいい(?)あだ名の持ち主だったり、粗忽者のあつまりだったり、私には水滸伝に見えた。中途半端に朝廷(乾隆帝)と手を組み、裏切られる点など、まさに水滸伝!でも私的には水滸伝の方が好きです。

 ふと思ったのだが、“武諸葛”と呼ばれるキャラがいる。徐天宏である。彼は主に作戦を立てる役割を担うのだが、実際の諸葛亮は、臨機応変に難事に対応できるような軍師ではない。むしろ“武呉用”のほうがあっているような気もする。

 私の中では、乾隆帝というのは、『還珠格格』のイメージがあったが、この物語の乾隆帝は悪人として描かれている。でも、いまいち金庸作品としては、悪人としての魅力に欠ける。私的には『射雕英雄伝』の楊康とダブった。

 評価の難しい作品です。世間の評価はあまり高くないようである。一応、主人公が優柔不断、男装の女性キャラが登場する、他人の話を聞かない・・・など、金庸的要素はそれなりにあるのだが、いまいち個性的なキャラクターに欠けている作品である。これというキャラがいない。やはり金庸の処女作ではあるが、初めに読む作品としてはあまりお薦めできないだろう。

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