夏雪宜は復讐に燃えていた。彼の一家は温家に殺された。この恨み晴らさないでいられようものか!目的のために手段は選ばない。 ある日夏雪宜は、復讐のため、五毒教蛇の毒を盗もうとした。しかし、ミイラ取りが何とやら。毒蛇に咬まれてしまった。そんな夏雪宜を救ったのが、五毒教教祖の妹、何紅薬であった。この何紅薬という娘、何を勘違いしたのか、夏雪宜に恋をしてしまい、親身になって彼の世話をした。そして、敵討ちを助けるために、五毒教に代々伝わる秘宝の情報を夏雪宜に教え、処罰を受けることも省みずにその秘宝、金蛇剣、金蛇錐、宝の地図を盗み出してしまう。哀れ何紅薬、騙されているとも知らずに・・・ 彼は金蛇郎君と名前を変えた。そして復讐の時はやってきた。温一族郎党許せん!たとえひとりでも逃がしてなるものか!一族郎党許しちゃおけねえ!そして一家惨殺、40人もの人を殺しまくった。 やがて温家は和睦を請いにやってきた。金蛇郎君と温家の娘温儀は恋に落ちていた。温儀を見捨てることはできない・・・などとまっとうな事を言っている裏で、毒を盛ったのだった。金蛇郎君の命運も尽きた。毒を盛られたところ、手足の筋を切られてしまった。 しかし、金蛇郎君はただでは死ななかった。遺書に毒を塗りつけ、自分の遺骨に毒を染み込ませた。遺体を辱めようとする輩のためにからくりを仕掛けた。死して尚復讐を忘れず、ここまでやればたいしたものだ。 おちがない・・・
碧血剣はあまり注目点はありませんね。
この作品、表面上の主人公の袁承志、負けません。強すぎます。失敗らしい失敗もない。金庸作品中の主人公の中でも異例中の異例の存在かもしれない。その意味で、魅力に欠ける。ほぼ完璧な主人公なんて退屈以外の何者でもない。 ストーリーは素直な展開と言っていいだろう。あまり毒がないと言う点では、武侠小説の入門書として、まず読むのだったら、それなりに楽しめるかもしれない。ただ、あっと驚く展開がない。そして主人公に危機が迫るシーンもない。山あり谷ありの、谷の部分がない。駄作だとは思わないが、面白い作品とも思わない。 ちなみに、“碧血”という言葉は、『荘子』外物に記述が見られる。昔々、周の時代、萇弘が蜀の国で殺されましたが、その血は三年後碧色に変わったそうです。このことから、忠烈の士の殉難のことを“碧血”と言う。って、中日大事典に書いてあったけど、萇弘は主君を諌めて聞き入られず自殺したらしい・・・ この作品には実は“碧血”という言葉は出てこない。では、作品のタイトル『碧血剣』が暗喩しているのは何か?と言えば、それは宋の忠臣、袁崇煥に他ならないだろう。ゆえにこの物語の真の主人公は袁崇煥である。
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