面会の制限を行うようになった理由…
多くの大学病院や総合病院などで母児別室の場合、面会室を別途に設置している場合を除いては、院内感染の予防のために、面会については時間、面会者を制限する場合が多い様に思います。また母児同室であっても面会時間は、新生児室に赤ちゃんを預かる病院や、子供は病棟に入れない病院もあります。ところが、分娩は一般に病気の治療での入院とは違い、おめでた≠ナあり健康なんだから別に面会制限などしなくてもいいじゃないか≠ニ思われてしまいます。
当クリニックは面会については、お母さんの疲労回復、赤ちゃんの授乳の妨げにならない程度なら、あまり厳しい制限すること無く面会の方に対応させて頂いておりましたが、分娩される患者さんが増えるにつれて様々な問題が生じるようになりました。
例…
- 帝王切開翌日、まだベッドの上で起き上がるのがやっとの状態にもかかわらず、たくさんの友人の面会が来てしまう。(術後の安静が保てない…)
- 帝王切開後、血圧が高くて注意が必要な状態にもかかわらず、たくさんの面会が来てしまう。(術後の安静が保てない…)
- 小さなお子さん連れの面会の方(ご友人)が、自分の子供が熱があるので、体温計を貸して欲しい≠ニ看護師に申し出てきました。(…赤ちゃんへの感染が心配です…)
- お子さん連れのご友人が数人いらして、お子さんたちが新生児を触る。(手洗いなどは大丈夫でしょうか?新生児はカゼには感染します…感染した場合の治療は大変です…)
- 非常に長時間かかってやっと明け方に分娩になった患者さんのところに、双方のご両親、ご主人、ご兄弟などがたくさん面会にいらして、分娩後に休む時間が無い。患者さん御本人は大丈夫です≠ニ言っても、明らかに疲労が目立つ。(…出来るだけ早く休養を取り、赤ちゃんとの時間に準備して欲しい…)
- ひとりひとりの面会時間は短いのですが、たくさんの面会者がかわるがわる来るために、授乳の時間の妨げになる(…新生児は、昼・夜の時間的な感覚がまだありません。また母乳の分泌にはいわゆる3時間毎のミルク・授乳ではなくて頻回の授乳が重要…)、あるいは十分な乳房マッサージの時間がとれない。(…乳房の手当て、指導が十分に出来ずに乳腺炎などのトラブルになるようなことが無いようにしたい…)
- 各種指導の時間よりもご友人の面会を優先されるために、他の入院患者さんにもご迷惑がかかってしまった。(…指導の時間をずらす、時間を短縮するなど…)
- 母児同室で前夜に赤ちゃんが泣き止まずに徹夜になってしまい、赤ちゃんを新生児室にお預かりしてお昼ねをして頂いているお母さんのところへ面会のご友人が来て、患者さんを起こしての面会となり、十分なお休みが取れなかった。(…授乳や赤ちゃんのお世話で睡眠不足になりやすいので、適時十分な休養をとって頂きたい…)
患者さんからわざわざ面会に来て頂いた方を断りにくいので、クリニックのほうで断って欲しい…≠ニお願いされるケースもありました。クリニックとして全ての患者さんの希望をかなえる様に、患者さんに対しての十分な医療サービスを提供する様に努力してきましたが、…実際には、それぞれの患者さんの御希望は同一でない場合があります。
母児同室を原則としていること、授乳室、面会室を設置していないことなどから、今回やむおえず面会の制限をさせて頂くようになりました。御面会の方々には御迷惑をおかけするかと思いますが、皆さんの御理解と御協力を頂きたいと思います。私たちは、お母さんが赤ちゃんと少しでも多くの時間を向き合って過ごすことで、子育てに自信を持って退院して欲しいと願っています。
なお、従来どおり、ご主人、ご両親(祖父母)、赤ちゃんのご兄弟の面会は制限はありませんし、特に分娩直後の場合には深夜でも面会可能です。