再公開:2003/09/16
New:2003/04/20

  

●STIミッションマウント(クッションラバー)装着  New:2003/04/20  

 〜消耗品メンテナンスとダイレクト感向上〜

(5万km強を経過した純正のミッションマウント)

注:本ページでは作者の作業について掲載していますが、全ての人にお勧めするわけではありません。危険も伴いますので、作業はあなた自身の責任において実施してください。事故等が生じても作者はその責任を負いません。(←一応、お約束ですので...)

  

◆STI製の強化マウント 

 ワタシのBH5Aも購入から4年を過ぎ、ぼちぼち消耗品のメンテナンスが必要な時期に差し掛かってきたところ。資金も潤沢でないので機能上優先度の高いパーツから交換をしていくつもりですが、今回はSTIから発売されているマニュアルトランスミッションのミッションマウントを購入して装着してみる事に。これを選択した理由は、投資額が少なく済み、駆動のダイレクト感を得るという目的において効果を期待してのことです。

#購入したのはSTI製の「クッションラバー R」で、品番は:ST4100055200。希望小売価格は\5,000と手頃な価格です。

 強化品のミッションマウントは硬度の高いゴムを使用するため、騒音・振動が増えることは想像されますが、レガシィの場合には強化マウントを組んだ車両に乗ってみたことがありませんでしたので、場合によっては期間限定での使用にすることも念頭に置いての装着とします。

 

 他に強化マウント類というと、STI製品として設定されている物(BH5レガシィの場合)にはエンジン周りにおいて

・エンジンマウント(L、R各¥3,500)
・ピッチングストッパー(¥3,000)

等があり、また、駆動系と足回りに関連した、サブフレームブッシュ(¥3,000×4ケ)等も有りますが、作業が一番短時間で済むのが今回装着したミッションマウントです。エンジンマウントはエンジンを吊る必要があり、また、騒音・振動も当然増えますが、この事は家族の足としても使われる我が家のレガシィの性格に合わないと判断したため、ピッチングストッパーも含めて対象外としました。(これが自分専用にインプレッサを持てるような場合には換えてしまうかも知れません。)

 


◆交換作業 

 交換作業はリフトで上げるか、フロアジャッキで上げてウマ(リジッドラック)を掛けての作業になります。工具は14mmのディープソケット、17mmのソケット、メガネレンチ等があればOKです。ミッションマウントは車体前後側にそれぞれ横方向の部材がフロアに止められており、そこにさらに縦方向のマウントフレームがボルト止めされます。作業としては、前側の横方向フレームと縦方向のフレームを脱着してしまうのが良いようです。(後側の横方向マウントフレームは残す)

 

手順としては、

(1)車体を上げ、ウマ(リジッドラック)を掛け安全を確保

(2)左画像の赤○のところがミッションマウントをマウントフレームに止めているナットが隠れている穴です。これを少し緩めておきます。ここは14mmのディープソケットが必須。

(3)その他に、マウントフレームの後部の2つ、前部の2つ、車体フロアに横方向のフレームを止めて17mmのボルトを少し緩めます。(ミッションが下がるのでこの段階では外さないで緩めるだけ!)

(4)マウントフレームに当て木をしてジャッキで重量を支え、青○のナット、ボルトを外します。

(5)ジャッキを静かに降ろすと、ミッションと一緒にマウントフレームが下がってきます。

(6)ジャッキを外し、ナット、ボルトを外して、ミッションマウントをミッションに止めている4本のボルトを外して抜く(左画像では既にミッションマウントは外した状態)と、ミッションマウント(クッションラバー)が外せます。

(7)STI製のマウントに入れ替え、まずミッションケースにボルト止め(4本)してから、マウントフレームにミッションマウント下側の2本をボルト止め。マウントフレーム同士を連結し、ジャッキでフレームマウントとミッションケースを上げる

(8)位置を調整し、車体へ締結。ジャッキを外した後に全てのボルト、ナットを充分に締める。

 

ワタシは自分で作業しましたが、ディーラー等に依頼しても30分程度の作業でしょうから、工賃は数千円(5000円くらいかな?)で納まると思われます。自信の無い方、作業の仕方が分からない方は無理なDIY作業は止めて、ディーラーや専門のショップに依頼することをお勧めします。


これが純正マウント(下画像の上のもの)と、STI強化品(下画像の下のもの)との比較。純正品は荷重を受けるため、斜めに2本の細めのゴムのブロックで上下金属プレートが連結され、下側に揺れたときにバンプラバーの働きをするであろう三角型の突起がありますが、指1本で簡単に捻れるほど柔らかいです。それに比較してSTIの物は上下プレートが全て硬度の高いゴムで充填された状態。両手で掴んで捻ってもほとんど変位がないくらい剛性が違います。

 


(上が純正、下がSTI強化品)

 

 また、今回はせっかくウマで上げたので、一緒に購入しておいた純正のスタビブッシュも同時に交換しました。(これも消耗品メンテナンスの一環)


◆走ってみると

(1)アイドリングでは
   まず、エンジンを掛けた瞬間、アイドリングではどうか?ここでは、ほとんど変化は感じられませんでした。

(2)発進する
   クラッチを切り、ギアを1速に入れる瞬間。シフトレバーがカッチリ動き、「スコン」と入ります。そしてクラッチをゆっくり繋ぐと、普段よりも短めの半クラッチですっと動きます。いい感じです。

(3)低速走行では
   3000回転あたりまでを使って、市街地をゆっくりと走る分には少々唸りが増えたかなという程度の変化。

(4)回転を上げてみると
   市街地を抜けて少し回転を上まで使うと、変化が分かります。3300回転あたりから唸るような騒音が増えだし、4000回転前後で体感上はっきりと騒音の上昇を感じます。純正の状態とはかなり違った音質。また、高回転まで回してアクセルをON/OFFするような場面、でミッションケースの揺れがかなり減少することで、シフト操作に”待ち”の時間が減ります。シフトレバーの操作においてもスコン、スコンとギアが入るので非常にいい感じ。

(5)高速道路では
   高速道路では3000〜5000回転あたりを常用して100km程走ってみると、短時間ならまだしも、帰省等で数時間の連続走行をするような時には
かなり やや苦痛になるかもしれない音量です(後日注:ワタシ自身はすっかり慣れてしまいました)。特に、3300回転あたりに小さな、また4100回転付近に大きめな共振点があるようで、車室内に結構なボリュームで騒音が籠もります。そこを過ぎると、タイヤノイズ等の走行騒音にマスクされるのでそれほど気にはならなくなりますが...

(6)主に得られた効果をまとめると
   メリットとしては、まず、
クラッチミート時のダイレクト感。動き出しがスムーズになります。次に、アクセルを踏んだ瞬間のリニア感の向上。そして、シフトアップ・ダウン時の”待ち”の減少スムーズなシフトフィーリングを得られること。

  反対にデメリットとしては、3000〜4000回転台での顕著な騒音の増加


◆さて、どうしよう?

 はっきり言って、メリット、デメリットは明らかです。アクセルに対するリニア感、ダイレクト感を重視するならお勧め。しかし、ファミリーカーとして使うためには明らかに騒音の点でマイナスになります。

 ワタシとしては、走る方を優先にしたい機会が何度かあるので、暫定で使用することにしました。でも、夏の帰省前には純正orインプレッサの純正品に再度交換する予定です。(自分しか乗らないのであれば非常に気に入っているのですが...)このまま使用する事にしました。
 インプレッサの純正品は、ゴムの硬度は柔らかいものの、レガシィのものよりもゴムの充填量が多い(見た目はSTI強化品と類似)ので、ほんのわずかな支持剛性の強化を狙ってのことです。しかしながら、インプレッサオーナーでもSTI強化マウントに換えて効果が高いと評されるようなので、純粋に走る事を優先するならSTI強化品の方が良いでしょうね。

 

後日注:(2003/06/07)

 交換当初は、ややうるさいと感じたものの、2〜3週間(週末2〜3回という意味です)も乗ると慣れてしまうので、ほとんど苦痛は感じなくなりました。元々BH5がかなり静かな部類に入ると思いますから、前車のP10プリメーラの騒音レベルと比べると体感上はあまり変わらないレベルではないかと思ったりします。

 レガシィ自体、充分なエンジンパワーと足回りをバランスさせた質の高さを目指して、メーカー側で特性チューニングしていますが、長距離を疲労少なく走るGTカーとしての要件を満たすために、あのような柔らかめのマウントを設定している訳ですね。しかしこの事が、レガシィで話題になることが多いクラッチミート時のジャダーの発生や、アクセルON/OFFに対するダルさ(良く言えば穏やかさ)を生み出しているであろうことが確認できました。

 レガシィにクイックシフトを装着して居る方も少なくないですが、個人的な感想としては、クイックシフトのみの装着だとストロークは短くなりますが、ミッションケースの揺れが大きく、シフトチェンジのタイミングを上手く取らないとシンクロに負担を掛ける可能性もあるように感じます。ところが、強化マウントにすると揺れが減少するので、短いシフトストロークとのタイミングがより合うようになり、相乗的に効果が高まるのではないかと感じました。つまり、ショートストロークシフトを付けている場合にはよりマッチングは良いのではないかと推測します。

 


◆マウント類の強化について

 

 今回は駆動系の強化品でしたが、足回りの強化品もいろいろ製品化されていて、アーム類のブッシュやストラットマウント(ショックアブソーバーのアッパーマウント)なども今後興味のあるところです。

  


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