Hillock カナダ便りNo26

『EMC(Ecole de Musique de Chambly)の
ピアノ教室活性アイデア  2005‐06-10』


 EMCはこの地域の5人の先生で作っているピアノの学校です。
 本部はこの中のひとりの先生の家で、テストなどはここで行われます。
 それ以外は各自の家でピアノのレッスンをします。要するにフランチャイズのような形です。
 本部へ納める月謝の25%〜10%(継続年数によって変わる)によってこの学校は運営されています。
 その主な使い道は年に一回地域新聞に大きな宣伝をEMCから載せてくれることです。個人でなく学校という名前が入るので、 これはかなり効果があり毎年友人のところには10人ぐらい新しい生徒が入って来るそうです。

 生徒の質の向上と興味とやる気を育てる為に年に一回テストが行われます。これは5人の先生が合同で企画し、生徒の参加は自由です。

 EMCはモントリオールにある有名な音楽学校Ecole Vincent d'Indyの加盟校になっており、ここのグレード制が導入されています。 テストの時はこの学校から審査員(教授)が来て、一人一人の生徒の演奏を聴き、コメントを書き、採点されます。 いつもと違う視点から意見を聞けるので教師にもたいへんいい勉強になります。テストは初歩から師範レベルまでありますが、 EMCで行われるのは初歩から中級レベルでそれ以上の生徒はEcole Vincent d'Indyへテストを受けに行きます。受験料はレベルによって違い、約25$から40$です。 毎年大体80〜90人の生徒がEMCで受験するそうです。各レベルで得点により1位から3位まで選び出され、受賞者はGALAコンサートで演奏ができます。

 GALAコンサートは、毎年皆でチョコレートを売ってその収益で運営されます。それにプラス一人2$の入場料が徴収されます。 演奏者は無料です。入賞者には賞によって50$〜100$(その年のチョコレートの売り上げによって変わる)の奨学金が送られ、 他の生徒にもくじ引きが行われ何かを射止めるチャンスがあり、とっても楽しそうでした。
 その上6年間ピアノのレッスンを続け連続でテストを受けた生徒には奨励賞として200$〈これも年によって違う〉が送られます。 お金が送られるのはケベックらしいなと思います。
  《でも誰にとってもお金って魅力ですよね》

 会場は老人の家の小さなホールで行われピアノはベイビー・グランド。とっても質素です。子供連れの家族が多く日本とよく似た雰囲気です。 コンサートでは皆大変リラックスして演奏し、緊張感はあまり感じられませんでした。途中で止まってしまった生徒がいてモジモジしていたら 司会者が「あなたの為にだけ時間使ってられないからこれで終わりね」と引き上げさせられてしまいました。でも生徒はあっけらかんと しているのです。残念だったに違いありませんが、途中で止まっても忘れてもストレス無しで、見ているほうも気が楽でした。


♭ EMC発表会のプログラム ♭

EMC1    EMC2

(毎回子供たちの絵が使われています)



 友達のジェニーの生徒は今年9人テストを受けて4人が入賞しました。すごい確率です。
 自由曲ではギロックの「クラウン」「フィエスタ」「サマータイム・ブルース」、ゴールドストーンの「お猿のお話し」を 取り上げました。やっぱりギロックはどの子の個性をも引き出し表現力を生かす効果があると思いました。

 全体の演奏は平均してパッセージのすべりとリズムの揺れがちょっと気になりましたが、どの生徒もいきいきと楽しんで演奏していました。 ジェニーの生徒さんは皆リズムがしっかりとし、一音一音が大切にされ、指のすべりもなかく、とってもよく弾いていました。 初期の基本が大切なことを証明してくれました。本当にギロックは演奏者に魔法をかけてくれる!《もちろん生徒さんもがんばったんですよ》

 最大限の速さでひいた生徒、音数の多い難しそうに聞える曲を演奏した生徒、身体をくねくねとピアニストになりきって演奏した生徒の 時には会場から「ブラヴォー!」と声がかかりました。 《他にも沢山心に残る演奏をした子がいたのにな・・・これが一般の判断基準なのかな?》

 コンクールのような緊張が無くのびのびと演奏できるGALAコンサートは面白いなと思いました。 そしてチョコレートの収益でまかなわれるのも大きな驚きでした。

 年に一回の発表会も、出演する生徒は無料。見に来る聴衆が大人一人10$子供4$の入場料を払い、コンサートはそれでまかなわれるそうです。 日本では演奏者が平均1万円ぐらい発表会参加料を払うと話すと目を丸くして「どうして演奏するのに払わなくてはならないの?」と 訊かれてしまいました。 もちろん家族が来るわけですから親はお金を出すのですが、演奏者はお金を出して演奏させてもらうので はありません。日本では演奏者がお金を出して聴きに来て貰うという考え方が多いのですが、このような考えの違いが音楽家の生活を 苦しくしているのかもしれないと思いました。《??》

 演奏をする者がお金を出すのでなく、演奏を楽しんでくれる人が心から同意して入場料を出してくれる、そんな文化環境を作っていくには、 これはとても参考になるのではないでしょうか。
 ここケベックでもギロックの仲間がにょきにょき芽を出し始めました。
 7月1日はギロックと日本ギロック協会の誕生日。 これからますますいろんな音楽を楽しむ文化が世界に広がりますように!

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