グランドバレエ・カナディアンの「くるみ割り人形」を観に行った。
 会場は満席。特に親子連れが目に付いた。2〜3歳の子供からティーネイジャー、それからお年寄りまで幅広い観客層。隣の中学生ぐらいの女の子は友達と見に来ているのだろう。ジャンプが決まったり、跳び上がったダンサーを受け取る男性ダンサーの演技がうまくいくとまるでサーカスを見ているときのように「オーマイゴーッ!」と驚きと感激を表す。
 後ろの席にいた3歳ぐらいの子供がお母さんにずっと見ている間この物語について質問していた。お母さんは回りのことを考えながらも場面が変わるごとに聞かれる質問にひそひそ声で丁寧に答えていた。隣に座っているお姉ちゃんが「シーッ! 静かに見てないとダメ」といっても声を小さくして聞かずにはいられないようだった。興味の深さをものがったっていた。

 この物語にはたくさんの子供達が出てきます。
 団員とは別にこの子供達は前の年に一般募集されオーディションがあります。ギャラは出ませんが、練習時にはトレーナーが付き、ツアーに出るときの費用は出ます。きっとたくさんの子供達が応募するのだと思います。クリスマスに対して、バレエに対して、クラシック音楽に対しての関心度が宗教的な立場や環境からずいぶん違うように思いました。ついつい自分がピアノ教師なので音楽と言うとピアノを通して見がちだったのですが、モントリオールの音楽環境を見ると、もっとバラエティーに富んでいるように思いました。
 ピアノ音楽もオーケストラと一緒に演奏しているもの、そしてギター音楽をよくラジオなどでも耳にします。1つの楽器だけ、あるいは音楽だけでなくバレー音楽やダンスの音楽、宗教の音楽、憩いの音楽として生活の中にある。
 話は元に戻って、この物語で一般から選ばれた子供と地のバレエはとてもすばらしかった。決して技術が跳びぬけてうまいと言うわけではないのですが、それぞれの役割を実にうまく表現し、その子その子の個性が上手に生かされ見ていてとても楽しかった。なぜか人間のすばらしさを見ているようで。自分自身のキャラクターを持つことの大切さを感じさせられた。
 この物語はE.T.Aホフマンのものがベースになっているが、バレエのために演出されている。
 子供の観客を意識して面白おかしい場面が何度となく顔を出し、子供の気持ちをうまく引くように作られているなとおもった。この面白さは大人の観客にも十分楽しめた。「作者、演じる者、観客のコミュニケーション」人に伝えると言うことはこういうことなんだろう。すべての人にわかるように伝えてはじめてコミュニケーションといえるのではないだろうか。

 Joyeux Noel !
Hillockのカナダ便りVol.3 
胡桃割り人形
(2001/12)
Canada便りTopへ