南座
ご案内
 室町時代の頃から鴨川の河原桟敷では,田楽猿楽の勧進興行が芝居小屋として常設的に催しを行っており,慶長8年(1603)この四条河原で出雲の阿国が「かぶき踊り」を演じたのが歌舞伎の発祥とされている。
 元和年間には京都所司代より四条河原町に七つの櫓(座)を開くことが認められた。その一つが今の南座で,当初は四条通に五座,縄手通に二座があったが,数度の大火に遭遇し,化政時代には南北に二座を残すのみとなった。その北座も明治26年に廃業し,現在の南座のみが残ることとなった。
 南座は桃山風破風造りの建造物で,国の重要文化財にも指定されている わが国最古の劇場。
 毎年12月には,役者の名前を勘亭流と呼ばれる肉太書体で書いた木の看板「まねき」が掲げられ,東西の歌舞伎役者が勢揃いし,恒例の顔見世興行が行われる。

交 通 ◆京阪電鉄 四条駅下車すぐ
◆阪急電鉄 四条河原町駅下車 徒歩5分  
URL ◆南座のHP◆  http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/gekijyo/



京都四条南座

夜の南座

まねき看板

南座3階客席から

昼の部の演目 左から「達陀」 「仮名手本忠臣蔵」 「菅原伝授手習鑑」 「道行恋苧環」 「木村長門守」

 ◆木村長門守 血判取◆
   木村長門守  片岡我當
   郡主馬之助  片岡進之介
   徳川家康   市川左團次  他
 舞台は大阪冬の陣,秀頼,家康のつかの間の和睦の時。若き木村長門守と郡主馬之助が,秀頼の名代として和睦の神文を受け取りに家康の本陣にやって来て,無事家康の血判を取ると言う大役を果たすお話。
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 長袴の颯爽とした長門守の立ち居振舞いが見事。家康が茶目っ気あります。
 ◆道行恋苧環◆
   杉酒屋娘お三輪  中村時蔵
   入鹿妹橘姫    尾上菊之助
   藤原淡海     坂東三津五郎
 蘇我入鹿の妹橘姫を追って藤原鎌足の嫡男淡海がやってくる。二人は敵同士とも知らずに恋に落ちるが,そこへ淡海を慕うお三輪が間に割って入る。淡海は苧環の赤糸を橘姫の裾に,お三輪は白糸を淡海の裾につけて後を追うが,お三輪の白糸は切れてしまう。
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 積極的なお三輪と橘姫が対照的。菊之助,う,うつくしすぎる...。
 ◆菅原伝授手習鑑 車引◆
   梅王丸   尾上松緑
   桜 丸   尾上菊五郎
   松王丸   市川團十郎
   藤原時平  市川左團次  他
 3つ子の梅王丸,桜丸,松王丸はそれぞれ菅原道真,帝の弟宮斎世親王,藤原時平の舎人であった。桜丸は斎世親王と菅原道真の娘の恋を取り持とうとしたが,謀反をたくらむ時平に利用され,道真は大宰府に左遷されてしまう。
 京都吉田神社で出会った梅王丸と桜丸は,参籠途中の時平の牛車に出くわす。道真を陥れた時平に恨みを晴らそうと二人は牛車の前に立ちはだかるが,そこへ時平に仕える松王丸が鎮めようとする。しかし引かない二人に業を煮やした時平が牛車を蹴破り現れ出る。
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 4代目松緑を襲名した辰之助の梅王丸が気合が入っていました。それにしても左團次の時平の衣装&メイクはあっけに取られました〜。
 ◆仮名手本忠臣蔵 山科閑居◆
   加古川本蔵    片岡仁左衛門
   本蔵妻戸無瀬   中村鴈治郎
   本蔵娘小浪    片岡孝太郎
   大星由良之助   市川團十郎
   由良之助妻お石  片岡秀太郎
   大星力弥     中村扇雀
 室町時代,足利直義の饗応役であった塩冶判官と桃井若狭之助は,饗応指南高師直に嫌がらせを受けていたが,若狭之助は賄賂で機嫌取りをしていたが,判官はそれをよしとしなかったため刃傷事件に至り,判官は切腹,お家断絶となっていた。
 その判官に仕えた大星由良之助,桃井家に仕えた加古川本蔵。この息子力弥と,娘小浪は許嫁した仲であり,山科の由良之助の閑居に戸無瀬と小浪が花嫁衣裳を着て訪れる。しかしお石は全くとりあわず,戸無瀬は小浪を殺して自分も死のうとする。そんな様子を見たお石は祝言を許すが,引出物に本蔵の首を差し出せと言う。そこへ虚無僧の格好をした本蔵が現れ,挑発されたお石は槍で勝負を挑むが組み敷かれてしまう。そこへ力弥が出てきて本蔵に槍を突き刺す。
 そしてとどめを刺すのを現れ出た由良之助が制す。本蔵は判官をしに追いやった後悔を語り,由良之助は仇討の決意を打ち明ける。
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 話が長かった...。たった一場面なのだけど。白無垢の小浪より赤の着付けの戸無瀬・中村鴈治郎が迫力ありました。
 ◆達陀◆
   僧集慶    尾上菊五郎
   青衣の女人  尾上菊之助  他
 奈良東大寺の二月堂の修二会も終わりに近づいたお水取りの深夜。過去帳を読み上げる僧集慶のもとに,「青衣の女人」が現れる。この女人は集慶が俗世にあった頃御所で情を交わした若狭で,出家してしまった集慶を恨めしく思い,妖しく誘う。
 しかし集慶はその煩悩を振り払い,練行衆に交じり荒行に打ち込む。
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 前半の菊之助の妖しい美しさ,後半の練行衆の激しい群舞が見ごたえあります。深夜のお寺が舞台で薄暗く,大勢で出て来るのが僧侶達なので華やかさはありませんが,群舞は腹に響くような感じで迫力がありました。


◆一口メモ◆

 友人MEの誘いで初めて歌舞伎を見に行ってきました。昔は興味がなかったけれど,最近こういう日本の文化にも触れてみたいなあと思っていたので二つ返事でGO。
 それにしても顔見世のチケットって高い...。1階席なんてとてもムリなので3階席。でも,真ん中辺りで割とよく見えました。それにしても南座の席って狭い。着物なんて着ていったらかなりしんどそうです。
 顔見世興行では昼の部と夜の部がありますが,私達が行ったのは10時半からの昼の部でした。演目は上の通り(私の下手なあらすじですが...)。解説本を買って,始まる前にあらすじを頭に入れておけばよく分かります。初めてなので,理解できるのかなあと思ったけど,歴史も好きだし結構理解可能でした。

2002.12.7 訪