圓通寺
ご案内
 圓通寺は,寛永16年(1639)後水尾天皇が造営された幡枝(はたえだ)離宮の跡であり,幡枝小御所,幡枝茶園とも呼ばれていた。延宝6年(1678)文英尼を開基とし,後水尾上皇より山号を大悲山,寺号を圓通寺とする勅額を賜り,霊元天皇の祈願所 となった。
 この地は後水尾天皇が長い年月をかけて探された土地で,真東を向いた約400坪の平坦な杉苔に覆われた地に,40個余りの紀州の海石を配した枯山水平庭がある。その周囲は躑躅,山茶花などの低い混ぜ垣で囲われ,その外に植えられた杉と檜の間から比叡山を望むことが出来る借景庭園である。ここから望む比叡山はその稜線の美しさから「みやこ富士」とも言われている。

拝 観 ◆拝観時間◆ 4月〜11月:午前10時〜午後4時30分,12月〜3月:午前10時〜午後4時
◆拝観料◆ 500円
交 通 ◆地下鉄「北大路駅」から京都バス「実相院」行または「岩倉村松」行で「円通寺道」下車 徒歩10分




◆一口メモ◆

 私達が訪れた時には,ちょうど住職さんが講釈をしておられて,50人以上もいた観光客が借景庭園を前にじっと静かに座って聞き入っていました。以前は中学生以下の子供の拝観も断っていたとかで,受付でも「子供さんは静かにしてください」と言われ,HIYOがぐずらないか冷や冷やものでした。
 庭園以外の部分で写真撮影をしていた人が注意をされているなど,なかなか厳しいお寺です。平成14年の秋までは,庭園等の写真撮影も禁止されており,中に入る時にはカメラを預けなければなりませんでした。
 ところが近年,寺の近隣地域の開発が許可され,区画整理事業が進めば,庭園と比叡山との間に建つ建物の一部が見えてしまい,この素晴らしい借景に損なわれる可能性が高いのです。そのため借景を記録に残して欲しいということで庭園部分の撮影のみ許可されたのです。
 今までそうやって大事に大事に守ってこられたこの美しい景色が損なわれるのは本当に残念なことです。こんなに何の人工物にも遮られずに 比叡山を眺めることが出来る完璧な借景庭園は他にないのに。

2004.11.23 訪