ドラマ演出日誌（2000年10-12月期）

"ドラマ演出"日誌（2000年10-12月期）

00/10/04　世にも奇妙な物語'00秋の特別編

「断定男」
　脚本：越智真人、演出：土方政人

「発電課長」
　脚本：大野敏哉、演出：小椋久雄

「よう、鈴木！」
　脚本：福島三郎、演出：平野眞

「バーゲンハンター」
　脚本：田中一彦、演出：李闘士男

「さとるの化物」
　原作：小松左京、脚本・演出：落合正幸

今回は、コミカルな作品を集めていたようです。一番面白かったのは越智真人さんの「断定男」でしょうか。ボクもこの日誌で「……みたいな」などと、よく書いているんで耳が痛かったです。(笑)　蛇足を承知で一言言わせてもらうなら、言葉遣いの問題と、内容の曖昧さは分けて考えるべきだと思います。たとえば、「伊藤・小松・堂本トリオでドラマを作るのは、しばらく止めにしてほしい……みたいな感じ」という表現は、内容レベルでは決して曖昧じゃないでしょう。(^^ゞ

演出に限っていえば、やはり落合正幸さんの「さとるの化物」が出色の出来でした。《表情アップ》《音楽》《間（沈黙）》を、ていねいに組み合わせて、緊張感の高い世界を作り出していました。――内容的には、イマイチついていけないものがありましたが、ドラマのコンセプト自体が「最初に演出ありき……」という感じで、骨太な演出主導型のドラマになっていたと思います。落合さんというとサイコ～ホラー系というイメージがありますが、「時をかける少女」（94年フジ）が一番好きなボクとしては、もっと人間ドラマ的な作品を手がけてほしいです。

角野卓造さんがいい味を出してた「発電課長」は、家族のシーンが出てきた段階で、演出家が誰なのかと、その後の展開が読めてしまいました。そういう意味では小椋久雄さんらしい作品だったと思いますが、子どもが父のために自転車をこぐシーンでは、もうちょっと子どもの表情をハッキリ撮った方がよかったと思うのですが……。子役の子がイマイチだったんでしょうか？(^^ゞ

「バーゲンハンター」は李闘士男さんの演出でしたが、設定があまりに荒唐無稽すぎて、途中で飽きちゃいました。対決モノという意味では、かつて李さんが演出した「美少女Ｈ」を連想しました。こういう対決モノが好きなんでしょうか。

00/10/08　オヤジぃ。(1)

脚本：遊川和彦
演出：清弘誠(1)(2)(5)(7)(8)、吉田秋生(3)、片山修(4)(6)、佐々木雅之(9)
プロデュース：八木康夫
関東放送枠：TBS・日曜9時

演出的には「渡る世間」に近いものを感じました。全体的にセリフの量が多かったせいもあるのですが、とにかくお芝居～セリフ重視の演出になっていました。カット割りも、お芝居の乗りを最優先に組み立てられていたようです。ロケシーンでも、アップで撮りたいのをグッと抑えて、カメラを回し続けている――という感じでした。

そういう意味では、方向性のハッキリした演出だと思います。若い俳優も多いドラマですが、お芝居の乗りも、第１話としてはかなりのハイクオリティだったんじゃないでしょうか。

00/10/09　やまとなでしこ(1)

脚本：中園ミホ(1)(2)(3)(4)(6)(7)(8)(9)、相沢友子(5)
演出：若松節朗(1)(2)(5)(7)(9)、平野眞(3)(4)(6)(8)
企画：石原隆
プロデュース：岩田祐二
関東放送枠：フジ・月曜9時

「オヤジぃ。」と比較すると、お芝居重視の部分と映像で見せる部分が半々くらいの演出でした。もっとお芝居重視でいってもいいような気がしますが、その辺が共テレらしさなんでしょうか？(^^ゞ

松嶋菜々子は大味な印象が強い女優ですが、こういう作風だときれいにハマりますね。こうした傾向は江角マキコと同じなのかもしれません。ドラマ全体の印象としては、設定を含めて「お見合い結婚」を連想してしまう場面が多かったです。松嶋菜々子の演技も「お見合い」の松たか子を参考にしているようなフシがあるような気がします。

00/10/09　明日を抱きしめて(1)

原作：前川麻子
脚本：市川森一
演出：金子与志一(1)(3)(5)(6)(10)、岡本浩一(2)(4)(7)(9)、平川雄一朗(8)
演出補：平川雄一朗、？
プロデュース：木村元子、福田誠
チーフプロデューサー：岡本俊次
音楽：REMEDIOS
制作協力：泉放送制作
制作：よみうりテレビ
関東放送枠：日テレ・月曜10時

なんかイマイチ特徴がつかみづらい演出～脚本でした。ドラマとしてつまらないというワケではないのですが、第１話を見たかぎりでは、まだ本題に入っていないという感じです。クレーンを使ったようなカメラワークが多いのが気になりましたが、その演出意図が何なのか不明確な感じがします。

三田佳子の台詞回しは、新味はないんですけど、迫力がありました。高島礼子のダンナの高知東生は、先日放送された「有森冴子」に出てましたが、今回のドラマと関係あるのでしょうか？　また、小栗旬の台詞回しが「Summer Snow」を引きずっているように感じました。あと、鳥羽潤が「パラダイスサーティ」の清水美砂とソックリに見えてしまったのはボクだけ？

どうでもいいことですが、実はこのドラマで一番、シゲシゲと見入ってしまったのは大坂俊介でした。(笑)　別にファンじゃないし、「ハルモニア」の時もいい印象がなかったから、事務所を解雇された時もなんとも思わなかったのですが、まさかテレビで再会（？）できるとは思っていなかったんで、「君もがんばってるだね～」なんて、シミジミしてしまいました。(^^ゞ

そういえば、演出の金子与志一さんも、かつてＴＢＳにいた人ですよね。そういう意味では、三田佳子を含めて“出直し組”の多いドラマといえるのかもしれません。――失礼しました。m(__)m

00/10/10　編集王(1)

原作：土田世紀
脚本：秦建日子
演出：佐藤祐市(1)(2)(3)、土方政人(4)(5)
プロデュース：森谷雄、保原賢一郎
制作：共同テレビ、フジテレビ
関東放送枠：フジ・火曜9時

佐藤祐市さんといえば、96年の「将太の寿司」、97年「木曜の怪談ファイナル～タイムキーパーズ」でチーフ演出を務めていた人ですが、２作とも視聴率がイマイチだったからか、しばらく連ドラのチーフＤでは見掛けなかった人です。その後は単発モノの「大家族デカ」などを手がけ、「今宵、宇宙の片隅で」や「古畑３」のセカンド～サードＤ、今年１～３月にはテレ東の「貯まる女」でセカンドＤを務めていました。で、今回が３年半ぶりの連ドラチーフとなります。

ボクは「将太」も「タイム」も好きでした。特に下町っぽさにこだわった佐藤さんの映像センスが印象に残っています。ただし、それでは視聴率が取れないと考えたからなのか、「大家族」以降はずっとコメディを手がけていました。で、このドラマもコメディになっているのですが、ボクの場合、このドラマにも、なぜか「将太」っぽさを感じてしまいます。理由がハッキリしないのですが、ロケとかセットのセンスに「将太」に通じるものを感じてしまうわけです。たとえば、大学館の社長宅の玄関先のシーンとか、微妙に「将太」っぽいんですよね。(^^ゞ

一つだけハッキリ指摘できるのは、ラストの主題歌の使い方です。原田泰造を走らせて、バックにトライセラトップスの曲をガンガンかけるセンスは「将太」と同じです。「将太」のときは小沢健二の「僕が旅に出る理由」が毎回ラストにガンガンかかっていました。そもそも原田泰造が走るシーンは、物語的にはほとんど意味がないワケで、単に主題歌をかけたかっただけだと思うのですが、そういうところも「将太」とソックリです。ちなみの「将太」のプロデュースも森谷雄さんでした。

……という事情もあって（？）、僕は佐藤さんのことを“ヨーロッパ系映像派”だと考えているので、今後もそういう視点で見ていくことになると思います。以前、「ＴＶぴあ」でジャン・ジャック・ベネックスが好きだって言ってたし……。(^^ゞ

00/10/10　神様のいたずら(1)

脚本：江頭美智留(1)(2)(3)(4)(5)(6)(8)、松田裕子(4)(7)(9)
演出：木下高男(1)(2)(5)(7)(9)、村上正典(3)(4)(6)(8)
プロデュース：三宅喜重、加藤正俊
制作：共同テレビ、関西テレビ
関東放送枠：フジ・火曜10時

「お見合い結婚」の木下高男さんの演出です。木下さんは、共テレっぽさを抑えた「お見合い」で成功を収めましたが、そのせいか、今回は「お見合い」以上に共テレっぽさを抑えているようです。

ただ、今回はイマイチ方向性がハッキリしない感じです。コミカルな部分と、「青い鳥」もどきのファンタジックな部分がアンバランスです。また、夕方の特番では、鈴木杏ちゃんがいい味を出していたんですが、肝心のドラマでは、いまひとつ印象が弱かったように思います。もちろん、演出だけじゃなくて、物語の印象もアンバランスなんですけど。

ファンタジックな部分の演出に関しては、セカンドＤの村上正典さんの演出に注目したいです。

00/10/10　深く潜れ・八犬伝2001(2)

脚本：神山由美子、藤本匡介
演出：大友啓史(1)(2)(3)(4)(5)、海辺潔(6)(7)(8)(9)
制作統括：一井久司、若泉久朗
出演：鈴木あみ、小西真奈美、テリー伊藤、千原浩史、千原靖史、高橋恵子、仲谷昇
関東放送枠：ＮＨＫ・水曜午後11時

第１話を見て、最初に連想したのは「銀狼怪奇ファイル」でした。全体的に土９っぽい演出だったのですが、堤幸彦さんよりも佐藤東弥さんに近い感じがしたからです。ただし、この感覚を具体的に説明するのは難しいですね。今回はパスさせて下さい。m(__)m

第１話の鈴木あみ＆小西真奈美の回想シーンでは、手持ち撮影風のカットや、空間的な不連続観を強調したカット割りが目につきましたが、イマイチこなれていないような気がしました。この点に関しては「怖い日曜日」とかの方が上手いと思います。また、現在と過去が行ったり来たりする構成も、ちょっとうっとうしいですね。「エヴァ」を意識してるのかもしれませんが……。

ただ、表情アップのニュアンスで物語を組み立てていく部分は、引きつけられるものがありました。特に鈴木あみ、小西真奈美、テリー伊藤のアップで印象的なカットが多かったです。また、沈黙とか間を強調した演出も多かったですが、これも悪くなかったです。ヒロイン２人のレズっぽいシーンは、見ていてドキドキしました。(^_^;)　第２話に出てきた「関係しちゃおうよ」とかいうセリフも、妙に受けてしまいました。(^o^)

第１話はＭＴＶみたいなシーンが多くて、ちょっとしつこいかなと思っていたのですが、第２話ではそうでもなかったので、これも一安心。物語の展開がかったるいのも、連ドラとしては問題ありだと思いますが、ＮＨＫならＯＫなのかな。ＢＳでは一気に放送しているみたいだし。

特徴といえば、全体的にセリフが少ないのが特徴でしょうか。セリフよりも前後の間の方が長いです。(^^)　考えてみたら、このドラマの出演者って、ドラマ経験のない人ばっかりだから、撮影現場は結構大変だったんじゃないかと思います。第１話の高校のシーンなどで顕著なんですが、全体的にセリフの乗りが悪いです。もちろん、このドラマの場合、セリフの乗りは、重要な要素じゃないからＯＫなんですけど。そういう意味では、演出主導――アイドルドラマの王道を行く演出といえるでしょう。

しかし、ＮＨＫ。「六番目の小夜子」といい、「ＦＬＹ」といい、アイドルドラマの最前線を突っ走ってる――という感じがしますね。アイドルドラマで芸術祭参加というのもスゴイです。(笑)

大友啓史さんについては、よくわかりません。ご存知の方がいらしたら、情報提供して下さるようお願いいたします。m(__)m

00/10/11　涙をふいて(1)

脚本：吉田紀子(1)、林宏司(2)(3)(4)(5)、方南久美(4)
演出：永山耕三(1)(2)(5)、中江功(3)(4)、平井秀樹
プロデュース：杉尾敦弘
音楽：Ｋ・Ｎ・Ｉ・Ｆ・Ｅ
制作：フジテレビ
関東放送枠：フジ・水曜9時

部分的に共テレっぽい構図もありましたが、全体的には奇をてらわない演出になっていました。「モナリザの微笑」が永山耕三さんらしくない冒険的な演出になっていたのに対して、今回は永山さんらしい演出に戻ったということでしょうか。

ビックリしたのは、物語的にも演出的にも、子ども４人（子役３人？）の比重が予想よりも大きかったことです。第１話を見るかぎりでは、江口洋介と子ども４人が物語りの中心で、内田有紀やいかりや長介の存在感は低かったです。トータス松本の出演時間なんて全部で１～２分くらいじゃないでしょうか。(^^ゞ　事務員役の眞鍋かをりなんて10秒くらい……。

演出面でいうと、江口の場合は語りや身振りに力が入っていたのに対し、子ども４人の場合は、表情アップのニュアンスに力が入っていました。主役経験のある二宮和也はともかく、他の３人をここまで積極的に起用するとは……、予想外でした。逆にいえば、子役のキャスティングにかなりの力を入れたのでしょう。

特に上戸彩と辰巳雄大の２人はドラマ初出演か、それと同程度のキャリアだと思われるので、なおさらビックリです。辰巳雄大は、この３日前の８日にオンエアーされた「怖い日曜日・合図」で病気の少年を演じていました（演出：大根仁）。劇団ひまわり的な風貌や声質が強く印象に残ったので、名前をチェックしておいたのですが、まさか「涙……」に出てくるとは思っていませんでした。

一方、上戸彩は初めて見る人ですが、辰巳雄大に比べると、表情や台詞回しが硬い感じがしますが、顔の好みだけでいうと結構好きです。(^^ゞ　「ひとつ屋根」の小梅（大路恵美）もそうですが、あんまりアイドルっぽくないところが良いです。いずれにしても、キャスティングの良いドラマだと思います。

三男役の神木隆之介は「グッドニュース」や「ＱＵＩＺ」でおなじみの子役ですが、まさか冒頭の火事は、彼の放火じゃないですよね。(^^ゞ

江口のキャラが「ひとつ屋根」と同じであることに違和感を感じる声が多いようです。ボク自身も若干そういう印象を持ちました。ただ、同じであることが本当に違和感の原因なのかは、熟考してみる必要があります。本当は、同じように見えて微妙に同じじゃないから違和感を感じるのかもしれません。

ストーリーについては、かなりガッカリしてます。「太陽は沈まない」の水橋文美江さんが、家族の喪失感をていねいに描いていたのと比べると、あまりにも紋切り型の展開でした。二宮和也のキャラ設定も紋切り型で面白味に欠けます。ただ、『ＴＶライフ別冊・秋ドラマの本』によると、途中でキャラクターが変わるそうなので、それがちょっと救いです。

00/10/13　愛人の掟・あなたに逢いたくて(1)

原作・脚本：梅田みか
演出：唐木希浩(1)(2)(5)(8)、杉山登(3)(4)、中山高廣(7)(9)
プロデュース：杉山登、下山潤
演出補：白川士
音楽：Ryu.T
制作：テレビ朝日、イースト
関東放送枠：テレ朝・金曜夜11時

いきなり個人的な感想で恐縮ですが、ボクは“水野真紀の不倫ドラマ”というアイデアに何の魅力も感じません。いまさら不倫ドラマでもないだろう――という気持ちが強いし、「愛人の掟」という安っぽいタイトルにも抵抗感があります。それだけが原因ではないのですが、ボクはこの第１話を全部見ていません。テープの早送りを含めて正味20分くらいしか見ていません。

で、その20分の視聴で一番印象に残ったのは、Ryu.Tなる人物の手による音楽です。特にテープの逆回転音みたいな音をフィーチャーした曲がえらく印象に残りました。音楽的な傾向を一言で言うなら、「テクノ」＋「エスノ」＋「アブストラクト・ヒップホップ」――という感じです。「抽象的なヒップホップ？」を聞いたことがない人は「現代音楽風のコラージュ音楽」と読み替えてください。(^^ゞ　

この音楽のためだけでも、一度は見る価値があるドラマだと思います。ちなみにボクの予想視聴率は初回５％。平均３％なんですけど……。m(__)m

00/10/11　ただいま満室(1)

脚本：大森美香(1)(2)、横田理恵、清水友佳子、
演出：六車俊治(1)(2)(5)、池添博(3)(4)、田村直己(6)
プロデュース：横地郁英、山本和夫、清水真奈美（ＭＭＪ）
プロデュース補：田村直己
音楽：寺嶋民哉
制作協力：ＭＭＪ
制作：テレビ朝日
関東放送枠：テレ朝・土曜9時

録画に失敗しちゃったので、生で１回見た印象だけで書かせていただきます。(^^ゞ

六車俊治さんは、「外科医・夏目三四郎」「あぶない放課後」「月下の棋士」「パラダイス・サーティー」などでサードＤを務めていた人ですから、今回のチーフＤ抜擢は異例の大出世です。ボクが知る限りでは、雑誌やネット上で六車さんの演出に注目してた人は、ボク以外に１人もいなかったですから、ボクの演出家評もなかなかのものでしょう？　――なんて、日本人らしくない自画自賛の文章を書いちゃって、申し訳ありません。m(__)m

それはともかく、六車（むぐるま）さんは、日テレの大谷太郎、ＴＢＳの土井裕泰、フジの澤田鎌作といった若手有望派と、同次元で語られるべき人だと思います。

今回のドラマは、ＭＭＪ制作で音楽も寺嶋民哉さんだから、「月下の棋士」の流れの中に位置するドラマと考えていいでしょう。榎本加奈子もＭＭＪの月８ドラマでおなじみの人ですね。この先、ＭＭＪにゆかりのある俳優がゲスト出演する可能性もありそうです。川島なお美とか。(^^ゞ

一言で言うと、とても抑制が効いた演出でした。「新宿……」の後に見ると、なおさらそう感じます。ドラマの基調はドタバタ的な要素を含むコメディなんですが、見ていてウルサクならないところが秀逸です。

しかし、このドラマで最も魅力を感じたのは、視覚的部分ではなくて、聴覚に訴える部分です。音声に対して細かい配慮がなされていました。ＢＧＭやセリフの間の取り方も“静かめ”なんですが、セリフのスピードや声のトーンなども、通常のコメディ演技より１ランク下げているような感じがします。

また、ラストで榎本加奈子が「私、ホテルを継ぎます」と宣言した後に、主題歌がガーンと始まるのはお決まりのパターンなんですが、竜雷太のセリフが始まると、音楽のレベルが少し下がって、その後も微妙に上がったり下がったりしていました。――どのドラマでも、同じようなことはやっているはずなんですが、このドラマは、その辺のサジ加減が絶妙でした。

ＢＧＭの使い方にもこだわりが感じられて、安易に流している――と思える場面が一つもありませんでした。映像・セリフ・音楽の３者をていねいに組み合わせいたと思います。ＢＧＭがないシーンも多かったのですが、セリフがエコーする感覚にも、緊張感～臨場感が感じられて良かったです。――オールディーズ（60年代？）を使ったの選曲センスにも新鮮さを感じました。共テレとか、土９とは微妙に違うと思います。

視覚面では、榎本加奈子が母親の遺体と対面した時のアップもそうですが、彼女の表情をていねいに撮っていました。表情の微妙なニュアンスに、いままでの彼女とは違う新しさを感じたのですが、気のせいでしょうか？

脚本の大森美香さんは、「美少女Ｈ」で脚本・演出をしていたほか、山口雅俊Ｐのドラマでプロデュース補（またはリサーチ）を務めていた人です。「危険な関係」では公式サイトの管理もされていました。連ドラ脚本のチーフを務めるのは初めてですから、このドラマは若手スタッフを積極的に起用した意欲作といえるでしょう。

ただ、この第１話の脚本は、コメディなのに私小説風のナレーションが入っている――という点を除けば、いまひとつ新味に欠けるように思いました。率直に言って、ドラマ全体の印象は地味です。

宮迫博之は、お笑いよりも俳優に向いてるじゃないかと思いました。(^^ゞ

00/10/17　編集王(2)

脚本：秦建日子(1)(2)(3)(4)(6)(7)？、十川誠志(5)(8)、川島澄乃(9)？
演出：佐藤祐市(1)(2)(3)(6)(7)(8)、土方政人(4)(5)(9)

第２話を見て、このドラマのことを見直してしまいました。(^o^)　第１話は、ゴチャゴチャした印象が強かったのですが、この第２話は、けっこう硬派な青春ドラマに仕上がっていたと思います。演出の佐藤祐市さんの持ち味もしっかり出ていたと思います。さすがです。

特に良かったのは内山理名で、表情に深みがあって、今まで見た中で一番いい表情をしていました。佐藤祐市さんの手腕を含めて、評価に値すると思います。次に印象的だったのは蟹江敬三編集長のセリフです。原田泰造の「人間はロボットじゃない」というセリフに対する答えなんですが、次のようなことを言ってました。（記憶で引用しているので、正確じゃありません）

「だから、金を払ってる。給料っていうのは、人を切ったり貼ったりすることに対する我慢料なんだ」

このセリフを聞いて、このドラマは単純なドタバタ・コメディじゃない、ということが分かりました。この後に出てくる、“内山理名の原稿を他社に売り込む”という展開も、結構リアルなエピソードです。ただし、このドラマにおける蟹江敬三（編集長）と内山理名（新人漫画家）の関係は、どっちかというと、ドラマ作りにおけるプロデューサーと新人脚本家の関係の方に近いような気もします。脚本家の秦建日子さん（読み方がわかりません）の経験も加味されているのかもしれません。そういう意味でもリアルだったりするんですが……。

原作との比較はできませんが、いずれにしても、良い脚本だったと思います。第３話の高橋克美さんのエピソードも苦かったです。橋本さとしが演じる有名漫画家の「才能に勝る努力なし」というセリフが、ヘビーでした。このドラマは、辛口のコメディだと思います。――これはボクの考え過ぎかもしれませんが、ドラマ制作者の悲哀が、脇のキャラクター（内山理名、高橋克美、橋本さとし）に込められているような気がして、ちょっと感動してしまいました。(^^)

佐藤祐市さんは、和風～下町っぽさにこだわった演出をする人ですが、このドラマでも、お店の内装とかが下町～レトロ風で、浅草あたりのお店をイメージしてるんじゃないかと思いました。原田泰造のアパートのセットには、「将太の寿司」に出てきた柏原崇のアパートや、「タイムキーパーズ」に出てきた滝沢秀明・森久美子親子のもんじゃ焼き屋と、共通するテイストが感じられます。

土方政人さんが演出する第４話以降も楽しみになってきました。(^^)　佐藤さんと土方さんというのも、けっこう渋い組み合わせかもしれません。

00/10/25　ストレートニュース(3)

脚本：伴一彦
演出：佐藤東弥(1)(2)(5)(8)(9)、雨宮望(3)(6)、長沼誠(4)(7)
プロデュース：伊藤響
制作：日本テレビ
関東放送枠：日テレ・水曜夜10時

１年くらい前から、伴一彦さんは、ご自身のサイトで報道をテーマにしたドラマをやりたいと発言されていましたが、それが実現したのがこのドラマのようです。ある程度シリアスな内容になることは予想していましたが、キャストの数の多さと、展開の速さは予想外でした。過去の報道ドラマと差別化するためには、この２要素は不可欠だったのかも知れません。

ボクは、ニュース番組の制作現場を実際に見たことはありませんが、たくさんの人が慌ただしく動いている――というイメージがあったので、このドラマの雰囲気は、過去の報道ドラマよりもリアルな感じがします。曜日によって担当ディレクターが違う――なんて、あたりまえのことも、ちゃんとドラマ化されたのは、今回が初めてかもしれません。ただ、こうしたリアリティ重視の設定が、ドラマの印象をわかりづらくしてしまう危険性もあります。第３話まで見た限りでは、かろうじてセーフという感じでしょうか。

そうした事情もあって、このドラマに関しては、演出よりも、脚本作りの難しさ方に関心が向いてしまいます。事件の経過を描きつつも、このドラマ本来のテーマは、報道サイド内部の人間模様にあるワケで、その辺のサジ加減は悩むところでしょう。毎回、事件の描き方が中途半端に見えてしまうのは、仕方ないことなんですが、それでも、つい事件の展開に気持ちがいってしまう部分もあって、……難しいところですね。(^^ゞ　三上博史の過去や家族に謎を持たせている点も、成功しているのか、余計なのか、現時点では判断できません。

局内およびスタジオのセットの、広さ～大きさにも注目しました。デスクのセットを含めて全体的に天井が高くて、えらくスケール感があります。実際の現場は、あそこまで広くないような気がしますが……。(^^ゞ　「ニュースの女」のセットも、かなり広々としていましたが、このドラマはそれを軽く超えてる感じです。「ニュースキャスター霞涼子」と比べたら……。（笑）

第１話と第３話は、ともにＶＴＲのオンエアーのシーンがクライマックスになっていました。佐藤東弥さんが演出した第１話の方は、エコーがガンガンかかっていて、スタジオ内に音声が響いている感じが良く出ていましたが、雨宮望さんが演出した第３話の方はエコーがあまりかかっていませんでした。こういうところに、演出家の判断の違いが出ているようです。どっちが良いかは、ケースバイケースなんだと思いますが、こういうところに注目して見てみるのも悪くないと思います。(^^ゞ

最後に細かい話をいくつか――。第１話で、三上博史が原田知世を連れ出したバーのシーンですが、内装とか照明のセンスが「君といた未来のために」に出てきたバーとソックリでした。「君と……」も佐藤さんの演出でした。

第３話ラストの、三上博史の涙は、技アリという感じでした。今後もこういうスタイリッシュなアイデアに期待したいです。今井雅之も久々に渋いところを見せてくれました。最近では「リミット」とか「Ｇメン」とか、食い足りない役どころが多かったですから……。

00/10/26　スタイル！(3)

脚本：田渕久美子
演出：中野昌弘(1)(2)(6)(7)(8)、伊藤寿浩(3)(4)、久野昌宏(5)(9)
プロデュース：黒田徹也、大久保なみ、森川真行
音楽：大谷幸
制作協力：ＦＩＮＥ
制作：テレビ朝日
関東放送枠：テレ朝・木曜9時

このドラマにおける中野昌弘さんの演出は、共テレの平野眞さんの作風に近いような気がします。特に笑いのセンスとか、意外性を強調したカット割りのセンスとかに、それを感じます。平野さんが演出した「ブランド」で、笑いを強調した回がありましたが、その時に近い感じです。

「ブランド」といえば、パーソナル・ショッパーのフロアのセットデザインも「ブランド」のオフィスに似ています。技術協力にバスク、美術協力にフジアールなど、フジ～共テレでおなじみの会社名がクレジットされているので、単なる偶然ではないようです。……っていうか、よく考えてみたら「ブランド」の脚本も田渕久美子さんでした。(*_*)　――というワケで、「ブランド」の延長線上に位置するドラマだと考えて間違いないようです。

00/10/26　ラブコンプレックス(3)

脚本：君塚良一
演出：澤田鎌作(1)(2)(5)、水田成英(3)、田島大輔(4)
プロデュース：和田行
音楽：武部聡志
制作：フジテレビ
関東放送枠：フジ・木曜10時

確かにこれは変なドラマですね。第１話～第２話～第３話と進むにしたがって、演出のトーンがノーマルな方向にシフトしているようですが、脚本の方はあいかわらず飛んでます。(^^)　第１話の段階で、今期の「ザ・テレビジョン」ドラマアカデミー賞は決まっちゃいそうな感じです。良くも悪くもインテリ受けしそうなドラマで、そこに抵抗感を感じなくもないのですが、とりあえずそれは置いておきます。

第１話の最初の10分くらいを見た時点で連想したのは「ＱＵＩＺ」でした。具体的にここかが似ているとかいう話ではなくて、心構えみたいな部分に共通するテイストを感じました。わかりやすく作るということを放棄しているような部分とか。また、画面の中にモニター映像がたくさん出てくるところとか、監視カメラの映像を使用した部分などには、「ＱＵＩＺ」だけでなく「蘇える金狼」第１話に通じるものも感じました。

脚本・演出の両方にいえる特徴としては、シーンが切り替わる際の断絶感・不連続感を強調している点があります。ギャグのテイストがナンセンス系であることも一因なんですが、ドラマのリズム感を裁ち切るようにして次のシーンに切り替わります。こうした手法は「ケイゾク」以降の堤幸彦さんのドラマに顕著な傾向なんですが、「ラブコン」は、それを極端に強調した仕上がりになっています。とにかく、お芝居の自然なリズム感を、ズタズタに切り刻むことに腐心しているような演出です。

ＢＧＭの使い方も、バック・グラウンドという感じではなく、もっとアグレッシブな使い方をしています。オンとオフの落差を強調する感じです。テクノ系の音楽が多いのは澤田鎌作さんの趣味だと思われますが、それを手がけているのが武部聡志さんだというのにも、ちょっとビックリです。武部さんって、松たか子とかを手がけている人ですから、あんまりテクノというイメージがないです。

それにしても、このドラマの下敷きになっているモチーフが何なのかは気になります。出来あがったドラマだけ見ていると、脈絡不明な印象なんですが、企画の段階ではそれなりに明確なコンセプトがあったはずです。それが、視聴者側に見えてこないところが、上手いというか、いやらしいところです。(^^ゞ　まあ、あんまり見えてこないのもツライところなんですが……。この点は一長一短だと思います。

予想するに、スパイ～サスペンス系の物語を、むりやりトレンディ系の舞台設定に移殖したという感じがします。と同時に、物語の核がどこにあるのかも、現時点ではハッキリしません。このドラマのテーマは“コンプレックス”みたいですが、後半にヘビーな展開があるのか、最後までナンセンス系のギャグで押していくのか、まったく展開が読めません。今のまんまでいくと、だんだん飽きちゃうような危惧も感じます。ただ、ここまで作り込んだからには、まだまだ隠し玉が潜んでいそうな予感もあります。

水田成英さんが演出した第３話は、リズム感は同じでも、カメラワークはかなりノーマルな感じになっていたように感じました。個人的には、新興宗教の集まりでブツブツ言っている、りょうの表情が好きです。(^^ゞ

00/10/27　教習所物語(3)

脚本：樫田正剛(1)(2)(5)、斎藤ひろし(3)(4)(6)(7)、渡辺典子？、渡邊睦月(8)
演出：福澤克雄(1)(2)(6)(7)、金子文紀(3)(4)、平野俊一(5)(8)
プロデュース：山田康裕、福澤克雄
関東放送枠：TBS・金曜9時

「金八先生」とスタッフ・出演者がダブっているせいか、ドラマ全体のテイストも「金八」に近い感じがします。「金八」の職員室のシーンなどに良く出てきたギャグのパターンを拡大再生産しているような感じです。個人的にはこういうのは結構好きですね。(^^ゞ　ベタなギャグでも許せる――という雰囲気を作り上げているという意味で、評価したいです。そういう意味では「ラブコン」の対局にあるドラマでしょう。

とはいっても、第３話の車の激突シーンなどは、なかなか迫力のある映像に仕上がっていました。金子文紀さんは「ケイゾク」「池袋……」一派ですから、その辺は侮れません。

撮影協力に、ドラマファンの間では有名な小湊鉄道の名前があることからもわかるように、ロケは千葉で行われているようです。農道（？）みたいな道路のシーンには、スケール感があって、なかなか味があります。このロケーションを活かして、いろいろ実験できそうな気がするのですが、どうなるでしょうか。

難を言うと、水前寺清子の演技が堅いのと、金髪の兄ちゃん（小松拓也）がいまいち魅力薄なのが気になります。金髪の兄ちゃんが加藤晴彦だったらもっと面白かったのに……なんて言ったら失礼でしょうか。(^^ゞ

３Ｂ生徒からは、岡あゆみと倉沢桃子が出ていますが、いまいち出番が少ないのが残念。あと第１話冒頭で、大森巡査が出てきたり、兼末兄こと須藤公次が兼末という役名で出てきたりと、“金八エキストラ”も目につきますが、個人的な希望としては、幸作こと佐野泰臣に登場してほしいです。(^^ゞ

ところで、水前寺清子＆武田鉄矢の主題歌のアレンジが、やけにカッコイイのが気になります。誰のアレンジなのか未チェックですが、タダモノじゃないような気がします。ただし、ボーカルの乗りはイマイチなんですけど……。(^_-)

00/10/27　真夏のメリークリスマス(3)

脚本：清水東(1)(2)、関えり香(3)、相内美生(3)
演出：生野慈朗(1)(4)、今井夏木(2)(5)、内田誠(3)
プロデュース：植田博樹、伊與田英徳
関東放送枠：TBS・金曜10時

な～んか「ランデヴー」みたいな世界に突入してますね。(^^ゞ　“わかる人にはわかる世界”という感じです。これといったストーリーの軸が見えなくて、登場人物が単にウダウダしてるだけ――ですよね。見てない人から「どんなドラマなの？」と聞かれても、答えに窮してしまいます。強いて言うと、ボクサーを引退した竹野内豊が堅気の仕事を探しているお話なんですが、「編集王」の原田泰造が優等生に見えちゃいますね。

登場人物のキャラクターに魅力を感じられるかどうかで、評価が大きく割れてしまうと思いますが、ボクの場合は、かろうじてセーフという感じです。特に、生野慈朗さんが演出した第１話における中谷美紀・加藤あいの表情に味があって、さすが生野さんだなと思いました。「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」の時にも書きましたが、生野さんは女の子を撮るのが上手いですね。ホント。（笑）　加藤あいなんて「池袋……」の時と同じようなキャラなのに、微妙なニュアンスが良いんですよね。(^^ゞ　加藤あいにしゃっくりをさせるというのは誰のアイデアなんでしょうか？　渋いです。

第２話で竹野内豊が大杉漣にボコボコにされるシーンは、カット割りに「ケイゾク」的なアクティブな躍動感があって、演出が今井夏木さんだってわかりました。ただ、女の子を撮るのは生野さんの方が上かな。やっぱ。(^_-)

第３話に、中谷美紀と竹野内豊がケンカするシーンがありましたが、２人の演技から過去の２人からは感じられなかったバカっぽいリズム感が感じられて、新鮮でした。こういう演出をするのは生野さんかなと思ってたら、意外にも内田誠さんでした。内田さんは「君が教えてくれたこと」（出演：ともさかりえ・上川隆也）でも良い味を出していたので、注目しておきたい人です。

ところで、１ヵ月くらい前に、このドラマのロケ現場に出くわしたことがありました。第２話に出てきた屋台のシーンです。周囲のやじうまの人たちは「竹野内豊がいる～！」とか言ってましたが、その中に混じって「生野さん、いないかな」なんて探してたボクは孤独でした。（笑）

――なんか、要領を得ない日誌になっちゃいましたね。スミマセン。m(__)m

00/10/28　新宿暴走救急隊(3)

脚本：大石哲也(1)(4)(5)、吉田智子(2)(3)、後藤法子(5)、
演出：猪俣隆一(1)(2)(4)、小松隆志(3)、高橋直治(5)
プロデュース：倉田貴也
協力プロデュース：東城祐司（ＭＭＪ）
制作協力：メディア・ミックス・ジャパン（ＭＭＪ）
制作：日本テレビ
関東放送枠：日テレ・土曜9時

日本シリーズも見ないで、せっせとこの日誌を書いてたんですが、幸か不幸かこの日の放送は2時間10分遅れ。さすが日テレ、やってくれます。（そういえば、「サイコメＳＰ」は2時間遅れで、視聴率16％くらい取ったそうだから大したものです。日誌書けなくてスミマセン）

このドラマは、第１話カット割りが凄かったです。猪俣隆一さんは「BOYS BE …Jr.」「熱血恋愛道」「ッポイ！」の頃から、手の込んだカット割りにトライしていましたが、この第１話でも完成度の高いカット割りを見せてくれました。音楽の入れ方も、ものすごくていねいでした。ハッキリいって、物語やキャラクターにはあまり魅力が感じられなかったので、ほとんどカット割りばっかり見てしまいました。(^^ゞ　しかし、第２話以降は、カット割りのクオリティも落ちてしまいました。連ドラの場合、これはある程度、仕方ないことなんですけど……。

このドラマの場合、主役の３人がイマイチです。個人的には、ロンブーの２人があまり好きじゃないのですが、その点を差し引いてみても、物足りないです。たとえば、上原多香子は、「蘇える金狼」や「ナースのお仕事３」の時の方が良かったです。

ボクが見た感じでは、主役の３人よりも脇役の片瀬那奈や岸田健作の方が良い味を出していました。片瀬那奈は、今までになかったようなコミカルな演技を見せていて、女優のプライドを捨てたような派手な表情をしています。「ＦＬＹ」組の成長は著しい――という感じですね。岸田健作も、今まで良いと思ったことは一度もなかったのですが、今回は面白いです。台詞回しにも安定感があって、「笑っていいとも」でのタラタラしたしゃべりとは大違いです。２人とも出番があまり多くないのが残念です。

ロンブーの２人に、多くを望むのは酷だと思いますが、脚本やキャラ設定は、もう少しなんとかならなかったんでしょうか。ロンブー２人のキャラは、あまりにも紋切り型すぎて、ボクは感心しません。紋切り型の方が視聴者に安心感を与える――という考え方もあると思いますが、今回のケースはそれ以前の問題だという気がします。

ただ、このドラマは、毎回、脚本家が違うみたいなので、その部分で期待できるかもしれません。「伝説の教師」や「フードファイト」も、中盤を過ぎてから面白くなってきましたから。「伝説……」の場合は、松本人志のアイデアによるところが大きかったのかもしれませんが……。個人的には、後藤法子さんの脚本に注目してみたいです。

このドラマは、ＭＭＪが制作に関与しているという意味でも注目です。小松隆志さんは、このところＭＭＪのドラマを手がけることが多いですが、今回もＭＭＪの流れで、このドラマに参加されたんだと思います。土曜日は「ただいま満室」もＭＭＪだから、ＭＭＪづくしの曜日になりました。

00/11/01　涙をふいて(4)

脚本：吉田紀子(1)、林宏司(2)(3)(4)(5)、方南久美(4)
演出：永山耕三(1)(2)(5)(6)(9)(10)(11)、中江功(3)(4)、平井秀樹(7)(8)

中江功さんが演出したこの第４話が演出的には一番手が込んでいたように思います。カメラを動かしながら（パンしながら）撮った顔のドアップだけで会話のシーンを構成するなど、中江さんらしいカット割りがたくさん見られました。ホームコメディで、ここまで手の込んだカット割りをする必要があるのだろうか――なんて思ったりもしましたが……。(^^ゞ　このドラマで担当するのは２本だけのようですが、しっかり中江印を残して去っていったという感じです。

お芝居の演出という点でも、第２話に顕著だったドタバタ的な部分を排して、お芝居のニュアンスを重視した演出になっていました。その成果が出てくるのは、第５話以降なんですが、この第４話が演出上のターニングポイントだったような気がします。二宮和也が今までとは違う演技にトライしていると思えたのは、この第４話からです。

ちょっと説明が雑ですけど、見てから１カ月以上も過ぎているので、よく覚えていません。(^^ゞ

脚本は、終始一貫してつまらないです。現実にこういう境遇の家族がいたら、山のように悩みが出てくると思うのですが、そういう内在的な問題はほとんど描かれないで、外から降ってきたような外在的な問題ばかりが出てきます。しかも、それらのひとつひとつがインスタントな印象です。こんなことを書いたら酷かもしれませんが、橋田壽賀子さんの脚本で見てみたかったです。(^^)

そういえば、上戸彩がスカウトされるエピソードは、「渡る世間」の加津（漢字？）ちゃんを連想しちゃいます。まあ、不幸で貧しい女の子がスターになるっていうのは、古典的な作劇パターンですけどね。「涙…」の方は、悪徳スカウトみたいですけど、それもよくあるパターン。(^^)

00/11/03　ＴＥＡＭＳＰ

脚本：君塚良一
演出：河野圭太
プロデュース：関口静夫
制作：共同テレビ、フジテレビ

深田恭子は『フードファイト』の時も、ニュアンス～リアクションが豊かな芝居をしていて、確かこの日誌でも書いた覚えがあります。このドラマでも、その延長線上なんですけど、シリアスな部分では『フードファイト』とは違った迫力がありました。クライマックスの取調室のシーンは、「アップが少ないな」なんて思ってたら、涙のところでドーンと入ってきました。最初っから、そういうコンセプトだったんですね。やられました。(^^ゞ

河野圭太さんの演出は、ほぼ全編に渡ってシリアス＆ヘビーでした。コミカルな会話の部分でも、ＢＧＭは重たい感じで通していたようです。黒木瞳＆西村雅彦も、本放送の時よりもけわしい表情をしていたような気がします。ただし、ラストの銃声とかは、どうもボクには馴染めない演出です。(^^ゞ

君塚良一さんの脚本に関しても、微妙な思いがあります。「子どもは悪魔か」なんていう抽象的な観念で出産をためらってる夫婦――という設定は、あまりに現実ばなれしていて、ボクにはブラックユーモアに見えてしまいます。水野美紀と山本耕史のエピソードの方は、それなりに悪くなかったのですが……。

このドラマの登場人物って、あまりにも図式的すぎて、深みに欠けるような気がするのはボクだけでしょうか？　深田恭子をめぐるイジメの連鎖みたいな部分も、研究書に書いてあるような図式を当てはめただけで、それ以上の深みに欠けるんですよね。本放送の時に出てきた、新興住宅地と下町の対立とかいうエピソードもそうです。安易に比較するのは良くないと思いますが、岡田惠和さんだったら、こういうキレイに割り切れるような人物描写はしないような気がします。

君塚さんは好きな脚本家だし、ネット上で悪口みたいなことは書きたくないのですが、「チーム」に関していえば、本放送の時から物足りない思いがあります。「少年の心の闇」を描くのがコンセプトみたいですが、その「心の闇」の描き方が図式的に見えちゃうんですよね。「子ども＝性善／性悪」というのも図式ですが、「子ども＝？」というのも図式です。――この話をしていると長くなるので、この辺で止めます。演出とも関係ないし。こんな風に感じるのが、ボクだけだったら、無視してもらって結構なんですけど。(^^ゞ

00/11/04　ただいま満室(4)

脚本：大森美香(1)(2)(4)(6)(8)、横田理恵(3)(5)(7)、清水友佳子(3)？
演出：六車俊治(1)(2)(5)(8)、池添博(3)(4)(7)、田村直己(6)(9)

この第４話は、小橋賢児がゲストだったんですが、その小橋賢児と榎本加奈子が肩を並べて泣くシーンからラストまでの７～８分を、メランコリックなテイストで押していく演出が印象に残りました。特に非凡な演出ではなかったと思いますが、いつもはラストに入るエンドロールを、オープニングにもってくるなど、なかなか気合いの入った７～８分でした。榎本加奈子のため息で終わるラストも、余韻が残って良かったです。(^^)

田村直己さんが演出した第９話でも、同じようなことをやっていました。

原作はどうなっているのか知りませんが、舞台をラブホテルにしたのが逆効果になっているみたいです。ラブホテルという制約が発想を窮屈にしているのか、毎回のエピソードがネタ切れっぽく感じられます。普通のホテルの方がエピソードに幅が出たように思います。

00/11/11　ネットバイオレンス～名も知れぬ人々からの暴力

脚本：野沢尚
脚本：六山浩一
制作統括：木田幸紀、山神裕
制作：NHK大阪
関東放送枠：NHK・土曜7:30

すみません。この日はドタバタしていて、後半30分くらいしか見ていません。(*_*)

というワケで、ストーリーとかもちゃんと把握できていないのですが、思ったほど過激な内容じゃなかったみたいです。ただ、ちょっと気になったのは、「インターネットにハマる人＝孤独な人」という発想。古臭い感じがします。それとは違うインターネットライフを見せてほしかったです。まあ、このドラマに限ったことではないのですが。

若干ニュアンスは違うのですが、「秘密倶楽部」（フジ・月曜深夜）は、ネットと人間の関係が、わりかしリアルに描かれているように思います。半分ドキュメンタリーだから、あたりまえなんですが。(^^)

00/11/15　涙をふいて(6)

脚本：吉田紀子(1)、林宏司(2)(3)(4)(5)(6)、方南久美(4)
演出：永山耕三(1)(2)(5)(6)、中江功(3)(4)、平井秀樹(7)(8)

やっぱり椎名法子は、ただの良い子じゃなかったですね。うれしいです。(^^)　どうせだったら、二宮和也に「あなたキス下手だから」とか言ってほしかったですけど、それは別のドラマでのお楽しみということで……。（笑）　加藤晴彦とやってるアルペンのＣＭも良い感じ。(^^ゞ

第５話での遊園地デートは何だったんだという気もしますが、この手の疑問は山のようにあるので、そんなことを気にしていたら、このドラマは楽しめません。木造にするのかどうかなんて基本的な打ち合わせもしないで設計図書くなよ――とか。(^^)

それより、遊園地デートのＢＧＭが映画『小さな恋のメロディ』の主題歌だった「メロディフェア」だったのが、ちょっとツボにきました。古臭いんですけど、永山さんらしい選曲で悪くなかったです。確か第９話（10話？）でも、黒坂真実とのシーンで同映画に使われた「若葉のころ」がかかっていました。こちらは知らない人のカバーバージョンでしたが。

永山耕三さんといえば、最近は「モナリザの微笑」とか「マッハブイロクＳＰ」など、流行りの演出を取り入れた作品が多くて、いまひとつしっくりこない感じがしていました。でも、このドラマでは共テレっぽい部分と、月９風の王道スタイルがきれいに調和しているように思います。以前にも書きましたが、子役のクオリティが高いというのも重要なポイントなんですけど。

二宮和也が茶碗にキスしてたのは、この第６話だったと思うのですが、個々のアイデアが決まるようになってきたと思います。(^^)

00/11/18　浪花少年探偵団(7)

原作：東野圭吾
脚本：長川千佳子(1)(2)(3)(8)、久松真一(4)(5)(6)、犬童一心(7)、飯野陽子(9)、土田英生(10)
演出：大橋守(1)(2)(3)(6)(7)(9)、黒崎博(4)(8)、吉田努(5)(10)
制作統括：
制作：NHK大阪
関東放送枠：NHK教育・土曜6時

最初の１～２話を見た時点では、あまり魅力を感じなかったドラマなんですが、後半に入ってからだんだん面白くなってきました。ちゃんと覚えていないのですが、多分３話と６話は見てません。で、見た範囲でいえば、この第７話がベストの出来なんじゃないかと思います。

山田まりやが子どものころに死別した友達の幽霊と再会（？）するという、けっこう単純な話なんですが、現実と回想が交互に登場する脚本と、演出面での工夫もあいまって、ファンタジックな30分でした。特に、路面電車とか長屋風の小路など、大阪の下町情緒とノスタルジーを融合させた映像センスが良かったです。多分、映像的にも、この回が一番手が込んでいたんじゃないでしょうか。「Ｊ家の反乱」にも、これに通じる雰囲気の回がありました。「線香花火」とか。

00/11/18　夫についての情報

脚本：田渕久美子
演出：西谷真一
出演：小泉今日子、堤真一、香川京子
制作統括：吉川幸司、土屋秀夫
共同制作：NHKエンタープライズ21
制作：NHK
関東放送枠：NHK・土曜7:30

西谷真一さんは、今年の初めころ（多分？）に放送された「オアシス」という単発ドラマの演出をしていた人ですが、このドラマでもソフトフォーカス系の、モワッとした映像が多かったです。正直いって、ボクはこの系統の映像は苦手です。特に暗めの部屋に淡い陽射しがさしているシーンなんかは、土９みたいにもっとクリアに撮ってくれよ！　なんて思ってしまいました。

ところどころに手の込んだカメラワークがあったのですが、一番変だったのは、夜の病院のロビーで小泉今日子と香川京子が話しているシーン。２人を映したカメラが薔薇のアップに移動して、そのまま切れ目なしで元の位置に戻ってくると、香川京子だけいなくなっていて、小泉今日子が誰もいない空間に向かってしゃべっている。もちろん会話の相手は香川だから、印象としては、いきなり香川が透明人間になっちゃって、それに気がつかないで小泉がしゃべっている――という感じでした。

一瞬ワケがわかんなくて、ビデオテープを戻しちゃいました。(^^)　で、その後、香川に呼びかけられて、一瞬、妄想に入っていた小泉が我に返る――というオチだったんですけど。何だったんでしょうね。あれは。（笑）

それにしても、仕事をしている実感がほしくて農業に走るっていうのは、ちょっと安直な発想ですね。堤真一を死なせてしまった理由もよく分かりませんが、一人で生きて行くというのが田渕久美子さんの作劇上のポリシーなんでしょうか？　この点でいえば、「ニュースの女」の鈴木保奈美のキャラクターが一番しっくりしていたように思います。

00/11/23　ラブコンプレックス(7)

演出：澤田鎌作(1)(2)(5)(8)、水田成英(3)(6)、田島大輔(4)(7)(9)

このドラマに関してはいろいろ言いたいこともあるのですが、演出に関しては、田島大輔さんの回が好きです。３人の中では田島さんが一番演出歴が長いのですが、演出上の引き出しが豊富というか、キメの細かい演出になっていると思います。他に２人に比べて、あまりパロディ系のネタに走らないところが、職人的というか、玄人好みの演出をしているという印象を与えます。また、お芝居とか表情のニュアンスをていねいに撮ってるのは田島さんじゃないかという気がするんですけど、どうでしょう？

逆にいうと、「カノッサの屈辱」みたいなネタを期待している視聴者には物足りないかもしれません。発想の大胆さという点では、やはり澤田鎌作さんがすごいです。(^^)

ちょっと雑な内容だとは思いますが、今回はこれで許してください。m(__)m

00/11/24　真夏のメリークリスマス(7)

脚本：清水東(1)(2)(4)(6)(9)、関えり香(3)(5)(8)、相内美生(3)、原克子(4)(7)
演出：生野慈朗(1)(4)(7)、今井夏木(2)(5)(8)、内田誠(3)、竹之下寛次(6)(9)

ストーリーに関しては、２人が兄弟という展開になった時点で脱落してます。(^^)　生野慈朗さんのはンタビューで、「ビューティフルライフ」では自分がやりたいことをやったので、このドラマでは植田博樹Ｐにやりたいことをやらせてる――と発言していました。しかし、このドラマはツライですね。予定通りの展開なのか、視聴率が悪くて展開を変更したのか、事情は分かりませんが、結局、何がやりたいのか分かりません。

第６話の白眉は、中谷美紀と加藤あいがレズみたいにジャレあってるシーンでしょう。（笑）　生野さんは、以前「金八４」や「ひとり暮らし」で、レズっぽい世界を描いていましたが、「深く潜れ」を見て、またやりたくなっちゃったんでしょうか？　(^_-)

中谷美紀も良いのですが、このドラマでは加藤あいが印象に残ります。一ファンの立場から言わせていただくと（笑）、カメラにしても照明にしても、彼女を撮ったカットに、ただならぬ執念みたいなものを感じます。このドラマの現場には、加藤あいファンが多いのでしょうか。――単に、ボクの妄想かもしれませんけど。(^_^;)

ところで、たしか第３話に「ミシロっていうプロデューサーが足フェチでさー」というセリフがありましたが、それって「ブラックジャック」などをプロデュースした三城真一さんのことなんでしょうか。あと、第何話か忘れましたが、畑野浩子が加藤あいの身辺調査を頼むとか言ってたテレビ局社員の名前が“横井”でしたが、ＴＢＳには横井直行さんというＰがいます。(^^ゞ

なお、脚本のクレジットは、「テレパル」から転記したので、若干違ってるかもしれません。m(__)m

00/11/25　新宿暴走救急隊(7)

脚本：大石哲也(1)(4)(5)(7)、吉田智子(2)(3)(8)、後藤法子(5)、三上幸四郎(7)
演出：猪俣隆一(1)(2)(4)(6)(7)、小松隆志(3)(8)、高橋直治(5)

このドラマも、なぜだか見落とすことが多くて、大谷みつほの回はまだビデオの中だったりします。ただ、この第７話は、ちょっと胸騒ぎがしたんで、気合いを入れて録画・視聴しました。(^_^;)

やっぱ今井絵理子は良いですね～。演技自体は「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」の時とあまり変わっていないような感じだし、大味な印象もあるのですが、表情とか声のニュアンスにドラマ性を感じちゃいます。ボクは、ドラマの役名をちゃんと覚えない人なんですが、今井絵理子を見ていると、つい「美咲」と呼びたくなってしまいます。単なるミーハーの発言になってますね。すみません。さらに、不思議なのは、今井絵理子とのシーンでは上原多香子も違和感なく見れちゃうところです。気持ちの余裕みたいなものが演技に反映されてるんでしょうか。

ミーハーといえば、「ＦＬＹ」の忍成修吾が登場した時もワクワクしました。(^_^;)　出番は少なかったんですけど、微妙な仕種（しぐさ）に味があって良かったです。まあ、このドラマのゲストには「伝説…」関係者が多いから、そんなに意外でもないんですけど、この人の場合、シリアスとコメディの両方で行けちゃうところに惚れちゃいます。(^○^)

前項の「真夏…」もそうですが、演出の話になってないですね。m(__)m

なお、翌週の第８話はラストの15分くらいしか見てないのですが、自然光を模した照明の使い方や露出の処理に強いこだわりが感じられました。ベッドに横たわる田村亮の表情も悪くなかったです。演出は小松隆志さん。ちゃんと見てなくてスミマセン。

ところで、ちょっと前の番宣で、ロンブーの２人がしゃべっているのを見かけました。またドラマをやりたいかという質問に対して、田村淳が「同じスタッフだったらやってもいいけど、また一から苦労するのは嫌だ」と答えてました。う～む、深いね～。(^_-)

00/11/26　〔特集〕怖い日曜日

脚本：大前典子、井上もも、西本洋子、山田珠美、谷口純一郎etc
演出：大根仁、二階健、古賀倫明、池田健司、松田康洋
プロデュース：池田健司、古賀倫明、中沢晋
制作協力：オフィスクレッシェンド
関東放送枠：日テレ・日曜11:40

気になりつつも、コメントしそびれてしまった「怖い日曜日」を、特集してお届けいたします。(~_~;)　まず最初に、放映リストを掲げておきます。毎週２～３話のエピソードが放映されていたのですが、蛇足的と思われる作品も多かったので（失礼！）、それらのデータは煩雑を避けるためにカットしました。m(__)m　なお、データに自信がない場合は、？マークを付けてあります。

07/02　【01】「続きのシーン」生田斗真・藤原ひとみ、「エレベーター」松山幸次（Ｄ大根仁）
07/09　【02】「ほたる」田口淳之介（Ｄ二階健）
07/16　【03】「かおりちゃん」村上信五・松田一沙（Ｄ大根仁）
07/23　【04】「弟」服部将也・河西祐樹（Ｄ二階健）
07/30　【05】「千羽鶴」牧野紘二・小場賢・中江川力也、「お弁当」建みさと（Ｄ池田健司？）
08/06　【06】「交差点」東新良和、「寒い」横山裕（Ｄ不明）
08/13　【07】「観覧車」宮城俊太（Ｄ不明）
08/20　【--】（24時間TVのため休止）
08/27　【08】「祠の秘密」中丸雄一・上田竜也・水谷妃里（Ｄ古賀倫明）
09/03　【09】「花嫁さん」那由多遙、「お母さんの自転車」五関晃一（Ｄ池田健司？）
09/10　【10】「記憶からの使者」安田章大・大倉忠義・松崎駿司（Ｄ古賀倫明）
09/17　【11】「診察室」増田貴久・高井宙也・越岡祐貴（Ｄ古賀倫明）
09/24　【12】「ダムの下」藁谷亮太・石坂晴樹・川村陵・内澤祐豊（Ｄ池田健司）
10/01　【13】「奇跡の友」森雄介・中江川力也（Ｄ古賀倫明）
10/08　【14】「合図」辰巳雄大・井端珠里（Ｄ大根仁）
10/15　【15】「永遠の日々」伊藤達哉・上田竜也（Ｄ古賀倫明）
10/22　【16】「吊り下がる」加藤成亮、「ハロウィン」（Ｄ二階健）
10/29　【17】「消える水割りウイスキー」風間俊介・河原さぶ（Ｄ大根仁）
11/05　【18】「投身する少女」上里亮太・深谷まりえ、「コンビニ」島田直樹（Ｄ大根仁）
11/12　【19】「ホテル」丸山隆平・石田友一（Ｄ松田康洋）
11/19　【20】「僕の親友」田中聖、「缶蹴り」小森輝明・谷澤拓歩・河合郁人・戸塚祥太（Ｄ古賀倫明）
11/26　【21】「ロケ先の怪」風間俊介、「最終回」赤西仁・長谷川純・長谷部隼・萩原幸人（Ｄ大根仁）

今回のシリーズは、昨年と比べると脚本のクオリティが高かったです。単に幽霊が出てきた――みたいなストーリーが減って、心理劇とかファンタジーとして、ちゃんと見れる作品が増えました。特にオフィスクレッシェンド所属の構成作家大前典子さんが、面白い作品を書いていました。なお、すでに日誌で取り上げているものはここでは触れません。

【01】【02】【03】　（日誌参照）

【04】　「弟」服部将也・河西祐樹

弟に対する近親憎悪をテーマにしたストーリーで大前典子さんの脚本でしたが、良いところに目をつけるな～と感心した覚えがあります。二階健さんはこの回から、黒バックで登場人物を撮るという舞台演劇～アニメ的な手法を使うようになりました。今回のシリーズは、映像よりもストーリーを重視した作品が多かったのですが、二階健さんだけは映像重視の力作が目立ちました。(^^)

【05】　「千羽鶴」牧野紘二・小場賢・中江川力也

脚本が誰だったか分からないのですが、イジメをする側の自己正当化と罪悪感をモノローグで綴っていくところが秀逸でした。「人間は平等だなんて嘘っぱちだ」とか、ちょっと野島伸司っぽい世界でした。(^^)　粒子が粗くて暗い映像でしたが、今となってはあまり新味はありません。

【08】　（日誌参照）

【10】　「記憶からの使者」安田章大・大倉忠義・松崎駿司

今シリーズの最高作はやはりこれでしょうか。封印されていた殺人の記憶が蘇る――という話ですが、一番怖いのは自分自身の心の闇だということなんでしょう。わざとらしいオチをつけないで、唐突に終わってしまうところも上手いと思いました。脚本は【08】「祠の秘密」も書いていた山田珠美さん。その時の日誌にも書きましたが、昨年末の「X'masドラマスペシャル」で「花摘みじいさん」を書いていた人です。ぜひ記憶しておきたい名前です。

演出は古賀倫明さんで、ドラマファンにはおなじみの小湊鉄道が出てきました。夏の眩しい陽射しを強調した映像処理がよかったです。電車のサイレンで恐怖感を煽る演出も効果的でした。野島伸司の「未成年」（95年・TBS）みたいな映像もありましたが許容範囲内です。安田章大に殺人の過去――というのは意外性のあるキャスティングですが、それが良かったのかどうかは微妙なところでしょうか。(^^)

【12】　「ダムの下」藁谷亮太・石坂晴樹・川村陵・内澤祐豊

池田健司さんの演出で、地方ロケもの。ロケーションの雰囲気は悪くなかったのですが、脚本とかお芝居がいまひとつでした。ただ、藁谷亮太が幽霊の声に対して「もういいよ」と答えるクライマックスは、なかなかスケール感のあるカメラワークでした。森の中でカメラを派手に動かす（クレーン？）のは大変だったんじゃないでしょうか。このシーンはＢＧＭや音声の処理もカッコ良かったし、昆虫がウジャウジャしている映像を挟み込んだりするセンスも渋かったです。――石坂晴樹は「ズッコケ三人組」に出ていた人ですね。

【13】　「奇跡の友」森雄介・中江川力也

山田洋次監督の「学校」シリーズみたいな貧乏臭い演出（古賀倫明）でした。といっても、カメラワークやお芝居のメリハリがよく出来ていて、意外に秀作でした。お芝居とカメラワークで見せるというのも、この番組ではめずらしい演出です。森雄介は「３年Ｂ組」出身だけあって暑苦しい芝居がハマります。ラストの泣くシーンは、けっこうインパクトありました。ただし、脚本自体は平凡でした。

【14】　「合図」辰巳雄大・井端珠里

「涙をふいて」に出演している辰巳雄大が印象に残りました。その「涙…」の日誌にも書きましたが、声とか表情が“劇団ひまわり”っぽくて良いです。(^^)　井端珠里は「プリズンホテル」に出てた子です。大根仁さんは、今シリーズではヒューマンタッチの演出にトライしていたみたいです（【01】【16】を除く）。

【15】　「永遠の日々」伊藤達哉・上田竜也

う～む。これはイマイチ。演出は古賀倫明さんで、【08】の二番煎じみたいな内容・主演者だったんですが、【08】自体が去年のシリーズで放送された「夢」の二番煎じもどきだったのでツライです。出演者の台詞回しもキツかったです。(^^)　

【16】　「吊り下がる」加藤成亮、「ハロウィン」

久々に二階健さんが演出した回でしたが力作でした。二階さんの非凡な映像センス～絵心が堪能できました。脳裏にこびりつくような印象的なカットがいくつもありました。加藤成亮の目のアップとか、「ハロウィン」でのカボチャのシルエットとか。また、ナビゲーターの４人がしゃべっている部分の映像も、この回と【04】がズバ抜けてカッコ良かったです。二階さんの映像センスは、凡人にはマネの出来ない域に達していると思います。

【17】　「消える水割りウイスキー」風間俊介・河原さぶ

風間俊介をドラマで見るのは半年ぶりですが、これはイマイチでした。死んだ父親との和解を描いたストーリーなんですが、ケンカの理由も安っぽいし、貯金通帳のネタもありきたりの展開です。父親役に河原さぶを起用するあたりに、作り手側の意気込みが感じられたのですが、残念でした。放送日の翌日に「世にも奇妙な物語」の再放送で「ハッピーバースデー・ツー・マイホーム」（91年、脚本：君塚良一、演出：落合正幸）を見たのですが、ほぼ同じテーマなのに、格段に深みのある脚本でした。

演出に関しては、あまり印象に残った部分がないのですが、ＢＧＭや効果音が、わざとらしく感じました。風間俊介は「金八」における“悪の兼末”から“悲しみの健次郎”までをダイジェストしたような演技でした。ただし、これは藤原竜也にもいえることなんですけど、ときどきニュアンス過剰に感じられるのが気になります。藤原竜也は最近、改善されているみたいですが。

【18】　「投身する少女」上里亮太・深谷まりえ、「コンビニ」島田直樹

個人的な好みでいえば、この回は結構好きです。上里亮太を見るのは１年前の「青い鳥症候群」以来１年ぶりですが、相変わらず顔とか声が濃い口で、そのいかがわしいところがたまりません。(^^)　「投身する少女」は彼のナレーションをフィーチャーした作品ですが、テープの回転速度を遅くしたように聞こえる、彼の声質と活舌の悪さがツボにハマりました。（笑）　演出面では、人間ドラマ色が比較的薄かったせいか、今シリーズの大根作品の中では、映像の完成度が高かったように思います。また、最後にかかっていた女性ボーカルはビョークだと思いますが、それ以外でもＢＧＭのセンスがカッコ良かったです。こういうところに、新しい演出の可能性があるのかもしれません。

【19】　「ホテル」丸山隆平・石田友一

いつもの「怖日」とは雰囲気が違っていて、安っぽい演出が目につくなぁ――なんて思っていたら、初めて見る演出家でした。松田康洋さんは、普段はＡＤとしてクレジットされている人なので、ひょっとしたらこれが初演出なのかもしれませんが、ボクにはピンと来るところがありませんでした。すみません。m(__)m

【20】　「僕の親友」田中聖、「缶蹴り」小森輝明・谷澤拓歩etc

田中聖の「僕の親友」の方はあまり面白くありませんでした。「缶蹴り」の方が印象に残っています。ハンディカム風の手持ち撮影とか、ストップモーションなどを使った映像と、ノスタルジックなＢＧＭの相性が良くて、少年時代の記憶を呼び起こされるような感覚を憶えました。

【21】　「ロケ先の怪」風間俊介、「最終回」赤西仁・長谷川純etc

「ロケ先の怪」は、旅館の入り口のシーンで出てくる風間俊介のコミカルな表情のみが、印象に残りました。しかし、コメントするなら、やはり「最終回」の方でしょう。大前典子さんが、またまた面白い脚本を書いてくれました。「怖日」の撮影現場が舞台になっているという点で、すでに“メタ・ドラマ”になっているのですが、ドラマ内に出てくる４人のドッペルゲンガーのセリフもメタレベルなんですよね。「《異界》というのは、《現実》の世界に住むオマエたちが頭の中で考えたものなのだから、《異界》も現実だ」と。(^^ゞ

「怖日」の第１シリーズの最終回も、「怖日」の撮影を終えた横山裕の話でしたが（演出：大根仁）、今回は、より徹底したメタ・ドラマになっていたと思います。(^^ゞ　ＢＧＭには、サイケデリック・ロック風の音楽が使われていましたが、これもいい感じ。――ちょっと70年代アングラ風の「最終回」でした。)^o^(

【追記】
ボンさんより、以下の情報提供がありました。ありがとうございます。

「怖い日曜日」の最終話の音楽は、ブランキージェットシティーの「古い灯台」というインスト曲と、レディオヘッドの最新傑作アルバム「ＫＩＤ　Ａ」に入っている曲（タイトル知らない）と、多分シャーベッツ（ブランキー浅井氏のソロユニット）の曲が使われてました。その前の旅館の話の中ではアンダーワールドが使われてました。

さいごに

これで「怖日」特集はお終いです。思った以上に大変でした。(>_<)　ここまで細かくやる必要があるのかと、疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが（ボクもそう思います）、ネット広しといえども、こんなことをやるのはボクだけだろうと思ったので、気合いを入れてみました。(^^)　データの欠落部分をご存知の方がいらしたら、掲示板かメールでお知らせくださると助かります。全国約100人（？）の怖日マニアの皆さま、満足していただけたでしょうか。(^_-)

00/11/27　義父のいる風景

まだ見てないです。当分見れないような気もします。m(__)m
すみません。＞前田愛ちゃん＆メカみさん

00/11/29　涙をふいて(8)

脚本：吉田紀子(1)、林宏司(2)(3)(4)(5)(6)、方南久美(4)
演出：永山耕三(1)(2)(5)(6)、中江功(3)(4)、平井秀樹(7)(8)

平井秀樹さんは、「ナースのお仕事３」でも何回か演出を担当するなど、今年に入ってから目にする機会が多い演出家ですが、この「涙…」に関していうと、一番ノーマルでギミック的な要素の少ない演出をしていました。ボクとしては、もう少し遊んでほしかったです。

第８話は、トータス松本のエピソードがメインでしたが、川岸での涙のシーンはちょっと寒そうな感じがして、かわいそうでした。(^^ゞ　面白かったのは、二宮和也に一言もセリフがなかったこと。セリフはなくても表情アップはバンバン入っていたので、仕事量は少なくないんですけど、これ以外のシーンでも、表情で演技する傾向が強くなっているような気がします。

あと、これは平井さんの回に限った傾向ではないのですが、子役（上戸彩・辰巳雄大・神木隆之介）がらみのシーンに、気合いの入ったカットが多いような気がするのですが、ボクの気のせいでしょうか？

00/12/02　浪花少年探偵団(9)

脚本：長川千佳子(1)(2)(3)(8)(12)、久松真一(4)(5)(6)、犬童一心(7)、飯野陽子(9)、土田英生(10)
演出：大橋守(1)(2)(3)(6)(7)(9)(12)、黒崎博(4)(8)、吉田努(5)(10)

前々回の日誌でオススメした飯野陽子作品ですが、全編ミュージカルでした。――率直に言って、ボクは途中で飽きてしまいました。ボクは不勉強なのでよく知らないのですが、今回のドラマは、どこかの有名なミュージカル映画を下敷きにしているんだと思います。ただ、ストーリーにしても、演出（セット・衣装・メイク・選曲）にしても、ここまで中途半端にマネする必要があったんでしょうか？　もっと、「浪花」色を強く出してくれた方が、楽しめたような気がします。

ただし、エンディングで、急にブンガクっぽい台詞が出てくるところは、飯野さん的ですね。あんまりピンときませんでしたが……。(^^ゞ

00/12/02　ただいま満室(8)

脚本：大森美香(1)(2)(4)(6)(8)、横田理恵(3)(5)(7)、清水友佳子(3)？
演出：六車俊治(1)(2)(5)(8)(10)、池添博(3)(4)(7)、田村直己(6)(9)

悪の沢村一樹が登場して、自問自答するシーンが、ちょっと大映ドラマっぽくて面白かったです。しかも、この悪の沢村一樹が、いつもの沢村一樹よりも存在感があるんですよね。六車さんの演出を含めて、なかなか見ごたえのあるシーンでした。カメラアングルとかＢＧＭのセンスが微妙に良いんですよね、六車さんは。(^^)

もう一つ印象に残ったのは、男２人のベットシーンのラストに映った沢木哲の顔のアップ。光の加減のせいなのか能面を見ているみたいで、不思議なインパクトがありました。こういうところに六車さんの非凡なセンスを感じます。あと、ドラマの最後の方に出てきた、沢木哲と神谷涼が別れるシーンでの２人の表情も味がありました。

とはいっても、同性愛の部分に関してはワケがわからなかったです。(^^ゞ　だいたい２人の性格なり境遇の描写がほとんどないから、恋愛ドラマとしても成立していないと思います。特に意味不明なのが沢木哲の行動で、何を考えているのかさっぱりわかりませんでした。内田滋啓のナヨナヨしたキャラ設定もステレオタイプな発想だし、気持ち悪かったです。(^^ゞ　その点では、「深く潜れ」はよくできていたと、改めて思いました。ちなみに内田滋啓は一発で漢字変換できたので、過去の日誌を検索してみたら、7月10日の「らぶちゃっと」に出ていました。(^^)

00/12/05　編集王(9)

脚本：秦建日子(1)(2)(3)(4)(6)(7)(10)(11)、十川誠志(5)(8)、川嶋澄乃(9)
演出：佐藤祐市(1)(2)(3)(6)(8)(10)(11)、土方政人(4)(5)(7)(9)

ラスト３話はシリアスな展開になるそうですが、ボクとしては「ストレートニュース」のラスト３話と展開が酷似しているところが気になります。もちろん、唐突に竹中直人が自殺してしまう「ストレート…」よりも、「編集王」の方をボクは評価してますけど。たとえば、廃刊（番組打ち切り）に至る過程にしても、「編集王」の方がリアリティや説得力があると思います。

……と、これは第10話の展開を先取りしたコメントになってしまいました。(~_~;)　この第９話は、まだそこまで行ってなくて、遠野凪子の「名探偵マリリン」をめぐるお話でした。死を目前に控えた新人作家という設定は、ドラマにはありがちなんですが、話の収め方を安っぽくしすぎないで、甘辛のバランスを絶妙の線でキープした脚本がすばらしかったです。特に「名探偵マリリン」のラストシーンはグッときました。死を迎える人間の前では言葉は無力なんですが、そうした状況下では、原田泰造の断定的な言動が宗教的に思えてくる――なんてことを考えてしまいました。

海辺のシーンで、海に向かう原田泰造の後ろ姿を映したカットが、やけに印象に残りました。もちろん、遠野凪子の目線を模した重要なカットです。(^^)　土方政人さんは、コメディよりもこういうシリアスものの方が上手いですね。

ところで、ボクは原作を読んでいないのですが、今回の「名探偵マリリン」のエピソードは原作にあるんでしょうか。それとも、脚本の川嶋澄乃さんのオリジナルなんでしょうか。だったら、川嶋さんはスゴイです。なお、上に掲げた脚本のデータは「テレパル」からとったのですが、ボクの記憶では、第６話か７話でも川嶋さんが脚本だったような気がします。記録を取っていなかったので確認ができません。なお、この２日後に放送された「スタイル！」第９話も川嶋さんが脚本でした。「テレパル」では田渕さんになってますが。

この回はビデオに録画しないで生で見たのですが、後悔してます。(^^)

【追記】
ＫＵＮＩさんからの情報で、データ部分を直しました。川嶋さんが脚本を書いたのは、第９話だけで良いそうです。また、ＢＯＮさんからは以下のような情報をいただきました。情報提供ありがとうございました。

ちなみに「編集王」９話の「名探偵マリリン」は原作にはありません。メインライターの秦建日子がプロットを作って、川嶋澄乃が肉付けをしています。「ぼくを探して」に始まるストーリーや、海辺のラストシーンは、秦。「愛の真ん中には心がある」は川嶋のオリジナルだそうです。

00/12/07　スタイル！(9)

脚本：田渕久美子、川嶋澄乃(9)
演出：中野昌弘(1)(2)(6)(7)(8)(10)、伊藤寿浩(3)(4)、久野昌宏(5)(9)

このドラマはちゃんと見てないのであまりコメントできないのですが、この第９話は小沢真珠がゲスト出演してました。彼女はつい先日まで放送されていた昼ドラマ「永遠の1/2」に出ていました。ここ数年はあまり見かけなかったのですが、１年くらい前に放送された「クロイツェルソナタ」という深夜の単発ドラマにも出ていました。で、その時の演出が久野昌宏さんでした。――というワケなので今回の出演も久野さんのリクエストだったのかもしれない……なんて思いながら見てました。(^^ゞ

00/12/10　史上最悪のデート(2)

脚本：高山直也(1)(2)(3)
演出：都築淳一(1)(2)(3)(4)、荻野哲弘
プロデュース：荻野哲弘（日テレ）、松村俊二（共テレ）
制作協力：共同テレビ
関東放送枠：日テレ・日曜11:40

「怖い日曜日」でおなじみのジャニーズドラマ枠の新番組です。スタッフの顔ぶれを見ると、同枠で今年の１～３月頃に放映された「行け行け！イケメン」とほぼ同じです。「イケメン」はちょっとツライ作品でしたが、この番組も第１話（山下智久）を見た時に、「イケメン」とあまり変わっていないなという印象を持ちました。

しかし、松本潤＆後藤理沙が出演したこの第２話はなかなか面白かったです。まあ、ボクは基本的に“マツジュン好き”みたいだから、そう思っただけかもしれないです。この人の顔とか声っていうのは、ボク的には結構笑えます。で、この第２話は、松本潤の表情で笑いをとるというコンセプトが明確に感じられたので、面白いと感じたわけです。実際に、買い物のシーンおけるマツジュンの表情には、試行錯誤の痕が感じられました。また、目玉にハートマークを入れるアイデアは「お水の花道」の手法の流用ですが、都築淳一さんは「お水…」でサードＤ～演出補を務めていた人です。(^^)

悪くいえば、山下智久じゃ笑えないけどマツジュンなら笑える――という話になっちゃうんですが、ただ、コメディっていうのは、もともと出演者のキャラクターに左右されるものなんだと考えることもできます。キャラクターを活かすにあたって、今回の松本潤みたいに明確な方向性を見つけられれば面白くなる――というのが、このドラマの演出上のポイントなんじゃないでしょうか。

ところで……、後藤理沙を初めてドラマで見たのは「世界で一番パパが好き」（98年夏）ですが、あれから２年、ちょっと伸び悩んでる感じがしませんか？

00/12/11　明日を抱きしめて(10)[終]

脚本：市川森一
演出：金子与志一(1)(3)(5)(6)(10)、岡本浩一(2)(4)(7)(9)、平川雄一朗(8)

なんか不条理感の残る最終回でした。(~_~;)　欲望のままに行動した高島礼子と鳥羽潤が生き延びて、私情を押し殺して“良い人”に徹した松本幸四郎が死んじゃいました。鳥羽潤が出所したら、邪魔者はいなくなったとばかりに幸せを謳歌する２人＆子供の姿が目に浮かびそうです。(~_~;)

演出面では、岡本浩一さんがシャープな演出をしているのが印象に残りました。カメラワークにしても、表情のセンスにしても、非常にシャープな感じがしました。特に鳥羽潤の撮り方にその傾向が顕著だったように思います。第８話を演出した平川雄一朗さんは、比較的映像重視の演出をしていたみたいですが、あんまり細かく見ていませんでした。m(__)m

00/12/12　深く潜れ(10)[終]

脚本：神山由美子、藤本匡介
演出：大友啓史(1)(2)(3)(4)(5)、海辺潔(6)(7)(8)(9)(10)

「八犬伝」→見えない絆で結ばれた関係→ソウルメイト→心のスキマ？

――というのが、物語（一連の事件）のコンセプトだったみたいですが、ボクとしては、事件の前を描いた第１話と、事件の後を描いた最終回だけ見ればＯＫ！――という感想でした。テリー伊藤も他の７人と同じように、生きるのが辛い人間だったというオチがついたところで、物語（事件）の方は終わってるんですが、その後もダラダラと続く日常の世界を描いていた最終回は、わりかし好感が持てました。
「八犬伝」というのは「水滸伝」の流れをくむ伝奇ロマンなんだと記憶してますが、それをむりやり近代文学風に解釈するとこうなっちゃうんでしょうか？　でも、これだったら、わざわざ「八犬伝」なんてサブタイトルをつける必要はなかったような気がします。「八犬伝」というには物語（事件）の部分が地味すぎます。もったいぶったエピソードを全部カットして、２時間ドラマに再編集した方がスッキリするんじゃないでしょうか。まあ、鈴木あみと小西真奈美の怪演を見れただけでも充分に楽しめたんですけど。

このドラマに関しては「鈴木あみが上手い」という評をよく目にしました。ボク自身も日常会話でそのように言ったこともあります。しかし、厳密にいうと特に演技が上手いという風には感じませんでした。表情とか台詞回しの存在感に独特のオーラがあって、それが視聴者のイマジネーションを刺激した――という感じでしょうか。もちろんこれはホメ言葉です。

これは、以前にも書いたと思いますが、このドラマの出演者の大半はドラマ経験がない人なので、最初っから、狭義の演技力に依存しない演出コンセプトになっていたのだと思います。この意味でも、演出スタッフの仕事を評価したいです。

演出が海部潔さんに代わった第６話を見たときに、鈴木あみの表情のニュアンスが変わったように感じたのですが、その後はだんだん分からなくなりました。(^^)

00/12/13　ストレートニュース(10)[終]

脚本：伴一彦
演出：佐藤東弥(1)(2)(5)(8)(9)(10)、雨宮望(3)(6)、長沼誠(4)(7)
演出協力：長沼誠(8)(9)(10)

ラスト３話は、佐藤東弥さんと長沼誠さんの共同演出ということなんでしょうか。「池袋ウエストゲートパーク」もラスト３話は堤幸彦さんと金子文紀さんの連名になっていましたが、このときは撮影チームを２つに分けて同時並行で収録していったみたいです。「ストレートニュース」も、これに近い収録環境だったのでしょうか。

で、終盤に入ってから、「金田一少年」っぽい演出とか、特撮ドラマ的な演出傾向が強くなってきたような気がしました。たとえば、黒澤優の父親（実は義父）が刑務所で首を吊ってる映像は、映像センスはもちろんのこと、カット割りや効果音も「金田一少年」的でした。また、この最終回でいえば、問い詰められた峰竜太が豹変するところも、「ウルトラセブン」みたいな特撮ドラマを連想してしまいました。峰竜太にあたっている照明のセンスなども、円谷プロっぽい感じがしたんですけど、考えすぎでしょうか？（笑）

物語に関しては、いろんなところでいろんな人が不満を言っていますが、その内容もほとんど同じみたいで、ボク自身も同じような不満を持っています。これは、誰が見ても等しく感じる不満なんでしょう。だから、この日誌では繰り返しません。寺田農みたいなステレオタイプな巨悪が出てきた時点で、このドラマが持っていた微妙なリアリティが死んでしまったような気がします。巨悪という概念自体が陳腐な物語なんです。

それにしても、三上博史の語りの芝居はスゴイですね。第５話ラストの携帯電話での告白シーンもそうですが、三上博史の台詞回しがこのドラマのイメージを決定付けていたと思います。もし、このドラマの主役が三上博史じゃなかったら、まったく違うイメージのドラマになっていたでしょう。

00/12/14　ラブコンプレックス(10)

脚本：君塚良一
演出：澤田鎌作(1)(2)(5)(8)(11)、水田成英(3)(6)(10)、田島大輔(4)(7)(9)

水田成英さんは、３人の中では一番分かりやすい演出をしていると思います。ネタ志向がもっとも強いのも水田さんで、第３話の時点で「ルパン」ネタをやっていました。ネタ志向が強くなったのは、第５話における「料理の鉄人」ネタからだから、水田さんがネタ志向の生みの親なのかもしれません。この第10話では「めざましテレビ」の軽部アナが登場していましたが、ドラマの内容とまったく無関係でした。(^^)

とはいっても、今回は最後の演出だからなのか、３話６話よりも手の込んだ演出か見られました。オープニングの映像が圧巻だったのですが、その他でも目玉のアップから別の場面に切り替わるパターンが多かったです。ただし、唐沢サンタが出てくる内省シーンを、あんなにコミカルにしちゃって良かったのかな……なんて思ったりもします。(^^)

終盤に「エヴァ」みたいな内省シーンが出てくるのは、ある程度予想の範囲内だったので、そのこと自体は驚かなかったのですが、ボクとしては、もっと演出のテイストをシリアス風にした方が面白かったような気がします。第８話の野球場のシーンを境にして、シリアスモードに突入するというのが、基本的な計画だったと思うのですが、どこか思い切りが悪いような印象もあります。個人的な要望を言えば、画面の質感とかセットなどで、「同じドラマとは思えない」という感覚をもっと強烈に印象づけてほしかったです。

　物語の構造が100％「エヴァ」的！

テレビドラマデータベースの掲示板１に、「ゴウ＝カオル」説とか「ＡＴフィールド」なんて言葉が登場していますが、なかなか面白いので、ボクもいろいろ考えてみました。(^^)

掲示板１には、「内面描写」→「エヴァ」というのは短絡的じゃないかという意見もありましたが、これに関しては、ボクはまったく逆のことを考えています。つまり、「内面描写」→「エヴァ」と考えるよりも、「エヴァ」→「内面描写」と考えることの方が短絡的だと思います。以前にも書いたと思うのですが、ボクは「エヴァ」の面白さと「内面描写」は無関係だと考えています。「エヴァ」に出てくる心理世界なんて、大学生が書く夏休みの課題レポートレベルでしょう？　そんなところに「エヴァ」の価値はないです。(~_~;)

そんなボクの目から見ると、むしろ「ラブコン」は100パーセント「エヴァ」なんじゃないかと思えます。内面描写じゃなくて物語の構造が「エヴァ」と同型なんです。横領犯人（正体不明の敵）というのは使徒のことだし、唐沢寿明（ゴウ）と段田保則（社長一族）の造反・対立はゼーレとネルフの造反・対立に相当します。どっちがゼーレでどっちがネルフなのかは、よくわからないんですけど……。(^^)

「エヴァ」の場合、終盤になってから、主人公と視聴者が共有していた世界像（舞台設定）が大きく崩れ始めるワケですが、それと同じ仕掛けが「ラブコン」にも仕掛けてあったというワケです。今にして思えば、君塚良一さんは徹頭徹尾「エヴァ」を下敷きにして物語を組み立てていたのかもしれないです。「(株)ワンダーエレクトロニクス＝ネルフ」なのは間違いないでしょう。細かいところでは、登場人物の下の名前がカタカナなのも「エヴァ」だし。

君塚さんといえば、「グッドニュース」第２話でも、「エヴァ」的な作劇法を取り入れていました。君塚さんが「エヴァ」の作劇法（物語の構造）に注目しているのは、ほぼ間違いないでしょう。コメディ的な演出を強調することによって、物語の構造が分かりにくくなってしまったように思います。

00/12/15　愛人の掟(10)[終]

演出：唐木希浩(1)(2)(5)(8)、杉山登(3)(4)(10)、中山高廣(7)(9)

第１話のときの日誌で、平均視聴率３％くらいじゃないか――と、失礼なことを書いたら、しっかりバチがあたってしまいました。(>_<)　ＴＶ誌によれば、後半は10％を超える成績を上げているみたいなので、この枠としては大成功の部類に入ります。――視聴率予想なんて、するもんじゃありませんね。ボクには大衆の心を読む才能はないみたいです。(^^ゞ　関係者の中には、ボクの日誌を読んでムッとされた方もいらっしゃるかもしれませんが、大目にみてくださいませ。m(__)m

すでに脱落していたドラマですが、ラスト２話だけ復活して、見てみました。しかし、やっぱりボクにはよくわからない世界です。スガシカオの主題歌と、Ryu.Tさんの音楽のみが良かったです。音楽は、本当に良くって、高視聴率の一因なんじゃないかと考えたりしましたが、やっぱり止めときます。(~_~;)

キャラクター的には、父親役の勝部演之と婚約者の細川茂樹がかもしだす、きまずそうな雰囲気がちょっと好きでした。(^^)

00/12/19　編集王(11)[終]

脚本：秦建日子(1)(2)(3)(4)(6)(7)(10)(11)、十川誠志(5)(8)、川嶋澄乃(9)
演出：佐藤祐市(1)(2)(3)(6)(8)(10)(11)、土方政人(4)(5)(7)(9)

あまりにもアッサリした事件の顛末には、拍子抜けしちゃいましたが、原田泰造と小栗旬が言い合うシーンは、それなりに緊張感はあったと思います。(^^)

そんなことよりも気になったのは原田泰造の演技です。記者会見シーンでの一人芝居（ＢＧＭなし！）を見ていて思ったのですが、この人は演技の資質があるかもしれないと思いました。今回のドラマは視聴率的に失敗してしまいましたが、こういうマンガっぽい役じゃなくて、もっと落ち着いたテイストのドラマで脇役とかやったら、渋い名脇役になれるんじゃないかと思うんですけど……。買いかぶりすぎ？

ラストシーンで、少年時代の田園風景に戻ってしまうという演出は、佐藤祐市さんらしいなと思いました。この種の抒情センスは視聴率に結びつかないのが辛いところなんですが……。(~_~;)　次のチーフ演出までの道程は険しいと思いますが、めげないで、がんばって欲しいです。

00/12/20　泥棒家族

脚本：大森寿美男
演出：原隆仁
プロデュース：櫨山裕子、山本勉？
制作：光和インターナショナル
関東放送枠：日テレ・9:30～11:24

このドラマのキーポイントは長谷川純のキャスティングだったと思います。異常な登場人物の中で、唯一マトモだった彼が視聴者の視線を代表していたわけです。で、脚本や演出は、セリフ重視の作りになっていたので、セリフのニュアンスに味がある少年役が必要だったのでしょう。そこで選ばれたのが、長谷川純（の声）だったというのは、とっても分かりやすいです。(~_~;)

00/12/23　殺意の涯て・広域指定188号の女

脚本：前川洋一
演出：星田良子
プロデュース：松本基弘、佐藤凉一、川上一夫
出演：田中美佐子、渡辺えり子、井ノ原快彦、渡瀬恒彦etc
制作：テレビ朝日、共同テレビ
関東放送枠：テレ朝・21:00～23:21

前川、星田、川上、田中、渡辺……と、「ＯＵＴ」の関係者が勢揃いしたドラマでした。(^^)　今回は青森の寂れた漁村でのロケシーンが多く、映像のテイストも全体的に暗い感じだったので、映画っぽい印象を受けました。――いや、２時間ドラマって、みんなこんな感じかもしれませんが。地方ロケも２時間ドラマの定番だし……。(^^)

屋内シーンでも屋外シーンでも、光のあたっている部分とあたっていない陰の部分のコントラストがハッキリしていました。唯一例外だったのが、田中美佐子と渡辺えり子の別れのシーンです。このシーンだけは、光のあたっていない部分も明瞭に映っていました。渡辺えり子の泣きの表情をしっかり映したかったのでしょうか。

星田さんのドラマとしては、カメラワークはおとなしい方だったかもしれません。あと、井ノ原快彦は、人は善いけど頭は悪い――みたいな役がよく似合う人です。(^^)

00/12/26　ブッチギリ女消防士！火消し屋小町

脚本：小松江里子
演出：新城毅彦
プロデュース：��栄А�喞誉吃А�羮綰邯�
出演：ともさかりえ、石黒賢、酒井美紀、鈴木砂羽、大久保佳代子、井沢健、橋龍吾、松本まりか

制作：関西テレビ、IMO
関東放送枠：フジ・22:00～23:24

小松さんが伊藤組以外で仕事をするのはめずらしいのですが、これは「ママチャリ刑事」みたいなコメディで、連ドラまたはシリーズ化して欲しい出来映えでした。原作のコミックは知りませんが、大久保佳代子の役名が深田恭子というのは、結構笑えました。(^^)

このドラマ、ＭＭＪ制作かなと思っていたのですが、最後のテロップを見たら、ＩＭＯという初めて見る会社でした。新城毅彦さんは、１年前に「イマジン」というドラマを手がけていましたが、このドラマの橋龍吾の部屋の内装～セットに、「イマジン」に通じるテイストを感じました。セットというのは、演出家の好みが反映されやすいみたいです。(^^)

00/12/30　三億円事件～20世紀最後の謎

原作：一橋文哉
脚本：矢島正雄
演出：藤田明二
プロデュース：小岩井宏悦、高橋萬彦、栗原美和子
出演：ビートたけし、長瀬智也、松田龍平、瀬戸朝香、渡部篤郎
制作：フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠：フジ・21:00～23:24

どこにもクレジットされていませんが、ボクはなんとなく大多亮さんのことを意識しながらこのドラマを見ました。なぜなら、大多さんはかつて著書の中で実録ドラマを作ってみたいと書いていたからです。そこに名前があがっていたのは、東大安田講堂、浅間山荘、ロッキード、日航機墜落、リクルートの５つで、三億円事件の名前はないのですが、それらと共通するものを感じます。(^^)

題材そのものは悪くなかったし、それなりに面白く見れたのですが、演出に関していえば、どこか一貫性がないようなチグハグな印象が残りました。ギミック的な手の込んだ映像も多かったのですが、その以外ではオーソドックスな演出になっていました。音楽についても、ＢＧＭなしで押していくシーンがあるかと思えば、当時のヒット曲をガンガンかけて盛り上げるシーンもあって、さらにテクノ系のＢＧＭを使ったシーンもある――という具合です。

ひとつのドラマにいろんな演出があるのは、あたりまえのことなんですが、このドラマの場合、その振幅の幅が極端すぎるのか、見終わってからゴチャゴチャとした印象が残りました。藤田明二さんと長瀬智也は「砂の上の恋人たち」で一緒に仕事をしていましたが、特に共通点は感じませんでした。

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