"ドラマ演出"日誌(2000年4-6月期)


00/03/31  晴れ着、ここ一番(1)

脚本:西荻弓絵
演出:片岡敬司(1)
制作統括:浅野加寿子
音楽:本多俊之
出演:瀬戸朝香、及川光博、高橋英樹、京マチ子、赤木春恵、上原さくら、関口知宏
関東放送枠:NHK総合・金曜夜9時15分

片岡敬司さんについては、昨年末の「元禄繚乱」の日誌で、アイドルドラマ的な資質があると書いたのですが、今回の新作は、そんなアイドルドラマ的な資質が全開した佳作の予感があります。さすがNHKだと思うのは、若手の役者だけでなく、ベテラン系の役者もそろえているあたりで、セットにも役者にもタップリとお金をかけているという感じがします。

物語の方は、コミック原作のラブコメによくある、いわゆる“同居もの”の変則スタイルという感じでしょうか。普通のラブコメだと高校生の男女が同居するわけですが、そこはNHKというか西荻さん。職業も世代も違う3人の同居という、社会派的な要素を含んだ同居物語になっています。

さすが片岡さんだと思わされるのは、表情を捕らえるセンスの良さ。瀬戸朝香をはじめとして、登場人物がみんな良い表情をしていて、その表情のニュアンスで芝居やカット割りを組み立てているようです。セリフをちゃんと聞いていなくても、表情を見ているだけで、楽しめるような作りになっています。

その他で気になったのは、共テレっぽいカメラワーク。広々としたセット(部屋)の中をカメラが派手に動いていく感じは「踊る大捜査線」っぽいんですが、キャストを見ていたら「踊る」でおなじみの北村総一郎さんや小野武彦さんの顔もあったりするので、単なる偶然というワケでもないようです。(^^) 広角レンズを使った顔のアップなんかも、共テレ的です。

ラストシーンで、高橋英樹とミッチーが話をしていると、後ろからいきなり瀬戸朝香が登場するところも、鈴木雅之さんみたいなマンガっぽい演出になっていました。ちなみにこの後、カメラを乗せたクレーンがグ〜ンと上後方に引いていって、舞台全体を映してエンドになりましたが、この辺のセンスに、星護さんの出世作「放課後」(92年フジ・僕たちのドラマシリーズ・観月ありさ・いしだ壱成)を連想しました。

共テレ風のNHKドラマというと、1年前に柴田岳志さんが「遠い親戚近くの他人?」(水10・脚本:西荻弓絵・酒井法子・岩下志麻)で試みていて、この4月からの朝ドラ「私の青空」でも同じ路線をねらっているみたいです。ただ、カット割りや表情を捕らえるセンスの良さという点では、片岡敬司さんの方が優れていると思いました。なお、片岡さんと共に「元禄繚乱」を演出していた遠藤理史さんは、土曜6時の「六番目の小夜子」を担当するようです。(^^)


00/03/31  ブラックジャック

脚本:清水東
演出:堤幸彦
制作:山崎恆成
プロデュース:伊佐野英樹植田博樹
音楽:辻陽
演出補:木村ひさし、他
関東放送枠:TBS・金曜夜9〜11時

ここの掲示板でもおなじみのアール・ケイさんをはじめとして、数人の方がテレビドラマデータベースの掲示板で好意的な感想を書かれていましたが、ボクは特に面白いとも、新しいことをやっているとも思いませんでした。参考までに書いておくと、ボクが考える堤幸彦さんの代表作っていうのは、3〜4種類あった「ぼくらの勇気・未満都市」のタイトルバックなんですけど……。(^^ゞ

まず、なんといっても、脚本がかったるかったですね〜。1時間ドラマのストーリーをムリヤリ2時間に引き伸ばしたという感じがします。そもそも「ブラックジャック」というのは、ストーリーの骨格だけ示してパッと終わっちゃうところが魅力だと思うので、そういう意味では、短編小説とかショートショートに近いものだと思います。だから、それを膨らませて、長くしてしまうと、「BJ」特有の決めゼリフとかが弱くなっちゃいます。

このドラマに関していえば、前半の1時間は物語りの本題とは関係ないようなシーンばかりなので、ない方がすっきり見れたような気がします。人物説明や状況説明みたいなシーンばかりで、物語がほとんど動かないので、集中力がそがれるというか、見ていてチャンネルを替えたくなっちゃいました。しかも、堤さんの演出は、オーソドックスなドラマのテンポ感を無視した、シュールなテイストになっていたので、ますますわかりづらかったです。それこそ、10時まではNHKの「晴れ着、ここ一番」を見て、10時から「BJ」を見はじめても、十分にOKだったんじゃないでしょうか。(^^ゞ

あと、あんまり笑えないギャグも多かったです。BGMもイマイチだったような気がします。まあ、ビデオで何回も見直せば、いろいろと発見があるのかもしれませんが、何回も見直したいという気分になれません。映像だけ見れば、それなりに堤さんらしさが感じられたのですが、特にここがスゴイと感じたシーンはありませんでした。

演出面で、一番の問題点は本木雅弘にイマイチ魅力が感じられなかったことでしょうか。彼のキャラクターにもうちょっと魅力があれば、前半部分ももう少し楽しめたかもしれません。たとえば、「金田一少年」の堂本剛とか、「ケイゾク」の中谷美紀と比較してみれば、今回のモッくんは明らかにインパクトが足りないと思います。同じモッくんなら、「隣人は密かに笑う」の方が、数段インパクトがあったと考えるのは、ボクだけではないでしょう。モッくん本人もTV雑誌のインタビューで、「堤さんが演技についてあまり言ってくれなかったので、心配性の僕としては、もう8回くらい撮り直したい」などと言っていましたが、それが正解なんだと思います。

一番インパクトがあったのは、ラストに出てきた「ケイゾク」組の鈴木紗理奈だったりします。(^^ゞ 子役の三觜要介は「プリズンホテル」つながりですね。白竜は「未満都市」や「少年サスペンス」など堤ドラマに欠かせない人。ピノコ役の双子の女の子は、終始ユニゾンでしゃべっていて、声も電子処理していたみたいですね。そのニュアンスが片岡Kさんっぽいなと思いました。

ドラマは後半に入ってから「BJ」らしくなりますが、「BJ」ファンなら、岸辺一徳の心臓を移植する……という話を聞いた時点で、その後の展開は全部読めたことでしょう。もっと鋭い人なら、母親と病気の子ども…という設定を知った時点で、全部わかっちゃったかもしれません。

このドラマは続編があるのかどうかわかりませんが、もしやるのなら、2時間で3話くらいのオムニバス形式にして欲しいと思いました。(^^ゞ ちなみに、堤さんに関しては、ボクの関心はすでに「池袋ウエストゲートパーク」の方にいっちゃってるんで、この「BJ」は、それほど期待して見たワケじゃないです。池袋でオールロケって聞いただけで、ワクワクするものがありますから……。(^^)


00/04/04  きらきらひかる3

原作:郷田マモラ
脚本:井上由美子
演出:武内英樹
プロデュース:山口雅俊
関東放送枠:フジ・火曜9時〜11時30分

演出が、いままでの河毛俊作さんから、「彼女たちの時代」の武内英樹さんにかわりましたが、これといった違いは見つけられませんでした。河毛さんのスタイルを忠実にコピーしているという印象を受けました。ワケのわからない洋楽をBGMに使うところは、両者に共通する特徴ですが、選曲のセンスなども河毛さんに近い感じになっていたように思います。

ちなみに、最後の方にかかっていた「ロックンロール・ララバイ」は、「きらきら」連ドラ時の、ともさかりえの回のときにも使われていました。あの回の演出って、河毛さんでしたっけ?

少女の死因については、公園で父親が思い出話をしている段階で邪推(?)できたのですが、ジャングルジムに登った理由までは、気がつきませんでした。(^^ゞ このジャングルジムの謎が解けるシーンのBGMは、ビーチボーイズ「Disney Girl」のカバーだったみたいです。それから、父親役の雨上がり決死隊の人は、「彼女たちの時代」つながりですね。

今回は、3つの事件を同時並行的に描いていましたが、サブストーリーにあたる2つの事件も、なかなかいい話ででした。警察不祥事ネタは、ちょっとインスタントな印象もあったのですが、「君は間違っている」というセリフの含蓄で、かろうじて感動できました。^^;

気になったのは、藤田弓子おばあちゃんを娘が毒殺しようとしているシーン。藤田弓子の表情に意味ありげなニュアンスがあって、娘が毒を入れていることに、気が付いているようにも見えました。単に、娘に対して素直になれない気持ちを表していただけなのかもしれませんが、あの表情・演出は武内さんのアイデアだったのでしょうか。言葉で説明しないで、視聴者のイマジネーションに期待する演出でした。

ところで、山口Pはちょっと前の「テレパル」で、新ドラマ「太陽は沈まない」のテーマについて、「人が伝えるメッセージは相手に伝わるとき、時間や、その意味の重さに必ずどこかずれがでると思う」と語っていましたが、このコンセプトは、そのままこの「きらきらひかる3」にもあてはまります。さて、「太陽……」は、どんなドラマになるんでしょうか?

【追記】

連ドラの「きらきらひかる」で、ともさかりえが出演した回の演出は、桜庭信一さんだったそうです。複数の方から、ご指摘をいただきました。追記を入れるのが遅くなってしまって、申し訳ありませんでした。なお、桜庭さんは「太陽…」の演出をされる予定だそうです。m(__)m


00/04/07  晴れ着、ここ一番(2)

演出:片岡敬司(1)(2)

前回書いたことに特に付け足すことはないのですが、今週も瀬戸朝香がよかったですね。(^^) 特に、割り箸をチョップで割ったときの表情が最高にいいです。ビデオにとってある人には、ぜひ見直してほしいのですが、演出家の表情に対するこだわりの強さが感じ取れるカットです。

それ以外でも、ミシンを使っているときのアップ、生地を2つに破いているときのカット、寝ぐせ頭のパジャマ姿など、瀬戸朝香が大好きな人が演出している…という感じで、思わず目尻が緩んでしまいました。……って、単なるミーハーなコメントになってますね。すみません。(^^)

ミシンのアップを見ているときに気がついたのは、瀬戸朝香の顔の作りが今井翼によく似ているということ。「J家」の録画ビデオと一緒に見たからかもしれませんが、今井翼のファンの方は、これを機会に(?)、瀬戸朝香も一緒に応援してあげてください。(^^ゞ

先週に比べると、共テレっぽい正面顔アップなどは減っていたようです。演出はアイドルドラマ風ですが、物語はリストラ時代の自分捜しみたいな雰囲気で、結構ヘビーな内容だったりします。

問題点としては、登場人物が多すぎて、TV雑誌などで確認しながら見ないと、人間関係をちゃんと把握できないことでしょうか。上原さくらは高橋英樹の娘役らしいですが、ほとんど出てきませんでした。また、先週出てこなかった新キャラも多くて、中原理恵&赤西仁の親子などが新たに登場してきました。クビになっちゃったブティックの店員の大島蓉子さんも良い味を出していましたが、これっきりなんでしょうか。もったいない。(^^ゞ


00/04/08  六番目の小夜子(1)

原作:恩田陸
脚本:宮村優子
演出:田中賢二(1)、遠藤理史
制作統括:一井久司
音楽:coba
出演:鈴木杏、栗山千明、山田孝之、平田裕香、鳥居紀彦etc
関東放送枠:NHK教育・土曜午後6時

これ、映像がスゴイです。映画みたいに1カメで、ロケにもエキストラにも、タップリとお金と時間をかけて、制作されたみたいです。とにかく力が入ってます。圧倒されます。しかも、音楽を担当しているのは、去年「君といた未来のために」で、印象的な音楽を聞かせてくれたcobaとくれば、もう、月8と土9と「美少女H」と「木曜の怪談」の美味しいところを、寄せ集めたドラマだと言えそうです。

舞台になっている地方の中学校のロケーションがいい雰囲気です。校庭にしても、校舎にしても、体育館にしても、味があります。その上、カット割りの完成度がやたらと高くて、ものすごい手間ヒマを掛けているのがよくわかります。さすがNHKです。

また、どういう撮り方をしているのかわかりませんが、画面の質感・色彩感にも引かれるものがあります。フィルムっぽいと形容する人もいるかもしれませんが、ハッキリいって並みのフィルム映像よりいいです。(^^) 話がそれますが、21世紀になったら、フィルムの方が味わいがある……みたいな形容はなくなると思います。デジタル映像テクノロジーがフィルムを超える日はそう遠くはないでしょう。

出演者のなかで、よく知ってるのは、鈴木杏、栗山千明の2人だけですが、平田裕香は「バーチャルガール」の第4話に出てた子ですね。鳥居紀彦は「みにくいアヒルの子」や「神様、もう少しだけ」に出ていた子です。鈴木杏の隣に住んでる山田孝之も、どこかで見たことのある名前&顔なんですが思い出せません。弟役の伊藤隆大は有名な子役。その他の子については、追って追記したいと思います。

田中賢二さんは「必要のない人」や「ズッコケ三人組」での仕事が記憶に残っていますが、今回の作品が代表作になりそうです。

●追記
山田孝之の件ですが、検索してみたら、「サイコメトラーEIJI2」に出ていたことがわかりました。井ノ原快彦の子分役で、井ノ原快彦が尊敬してたカルロスの双子の人の弟でした。3〜4話で入院してた子です。


00/04/09  サラリーマン金太郎2(1)

脚本:中西健二
演出:倉貫健二郎(1)、鈴木利正、富田勝典
プロデュース:森田光則
制作:木下プロダクション、TBS
関東放送枠:TBS・日曜9時

今回は原作から離れて、オリジナルストーリーでいくみたいですが、新たに会社を興すというのは、なかなか良いアイデアですね。さらに、「会社に命をかける」なんてセリフがバンバン出てくるあたりもさすがです。視聴者の顔がちゃんと見えてます。(^^)

要するにこのドラマって、高度経済成長を支えてきたオジサン世代のメンタリティーを刺激する、一種のノスタルジードラマなんでしょうね。特に、金太郎が新人研修をしているシーンを見て、そう思いました。トイレ掃除とか、目刺しの弁当とか……。ノスタルジー以外の何物でもないです。(^^ゞ やはり、軍国主義的な教育風土の中で育った世代というのは、本人の政治意識とは関係なく、美意識のレベルでそれが根強く残っているということなんでしょうか。ちなみにボクは「金八先生」にも同じような美意識を感じますね。(^^ゞ

今回、第1話の演出を担当するのが、最近、ボクが注目していた倉貫健二郎さん。たぶん、倉貫さんが第1話を演出するのは、これが初めてなんじゃないでしょうか? 金太郎が、平成建設のパーティ会場で土下座をさせられているシーンでの、津川雅彦の厳しい表情のアップがすごかったです。また、カメラに向かって演技しているカットも多かったです。

そういえば、水野美紀とか榎本加奈子はどうなっちゃったんでしょうか。パート2には出ないのかな?


00/04/10  天気予報の恋人(1)

脚本:岡田惠和
演出:星田良子(1)、澤田鎌作
プロデュース:高井一郎、松村俊二
音楽:溝口肇
制作:フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ・月曜9時

高井Pによれば、このドラマは「彼女たちの時代」のリベンジ的な意味合いを持ったドラマのようです。「彼女たち…」が商品としては不成功だったので、今回は商品としても成功させたいということなのでしょう。一時期、「ショムニ」が月9になるという情報もあったのですが、「天気予報」が月9になりました。フジテレビ内でも「彼女たち…」のリベンジを後押ししたいという声が強かったのかもしれません。

しかし、そんな期待を背負ったわりには地味な第1話でした。正直いって、「彼女たち…」の第1話よりも印象が薄いと感じました。佐藤浩市が雨の匂いの話をするところや、その帰り道で稲森いずみが「今まで、人からカワイイといわれたことはあっても、スゴイといわれたことはなかった」と話すところなど、さすが岡田惠和さんという感じなのですが、全体的に物語が緩慢で、視聴者を引き込むような緊張感がなかったです。1時間すべてがプロローグという感じでした。

で、ここんとこ絶好調の星田良子さんの演出ですが、今回も「OUT」など近作のコンセプトと、ほぼ変わらないようです。第1のポイントは、カメラーワークがアクティブなところです。手持ち撮影はもちろんのこと、レールを使って(?)移動したり、左右上下に画面が動いたり……、なかなか派手でした。以前星田さんが「はみだし刑事」を演出したときの演出を、思い出しました。

第2のポイントは、カット割りが大胆であるところ。モンタージュ的と言っても良いと思いますが、たくさんの断片的なカットを組み合わせてひとつの世界を作り出していました。たとえば、部屋全体をわかりやすく映すのではなく、掃除をしているモップの先とか、歩いている人の足元とか、仕事をしている人の手元などを映したアップのカットと、変則的なアングルで撮った引きのカットを、速いテンポでパッパッパッと切り換えていました。

これと同じことですが、カメラアングルが派手にコロコロと変わるところも特徴です。カメラアングルの切り替えというのは、ある程度決まりというかセオリーみたいなものがあるのですが、このドラマでは、視聴者の予想を裏切るようなアングルの切り替えがたくさんあったので、見た人によっては、画面に落ち着きがないと感じたかもしれません。ボク自身も、「OUT」に比べると、カット割りが空回りしているかなという印象を受けました。

たとえば、深津、稲森、佐藤がレストランで食事をするシーンですが、カメラの位置(アングル)が必要以上にコロコロ変わるので、ボクみたいにカット割りとかを意識しながらドラマを見ていると、それだけで頭の中がゴチャゴチャになってしまって、会話の内容を聞く余裕がなくなってしまいます。(^^) さすがに、雨の匂いの話の部分は、切り替えがおとなしめでしたが……。

もう少し具体的に言うと、5つのアングルから撮影した映像を編集で切り換えているだけなら、切り替えが多くても、見ていてそんなに複雑な印象を受けないと思います。しかし、このシーンの場合、上から取ってみたり、部屋の片隅からとってみたりと、トータルのアングル数がやたらと多かったように思います。ただし、ボクもちゃんと数えながら見たわけではないので、正確なところはわかりません。もし情熱的な方がいらしたら、ビデオを見ながら数えてみてください。(^^)


00/04/10  永遠の仔(1)

原作:天童荒太
脚本:中島丈博
演出:鶴橋康夫(1)、花堂純次、白川士
プロデュース:今村紀彦、辻井孝夫
チーフ・プロデューサー:池田典正
音楽:半野喜弘
制作:よみうりテレビ、東北新社クリエイツ
関東放送枠:日テレ・月曜10時

う〜〜〜〜む。暗い。しかも妙に古臭い。(^^) よみうりテレビの重鎮で、賞取り男の異名を持つ鶴橋康夫さんに関しては、以前にも書いた記憶があるのですが、とにかく演出の完成度は高いです。しかし、良い意味でも悪い意味でも古臭いというのが、ボクの鶴橋さんに対する認識です。賞は取るけど視聴率は取れない……なんて評もあるようですが、このドラマを見れば、納得できるでしょう。(^^)

堤幸彦さんをはじめとして、70年代の影響を感じる映像作家はたくさんいますが、70年代から活躍している鶴橋さんの場合は、“影響”じゃないです。今も70年代を生きてるという感じです。(^^) もっと言うなら、鶴橋さんの頭の中の時計は、70年代で止まっているんじゃないかと思ってしまうほどです。そういう意味では、やはり貴重な存在です。70年代を知らない若い人なら、鶴橋さんのドラマで、70年代の映像感性を疑似体験できます。ただし、ボク自身も70年代に詳しいワケじゃないので、あくまでも比喩的な表現ということで、厳密な議論じゃありません。(^^)

このドラマには、1982年とか1999年といったテロップが出てくるのですが、セットやロケ地の雰囲気を見ていると、20年くらいずれているような気がしました。つまり過去のシーンが1962年で、現在のシーンが1979年に見えるということです。たとえば、このドラマの現在のシーン。舞台が東京なのかどうかよくわかりませんが、現在の東京の風景には見えないです。ガングロ茶パツの女の子が、通行人とかで出てくるとは思えません。(^^)

映像のトーンも70年代の日本映画みたいです。貧乏臭いセットで部屋は暗くて、窓の外から入ってくる日光を模した照明がさしている。色調も若干セピア色になっているようです。特にすごかったのが、渡部篤郎の母親のアパートとか、少年レイプ犯を逮捕したアパートのセット。つげ義春みたいでした。(^^) 2年くらい前に、NHKドラマ館で「紅い花」という70年代に制作されたドラマを見たことがありますが、それと同じ感じです。同じく2年前にテレビ東京で深夜に放送された「つげ義春ワールド」も、こんな感じでしたが……。あと、BGMも70年代の日本映画風ですよね。

インパクトという点では、やはり、椎名桔平のセックスシーンも強烈でしたが、貧乏臭いアパートで荒々しいセックスという描写も、70年代の日本映画によくあるパターンだと思います。セックスに荒々しさとか情念の爆発を象徴させるのは、この時代の性描写に共通する傾向です。(^^) 性器を見せて「どうだ」と聞くところは、原作を読んでいる人が見ると笑えないそうですが……。(^^ゞ

その他では、邑野未亜の裸体に波が当たるカットも印象的でしたが、この前後のスローモーションにもある種の古臭さを感じます。古臭いといえば、桔平のシーンもそうなんですが、性器を映さないようにするカット割りの組み方も、古典的だと感じました。スローモーションといえば、これ以外でもやたらとスローモーションが多用されていて、ちょっとしつこかったです。(^^)

冒頭の山頂のシーンは、筑波山の山頂で撮影されたそうですが、いまひとつ迫力に欠けていました。山頂で撮影されたカットと、ヘリコプターで撮影された山並みのカットを交互に並べて、山頂の雰囲気を作っていましたが、山頂の3人のカットに関していえば、背景は空しか映っていないのだから、わざわざ山頂で撮影する意味はなかったように思います。それこそ、ビルの屋上に岩のセットを作って撮影した方が、カメラが自由に動ける分、アクティブな映像が取れたような気がします。こういうところも、古臭く感じます。

これがもし、堤幸彦さんや本広克行さんだったら、どういう演出をしていただろうか……なんてことを考えてみると、ちょっと面白いです。堤さんだったら、CGで風景を合成しちゃうかもしれません。以前、「金田一少年」を見ながら、このドラマ「ロケーションがバツグンにカッコイイな」なんて思ったことがあるのですが、その後、PR番組で風景〜背景をCGで合成していることを知ったときは、えらく感動したものです。細かいことはよく覚えていないのですが、北海道で撮影した川と、新潟で撮影した橋と、長野で撮影したラベンダー畑を合成して、車が橋を渡るカットを作っていました。(*_*)

話は変わりますが、ボクは原作を読んだことがないので、原作との比較はできません。邑野未亜の長髪に違和感を感じる方が多いようですが、当然のことですが、ボクにはなんのことだかさっぱりわかりません。そもそも、この第1話は、過去と現在を含めて、時系列がバラバラになっているので、原作を知らないボクみたいな視聴者(多分多数派)は、何だかよくわからないけど、この人たちの過去には、児童虐待があったみたいだ……という印象しか持てないと思います。そういう意味では、意味不明の暗さが充満している90分でした。(^^)

テレビドラマデータベースの新作掲示板2で、ここの掲示板でもおなじみのHKさん(原作既読)が、――「救われたい」とか「神様はいる」とか、彼らにとって非常に切実であるはずの台詞が、上滑りした感じにしか聞こえてこなかった――と書かれていました。ボクなんかは、「そんな深い意味があるセリフだったんだ〜?」なんて、思ってる程度の見方しかしていないのですが、1ヵ所だけ印象に残ったシーンがありました。冒頭の山頂で??現象の説明をしてくれた登山者に唾を吐きかけるシーンです。

神様を否定されて落胆・反発する気持ちは理解できるのですが、その気持ちが唾を吐くという攻撃的かつ他罰的な行動につながるのを見たとき、なんともいえない“救いのなさ”を感じてしまいました。このシーンで示された彼らの攻撃性が、彼らの未来を暗いものにしているような気がします。原作はハッピーエンドにはならないようですが、だとするなら、この冒頭のシーンがこのドラマの結末を象徴しているのでしょうか?

ところで、この第1話は17.1%も視聴率を取ったそうです。ボクとしては、その数字の世代別の内訳が気になります。ボクの推理(?)に間違いがなければ、40代以上の人たちは(無意識に)このドラマにノスタルジーを感じているハズなので、彼らの比率が高ければ、第2話以降もそこそこの視聴率をキープできるかもしれません。(^^)

●追記

勘違いされる方がいらっしゃるかもしれないので、ひとこと付け加えます。このドラマの演出が古臭いことと、古臭いことの是非はまったく別の問題です。この日誌では、後者の問題に関しては、判断を保留しています。ボクが鶴橋さんに対して持っているイメージというのは、20年間同じ味を通している頑固オヤジのラーメン屋さんに近いです。

70年代から活躍している演出家は他にもたくさんいますが(TBSの生野慈朗さんもその一人)、その中で70年代的な感性(と技術)を高レベルで保持しつづけている人が、他に何人いるでしょうか。ミック・ジャガーのように、流行物を取りいれて中途半端になっちゃってる人の方が、圧倒的に多いんじゃないでしょうか。そういう意味では、鶴橋さんはキース・リチャーズ的といえなくもありません。(^^)


00/04/11  ナースのお仕事3(1)

脚本:両沢和幸、橋部敦子、金子ありさ
演出:岩本仁志(1)、木村達昭
プロデュース:大賀文子、両沢和幸
音楽:鴨宮諒
制作:フジテレビ
関東放送枠:フジ・火曜9時

キャラクターの変更はあるものの、演出的には大きな変更はないようです。しいて言えば、ラストの主題歌が、以前のしっとり系からアップテンポの曲に変わったことと、鴨宮諒さんのBGMがちょっと重たい感じになっている点でしょうか。

岩本仁志さんの演出としては、「ナース2」→「救命病棟」→「ナース3」という流れになっているので、特に救命医療のシーンには注目しておきたいです。岩本さんが参加しなかった「天使のお仕事」が視聴率的に失敗したのが、今回の「3」制作の決定理由なんだと思われます。

物語の方は、取材に基づいたリアルな人間関係描写とドタバタコメディの2本柱なんですが、今回はコメディの方がいまひとつ笑えなかったです。新キャラの神田うのも、あまりに予想通りのキャラなので、やや新鮮味に欠けます。


00/04/11  ショカツ(1)

原作:佐山一彦
脚本:戸田山雅司
演出:河野圭太(1)、都築淳一
プロデュース:小椋久雄、笠置高弘
音楽:
制作:関西テレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ・火曜10時

これは、ビデオに録画しただけで、ちゃんと見ていないのですが、映像のテイストを含めて、「TEAM」に酷似しているようです。


00/04/12  ショムニ(1)

原作:安田弘之
脚本:高橋留美、橋本裕志
演出:鈴木雅之(1)、土方政人、平野眞
プロデュース:船津浩一、小林裕幸
音楽:
制作:フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ・水曜9時

今期のドラマで一番つまらないのはこれかもしれません。この第1話のストーリーなんて、ほとんど「サラリーマン金太郎」みたいです。前シリーズの最終回にも感じたのですが、ショムニの人たちが正論を吐くようになったら、面白味が半減します。

コントラストがやたらと明るいモノクロ映像が多いと思っていたら、監視カメラの映像だったんですね。(^^)


00/04/12  天使が消えた街(1)

脚本:清水有生
演出:雨宮望(1)、古賀倫明、荻野哲弘
プロデュース:河野英裕
音楽:Rプロジェクト
制作:日本テレビ
関東放送枠:日テレ・水曜10時

物語的には、さほど深みを感じないのですが、設定の面白さや出演者の魅力でそこそこ引きつけられました。特に、堂本光一の演技に余裕とか安定感を感じる場面が多かったです。TV雑誌に載ってたインタビューを読んだら、今回は役作りに苦労していると発言していたので、本人は余裕なんて感じていないのかもしれませんが、場面に応じて演技のニュアンスを適確に使い分けている……という印象を受けました。

ただし、インパクトという意味なら藤井フミヤの方が目立っていました。ボクは本物の自閉症患者を見たことがないので、比較はできないのですが、フミヤの演技には、観客の目を引きつける吸引力があったと思います。といってもそれは、メインとなる演技パターン(身体の仕草やセリフのイントネーション)に味があるというだけの話で、各場面に応じた細かいニュアンスの使い分けなどは、要求されていないみたいです。

内田有紀は、「甘い生活」のときのマンガっぽいキャラクター・演技に近い感じですが、彼女にとっては手堅い路線といえるかもしれません。酒井法子に関しては、出番が少なかったせいか、いまひとつキャラ設定とか、演技のコンセプトがわかりませんでした。確か、心理カウンセラーという設定だったと思いますが、そのわりには、堂本光一に対する言動は不親切というか、プロっぽくないですね。(^^)

演出の雨宮望さんについては、2月のカネボウヒューマンスペシャルのときにも書きましたが、日テレの演出家の中では映像派に属する人だと思っています。このドラマでも、セットとか照明とかカメラアングルなどにこだわりが感じられました。たとえば、堂本光一の部屋をはじめとして、やたらとガレージ風のセットが多かったですが、これは雨宮さんの意向なんでしょう。照明についていえば、画面(セットまたは部屋)全体を明るくしないで、光の陰影を強調するような照明を多用していました。

カット割りに関していえば、要所要所で堂本光一のアップを挿入していたのに対して、藤井フミヤはセリフと身振りの演技が中心で、表情のアップとかは、あまりなかったです。また、堂本光一の顔がいつもよりシャープに感じられたのですが、これはメイクさんの技なのかもしれません。

ラストのパーティのシーンは、あまりにもドラマ的というか、安直な展開で、堂本光一に殴られていた人の方がかわいそうに思えました。(^^ゞ


00/04/13  手塚治虫劇場

原作:手塚治虫
プロデュース:松本基弘、下山潤
制作:テレビ朝日
関東放送枠:テレ朝・木曜8〜10時

これは思っていた以上にクオリティの高いドラマでした。「世にも奇妙な物語」のファンタジー系のエピソードに近いテイストのドラマが3つ並んでいたという感じです。どれも余韻が残るようなエンディングになっていて、そういうところがボク好みだったともいえますが……。なによりも、通常の連ドラよりも、一作一作に時間と手間をかけているという印象を持ちました。

手塚治虫のドラマといえば、先日の「ブラックジャック」(演出:堤幸彦)があったばかりですが、今回演出を担当した3人も、堤さんと接点(?)がある人ばかりなので、そういう意味でも興味深く見れました。君塚匠さんは、堤さんと一緒に「クリスマスキス」(95年・テレ東)の演出をしていた人です。五木田亮一さんは、「サイコメトラーEIJI2」の演出をしていましたが、パート1は堤さんが演出していました。上川伸廣さんの場合は、特に接点はないと思いますが、堤さんに匹敵する個性を持った演出家だと思っているので、ボクの中では多いに接点があります。(^^ゞ

第1話「るんは風の中」
 脚本:深沢正樹
 演出:君塚匠

冒頭に出てきた、カレーを食べている今井翼の顔を広角レンズでアップに撮ったカットを見て、鋭い! と思ってしまいました。1年くらい前にこの日誌で、今井翼のことをアニメ顔だと書いた記憶がありますが、このドラマは、まさに彼のアニメ顔に着目した演出になっていました。このドラマの大半は、今井翼と池脇千鶴の会話だけで成り立っていたので、当然のことながら今井翼のアップが多かったのですが、アニメ顔の今井翼をさらにアニメっぽく撮るという演出意図を強く感じたのはボクだけでしょうか?

今井翼がアニメ顔なら、池脇千鶴の方はアニメ声を期待されていたのでしょうか。声優みたいなニュアンス過剰な台詞回しになっていて、ボクには、ちょっとしつこかったです。特に涙声の部分などは、キャバクラの女の子に口説かれてるみたいで、「オマエ何か下心があるだろう」みたいな……。(^^ゞ まあ、池脇千鶴の場合は、写真がしゃべっているという設定なので、カメラも正面からのアップしかなかったし、セリフ以外に演技するところがなかったという事情もあります。これは好みの問題なんだとは思いますが、ボクは実写のドラマで声優みたいな台詞回しは聞きたくありません。コメディなら別ですが。

今井翼にしても池脇千鶴にしても、別々に撮影されたものを、編集の段階で、会話になるように合成されていたので、そういう意味では演技しづらかったのかもしれません。ドラマの大半が2人の合成会話だったので、演出する方も大変だったと思いますが、この2人の会話の演出に重点をおいたことによって、ドラマ全体の印象がエロチックな感じになりました。ただし、このドラマで美味しかったのは今井翼の方だと思いますが、妙に力んでるような台詞回しはなんとかならないでしょうか。彼の場合、かなりドラマ歴は長いはずなのに、あまり改善されません。堂本光一は、前述のインタビューで、セリフを自分が言いやすいように言い換えていると言っていましたが、今井翼にもそうした対策が必要なのかもしれません。

その他で印象に残ったのは、ラストシーンで、池脇千鶴が消えた直後に挿入された今井翼の目もとのアップ。今井翼のアップで成り立っていたようなドラマだったんですが、目もとのアップだけはこの瞬間のために温存していたのでしょう。ニヤリとさせられました。また、ラストカットが池脇千鶴のモノクロ写真だったのも、余韻が残る良い演出でした。

最後に苦情を――。ショパンの「別れの曲」が、BGMに使われていましたが、いままでドラマの中で、何回この曲を耳にしてきたことか、数え切れません。ボクも好きな曲ですが、いいかげんに止めにしてほしいです。――それから、こちらはどうでも良いことですが、ノートパソコンが落下するシーンは、心臓によくないですね。(^^ゞ

第2話「ふしぎなメルモ」
 脚本:梅田みか
 演出:五木田亮一

前後の2作に比べると、ちょっと分が悪かった作品。木村佳乃の子供っぽい表情演技に味があったので、もっとそこに焦点を絞ったカメラ割りにすればよかったと思うのですが、いろんな要素を詰め込みすぎて、散漫な印象になってしまいました。また、都心の街中が舞台になっていたため、他の2作に比べると、ファンタジックな雰囲気が作りにくかったように思います。都心を舞台にしない方向で脚色できなかったのでしょうか。

それにしても、メルモの子どもの方を演じた児玉真菜は、顔が木村佳乃にソックリでした。「るん」の今井翼もそうですが、このドラマはキャスティングに力が入ってるなーと思いました。(^^ゞ

第3話「カノン」
 脚本:矢島正雄
 演出:上川伸廣

最後は緒形挙主演の重厚な作品でした。演出がイーストの奇才上川伸廣さんだったので、心してみました。(^^ゞ ここのホームページは、堤幸彦さんの名前で検索してたどり着いた方が多いようですが、そういう方には、ぜひチェックしてもらいたい演出家です。堤さんの影響を受けた演出をする人というのは、最近はかなり多いのですが(「QUIZ」の演出とか)、その中で堤さんを凌駕するような個性を感じさせる演出家といえば、上川さんをおいて他にいないと思います。

上川さんといえば、「ストーカー(渡部篤郎版)」「ボーダー」「スウィートデビル」といった、サスペンス〜ホラー系のドラマを手がけることが多い演出家なのですが、この人が非凡なのは、単に怖いだけでないところです。上川さんの画面からは、アングルとか構図に対する強い絵心が感じられます。と同時に、音(効果音など)に対する感性も鋭敏なところがあるので、それがサスペンス系の演出で強い効果を生みます。

この作品でも、構図やアングルに対する上川さんの非凡なセンスが、随所に感じられました。バスの中の乗客のアップなどは、「金田一少年」のころの堤さんに通じるテイストなのですが、こういうテクニックを闇雲にパクるのではなく、ドラマの流れの中で効果的に使えるのが上川さんのすばらしいところです。つまり、堤さんの手法をそのままマネるのではなく、自分の演出スタイルの中にしっかり消化吸収している……ということです。この後の、廃校内でのシーンでも、構図・アングルに絵心を感じさせるカットが多数ありました。

上川さんのもうひとつの才能が発揮されたのは、終盤の空襲のシーンです。あのシーンにおけるグロテスクな描写は、「ボーダー」などを演出している上川さんならではでした。しかも、グロテスクでありながらも、ドラマ全体を貫く情感〜テイストを壊していないところは最大限に評価していいと思います。このドラマを見て、空襲のシーンだけ浮いていると感じた人は、あまりいなかったんじゃないでしょうか。それは、上川さんの非凡な才能がなせる技でしょう。

余談になりますが、ボクは豊川悦司が演出した「冷やす女」(世にも奇妙な物語SP)みたいな作品に絵心は感じません。厳密にいえば、絵心(雰囲気)はあるのかもしれませんが、そこに非凡な才能を感じないということです。「冷やす女」みたいな作品は、やろうと思えば他の演出家でも可能だと思うからです。しかし、上川さんの演出をマネしようと思ったら、上川さんに匹敵する絵心を持った演出家でなければ不可能でしょう。もちろん、そんな才能の持ち主がこの世に何人もいるとは思えません。


00/04/13  君が教えてくれたこと(1)

脚本:武田百合子
演出:吉田健(1)、大岡進、内田誠
プロデュース:山崎恆成
音楽:千住明
制作:TBSエンタテインメント
関東放送枠:TBS・木曜9時

「手塚治虫劇場」や「太陽は沈まない」を見た翌日にビデオで見たせいか、ものすごく地味な印象を受けました。(^^ゞ

吉田健さんの演出ですが、「若葉のころ」など、過去の演出作品を思い出す場面が多かったです。特にロケーションのセンスが「若葉のころ」っぽいです。特に宅麻伸のキャラはそのまんま藤木病院の院長でした。(^^ゞ また、ハーモニカのBGMというのも過去の吉田作品で何度かあったパターンです。そういえば、脚本の武田百合子さんは、「PU-PU-PU-」の後半の脚本を担当した人だから、やはり吉田健テイストが濃厚なドラマといえるでしょう。

ただ、そうした要因がある種の既知感として感じられるため、どこか新味に欠けるような印象を受けてしまいました。あと、タイトルバックを含めて、ソフトで淡いテイストが画面に充満していますが、これも、いまひとつボクの趣味に合いません。ただし、SHERAの主題歌はなかなか良い曲だと思いました。曲を書いた“T2ya”(表記が違ってるかも)とかいうのは何物?

同じ自閉症でも、前日の藤井フミヤとは随分違っていましたが、演技的に難しそうなのは、ともさかりえの方でしょう。こちらの方が、細やかな感情表現を要求される場面が多そうです。ただし、第1話ラストの山場は、2作とも、パーティ会場で自閉症患者が周囲の偏見・悪意にさらされる……というものでした。こういう手垢にまみれた物語展開が、ドラマの印象を安っぽくしています。「天使」の場合は、ちょっと非現実的なメルヘンといった趣があるドラマなので、まだ許せますが、「君が」の方はもっとリアリティを重視したドラマになっているだけにいただけません。この意味では「BL」の北川悦吏子さんは上手かったなと思います。

――すみません。ビデオを見ながら、途中で眠ってしまったみたいなので、これ以上書けません。m(__)m 目が覚めたら、宅麻伸がともさかりえのことを見世物にしてました。(^^ゞ


00/04/13  太陽は沈まない(1)

脚本:水橋文美江
演出:中江功(1)、水田成英、桜庭信一
プロデュース:山口雅俊
音楽:
制作:フジテレビ
関東放送枠:フジ・木曜10時

 滝沢秀明で「エデンの東」

雑誌や新聞では、「滝沢秀明」と「医療過誤」の2ワードで語られることの多い作品ですが、その言葉のイメージでドラマを見た人にとって、この第1話における医療過程の描写は物足りなく見えると思います。しかし、山口雅俊Pのインタビューによれば、医療過誤の話は最終回でちょっとふれる程度で、本質的には青春ドラマ。滝沢秀明で「エデンの東」をやりたかった――とのことです。一口に「エデンの東」といっても、映画と原作ではまったくテーマが違うのですが、山口Pがいってるのは、聖書をモチーフにした原作ではなくて、ジェームス・ディーンの青春映画の方です。わざわざこんなことを書くのは、山口Pだったら、キリスト教をベースにした宗教ドラマを作っても意外ではないからです。(^^ゞ

で、「エデンの東」は父親との確執を描いていたが、現代の少年を描くのであれば、社会との確執を描いた方が良いと思ったとのことです。ボクはこういうところに山口Pの鋭さを感じます。同じように「エデンの東」を下敷きにした(と思われる)「PU-PU-PU-」に欠けていたのはこういう視点です。山口Pは、よく“社会派”と評されますが、現代における社会派というのは、反権力とか社会悪と闘う……といった視点とは違う視点が求められるという意味でなら、ボクも山口Pのことを社会派と呼んでも良いと思います。

 「タイムキーパーズ」との類似点

最初に注目したいのは、滝沢秀明のナレーションです。「ブランド」最終回で、この番組の予告を初めて見たときに、強烈なインパクトを感じました。ボクは「木曜の怪談・怪奇倶楽部」のラストに毎回流れる滝沢秀明のナレーションが好きだったので、そのときの記憶が蘇ってくるような感慨を受けました。

あのドラマの場合、ナレーションのバックに流れていた見岳章さんの音楽がよかった(見岳さんの最高傑作!)ということもあるのですが、ボクは、ナレーション(モノローグ)というのは、ちょっと下手なくらいがちょうど良いと考えているので、滝沢秀明の語りというのは、まさにストライクゾーンなんです。ちなみに、「北の国から」の吉岡秀隆の場合、ちょっと癖がありすぎて、ずっと聞いているとうっとうしくなります。ナレーションにおいて大切なのは、薄口で飽きがこないことです。(^^)

このドラマのスタッフが「木曜の怪談」のことを意識していたかどうかはわかりません。しかし、このドラマにはもうひとつ「木曜の怪談」との接点があります。それは、滝沢秀明の家が下町風の日本家屋で、母親がお好み焼き屋を営んでいるという設定です。これは、「木曜の怪談ファイナル・タイムキーパーズ」の設定とまったく同じです。あの時は母一人息子一人という家族構成で、母親役が森久美子でした。

ボクはあのドラマにおける、貧乏臭い母子愛のシーンがとっても好きだったので、いまだに森久美子を見ると、あのドラマを思い出しています。ちなみに「タイムキーパーズ」を演出していたのは共テレの佐藤祐市さんで、下町をフランス映画っぽく撮るのが得意な演出家です。その後、「大家族デカ」「貯まる女」で森久美子の演出をしています。「タイム…」は視聴率不振のため、最終2話は夕方の再放送枠で4回に分けて放送されたという大失敗商品ですが、今思えば、全話録画保存しておけばよかったと後悔しています。脚本以外は隠れた名作に値する作品だと思っています。

「太陽」と関係ない話ばかりになってしまって申し訳ありません。ただ、「太陽」を語る上で、「怪奇」「タイム」の2作の存在が、とても重要だと思えてならないので。(^^ゞ もし、ボクがプロデューサーで、滝沢秀明のドラマを企画したとしたら、間違いなく「タイム…」の延長線上で考えたと思いますが、この「太陽」はまさにそんな感じになっているんです。このドラマの主要スタッフの何人かは、少なくても企画の段階で「タイム…」を見ているハズですが、ボクと同じように「タイム…」の世界観に引かれたのでしょうか?

 モンタージュ

冒頭の、スーパーマーケットのシーンは、20世紀の初めにエイゼンシュタインによって確立された“モンタージュ理論”を、そのまま実践したようなカット割りになっていました。一見無関係に思えるような断片的なカットをパッチワーク風に並べていくことによって、ひとつのストーリーを作り出す技法のことです。ドアのアップ、足元のアップ、買い物篭のアップ、オレンジを取る手のアップ……など、ひとつひとつは意味不明のカットなんですが、これらをていねいに並べることによって、スーパーで買い物をしているということが視聴者に伝わってくるわけです。

こうしたカット割りというのは、現在では、ほとんどのドラマであたりまえのように行われていることなので、特に目新しい技法ではないのですが、それでも、冒頭のスーパーのシーンは出色の出来でした。ミュージックビデオのようにめまぐるしく切り替わる映像の嵐を前にして、目が点になってしまった人もいるのではないでしょうか。中江功さんのカット割りについては、以前にもコメントしたことがあると思うのですが、“カット割りの魔術師”と呼びたくなるような演出家です。このドラマは中江さんのまさにそんな特徴が、前面に出ているドラマだといえます。

冒頭のシーン以外でも、モンタージュ的な細かなカット編集が、ほぼ全編に施されています。当然のことですが、ノーマルに引きのカットで取れば1テイクで済むところを、10〜20くらいに分けて、それぞれアングルも変えて撮影しなければならないので、収録作業はムチャクチャ大変です。だから、普通はクライマックスシーンなどに限定的に行われることが多いのですが、このドラマでは、全部がクライマックスという感じで、ほとんどのシーンで細かなカット割りがなされていました。第1話だから時間的に余裕があったのかもしれませんが、連ドラでこんなことをやったら、現場のスタッフが過労死してしまいそうで心配になってしまいます。(^^ゞ

しかも中江さんのカット割りが優れているのは、単にカット数が多いだけでなく、ひとつひとつのカットの完成度がやたらと高いことです。普通、カット数が多ければ、ひとつひとつのカットに時間をかけていられないと考えるのが人間だと思いますが、きっと中江さんは人間ではなく、鬼なんでしょう。(^^ゞ 見ていて背筋がゾッとするドラマです。

ちなみに、モンタージュというのは、無関係なものを無作為にくっつけるというダダイズムの流れから産まれた技法のようですが、一般の映像表現では“無作為に”くっつけるということはまずないでしょう。(^^) 堤幸彦さんのドラマなども、モンタージュ的な技法なしには成り立たないハズなので、そういう意味では古くて新しい技法といえるのかもしれません。

この第1話の演出で触れておかなければいけないのは、やはり、ドラマの中盤に出てきた、時間の経過を示すテロップでしょう。山口Pのドラマでは「タブロイド」にも出てきましたが、今回の場合は、1年前の「元禄繚乱・松の廊下」(演出:片岡敬司)に近い使われ方でした。ただし、テロップの入れ方は「元禄繚乱」とは違っていました。「元禄」がダダダ〜とマシンガン風(タイプライター風)のリズム感だったのに対し、今回の中江さんは、不安感を煽るような入れ方をしていました。

ポイントになるのは、ドラマのリズム感を切断する感覚で、音声処理や効果音に工夫が見られます。この第1話では、芝居ではなくカット割りがドラマのリズム感を決定していました。そして、場面に応じて、リズム感を早くしたり、遅くしたり、いきなり切断するなど、していたようです。

 その他、もろもろ

長くなってしまったので、これ意外の点については簡単に触れます。ボクは最初に見たときは、富士山の麓町が舞台だと思っていたのですが、舞台は東京の下町のようです。冒頭のシーンは合宿で、優香の別荘が近くにあったという設定だったようです。(^^) どうしてそのような分かりづらい設定にしたのか、理解できません。単に富士山を映したかっただけだったりして。(^^) 残念だったのは、BGMにいまひとつ魅力が感じられないことでしょうか。「タイム…」のときは寺嶋民哉さんの音楽がすばらしかったのですが、このドラマの音楽にはあまり存在感を感じません。全体の完成度が高いだけに惜しいです。

出演者に関していえば、優香や佐藤仁美など、共演者がなかなか良い存在感を出しています。優香に関しては雰囲気だけで十分にOKという感じがします。演技を期待してキャスティングしたわけではないのでしょう。思わず名前をチェックしたのは、クラスメート役の牧野紘二。ちょっとバカ系の面白い顔をしてます。(^^) それから、脚本の水橋文美江さんは、中江Dの奥さんだそうです。TBSの伊藤一尋・小松江里子コンビを彷彿させます。

ボクがこの第1話を見て、一番良いと思ったのは、家族を失ったことによる喪失感を、ていねいに描いているところです。いままであたりまえのようにいた家族が、急にいなくなってしまう違和感。これが、このドラマの叙情性を高めているように思いました。竹下景子の役割は、この喪失感を強調することだと思いますが、この感覚は最終回まで持続するのでしょうか。単発ならともかく、連ドラの第1話で喪失感を描くというのは、ちょっと珍しいような気がしました。「人間・失格」は、当初の予定では第1話で堂本剛が死んじゃう予定だったそうですが……。


00/04/14  池袋ウエストゲートパーク(1)

原作:石田衣良
脚本:宮藤官九郎(大人計画)
演出:堤幸彦(1)、伊佐野英樹、金子文紀
プロデュース:磯山晶
音楽:羽毛田丈史、會田茂一(エル・マロ)、KREVA
制作:TBSエンタテインメント
関東放送枠:TBS・金曜9時

 もうひとつの「メトラー2」?

結論からいっちゃうと、この第1話は堤幸彦さんの最高傑作といっても良いかもしれません。個人的には「サイコメトラーEIJI」(97年1月)の第1話を見たときと同じくらいの手応えを感じました。堤さんは「メトラー」以降、「ぼくらの勇気・未満都市」「ハルモニア」「ケイゾク」「プリズン・ホテル」「新・俺たちの旅」という連ドラを手がけてきましたが、第1話を見て「メトラー」第1話に匹敵するような衝撃を受けたのは、これが初めてです。

――とはいっても、今、「メトラー」の第1話を見ても、当時のような衝撃は受けないでしょう。なぜなら、この3年間の間に、日本のドラマ演出は大きく変わったし、堤さんを取り巻く状況も変わったからです。「金田一少年の事件簿」の第2シリーズの第1話を見たときも、かなり衝撃を受けたのですが、ちょっと前に見直したら、ものすごく地味に見えました。その当時において斬新だった手法が、いまでは他のドラマで、あたりまえのように使われているからです。たとえば、カメラが上下左右に揺れているカットなど。

この「池袋ウエストゲートパーク」というドラマの演出コンセプトは、「メトラー」と「未満都市」の延長線上にあります。この2本のドラマが持っていたドキュメンタリー志向の発展型だといってほぼ間違いないでしょう。と同時に、堤さんが参加しなかった「メトラー2」(演出:猪俣隆一)を意識しているように感じる部分もあります。

ボクは「メトラー2」を、「メトラー」の発展型のひとつとして高く評価しましたが、このドラマを見ていると、堤さんが考える「メトラー」の発展型を見せられているような気がします。わかりやすくいえば、「メトラー2」に対する堤さんの返答という側面があるんです。「メトラー2」が、スモークをがんがん焚くなどして、劇画っぽい映像世界を構築していたのに対して、「池袋」は、ドキュメンタリー性とライブ感覚を拡大・強調した演出になっています。

――ところが、「TVライフ別冊・春ドラマの本」を見ると、堤さんはこうしたボクの認識とはニュアンスの違う発言をしていたりします。「これは僕が初めて取り組む青春ドラマなんです」とか「僕は今までドラマの中で虚構の世界を描いて、虚構という視点で東京を切り取ってきたんだけど、今回は逆だと。もう街自体が虚構なんだから、逆にそこに乗っかる形でいいなって」と。

前者についていえば、「未満都市」や「俺旅」は青春ドラマじゃなかったのかという疑問がわいてきます。普通に考えれば、2本とも青春ドラマだし、堤さん自身もその時点では、そういう認識で制作に取り組んでいたのではないかと思われます。にもかかわらず、こうした発言が出てしまうのは、堤さん自身がそうした過去の作品に対して納得していないということなんでしょう。

後者については、いまひとつ意味がよくわからないのですが、「今までは虚構を作るために東京を撮ってきたが、今回は池袋という街だけで虚構の要件が満たされているから、意識的に虚構を作る必要がない」という意味なら、ボクも理解できます。いずれにしても、「池袋…」は「メトラー」「未満都市」の発展型だと考えるのが妥当だと思います。

 堤さんは映像派?

ところで、堤さんというと、一般的には映像派の演出家だと思われていて、本人も「映像派ドラマの極北「ケイゾク」の灯を絶やすな!」なんて、書いていたりします。ボク自身も最初のころはそのように思っていました。ところが堤さん自身は、そうしたイメージに反して、人間を撮るということに対するこだわりが強い人みたいなんですね。作品でいうと「未満都市」のタイトルバックあたりに顕著なんですが、「ケイゾク」が放送されていたころの「TVライフ」のインタビューでも次のように語っています。

――写真家っていうのは状況に深く入っていける。状況と1つになれるんですよ。でも、僕は自分で状況を作り出しているにもかかわらず、うまく入っていけない。今、その歯がゆさにすごく苦しんでいる。(中略)僕の撮る作品を、「技巧的で面白いけど、人間に入っていない」と感じる人がいるのは、そういうことだと思うんですよ。そこに写真家的な姿勢を持てれば、もっとエグいものが作れるんじゃないか――と。

ボクも堤さんのドラマを見て、“人間を撮る”のが上手いと感じたことは、あまりありません。だから、「ケイゾク」「プリズン」「俺旅」といった作品も、そうした視点から見ていたので、どこか物足りない思いを感じていました。「ブラックジャック」の場合は、映像的にもひらめきが欠けているように感じたので、この文脈とは関係ありませんが……。(^^)

さて、ここまで読んでくれた方なら、ボクがこのドラマを堤さんの最高傑作と読んだ理由がわかっていただけるでしょう。(^^) 過去の堤さんのどのドラマよりも、出演者の息遣いが伝わってくるからです。

このドラマで出色のキャラといえば、もちろん窪塚洋介ですが、もちろんこんなキャラが実在するとは思いません。そういう意味では、単純にドキュメンタリー的とはいえないのですが、にもかかわらず、このドラマからある種のドキュメンタリー性が感じられるのは、このドラマが撮影現場の空気を伝えるドキュメンタリーという側面を持っているからはないでしょうか。(この意味で比較に値するドラマは「金八先生」です。)

たとえば、カラオケボックスのシーンなどは、長瀬智也が「ワイルドでいこう」を歌ってたりして、撮影終了後の打ち上げパーティみたいな雰囲気が感じ取れます。たぶん、実際にそういう雰囲気の中で撮影されたのだと思われます。ほとんど、盗撮みたいなカメラアングル(固定)でした。(^^)

前述の引用で堤さんは「東京を切り取る」という表現をしていましたが、ボク自身、過去の日誌で堤さんの映像のことを静止画的だと書いたことがあります。このドラマでも、静止画的な映像センスが頻出しています。特に、動きのあるカットを切り刻んで、連続写真風に仕上げているところなどに、堤さんの写真家志向が感じ取れます。堤さんは「池袋という街自体が主役」だと発言していますが、このドラマは、池袋をフィールドワークしているドキュメンタリー写真家の作品集を見ているような趣を感じます。

今回の日誌は総論ばっかりになってしまいましたが、出演者を含めた細かい話は、追って取り上げていこうと思います。いくつか気になった点を挙げておくと、「プリズン」や「ブラックジャック」に比べて、笑いのセンス〜演出が向上しているように感じます。出演者が若い分、ギャグのセンスも若くなっているんでしょうか。長瀬の「クジラはKだろ」も笑えました。(^^) また、今回は出演者の顔ぶれに厚みがあります。きたろうとか。オールロケで美術の経費が抑えられる分、キャスティングにお金をかけられたということなんでしょうか?

ちなみに、ボクが「未満都市」のタイトルバックが好きなことは、以前に書きましたが、これに近いテイストを持っているのが、「ガラスの仮面2」や「あぶない放課後」のタイトルバックなんです。「未満都市」が報道写真風なのに対して、後者はスナップ写真風という違いはありますが。「あぶ放」は関東では、金曜の午前に再放送されています。(^^ゞ


00/04/14  QUIZ(1)

脚本:相内美生、飯野陽子、関えり香
演出:今井夏木(1)、生野慈朗、難波一弘、那須田淳、福澤克雄
プロデュース:那須田淳、植田博樹
音楽:西平彰
制作:TBSエンタテインメント
関東放送枠:TBS・金曜10時

「池袋…」と違って、このドラマからは、あまり映像的な魅力は感じません。手が込んでいると思うことはあっても、絵心を感じることはありません。これがイーストの上川伸廣さんだったら、サスペンスタッチの中にも絵心が溢れる作品になっていたんだろうなと思うと、ちょっと残念な気がします。ドラマの基本的なコンセプトや脚本は悪くないと思ったからです。

今井夏木さんは、「あきまへんで!」や「ケイゾク」で、それぞれ1話だけ演出した後、「L×I×V×E」のサードDや「金八」の六番目のD(?)として連ドラの演出をしてきた人で、深夜ドラマを別にすれば、セカンドDの経験はないハズです。だから、今回のチーフDというのは大抜擢だといえます。制作サイドとしては、若い世代の感覚を前面に出したかったのかもしれません。ちなみに、ボクが過去の日誌で、今井Dの演出について指摘したことというのは、以下の3点になります。

(1)思い切りの良い大胆な演出をする。
(2)芝居の演出は上手くない。
(3)セリフがよく聞き取れないなど、わかりにくい部分が多い。

ところが、「TVライフ別冊・春ドラマの本」のインタビューで、今井さんがこれと正反対の発言をしていたので驚かされました。――もともと私は生野(慈朗)さんの下で勉強させてもらった人間なので、映像からじゃなくて、役者から何かを引き出したいというタイプなんですよ。そこにしか私の軸はないなと思ってる――と。しかし、この第1話を見たかぎりでは、上記の3つの印象は変わりませんでした。ですから、この発言は、今井Dの願望ないしは目標を語っているのだと解釈した方がいいのかもしれません。(^^ゞ

パッと見て気になったのは、画面が暗いこと、BGMがうるさいこと、セリフの乗り(芝居のテンポ?)がよくないこと……でしょうか。盗撮風の荒い画質のカットを挿入するアイデアは悪くないのですが、それがドラマ全体の流れの中でメリハリになっているかというと、そうでもなくて、どこかゴチャゴチャした印象が残ります。今井さんは、上記のインタビューで、シーンシーンで画面の質感や色を変えてバランスの緩急をつけたい…と言っていましたが、結果的に逆効果になっていたように感じるのはボクだけでしょうか? ちなみに、この盗撮風カットについてはオチがあるのでしょうか?

財前直見が「犯人は××××なのよ……」という部分の処理も、素直にピー音とかを入れてくれれば、放送上のタブーに対するアイロニーが伝わってくるのですが、あんな複雑な処理をされると、大半の視聴者は「アレレ……、よく聞こえなかった」と思う程度で、その演出に込められたアイロニーが理解できないんじゃないでしょうか。ボクはビデオで見直してみて、はじめてそのアイロニーが理解できました。ちなみに、こうしたアイロニーを織り交ぜたドラマ作りというのは、植田博樹Pが堤幸彦さんから学んだことみたいです。(^^)

お芝居の部分に関していうと、財前直見と内藤剛志が無線で「一番大事なのは子どもの命」という会話をするシーン。第1話の中ではクライマックスといえるシーンだと思いますが、いまひとつ芝居に迫力を感じませんでした。これが、生野慈朗さんの演出だったら、もっと緊張感のあるシーンになっていたような気がします。

ところで、このドラマを「エヴァンゲリオン」の影響という観点で見ると、どうなんでしょうねぇ〜。(^^ゞ 完結でスタイリッシュなカッコ良さという点では、「ケイゾク」や「QUIZ」よりも「J家の反乱」の方が上だと思いますが、TVの常識から逸脱しているという意味なら、「ケイゾク」や「QUIZ」の方が上なのかもしれません。ただ、「エヴァ」というのは、演出に限っていえばムチャクチャわかり易い作品で、ストーリーは難解でも、演出意図は明快に伝わってきます。しかし、「ケイゾク」や「QUIZ」には、それが欠けています。特にこの「QUIZ」の第1話には……。(^_-)

話題を、演出から企画の方にかえます。

このドラマは、もともと数年前に“家族の崩壊”をテーマにして企画されていたもので、そこに“誘拐”“クイズ”といった要素を加えることによって、今回の企画になったという経緯があるそうです。ということは、このドラマの本当のテーマは、誘拐(犯人捜し)でもクイズでもなくて、家族なんだということになります。具体的には、このドラマに登場する3つの家族の行方がテーマとなるようです。でも、この第1話を見ただけでそれがわかる人はいないでしょう。岡本麗や矢部美穂(の家族)なんて、単なる端役くらいにしか見えませんでした。(-_-;)

この第1話で、唯一そのテーマを示していたのは、タイトルバックのテロップでしょうか。このドラマに登場する3つの家族のキャストを、ひとりずつ表示した後に、家族全員のキャストを同時に表示する…という、手の込んだ表示をしていました。厳密にいうと、妻と夫を個別に表示した後に、子どもを加えた家族全員を表示していました。

――考え方によっては、演出家の違いがハッキリあらわれるドラマかもしれないので、「木曜のD談」的には美味しいドラマなのかもしれません。なお、音楽の西平彰さんは、ラルク・アン・シエルなどのアレンジャーとして、名前を見かけたことがある人です。ドラマの音楽を担当するのは、多分今回が初めてでしょう。


00/04/15  伝説の教師(1)

脚本:石原武龍、吉田智子
演出:倉田貴也(1)、大谷太郎
プロデュース:池田健司
監修:吉野洋
音楽:仲西匡
制作:日本テレビ
関東放送枠:日テレ・土曜9時

冒頭の7〜8分は、いつもの土9っぽい重たい映像処理だったんですが、その後は月8みたいな素直な映像になりました。なんでこんな風にしたのかは、理解できません。――理解できないといえば、松本人志のキャラクター設定からして、よくわかりません。見なかった人に「どういうドラマだったの?」などと質問されたとき、一番答えに困るのはそこでしょう。(^^ゞ

ドラマの組み立てとしては、中居正広を中心にまわしているという感じでした。カット割りも、中居→松本→中居という感じで、松本の言動に対する中居のリアクション(表情など)で、物語のニュアンスを視聴者に伝えているという感じになっていました。

それよりも気になったのは、登校拒否をしていた生徒役。顔がキムタクにソックリなので、見ていてムカムカしました。以前にも書いたかもしれませんが、ボクはキムタクが好きではないのですが、要するに顔が嫌いなんだということが、よ〜くわかりました。――このパラグラフ、ボク以外の人には何の意味も成さない文章ですね。すみません。m(__)m

なお、このドラマを演出している倉田貴也さんは、「永遠の仔」を演出している鶴橋康夫さんの息子さんだそうです。同時期に親子2代で、同系列の連ドラのチーフ演出というのもスゴイ状況ですね。倉田さんの方は、初チーフです。それにしても、有名人の親子で名字が違うっていうパターンも多いですね。――これも、ドラマの内容とは関係ないプライバシーネタだ。すみません。m(__)m


00/04/18  ショカツ(2)

原作:佐山一彦
脚本:戸田山雅司
演出:河野圭太(1)(2)、都築淳一
プロデュース:笠置高弘、小椋久雄
音楽:配島邦明
制作:関西テレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ・火曜10時

第1話をちゃんと見ないまま、第2話を見てしまいましたが、重たいドラマですね〜。内容じゃなくて、芝居のトーンが……。(^^ゞ ほとんどの登場人物が、本音・感情を押し殺したような演技をしています。これはこれで、このドラマのリアリティといえなくもないのですが、そのことがドラマ全体の演出の中で成功しているのかというと、ちょっと微妙な感じです。

一番気になるのは配島邦明(本当は“配”の上に草カンムリが付きます)さんの音楽です。芝居のトーンが重たい分、派手な音楽でメリハリをつけたいという意図があるようなんですが、逆にその部分だけ浮いてるような感じがします。結果的に、「踊る大捜査線」を中途半端にパクっているような印象もあります。これだったら、むしろ、NHKドラマみたいな重厚なテイストで押し切っちゃった方がよかったような気がします。

もうひとつ気になるのが、松岡昌宏の演技で、本人もかなり苦労してそうです。いままで彼が演じてきた、饒舌で軽い性格とは正反対のキャラクターです。セリフが少ないのに表情のアップがやたらと多くて(主役だからあたりまえなんですが)、眼鏡をかけているぶん、表情のニュアンスも伝わりにくいです。しかも、彼が演じるキャラクターというのが、感情を素直に表に出さない優等生的な設定(一言で言えば、イヤなやつ!)なので、見ている方が感情移入できないです。これは、彼の演技力の問題ではなくて、基本的なコンセプトの問題です。

イヤなやつでも、どこか可愛いところがあれば、ドラマの主人公として受け入れられるし(「TEAM」の草なぎ&西村はこれに近い)、逆に悪の美学を貫いてくれれば、それはそれで引き付けられるんですが、このドラマの主人公は、そのどちらでもなくて、主役にしては印象が薄すぎます。相手役の田中美佐子の方が、ものすごくわかりやすいキャラなだけに、そのアンバランスさが、中途半端な後味を残す原因になっているようです。――ストーリー自体は、それなりに面白く見れたので、今後は主人公の性格描写が問題になると思います。(^^)


00/04/19  それぞれの断崖(1)

原作:小杉健治
脚本:相葉芳久
演出:松原信吾(1)、山田高道、根本実樹
プロデュース:橋本かおり、松原信吾、斎藤守恒
制作:テレビ東京、木下プロダクション
関東放送枠:テレ東・水曜8時

橘実里が出てるから……というくらいの、軽い気持ちで見ていたのですが、意外に引き込まれるものがありました。仕事も地獄、家庭も地獄という感じで、重苦しいです。朝日新聞のテレビ欄に、第1話以降のストーリーが書いてあったのを読んでしまったせいか、家庭内暴力のシーンを見ていて、いたたまれない気持ちになってしまいました。(^^ゞ 演出に関しては、あまり注意して見てなかったので、特に書くことがありません。m(__)m

橋本Pによれば、序盤は重たいストーリーで、中盤はラブストーリーになって、最終的には根底にある心理をとらえた人間ドラマになるとのことでが、なんか、字面だけを追うと、つまらなそうじゃん。(^_-)


00/04/20  別れる2人の事件簿(1)

脚本:今井詔二(1)、林誠人
演出:佐藤健光(1)、辻野正人
プロデュース:井土隆、亀岡正人、白倉伸一郎
音楽:安川午朗
制作:テレビ朝日、東映
関東放送枠:テレ朝・木曜8時

さすが佐藤健光(所属:イースト)さん。家族のシーンでは、片平なぎさをはじめとして、出演者の表情〜演技がイキイキしていて良いです。しかし、一話完結の事件モノの部分はイマイチです。そういうところは、「はみだし刑事…」に似ているといえるかもしれません。

00/04/20  アナザヘヴン〜eclipse(1)

原作:飯田譲治、梓河人
脚本:飯田譲治
演出:飯田譲治(1)、舞原賢三、下山天、滝川治水
プロデュース:佐々木基、谷古浩子
企画:梅沢道彦、河井真也
音楽:
タイトルバック:下山天
制作:アナザヘヴン・カンパニー
関東放送枠:テレ朝・木曜9時

う〜ん、ボクにはよくわかりません。(^_^;;

脚本と演出を同じ人が手がけるというのは、連続ドラマでは異例なことなので、これはこれで貴重な先例を作ったといえるのですが、飯田譲治さんの演出というのは、なんか野暮ったくないですか? 少なくても「Gift」や「沙粧妙子」みたいなオシャレなドラマを期待すると、思いっきり裏切られます。

脚本は、思わせぶりなシーンの連続で、見ていて飽きます。映画館で見るのなら、これでもOKなのかもしれませんが、お茶の間で見ていたら、新聞を読んだりとか、部屋を片づけたりとか、他のことをしちゃいそうです。(^^) しかも、飯田さんの映像って、あんまり絵心が感じられなくて、単に色使いと映像処理が派手なだけという感じがします。そのせいか、物語全体の印象も安っぽい感じになってしまって、ハッキリいってあんまし怖くもないんですよね。

それに、歌モノのBGMがやたらと多いところも、作り手の自己満足っぽく感じました。後で見た「君が…」の第2話が意外とよかっただけに、来週からはどっちを見ようかと迷ってしまいそうです。まあ、舞原賢三さんと下山天さんの名前があるから、切るに切れないドラマではあるんですけど……。(T_T) ――ちなみに、この日は時間延長でしたが、ボクは10時になった時点で、迷わず「太陽…」に変えました。両方とも録画してたから、どっちを見てもよかったんですが、録画してなくても、同じようにしていたと思います。(^^ゞ


00/04/20  君が教えてくれたこと(2)

演出:吉田健(1)(2)

先週はビデオを見ながら途中で眠ってしまいましたが、今週はちゃんと見ました。なかなかよかったです。(^^) 登場人物の表情を捕らえるカットに味があって、アングルを含めて、カメラが心の内側に接近しているような感覚がありました。ともさか&上川のロケーションのシーンも、なかなかいい雰囲気でした。前回はいろいろとキツイことを書いてしまいましたが、BGMの音楽も悪くなかったです。

ともさかりえの自宅のシーンも、間取りが広々としていて妙に迫力がありました。あれは天井付きのセットなんでしょうか。それとも、実在する家でロケしているのでしょうか。


00/04/20  太陽は沈まない(2)

演出:中江功(1)(2)

先週の第1話に比べると、カット割りはかなりおとなしくなりました。とはいっても、他のドラマに比べれば、手が込んでいることに変わりはありません。冒頭で滝沢秀明が病院に電話をかけているシーンなどは、一応モンタージュ風の細かいカット割りで、それなりに手が込んでいます。

その後に続いた、病院の応接室で京本政樹や大杉漣とやりあうシーンは、カット割りが「危険な関係」の社長室のシーンに酷似していてニヤリとしてしまいました。(~_~;) 若干変則ぎみのローアングルからの表情アップの切り返しでガンガン押して、ときたま、極端な引きのカットを混ぜていました。要するに、極端なアップと極端な引きのカットばかりで、中間のカットが(ほとんど)ないワケです。(~_~;)

このドラマの母子の設定が「タイムキーパーズ」に似ていることは、前回の日誌に書いた通りですが、この第2話を見ていると、滝沢秀明のキャラクターや演技にも共通点を感じました。大杉漣や松雪泰子に噛み付いているところなどは、「タイム…」で東幹久に噛み付いているシーンにソックリです。滝沢&松雪の関係は、滝沢&東の関係と同じです。お互いがぶつかり合いながらも、敵と戦う過程を通して成長していくワケです。「タイム…」が優れていた点は、滝沢の成長物語だけでなく東の成長物語も描いていたことですが、このドラマの松雪はどうなるでしょうか? ――第1話よりも、滝沢の表情に幅が出てきたような気もします。

また、前回の日誌では、優香に細かい演技は期待されていないみたい……などと書きましたが、この日は、遊園地のシーンや川縁でメスを探すシーンなどで、なかなか深みのある表情を見せていて、「この子はなかなかあなどれないゾ!」と思いました。(^^ゞ それから、やはり、前回書いた牧野紘二ですが、ファンの方からボク宛てにメールがきました。それによると、彼もジャニーズJr.だそうで、「TEAM」第2話でいじめられている生徒の役をやっていたそうです。知りませんでした。「ミュージックステーション」などでは、後ろでドラムを叩いているそうです。

もうひとつ。金持ち(優香)と貧乏人(滝沢)の対比とか、皮肉な運命の巡り合わせ(滝沢と優香)など、大映ドラマ(70年代の「赤い」シリーズなど)の基本構造をきっちり踏襲しているドラマでもあるようです。


00/04/21  池袋ウエストゲートパーク(2)

脚本:宮藤官九郎(大人計画)
演出:堤幸彦(1)(2)

さすがに第2話になってくると、ストーリーの方が気になってきます。小ネタの部分はともかくとして、メインのストーリー(ストラングラー事件)の方に、あまり面白味が感じられません。また、長瀬智也の心理、殺された子に対する想いみたいな部分が、こちらにうまく伝わってこないので、ラストの暴力シーンにも説得力がなくて、後味の悪さだけが残ります。

yahooの掲示板に、「なんの罪悪感もなく、犯罪をくりかえす… 私も若者(21)なんですが、なんか、同世代の感覚が信じられなくなってしまいました。」という書き込みがありましたが、この第2話の感想としては至極まっとうだと思います。(^^) リアルなテイストを目指しているわりには、作劇上の遊び(フィクション)が多すぎて、インパクトが相殺されちゃうんですよね。それから、「QUIZ」ほどではないけれど、BGMも全体的にうるさいです。また、窪塚洋介のキャラは第1話に比べるとインパクト減でしょうか。

印象に残ったのは、加藤あいが気持ちが悪いと、歯医者の外に出たシーン。ちょっと間をおいてから、加藤あいが長瀬に「背中をさすって」と言ったところでシーンが終わっていました。脚本に書いてあったことなのか、演出上のアイデアなのかよくわかりませんが、なかなかボク好みの演出です。「バーチャルガール」第4話のラストシーンを連想しました。しゃがんでる榎本加奈子に三宅健が「立てるか」と聞いて、榎本の「うん…。」でエンドロールになったヤツです。(詳しくはその時の日誌を見てください)


00/04/21  晴れ着、ここ一番(4)

演出:片岡敬司(1)(2)(5)、榎戸崇泰(3)(4)

榎戸崇泰さんの名前には、見覚えがあるのですが、どこで見かけたのか思い出せません。表情のリアクションをていねいに取るなど、演出的には大きく変わりませんが、表情の微妙な色っぽさという点では、片岡さんの方が上手いかもしれません。(^^) また、ユーモアのセンスに若干わざとらしい感じもありますが、ボクとしてはそんなに気にはなりません。

この第4話では、赤西仁のリアクションを積極的に撮っているという感じもありました。彼は「ベストフレンド」にも出ていた人ですが、その時の印象が薄かったので、今回も名前を見なければ同じ人だとは気がつかなかったかもしれません。今回もそんなに個性的な印象はないのですが、ドラマの中では良いアクセントになっているようです。上原さくらの方は相変わらず出番が少ないのですが、彼女が物語りに絡んでくると、面白味が増しそうな気がします。小野武彦さんや北村総一郎さんの出番が少ないのも、もったいないです。前にも書きましたが、出演者が多すぎるのがこのドラマの欠点ですね。(^^)

小野武彦さんは、4月29日(関西の放送日)の「J家の反乱」に出演するようですが、関東では放送されるのでしょうか。気になります。(^^)

00/04/21  YASHA〜夜叉〜(1)

原作:吉田秋生
脚本:佐藤嗣麻子、武上純希
演出:佐藤嗣麻子(1)
プロデュース:高橋浩太郎、浦井孝行
音楽:福岡ユタカ
制作:テレビ朝日、国際放映
関東放送枠:テレ朝・土曜11時

この手の映像派ドラマ(映画も)の恒例ともいえなくないですが、芝居〜ドラマのテンポがかったるくて、脚本(物語)にも、ぐっと引き込まれる部分がありませんでした。思わせぶりのギミックが多いせいか、ストーリーの方は中途半端というか、いまひとつ感情移入できないまま終わっちゃいました。伊藤英明が演じる2人の兄弟が再会するシーンも、いまひとつ入り込めませんでした。

連ドラの第1話というのは、ガマンしながら見ている人も多いと思うんですよね。人間関係とかをチェックしながら、「これから何が起こるんだろうか」みたいな……。そういう意味では、1時間でしっかり山場まで見せた「太陽…」第1話の脚本は秀逸でしたね。

主演の伊藤英明の方は、可もなく不可もなくという印象でしたが、カッシー弟の方は、表情からこちらのイマジネーションを刺激するようなニュアンスが感じられて、「実はコイツ何か企んでるんじゃないか」な〜んて疑ってしまいました。実をいうと、カッシー弟については今まであまり良い印象がなかったのですが、このドラマを見て見直しました。目が見えないという設定が功を奏した感じです。

一番印象に残ったのは、子供時代の回想シーン。特に海のシーンなどは映像的にも出色の出来で、ちょっぴり「永遠の仔」を連想してしまいました。2人の子役のキャスティングも渋いです。伊藤英明の子供時代を演じていたのは遠藤雄弥で、昨年12月19日にNHKでやった「鯨を見た日」(脚本:岡田惠和)で、真田広之と鯨を見る旅に出る子どもをやってました。カッシー弟の子供時代をやっていたのは鈴木藤丸で、こちらはこの日誌でも「風の行方」「おばあちゃま、壊れちゃったの?」などで取り上げています。さすが高橋Pというべきなのか、押さえるべきところはきっちり押さえているという感じのキャスティングです。

順序が逆になりますが、高橋浩太郎さんは、「南くんの恋人」や「イグアナの娘」をプロデュースした人で、その後、2時間ドラマのプロデュースをしていました。連ドラのプロデュースは「イグアナ」以来となります。「イグアナ」以後の月8岡田惠和ドラマを見ていて、「イグアナ」を面白くしたのはやはり高橋Pだったと感じることが多かったので、今回の連ドラ復帰はうれしいところです。演出の佐藤嗣麻子さんは、映画「エコエコアザラク」の演出で知られる方だそうですが、ボクはよく知りません。それから、音楽の福岡ユタカって、元PINKの人ですね。


00/04/22  六番目の小夜子(3)

脚本:宮村優子
演出:田中賢二(1)(2)、遠藤理史(3)

このドラマもストーリーがイマイチです。第1話のときはそんなに気にならなかったのですが、だんだん気になってきました。“サヨコ伝説”と、その伝説に振り回される現実世界との距離感が不明瞭だから、登場人物の心理・行動がよく理解できません。たとえば、ヒロインの鈴木杏は、どうしてサヨコになりたいと思うのか、さっぱりわからないし、荒唐無稽な伝説に律義に従っている歴代の生徒たちの心理も理解できません。――そんなワケなので、ボクとしては、サヨコ伝説よりも、鈴木杏と山田孝之の2人の関係がこの先どう進展するのか……なんてことの方が気になったりします。(^^ゞ

ところで、鈴木杏が演じる主役というのは原作に出てないキャラクターだそうですが、そんな乱暴なことして、大丈夫なんでしょうかね〜。そのせいなのか、このドラマの鈴木杏は、他の登場人物に比べて、引きずっているものが少ないというか、妙にニュートラルな印象があります。逆にやたらと設定が濃いのが山田孝之です。中学留年していて弟と同じクラスなんですが、両親が離婚しているので、父方に引き取られた弟とは名字も違うという設定。――これだけで(サヨコ伝説なしで)ドラマが1本作れそうな設定です。(^^)

先週の第2話を見ながら感じたのは、全体的にメリハリが足りないということですが、演出というよりはストーリー上の問題なのかもしれません。また、cobaの音楽なども「君といた未来のために」と比べると、いまひとつインパクトに欠けるところがあって、これが選曲の問題なのか、音楽そのものの問題なのかも、ちょっとハッキリしませんでした。

この第3話は、「35歳・夢の途中」(98年・脚本:岡田惠和、主演:三上博史)や「元禄繚乱」で知られる遠藤理史(えんどう・りし)さんの演出です。ギミック的なカメラワークや音楽の使い方など、1〜2話よりもメリハリが出てきたように感じました。また、山田孝之のアップをていねいに取っていたようです。第1話のときはそうでもなかったのですが、回が進むにつれてだんだん、鈴木杏よりも山田孝之の方が存在感が大きくなっていくように感じるのは、ボクだけでしょうか。


00/04/22  伝説の教師(2)

脚本:石原武龍(1)、福田千津子(2)、吉田智子
演出:倉田貴也(1)(2)、大谷太郎

先週と同じ人が脚本を書いているとは思えない……と思いながら、エンドロールを見ていたら、福田千津子さんという人でした。初めて見る名前だと思いますが、注目しておきたい名前です。女の子の友情を描いたストーリーでしたが、ちょっぴりレズっぽいところを含めて、この年頃の女の子の微妙な心理が生々しく描けていたように感じました(ボクには、よくわからない世界ですが)。虚栄心やコンプレックスが、2人の感情(友情)を屈折させたり、強化したりする……という視点に、この脚本家のスケール感を感じます。

2人を演じていたのは大谷みつほと橘実里で、2人とも好きな女優さんですが、今回は橘実里の存在感に圧倒されました。彼女は「それぞれの断崖」と掛け持ちで出演している子で、顔がちょっぴり元SPEEDの島袋寛子に似てたりしますが、女優向きの良い顔をしていると思います。アイドルは可愛いだけでOKですが、女優は可愛いだけじゃダメ…ですから。(^^) このドラマでも、愛憎が入りまじったニュアンスがよく出ていました。演出の倉田貴也さんも、橘実里(及び大谷みつほ)の表情アップに重点をおいたカット割りをしていたようです。

ところで、ボクが橘実里に注目したのは、1年前の「熱血恋愛道」で初めて見たときで、そのときの日誌にも書いた記憶がありますが、その後順調に仕事が入っているみたいでなによりです。(^^) ちなみに、彼女の場合、照明が暗いときの方が、顔全体が明るいときよりも表情に味が出るようです。


00/04/22  29歳の憂うつ・パラダイスサーティー(1)

原作:乃南アサ
脚本:瀧川晃代、飯野陽子
演出:堀川とんこう(1)、村松弘之
プロデュース:一杉丈夫、稲垣健司
音楽:
制作:テレビ朝日・KAZUMO
関東放送枠:テレ朝・土曜11時

堀川とんこうさんは、TBSを定年退職された方で、確か、1年くらい前にエッセイ集を出されていたと記憶しますが、ボクは未読です。堀川さんに関しては、ボクよりも詳しい方が他にたくさんいらっしゃると思うので(ATCQさんとか)、ここでは詳しく書きませんが、いずれにしても、70〜80年代にテレビドラマの一時代を築いた巨人の一人です。TBSで最後にプロデュース&演出した連ドラが97年の怪作「職員室」(出演:浅野温子)で、多分この「パラダイスサーティー」が退職後の初仕事ではないかと思われます。――しかし、このドラマはツライものがありますね。(^^ゞ

「永遠の仔」の鶴橋康夫さんとの比較でいえば、70年代で時間が止まっている鶴橋さんに対して、このドラマの堀川さんは、今風の演出を受け入れたことによって陳腐になってしまった……という感じがします。脚本だけなら、昔の「東芝日曜劇場」みたいなセリフ劇だと思うのですが、マンガっぽい文字を入れたり、セットを今風にすることによって、かえって全体の印象がチープになってしまったように思います。それこそ、鶴橋さんが演出してたらどうなっていただろう……なんて考えてしまいました。(^^ゞ

ただし、物語に関しては、面白くなりそうな気配もあります。印象に残ったのは、赤いパジャマを着た石田ひかりが、ふざけて清水美砂を誘惑するシーン。(^^) ただ、男装の清水美砂は、酔っ払った鳥羽潤みたいに見えちゃいました。(笑)


00/04/23  スペースエンジェル〜2001円宇宙の旅(2)

脚本:倉森勝利原田泉
監督:石毛浩介
プロデュース:伊藤響、猪俣隆一、原田泉(ROBOT)
助監督:東條政利、斉藤豊
AP:小野経子
出演:長谷川純、東新良和、加藤成亮、北浦実千枝
制作協力:ROBOT
関東放送枠:日テレ・日曜午前11時40分

前回の「イケメン」がイマイチだったので、あまり期待しないで見たら、片岡Kさんみたいなシュールな作品に仕上がっていたので、ビックリしました。なによりも、オープニングの“ROBOT Production”の文字にやられてしまいましたが……。(~o~) それにしても、オフィスクレッシェンド、共同テレビときて、今回はROBOTと、なんかすごい枠になってますね。この調子で行くと、この次はガイナックスなんて展開もありかもしれないです。(^^ゞ

とにかく感動的なのは、出演者の演技の下手さ加減。ほとんど犯罪的ともいえるヘタクソさです。セリフを噛んでる部分をリテイクしないで、オンエアーしていることからして確信犯的ですが、ヘタクソな演技を下手にフォローしないで、ヘタクソなまま素材として使い切る……というのが、このドラマのコンセプトなんでしょうか。出演者、セット、宇宙人のコスチュームと、目に入るものはすべて例外なくチープですが、脚本や演出には、そうしたことをすべて計算しているかのような緻密さが感じられます。

そういう意味では、これは反ドラマ的な悪意に満ちたナンセンス・ドラマといえるのかもしれません。音楽にたとえていうと、ノー・ニューヨーク一派とかスロッビング・グリッスルみたいな反音楽系の音楽に通じるものを感じます。……なんて書いても、音楽に詳しくない人にはわからない表現ですね。すみません。――「太陽…」の山口雅俊Pは、ちょっと前の「テレパル」のインタビューで、岡本太郎さんの「芸術というのものは“なんだこれは”という要素がなければダメ」という言葉を紹介していましたが、このドラマはまさに“なんだこれは”という異物感に満ちたドラマです。(^^)

ボクが一番気にいったのは、「アジャ、アジャ、アジャ…」とかいって唸っている、病気の宇宙人です。「アジャ…」というのは、どこから持ってきた言葉なんでしょうか。アジャ・コングでしょうか。どっちにしても、これを思いついた人は本当にセンスが良いと思います。また、宇宙人じゃなくて宇宙船がウンチをして、なおかつそれがしゃべるという脚本も、凡人にはマネのできない発想です。それこそ、岡本太郎的な発想力です。(^^) ――なお、監督の石毛浩介さんがどういう人なのかは、わかりません。


00/04/24  天気予報の恋人(3)

演出:星田良子(1)(2)、澤田鎌作(3)

これは、個人的な趣味の問題かもしれませんが、澤田さんはBGMの使い方が上手いですね。佐藤浩市が捕まってしまった矢部浩之を引き取りに放送局に来るシーンとかを見ながら、そう思いました。また、佐藤浩市の姿を長めに映して、意味ありげな余韻を残して終わったラストシーンも、澤田さんらしい押しの強い演出だと思いました。

音楽といえば、ボクが前々から期待しているのが、アンビエント・テクノを本格的にフィーチャーした連ドラなんですが、最初にそれをやってくれそうな演出家は、やはり澤田鎌作さんだという気がしてます。(^^)


00/04/24  永遠の仔(3)

演出:鶴橋康夫(1)(2)、花堂純次(3)

花堂純次さんに関しては、あまりよく知らなくて、「もぅ我慢できない!」(96年・関テレ)「彼」(97年・関テレ)「失楽園」(97年・読売)といった、関西局制作のドラマの演出で見掛ける人……という程度の認識しかありません。

中谷美紀が自宅で泣き崩れるシーンや、その後の回想シーンでホースの水を振り回して暴れるシーンなど、手持ち撮影風の映像がやたらと目につきました。手持ち撮影特有の臨場感が、ドラマ全体の緊張感を高めていたようです。また、逆光系の光(夕陽とか)を使ったカットなども多くて、映像的には、1〜2話よりも派手で今風の仕上がりになっていました。BGMはあいかわらずなんですけど……。(^^)

ちゃんと注意して見てきたワケじゃないのですが、このドラマはセットのシーンも、マルチ(複数のカメラで同時撮影)ではなく、基本的に1カメで撮影されているみたいです。この第3話は、そんな感じでした。

物語の方は、過去のエピソードを小出しに出してくるので、原作を読んでいないボクなどは、見ていてちょっとイライラする部分もあります。当然のことながら、過去がわからないから、3人の言動に興味を持つことはあっても、共感したり同情したりすることはできないんです。その意味では、弟役の井沢健が一番共感できるキャラですね。彼の苛立ちは、視聴者の苛立ちを代弁しているところがあって、彼が行動を起こすことによって、物語としての面白味が増してきました。

ところで、子役の邑野未亜と勝地涼は、お正月にTBSで放送された「千晶、もう一度笑って」に出演していました。某データベースの掲示板2では、邑野未亜の出演作として「つげ義春ワールド」とか「蒼い記憶」など、マニアックな深夜ドラマばかりがあがっていて、誰も「千晶…」のことにふれていませんでした。ゴールデンタイムに放送されたドラマなのに……。(笑)

また、勝地涼と古尾谷雅人はNHK教育の「六番目の小夜子」に出演しています。しかも、「六番目…」と「千晶…」で主演しているのが鈴木杏だから、10代前半の子役コネクションが見えてきます(?)。まあ、この辺は、ボクより詳しい人がいますね。(笑) ――古尾谷雅人は子役じゃないです。念のため。(^^ゞ


00/04/25  ナースのお仕事3

演出:岩本仁志(1)(2)、木村達昭(3)

今回のシリーズで一番気になるのは、観月ありさと藤木直人の関係でしょうか。2クールもあるというのに、先週のラストシーンで、はやばやとキスしてしまうなど、今までとは趣が違うようです。2人でラーメンと食べているシーンなどは、現代版「神田川」みたいな雰囲気もあって、妙にホノボノしています。観月ありさのアパートも、ちょっと貧乏臭い感じになっていました。できることなら、三角関係みたいな安直な方向には持っていかないで、少しずつ2人の関係が深まっていくような描き方をしてほしいです。(^^)


00/04/27  太陽は沈まない(3)

演出:中江功(1)(2)、水田成英(3)

今週は、いまひとつという感じでした。演出のせいなのか、脚本のせいなのか、よくわかりませんが、1〜2話にあった叙情性というかムードがなくなっちゃいました。滝沢秀明のナレーションとかも、微妙にニュアンスが違ってるような気がします。気のせいでしょうか。演出に限っていえば、ラストの雨のシーンとかは、音楽が入るタイミングなどを含めて、かつての月9みたいな演出で、興醒めしました。(^^)

近所の人たちの反応とかも、大人げないというか、安っぽいというか、もう少しリアリティを重視してほしかったです。クリーニング屋のお得意さんが病院だというのも、手垢にまみれた作劇パターンです。来週は、お金の力で近所を黙らせる……という展開になるのでしょうか? でも、それでは「社会」を描いたことにならないと思います。ボクは経験がないのでわかりませんが、「お金を出せば、みんな言うことを聞く」というほど、世の中は単純じゃないような気がしますけど。(^^ゞ


00/04/28  池袋ウエストゲートパーク(3)

演出:堤幸彦(1)(2)(5)(6)、伊佐野英樹(3)、金子文紀(4)

今週は伊佐野Dの演出。堤さんが演出した1〜2話に比べて静かになったというか、BGMがうるさくなくなりました。(^^ゞ 映像処理のテイストも若干ノーマルな感じになっていたでしょうか。内面描写・心理描写に重点をおいた作りになっていました。まあ、今回の脚本のテーマは学校時代の友達で、2人の友達を対比的に描くという内容だったので、必然的に演出も変わってくるんだと思いますが。

伊佐野さんの場合は、「ケイゾク」の時もそうだったのですが、TBS的なオーソドックスな演出スタイルと、堤さんの演出スタイルのオイシイところを融合させたいと考えているような気がします。まあ、堤さんと同じことをやっても、堤さんには勝てないだろうから、だったらオーソドックスな演出の良さを生かして、堤さんとの違いを強調したい……ということなのかもしれません。(^^)

特にラストの長瀬の表情に味があって、伊佐野さんらしいなと感じました。と同時に、堤さんが演出したドラマには、印象的な笑顔が少ないかもしれない……などと考えたりしました。笑顔を撮るのが苦手なのか、単に嫌いなのか、よくわかりませんが、「堤さんが演出したドラマで印象的な笑顔は?」と聞かれても、ボクはパッと答えられないですね。「未満都市」のタイトルバックにしたって、笑顔は出てこなかったような気がします。


00/04/28  QUIZ(3)

脚本:相内美生(1)(5)、関えり香(2)(6)、飯野陽子(3)(4)
演出:今井夏木(1)(2)(5)、那須田淳(3)、難波一弘(4)、福澤克雄(6)

今週は、スッキリとしていてわかりやすい演出でした。(^^) ただし、ここで言う“わかりやすい”というのは、演出意図が明快だったということであって、ノーマルな演出だったという意味ではありません。第1話の日誌で、「エヴァ」の演出は明快だったと書きましたが、この第3話の演出も明快だったと思います。

BGMもうるさくなかったし、「ケイゾク」のタイトルバックみたいに静止画像をバンバン並べる手法も、派手でインパクトがありますが、見た印象はスッキリしていました。なによりも注目したいのは、お芝居の演出が上手いこと。カット割りの展開、表情のニュアンス、セリフの間などをていねいに組み立てて、重要なセリフのところに視聴者の集中が集まるような演出になっていました。

デヴィッド・ボウイの「IT'S NO GAME」が流れてくるシーンは、見ていてゾクゾクしました。これって、那須田さんの趣味? それとも西平さん?(^^)


00/04/30  スペースエンジェル(3)

脚本:倉森勝利、?、原田泉
監督:石毛浩介(1)(2)、猪俣隆一(3)
プロデュース:伊藤響、猪俣隆一、原田泉(ROBOT)
助監督:東條政利、??弥生

演出が猪俣隆一さんに替わって、シュールなテイストが薄れてしまいました。全体的に笑いを強調しようとしていたみたいで、BGMの使い方などもメリハリをつけていたようですが、逆効果だったように思います。1〜2話は、ダラ〜とした脱力感が面白かったので、メリハリがついちゃうと、かえってヘタクソな台詞回しが耳触りになっちゃうんですよね。(^^)


00/05/03  それぞれの断崖(3)

原作:小杉健治
脚本:相葉芳久
演出:松原信吾(1)(2)、山田高道(3)、根本実樹

このドラマ、予想外に引かれるところがあって、ついつい見ちゃいます。この日も広島のバスジャック事件の経過が気になりつつも、しっかりこちらを見てしまいました。(^^)

脚本は典型的な大映ドラマスタイルで、次から次へと不幸のオンパレードなんですが、決してケバケバしい感じにしないで、淡々と描いているところが、実話の再現ドラマを見ているみたいで、引き込まれます。この回も、息子を失った家族のとまどいを、変におおげさに描いていないところが、かえってリアルでよかったです。

三浦友和らの演技も淡々と押さえた感じだし、カメラワークや音楽も、自己主張しないで押さえた演出になっていました。自宅のセットもシンプルな感じです。――このドラマに関しては、そうしたシンプルないしチープなところが、逆にリアリティを生んでいるような気がします。それこそ“再現ドラマテイスト”といいたくなるような演出です。(^^)

演出家の違いは特に感じられませんが、あえていうなら、松原信吾さんの方がカメラワークが派手かな? あと、この第3話は橘実里の出番がたくさんあって、「やっぱ味がある顔だ」と思いました。(^^)


00/05/04  アナザヘヴン(3)

演出:飯田譲治(1)(2)、舞原賢三(3)、下山天、滝川治水

最初の10分くらいを(録画しながら)見て、その後は「君が…」の方を見ていました。まだ、ビデオの方は見てないので細かいことは書けないのですが、最初の10分だけでも、演出の違いは明白だと思いました。

色使いが派手なのは1〜2話と同じですが、画面が明るくなって登場人物の表情などがクリアに見えるようになりました。おかげで、芝居のニュアンス――たとえば、大沢たかおと加藤晴彦のやりとりのユーモラスな感じなど――がよく伝わってきました。カット割りも、要所要所で表情をキッチリ捕らえていたようです。

カメラワークもゴチャゴチャした感じがなくなって、スッキリした感じになりました。それでいながら、引きのカットでは構図のセンスの良さが感じられました。こうした要素を一言でいうなら、絵心の違いといったら良いのでしょうか。舞原賢三さんについては、前々から屋外のシーンの映像がキレイだという印象があったのですが、今回は屋内のシーンにも味がありました。


00/05/04  太陽は沈まない(4)

演出:中江功(1)(2)(4)、水田成英(3)

やっぱり、中江さんの方が滝沢秀明の使い方が上手いのかな……なんて思いながら見てました。表情のニュアンスの指定が細かいというか、微妙に違うような気がしました。特にラストの石段のシーンで表情アップで終わるカット。いつもの滝沢秀明とは違う感じがしませんでしたか?

それ以外では、「第一発見者……」のテロップとか、ドーナッツの使い方など、小技にも力が入っていました。深夜の公園で滝沢と優香が話すシーンも、お互いが向き合わないで会話が進んで、やっと向き合ったと思ったら、キスしちゃいました。ボクは笑っちゃいましたが、先週の雨のシーンよりは良かったと思います。最初っから向き合ってしゃべっていたら、もっとクサイ感じになっていたでしょう。(^^)

商店街の人たちを金で買収(?)という展開については、前回の日誌に書いた通りです。ただ、「相手が嫌な奴でも、我慢して頭を下げる」というエピソードは、なかなか啓蒙的で面白かったです。(^^ゞ 日常生活ではよくある話ですが、ドラマの世界では“自分の気持ちに正直に”というエピソードの方が圧倒的に多いですから。――17歳の少年の凶悪犯罪が続いていますが、このドラマの滝沢の設定も17歳くらいでしょ。(笑)

もうひとつ。滝沢秀明のナレーションですが、ちょっとニュアンス過剰な感じもしますね。力を抜きすぎて、ちょっとワザとらしい感じがしました。もっと淡々とした感じでも良いと思いますけど。


00/05/08  shin-D おもひでベッド(6)[終]

脚本:平田研也
演出:角田朋子
関東放送枠:日テレ・月曜深夜

ゲッゲッゲッ! 見てた人ならわかると思いますが、これは予想していた以上にヘビーで、救いのない最終回(オチ)でした。演出的にあまり魅力を感じなかったので、今までこの日誌では取り上げなかったのですが、この最終回を見てしまったら、取り上げないワケにはいかないですね。

脚本を書いた平田研也さんがどういう人なのかはわかりませんが、とても構成力の高い脚本でした。まあ、一言で言っちゃうと、バカ女の転落物語なんですけど……。類は友を呼ぶというか、バカ女がバカ男を呼び寄せてしまうという話ですね。(^^) 70年代のポルノとかに、こういうストーリーがあるかもしれません。ボクは詳しくないですけど……。

第1話を見たときには、軽いコメディかなと思っていたんですが、第2話の暴力男のエピソードを見てから、どこか“救いのない”空気を感じていました。そんなワケで、忙しいときでも割合マメにチェックしていたのですが、ここまで、意外性の高い最終回を見てしまうと、ガマンしながら見てきて良かったと思います。

逆にいうと、それが欠点だともいえると思います。最終回のオチを楽しむために1〜5話をガマンして見なければいけないというのは、ちょっとマズイですよね。なかには、このドラマを1〜2回見て、見るのをやめちゃった人もいると思うのですが、それはやはりもったいないです。

もちろん、1〜5話がまったくつまらなかったというワケではないのですが、最終回を見てしまうと、どうしても物足りなくなってしまいます。たとえば、ボクは先週の第5話を見ていませんが、まったく後悔してないです。1〜5話のエピソードは全体的に水増しっぽいので、全部見る必要性が感じられないのです。たぶん1〜5話のうち2話くらいを見ておけば、十分にこの最終回を楽しめるでしょう。(^^ゞ

最終回がこんなにヘビーな展開になるのなら、演出面で、もっと緊張感のある作りにできなかったのかな……なんて思ってしまいます。ヘビーなオチを匂わせるようなエピソードとか、視聴者のイマジネーションを刺激するような演出が、もっとあれば、名作になりえたドラマだったと思います。――それにしても、最近のshin-Dは、「東京らぶ」もそうですが、脚本に力を入れているみたいです。


00/05/08  らぶ・ちゃっと(3)

プロデュース:中島久美子、樋口徹
関東放送枠:フジ・月曜深夜

この番組はノーチェックだったので、永山耕三さんが演出した第1話は未見で、前回の第2話(演出:高橋正秀)から見始めました。とりあえず、2〜4話を見た印象は、演出(特にカット割り)に力を入れた一話完結のラブストーリー……という感じです。同じ深夜ドラマでも、日テレ「shin-D」が、セット中心で脚本重視の作りをしているのに対して、この「らぶちゃ」は、ロケ中心・演出重視の作りになっています。ちなみにボクは、「演出が良ければ、脚本はどうでも良い」という視聴者なので、当然“らぶちゃ派”ですね。(^^)

第3話「新世紀カミングアウター」
 脚本:森田幸江
 演出:小林和宏
 出演:丹直樹、真中瞳、鶴水瑠衣

小林和宏さんと丹直樹の組み合わせというのは、1年くらい前にやった「美少女H2・最後のデート」(99/3/8)と同じで、その時は日誌で厳しいことを書いちゃった記憶がありますが、今回はなかなかの力作だったです。そもそも、丹直樹の顔って、個人的にあんまり好きじゃなかったんですが、見ているうちにだんだん可愛く見えてきちゃいました。それだけ演出・演技のクオリティが高かったということなんでしょう。

演出上のポイントは、やはりカット割りとリズム感でしょう。手持ち撮影風のカットを気持ち良いテンポでつないでいる……という感じがしました。BGMやセリフもドラマのリズム感と一体化しているみたいで、「上手いな〜」と思いながら、最後まで気持ち良く見れました。そういう意味では、けっこう手間ヒマがかかっている作品なのかもしれません。

カメラワークが派手なのに、俳優の演技のニュアンスをキッチリ捕らえていたところも評価したいです。手持ち撮影映像の特徴は臨場感だと思いますが、その長所を活かして、登場人物に肉薄していく感覚がありました。脚本も、展開が速くて、演出のタッチと良くマッチしていましたが、最後のオチはかなり御都合主義的な終わらせ方で、そこだけ残念です。

オープニングとエンディングのサブタイトル表示は、「エヴァ」のパロディになっていたみたいですが、その部分はどうでもいいかな。ドラマ本体が気持ち良かったので……。それから、丹直樹はこの役を演じるにあたって、同じ事務所の寺脇康文のアドバイスを受けたそうです。ご苦労さまです。(^^) あと、最後に出てきた女の子(鶴水瑠衣)の雰囲気が印象に残ったので、名前をチェックしておきます。^^;


00/05/12  池袋ウェストゲートパーク(5)

演出:堤幸彦(1)(2)(5)、伊佐野英樹、金子文紀

第1話のころに比べると、ドキュメンタリー感覚が薄れてきている感じがしますが、ドラマ全体のバランスとしては、この第5話あたりが一番スマートにまとまっていたように思います。ギャグの部分(下ネタが多い!)、映像で見せる部分、「傷だらけの天使」みたいな物語の部分……のバランスです。単に、こちらが慣れてきただけなのかもしれませんが、1〜2話よりも見やすかったです。もし、ドキュメンタリー性を強調するのであれば、断腸の思いでギャグの部分を切らざるを得ないと思います。

今回美味しかったのは、女から男に性転換したという役を演じた青木堅治でしょう。彼についてはこの日誌でも何回か触れていますが、ボクはこの人の芝居のニュアンスが好きなので、この先ももっと伸びてほしいです。

後味の悪いラストの展開は、「ケイゾク」の時と同じようなこだわりがあるようです。まあ、学生運動出身の堤さんとしては、犯人を警察に引き渡してメデタシメデタシ……というドラマは、死んでも作りたくないのかもしれません。(^^) ただ、「お前は痛みを知る必要がある」というセリフは、あの犯人に対しての言葉としては、ちょっと的外れなんじゃないかと思いました。

ところで、「ケイゾク」もそうでしたが、ラスト3話くらいで、ドラマのテイストが大きく転回するような予感がしませんか? 


00/05/12  J家の反乱

STORY 54「ダルマ」
脚本:枡野幸宏
演出:北川文彦谷村政樹
出演:小野武彦、今井翼etc

4月からリニューアルされましたが、このところは「東芝日曜劇場」を縮小再生産したみたいな地味なエピソードが続いています。新キャラの遠藤久美子には隠されたエピソードがあるみたいなので、そのうちまた大きく転回するんだと思いますが。しかし、なんといっても嬉しいのは、「朝まで生テレビ」などで放送がなかった場合は、次週に繰り下げて全話放送するようになったことです。おかげで、関西とのタイムラグがどんどん広がってしまうようですが、それはあんまり気になりません。BSで「FLY」を一気に見られる人とそうでない人の違いみたいなもんです。

実は今回のエピソードも、取り上げるつもりじゃなかったんですが、見終わってからあることに気がついて、ビデオを見直してしまいました。アパートのシーンにおける今井翼の動きなんですが、よく見るとほとんど動いていません。2〜3歩あるく場面が1箇所で、手の動きも、ダルマを指差すときにちょっと動くだけで、あとはずっと“気をつけ”の姿勢のままで立ちっぱなしでした。

どういう経緯・意図でこういう演出になったのか、よくわからないのですが、舞台とかお芝居の世界では身体を一切使わないで演技するという方法論があるのかもしれません。俳優というのは過剰に演技する傾向があるので、ときどきそれを抑えるように方向修正しなければいけない……という話を聞いたことがありますが、今回もそういうことなんでしょうか? ただ、今井翼の演技が過剰だと思ったことはないです。(^^)

この部分を別にすれば、この回はドラマよりも、後半のトークの方が面白かったです。地井武男さんや小野武彦さんの昔の話が聞けるのは、なかなか貴重です。


00/05/13  伝説の教師(5)

脚本:福田千津子(2)(5)
演出:大谷太郎(3)(5)

事前に決まっていたと思われる物語の骨格には、面白味を感じませんでしたが、ボクはどちらかというと、細部にあらわれる脚本家のセンスの違いに注目して見ていました。結論からいうと、福田千津子さんは注目に値する脚本家だと思います。冒頭の夢のシーンに出てくる「うちら、生きていたってバカな恋愛しかしないから」というセリフに、野島伸司に通じるヘビーな手触りを感じました。ギャグのシーンのセリフとしては、ちょっと重すぎるし、こういうセリフって、ありそうでないと思います。

この他にも気になるセリフはいくつかありました。「人生なんてもともと面白いもんじゃない。だから楽しまなければいけない」とか、「次から次へと人と出会って、次から次へと忘れていく」とか、宮台真司の本に出てきそうな感じで、新鮮味を感じました。

もうひとつ注目しておきたいのが、ラストで“恋愛ドラマ批判”といえるような視点を(かなり強引に)示していた点です。「人生の軽さに耐えられないから、恋愛に逃げていた……」とか、「私たちは人生に意味を求めすぎていないだろうか」とかいう部分です。90年代というのは恋愛ドラマの全盛時代だったと考えて間違いないと思いますが、この「伝説の教師」第5話は、そうした流れに対抗する新しい価値観を提示しようとする意志が感じられます。

たとえば、北川悦吏子さんのドラマというのは、恋愛の中に生きてる実感や証しを求めるというスタイルです。「BL」もそうだし、「最後の恋」にも「生きていて良かった」とかいうセリフがあったように記憶しています。この意味でいえば、福田さんの恋愛ドラマ批判は、北川悦吏子批判でもありえるわけで、そこに脚本家の世代交代の兆候が感じられます。もちろん、過大評価である可能性もありますが、とりあえず、福田さんは注目していきたいです。できることなら、フジテレビの山口雅俊Pと組んでほしいですけど……。(^^)

ちなみに、15日の「天気予報の恋人」の佐藤浩市のセリフにも、恋愛ドラマ批判と取れるようなセリフがありました。内容的にはほぼ同じなんですが、岡田惠和さんと同じ視点を持っているというだけでも、福田千津子さんに注目したくなりませんか?(^^)

で、話は変わって大谷太郎さんの演出です。冒頭の夢の後の登校シーンで、ブルース系のギターと派手なカット割りをシンクロさせていましたが、これは堤幸彦さんに対するオマージュのように見えました。

全体的には抑えた演出だったと思いますが、椎名法子の演技にはかなり力を入れていたようです。特に、ラブホテルで松本人志の言葉を思い出すシーンでのアップは、椎名法子史(?)に残るカットだったと思います。その後、ベッドの上で笑い転げるシーンも、妙に生々しい感じに仕上がっていて、ちょっと「永遠の仔」が入ってる……と思いました。(^^) あの笑い声とか、表情に椎名法子の可能性を感じます。そういえば、男役は「らぶちゃ」第3話の丹直樹でした。(^^)

大谷太郎さんといえば、春にやった「バカヤロー!!」とかいうオムニバスドラマでも1本演出していました。犬が主人公で、飼い主役でビビアン・スーと河相我聞が出てきた、正味10分くらいのドラマです。あのドラマでも、犬の表情に味があって、大谷さんの表情に対するセンスの良さを感じました。河相我聞のバカっぽい表情も面白かったです。――こんなところで、コメントしても、後から検索できないですね。すみません。m(__)m


00/05/14  仮面ライダー・クウガ(16)

「EPISODE 16 信条」

シリーズ構成・脚本:荒川稔彦
文芸:大石真司、村山桂
監督:石田秀範(1)(2)(7)(8)(13)(14)、
   渡辺勝也(3)(4)(9)(10)(15)(16)、
   長石多可男(5)(6)(11)(12)、
   鈴村展弘(17)
アクション監督:金田治、山田一善(ジャパンアクションクラブ)
音楽:佐橋俊彦
スーパーバイザー:小野寺章(石森プロ)
プロデュース:清水祐美(テレ朝)、鈴木武幸、高寺成紀(東映)
制作:テレビ朝日、東映、ASATSU-DK
関東放送枠:テレ朝・日曜朝8時

特撮系のアクションドラマというのは、特撮以外の部分の演出が雑なので、ボクは基本的には好きじゃないです。以前「ウルトラマン・ティガ」を、かなりマメにチェックしたこともあるのですが、かったるくなって途中で見るのを止めてしまいました。(おかげで、実相寺昭雄さんが演出した2話のうち最初の方を見逃してしまいました。^^;) この系統の監督で、ボクが唯一注目しているのは、「美少女新世紀ゲイザー」や「千年王国3銃士・ヴァニーナイツ」の清水厚さんです。以前にもちょっと書いてあります。(^^)

この「クウガ」に関しても、「ティガ」の時と同じような印象です。カメラワークなどには堤幸彦さんをマネた部分もあるのですが、効果的に決まっているようには思えません。単にいろいろやってみた、という感じです。たとえば、先週の15話に警察の幹部会議(?)のシーンがあって、出席者の顔アップを映したカメラが上下左右に揺れていました。これは堤さんが流行らせた手法ですが、このシーンにこの手法を使う意味があったとは思えません。

一番気になったのは、カメラワーク〜カット割りが雑なところです。こういうことは、ていねいに入れたお茶と雑に入れたお茶の違いみたいなものなので、わかりにくいかもしれませんが、日頃からカット割りや、人物を撮る際のセンスの違い注意している人なら、何となくわかってもらえると思います。ここ5年くらいで、テレビドラマのカメラワークやカット割りは大きく変わったと、ボクは考えていますが、このドラマはそうした流れに完全に乗り遅れているという印象です。今期のドラマでいえば、「サラリーマン金太郎」などは、カメラワーク的には地味な部類に入ると思いますが、それでも「クウガ」よりは数段ていねいな演出をしていると思います。

若干、余談になりますが、現在関東では「東京ラブ・ストーリー」(91年フジ)が再放送されていて、ボクもちょっとだけ見てみたのですが、今見るとカメラワークが雑すぎると感じました。当時のスタッフの大多数は現在も現役で活躍しているはずですが(ADは中江功さん)、テレビドラマの世界では、この10年間で、映像に対するこだわりが飛躍的に向上しているということを、改めて実感しました。

主役のオダギリ・ジョーは、表情のニュアンスに幅があって、なかなか魅力的なキャラクターですが、彼の持ち味を演出が十分に引き出しているとは思えません。たとえば、連ドラでおなじみの演出家やカメラマンだったら、もっと味のある表情を撮っているんじゃないかと思います。15〜16話には、葛山信吾に想いを寄せる婦警さんが出てきましたが、カメラアングル、照明、映像処理などに工夫がなさすぎて、安っぽいエピソードに見えてしまいました。同じことは、葛山の母親のシーンにもいえます。映像から情感が伝わってきません。

クウガがバイクで走っているシーンなども、もうちょと絵心がほしいですね。「アナザヘヴン」第4話(演出:舞原賢三)で加藤晴彦が自転車で走っているカットとか、「らぶ・ちゃっと」第4話の「ガレージセール」(演出:成田一樹)で、加賀野泉が自転車で川沿いを走っているカットと比較しちゃうと、かなり見劣りがしちゃいます。これはロケーションの問題でもあるんですが……。このドラマはロケが多いわりには、ロケーションのセンスもイマイチです。

これ以外でも、BGMやお芝居のテンポの悪さも気になりますが、この辺も、いわゆるゴールデンの連ドラスタッフと比べると、単純に経験不足なんじゃないのかなと思ってしまいます。ちなみに「クウガ」のスタッフで、ボクが見覚えあるのは、音楽の佐橋俊彦さんと、プロデューサーの清水祐美さんの2人だけです。他の方がどういう方なのかはわかりません。

ところで、最近、複数の雑誌で「クウガ」は大人が見ても面白い……という記事を目にしました。それらの記事は、主に物語の部分を指しているのだと思いますが、ボクが見た13〜16話に関する限り、いまひとつピンとこなかったです。

葛山の母親のエピソードを描いた15〜16話は、梶原一騎あたりに代表される男気物語の反復にしか見えなかったです。今は、妻の看病をするために辞職した市長さんがいる時代なんだから、家族よりも仕事を優先するという物語は、新味に欠けます。葛山信吾が仕事を放棄して母親の元にいっていたら、もっと面白くなったと思います。(^^) 確か、「ウルトラマン」か「ウルトラセブン」に、「自分たちがやっていることは本当に意味があることなのか」と自問自答するエピソードがあったのを思い出しました。

内田大介(悪役専門の若手俳優!^^;)が、未確認生命体に憧れるという13〜14話も、着目点は悪くないのですが、未確認生命体をヤクザに置き換えれば、「はぐれ刑事・純情派」みたいになっちゃいます。内面描写がオヤジ臭いんですよね。この点をさして、「大人も楽しめる」というのであれば、それなりに理解できます。ただ、子供向けドラマだったら、「双子探偵」や「六番目の小夜子」の方が、現代的なメンタリティを描いていると思いました。

ちなみに、「クウガ」と一緒に「未来戦隊・タイムレンジャー」(テレ朝・日曜朝7時半)も、ときどき見ていますが、こちらも印象は五十歩百歩という感じです。(^^ゞ

以下は雑談。

ところで、葛山信吾は名作「放課後」(82年フジ・演出:星護)に出ていた人ですが、いまでも音楽活動をやっているのでしょうか。もともとはギタリストだったハズですが、最近はCMでラッパを吹いています(ラッパじゃねーよ!)。(^^ゞ 「放課後」に出演していた観月ありさ、いしだ壱成、武田真治、河相我聞、阿久津健太郎(ZERO)、葛山信吾は、その後全員、音楽活動を始めていますが、現在も活動しているのは、観月ありさといしだ壱成くらいでしょうか。


00/05/15  shin-D ナツのツボミ(1)

脚本:町田広美
演出:三枝孝臣
プロデュース:伊藤響、赤羽根敏男
出演:林知花、橋本真実、永田杏奈、福田裕佳梨、藤村俊二
関東放送枠:日テレ・月曜深夜

「平成夫婦茶碗」の三枝孝臣さんが演出する青春ドラマ(?)です。三枝さんは「平成」でも、共テレやオフィスクレッシェンドに通じる演出をしていましたが、このドラマの演出にも同じような傾向が感じられます。脚本に関しては、この先どういう方向に展開するのか、見当がつきませんが、「おもひでベッド」の一件もあるので、しばらく注意しておきたいです。

残念なのは、オープニングやエンディングに出てくるノスタルジックな映像に比べて、ドラマ本編のセットの映像が見劣りしてしまうことです。いかにもセット……という感じが安っぽく見えてしまいます。照明とか映像処理で、もう少しなんとかならなかったのでしょうか。あと、新人ばかりだから仕方ないのですが、お芝居の部分にもう少しメリハリがほしいですね。ボクみたいにセリフを半分くらいしか聞いていない(?)視聴者にとっては、わかりづらいドラマです。(^^ゞ

エンディングの主題歌は「平成」と同じ「Secret Agent Man」ですが、日曜昼の「スペースエンジェル」も「Secret Agent Man」です。これは一体どういうことなんでしょうか。Secret AgentはジャニーズJr.の覆面グループですが、売れ行きがあまりにも悪かったために、日テレがテコ入れをしているとか?


00/05/16  FLY・航空学園グラフィティ(2)

脚本:尾西兼一、奥寺佐渡子
演出:赤羽博(1)(2)、中島悟
制作統括:三井智一、一井久司
プロデュース:和田豊彦
出演:大友康平、片瀬那奈、鳥羽潤、清水千賀、石川伸一郎、鮫島巧、高岡蒼佑、
   忍成修吾、山口あゆみ、城山美帆、飯島愛、いしのようこ/他
共同制作:NHKエンタープライズ21、アベクカンパニー
関東放送枠:NHK・火曜夜11時(BSでは5月8日〜19日に集中的に放送)

このドラマは演出のクオリティが高いですね。お金も掛かっていると思いますが、それ以上に撮影や演出に時間とエネルギーを注ぎ込んでいる…という感じがします。だいたい主要な出演者を見ると、演技経験があまりない人ばかりで、一番ありそうなのが鳥羽潤でしょう。――これはもう、演出家の腕の見せ所です。(^o^) ちなみにボクはBSに加入していないので、地上波で毎週1話ずつ見ています。(^^ゞ

赤羽博さんと中島悟さんは、「GTO」を手がけた2人なので、その意味ではNHK版「GTO」と考えて問題ないと思うのですが、最大の違いは主演俳優の位置づけです。「GTO」の場合は反町隆史の演技を中心に回していましたが、大友康平で同じことは不可能だし、どちらかというと生徒役を重点を置いた脚本・演出になっているようです。実際、生徒のシーンの方が演出に力が入っているように思います。(^^ゞ

最大のポイントは、出演者の表情をていねいに追いかけているカット割りです。どちらかというと、セリフを言っている人よりも、聞いている側のリアクションや、セリフの前後のニュアンスをキッチリとカメラに収めています。いわゆる“受けの演技”というヤツで、一般に“受けの演技”の方が難しいといわれていますが、このドラマの演出のポイントはそこです。

もう少し細かい話をすると、セリフの部分を引きで撮って、その後のリアクションをアップで撮る……というカット割りが多かったように思います。普通はセリフの部分をアップで撮りたくなるものなんですが、逆にすることによって、登場人物の内面が視聴者に強く印象づけられるわけです。しかも、基本的に1カメで撮影されているのだと思いますが、カット数が多いわりには、ひとつひとつのカットの完成度が高いので、撮影現場はホントに大変だったと思います。

ステテディカムを使っているのかどうかはわかりませんが、それっぽい切れ目のない長いカットもありました。あと、テイストとしては「天気予報の恋人」の星田良子さんに近い感じの変則アングル(ローアングル、覗き見風アングル)も目につきました。ローアングルから顔にズームしたり(飯島愛が優等生風の生徒にイヤミを言うシーン)、レールを使ってカメラが水平移動するところも、感覚として星田さんっぽいと思います。

人物描写に話を移します。生徒間の微妙な人間関係のニュアンスも、大半はセリフじゃなくて表情のニュアンスで表現されているのですが、この辺の組み立て方が非常に細かいです。各シーンに織り込まれた意味ありげな表情を見ているだけで、なんとなく人間関係やキャラ設定がわかってくるような作りになっています。スゴイです。

生徒役のキャラクター設定にも熟慮の痕が感じられます。ひとり一人の特性を考慮した上で、その持ち味が十分に引き出されているように思います。一番目立つのはやはり鳥羽潤で、現時点では、彼のみがシリアスとお笑いの2つを上手く使い分けています。そして、その鳥羽と一緒にボケキャラを担当しているのが忍成修吾で、ときどき画面の後ろでバカっぽいリアクションをしています。ちなみに、セカンドDの中島悟さんは、現場の悪ノリを芝居に反映させるのが上手い(ように見える)演出家なので、そこも楽しみです。(^^ゞ

女子生徒では、片瀬那奈と清水千賀の2人が目立っています。片瀬の場合は目線が強いので、毎回意志の強そうな役が回ってきます。片瀬の表情アップはインパクトが強いので、カット割りの際のアクセント付けに便利に利用されてます。(^^ゞ 清水の場合は不良役とかも多いのですが、今回はちょっとワガママなジェラシー女という感じです。

物語的にはさほど興味がありませんが、出演者が魅力的に見えるので、石川伸一郎の病気とか、横恋慕の連鎖など、それなりに面白く見れそうです。これは好みの問題ですが、ボクはベテラン俳優の安定した演技よりも、新人俳優の不安定な演技に漂う緊張感の方が好きです。(^^ゞ


00/05/18  太陽は沈まない(6)

演出:中江功(1)(2)(4)(6)、水田成英(3)(5)(8)、桜庭信一(7)

このドラマの脚本は、毎回テーマを設けて一話完結風の要素を持たせているみたいです。で、この回のテーマは松雪泰子の過去。(^^) だからなのか、えらく力の入った演出〜カット割りになっていました。第1話に次ぐ完成度ではないでしょうか。優香がお好み焼き屋に来るシーンとか、滝沢&松雪が鶴見辰吾と対面するシーンなど、緊張感の高いカットの連続で圧倒されました。これらのシーンに限らず、ほぼ全編に同じテンションが持続していたという感じですが……。ラストの夜の川辺のシーンでは、いつになく力強い表情の滝沢と、いつになく弱々しい表情の松雪の対比が見事でした。

どうでも良いことですが、フラッシュバック風に一瞬挿入された過去の映像を見て、すぐに少年役が赤西仁だと分かってしまった自分が、なんか恥ずかしかったです。(^^) 「ベストフレンド」の時は、まったく印象に残らなかった人なんですが、「晴れ着…」のおかげですっかり頭にインプットされてしまったみたいです。ちなみに、この赤西仁のエピソードは「危険な関係」の山下智久のエピソードのソックリですね。いっそのこと、山下智久を起用してくれた方が面白かったのに……。

それにしても、中江さんの担当回(特にこの第6話)と比較してしまうと、水田成英さんや桜庭信一さんの演出した回が、どうしても見劣りしてしまうのが惜しいです。テンションの高いカットが切れ目なく連続する中江さんに対して、水田さんや桜庭さんの場合は、テンションが高いカットとそうでないカットが交互に出てくる……という感じがするんですよね。(-_-;)


00/05/20  六番目の小夜子(7)

演出:田中賢二(1)(2)(5)、遠藤理史(3)(4)(8)(9)(12)、出光有三(6)(7)、陸田元一(10)(11)

この日誌を書いている時点では第9話まで見ていますが、出光有三さんが演出したこの第7話がベスト演出なんじゃないかと思います。撮影されたのは、冬〜春の頃だと思うのですが、映像からは夏の日差しや湿気みたいなものがキッチリ感じ取れました。特に秀逸だったのは、渡り廊下で鈴木杏と山田孝之がすれ違うシーン。非凡な映像センスを感じました。

この他にも、山田孝之が父親を探して雨の中に飛び出すシーンとか、彼が「サヨコ」の台本を郵便ポストに投函するシーンなどにも、映像センスの良さが際立っていました。記憶の奥深くにある、少年時代の夏の情景を思い出させてくれるような映像です。(^o^)

また、ステディカムを使っていたのかどうかはわかりませんが、手持ち撮影風の映像がやたらと多かったのも印象的です。前述した渡り廊下のシーンも手持ち撮影風のアクティブなカメラワークと光の処理が、有機的に噛み合っていました。出光さんの名前を見るのは今回が初めてですが、これから注目しておきたいデジャヴ派(?)の演出家です。


00/05/20  29歳の憂うつ・パラダイスサーティ(5)

演出:堀川とんこう(1)(2)(6)、村松弘之(3)(4)(7)(8)、六車俊治(5)

六車俊治さんの演出だったので、心して見ました。(^^) コミカルなシーンでは、顔にズームしていくカットなどを多用して、ちょっぴり共テレ風の若々しい演出になっていました。

また、ロケはもちろんのこと、屋内のシーンでもステディカムを使っていると思われるシーンが多かったです。屋内シーンにおけるステディカムというのは、使い方が難しいというか、手法が確立されていないように思うのですが、六車さんの場合、TBSの福澤克雄さんの手法を参考にしているような気がします。この点に関しては「あきまへんで!」(98/11/20)の日誌も参照してみてください。

とはいっても、一番印象に残ったのは、石田ひかりの母親役の左時枝の表情を撮ったカット。「お父さんとは絶対に別れません」と言った後に、ぼんやりと宙を見つめている左時枝を真横から撮ったカットがあったのですが、こういうところに六車さんの演出家としてのセンスの良さが凝縮されているように思いました。


00/05/22  永遠の仔(7)

演出:鶴橋康夫(1)(2)、花堂純次(3)(4)(5)(8)(9)、白川士(6)(7)

白川さんが演出した、6〜7話には「エグゼクティブ・ディレクター:鶴橋康夫」というクレジットが入っていましたが、なんかワケわかんないですね。(^^ゞ 打ち合わせには顔を出したけど、現場には参加していない……という意味なんでしょうか? 花堂さんの回に比べると、鶴橋テイストになっていたような気もするのですが……? (^^ゞ ボクの好みでいうと、手持ち撮影風の映像を多用している花堂さんの演出が一番好きだったりします。

この回は、ちょっとしたクライマックスもありましたが、全体的にはストーリー展開がかったるいです。(月曜日は「天気予報」もかったるいんですけど……^^;) 基本的な情報は第1話に出尽くしているから、第2話以降は見ていなくても、十分についていけそうな感じがします。

で、その洞窟のシーンですが、内部はシーンはセットだったみたいです。中江功さんの「太陽…」みたいなカット割りになっていました。それにしても、思春期の少年・少女に「立たない」とか、エッチなセリフをバンバン言わせて……、なかなか罪なドラマ(脚本家?)ですね。勝地涼くんとか、学校でからかわれてそうです。(^^ゞ


00/05/26  おふくろ歓喜の歌

脚本:中島玲子
演出:鈴木晴之
制作:フジテレビ、東映
関東放送枠:フジ・金曜9時「金曜エンタテイメント」

「J家の反乱」のビデオを貸していただいた方から「裕貴兄ちゃんが出るので、ぜひ見て日誌を書いてください」と頼まれてしまったので、リクエストにお答えします。(^^) 小原裕貴に対しては、若干里心もあったので、10分くらい見ておこうかと思っていたのですが、心を入れ換えて、ちゃんと録画して見ました。時短再生ですけど……。(^^ゞ

鈴木晴之さんは、お昼のドラマなどでときどき見かける方ですが、結論を言っちゃうと、脚本にしても演出にしても、いまひとつ気持ちが入っていないように感じました。シリーズ16作目ともなると、流れ作業みたいになっちゃうのでしょうか? 小原裕貴は、キャラ的には、ドラマの設定にマッチしていたと思いますが、それ以上のものは見えてきませんでした。ただ、「ぼくらの勇気・未満都市」のときよりは、台詞回しが滑らかになっていたと思います。あのときは、“ぼくらの裕貴・未満演技”という感じだったですから。(^^ゞ

前半の山場で、難聴になった小原裕貴が母親(浜木綿子)の肩に泣き崩れる……というシーンがありましたが、カット割りは、浜木綿子の演技に比重をおいた作りになっていました。ラストの空港のシーンもほぼ同じです。それはそれで、当然ことではあるのですが、このドラマの浜木綿子が特にすばらしいかというと、そうでもなくて、無難にこなしているという感じがしました。そういう意味では、“ドラマに対するこだわり”があまり感じられないドラマでした。

……と、こんなところでどうでしょうか。(^^ゞ


00/05/27  六番目の小夜子(8)

演出:田中賢二(1)(2)(5)、遠藤理史(3)(4)(8)(9)(12)、出光有三(6)(7)、陸田元一(10)(11)

以前にも書いたと思いますが、遠藤理史さんは「金田一少年の事件簿」みたいな、メリハリを強調した演出を心掛けているようです。後半の劇中劇(?)「サヨコ」のシーンは、「エヴァ」〜「QUIZ」第3話風の派手な演出で圧巻でしたが、ボクとしては、アニメっぽい構図が多かったことの方に興味を持ちました。

特に印象的なのは、勝地涼が下駄箱の前で兄の山田孝之に「劇の後で話があるから、劇に出席して」と言うシーン。画面からはみ出している山田孝之のアップの左後ろに勝地涼が映っていました。この構図は、絶対に何かの元ネタがあるハズです。コーネリアスの「ファンタズマ」のジャケットに似ているような気もしたのですが、念の為に見てみたら、そんなに似ていませんでした。(^^ゞ

ただ、これは脚本を含めた問題だと思うのですが、人間関係の描写に、イマイチ説得力が足りないです。山田孝之に限っていえば、エロチックな感情みたいなものが感じられなくもないのですが、単に古尾谷雅人に性的虐待を受けているようにも見えます。(笑) その他の登場人物(鈴木杏、松本まどかetc)に至っては、エロスのかけらも感じられません。まあ、鈴木杏にエロスを求めるのが間違ってるのかもしれませんが、でも、お正月にやった「千晶、もう一度笑って」では結構色気がありました。――「エロス」という用語については、ボクが独自に定義しているので、「金八先生」最終回の日誌を参照してください。

ただ、物語の基本設定(構想力)には、妙に引かれるものがあって、原作本を買ってしまいました。(^^ゞ まだ読んでいませんが。ボクの場合、ドラマを見て、原作が気になることは皆無に近いので、今回はかなり特殊なケースですね。

00/05/27  伝説の教師(7)

演出:倉田貴也(1)(2)(4)、大谷太郎(3)(5)(6)(8)、羽住英一郎(7)(9)

羽住英一郎さんは、「踊る大捜査線」のADとして知られている方ですが、ボクの記憶では、「オーバータイム」で1話だけ演出ていたような気がします。

ラスト近くの食堂のシーンで、米花剛史のアップが入るタイミングが凄かったです。松本人志が弁当を買ってきた時点でその後の展開は読めていたのですが、卵焼きを口は運ぶカットの直後に、間をあけないで米花剛史の厳しい表情をバーンと挿入するタイミングが、予想外だったというか、グサッと来るものがありました。(^^) 録画していなかったので再確認できませんが、このシーンのカット割りは、なかなか手が込んでいたと思います。


00/05/28  仮面ライダー・クウガ(18)

EPISODE 18 喪失

監督:石田秀範(1)(2)(7)(8)(13)(14)(19)、
   渡辺勝也(3)(4)(9)(10)(15)(16)、
   長石多可男(5)(6)(11)(12)(18)、
   鈴村展弘(17)

ボクが見た中では、この回の演出が一番良かったです。長石多可男さんが演出した回を見るのも今回が初めてですが、ちょっと注目しておきたいです。一言でいうとお芝居の演出に緊張感があって、俳優の表情にも味がありました。特に、葵若菜(五代雄介の妹)と、若い医者(俳優名不明)の表情アップが良かったです。

一番印象に残ったのは、病院のロビーで葵若菜が若い医者に「私は私のできることをやる」とか言って、その場を立ち去るシーン。ここのカット割りは「太陽は沈まない」に近いセンスがありました。(^^)

ちなみに、このエピソードの後編にあたる19話は、石田秀範さんの演出に変わってしまったせいか、18話にあった演出センスが消えてしまいました。(-_-;) 若い医者が電話で、パトカーの葛山信吾に五代の死を告げるシーンは、良かったですけど……。

ただし、このドラマは、子どもの視聴者を意識しているせいか、やたらと説教臭い点が鼻につきます。しかもその説教が古臭いです。先の「私は私のできることをやる」とかいうのも、高度経済成長時代の道徳感という感じがします。山田太一の「小さな駅で降りる」に「最後に残るのは仕事じゃなくて家族だ」というセリフがありましたが、命懸けで未確認生命体と闘うクウガや葛山信吾を見て、彼らの老後が心配になっちゃうのはボクだけでしょうか? (^o^) そういう意味では「タイムレンジャー」の方が、説教臭さがないぶん違和感がないです。

まあ、「ウルトラマン」にしても「仮面ライダー」にしても、この手の戦闘モノは高度経済成長時代のメンタリティから生み出されたものなので、仕方ないといえば仕方ないことなんですけど。ウルトラマンと地球人の関係は日米安保条約のアナロジーだという説があるくらいですから。――たとえば、気難しい五代雄介のために警察が“思いやり予算”を組んで、ご機嫌取りをやってくれたりすると、もっと現代的なドラマになるかもしれません。正義のためじゃなくて、お金のために闘うクウガとか。(笑)


00/05/30  ナースのお仕事3(8)

演出:岩本仁志(1)(2)(4)(6)、木村達昭(3)(5)(7)(9)、木下高男(8)、平井秀樹(10)

「金子賢が出てる〜」なんて思いながら見ていたら、いつもよりも演出が上品な感じがしたので、気合いを入れて(?)エンドロールを見ました。(^^ゞ 「お見合い結婚」もそうですが、このところ木下高男さんは、好調ですね。(^o^)

特に印象に残ったのは、観月ありさが金子賢の身体を拭いているシーン。しんみりとしたBGMながら、映像や表情に緊張感がありました。ラストで、金子賢が神田うのに別れの挨拶をするシーンも、ほぼ同じような演出になっていました。――まあ、身体を拭くという行為自体が、エロチックといえばエロチックなんですが……。(^^ゞ

「ショムニ」もそうなのですが、シリーズ化してしまうと、撮影現場の感覚が麻痺してしまうのか、全体的に演技が過剰になるようです。だから、新しい演出家が入ることによって、全体が抑制された感じになるのでしょうか?


00/05/30  FLY(4)

演出:赤羽博(1)(2)(5)(6)、中島悟(3)(4)

1〜2話に比べると、カメラワークやカット割りのクオリティが落ちてるような気がするんですが、単純に、1〜2話ほど撮影に時間が取れなかったということなのかもしれません。(基本的に連ドラはみんな、これと同じ傾向があります。) あと、ストーリーが大きく動き出してきたので、伏線的な表情のニュアンスをたくさん撮る必要がなくなったという理由もあるかもしれないです。

3〜4話に関していえば、石川伸一郎と片瀬那奈に比重を置いたカット割りになっていたようです。中島さんの場合、石川伸一郎と相性が良いのか、彼の表情演技が印象的な場面がいくつかありました。壁に貼り出された発表を見るシーンのアップとか、診察室でシーンでうなだれているところを、下からアップで撮ったカットとか、撮る方も気合い入っている〜、と感じました。(^o^)

まあ、このドラマで一番株を上げたのは忍成修吾だと思いますが。できることなら、「伝説…」で、ブルマを頭にかぶってるところを見たかったです。(^^ゞ


00/06/01  君が教えてくれたこと(8)

演出:吉田健(1)(2)(6)(7)、大岡進(3)(4)(8)、内田誠(5)(9)

各回の演出分担は、違っているかもしれません。m(__)m

あまりコメントしていませんが、ローアングルなどを効果的に使った、なかなかていねいな演出をしていると思います。特に内田誠さんが演出していた第5話が印象に残っています(6/8も内田さんみたい)。カメラワークのセンスなどは、前期の「恋の神様」に通じるものもあったので、撮影のクレジットを比較してみたのですが、違う人でした。

このドラマの魅力を説明するのは難しいですね。比喩的な表現になっていしまうのですが、登場人物の体温が伝わってくるような映像作品です。特に良いのが、ともさかりえなんですが、その彼女を追いかけるカメラワークが良いというか……、やはりポイントはローアングルだと思うのですが……。自宅のセット、特に自室のシーンでフロアに座っているところが「恋の神様」的です。


00/06/02  池袋ウエストゲートパーク(8)

演出:堤幸彦(1)(2)(5)(6)(9)、伊佐野英樹(3)(8)、金子文紀(4)(7)

いやいやいや……伊佐野さん良いですね。(^^) 全体的に表情アップのクオリティが高くて、しかも良いタイミングでアップが入るんですよね。特に加藤あいなんか、今までの回の中で一番良い表情をしていたと思います。(^^)

「山下智久って、河相我聞に雰囲気が似てるな〜」なんて思ってたら、意味深な表情で加藤あいを見つめてたりして……、この先、そういう展開になるんでしょうか?


00/06/03  伝説の教師(8)

演出:倉田貴也(1)(2)(4)、大谷太郎(3)(5)(6)(8)、羽住英一郎(7)(9)

大谷太郎さんの、力技でねじ伏せるような演出が圧巻でした。前半は、アドリブ優先のシーンが多くてやや冗漫な印象もあったのですが、後半は一転して、空気感が張り詰めていました。誰が演出なのかわからないで見ていたのですが、海辺のシーンを見て、これは大谷さんに間違いないと思いました。その後の、病院の廊下でのやりとりは、大谷さんの独壇場という感じ。ヘビーな表情を撮らせたら、大谷さんの右に出る人はいないんじゃないかと、思ってしまいました。(誉め過ぎ?) (^^ゞ

死んじゃった女の子役の黒澤優は黒澤明監督のお孫さんだそうですが、セリフは少な目で、表情のインパクトでガンガン押している……という感じでした。ボクとしては、黒澤優がスゴイというよりは、大谷さんがスゴイという印象なんですけど……。(^^ゞ 「太陽…」の優香の演出も、これに近い感じですね。

物語の骨格は松本人志が発案しているみたいですが、テレビ的な価値観に対する反骨精神みたいなものが、わかりやすくまとまっていた回だと思います。他の学園ドラマとの比較でいうと、“クラスの有り様”がまったく描かれていなくて、大半のエピソードが、教師と生徒の一対一の関係の中で進行・収束しているのが特徴でしょうか。ある意味では、“ポスト学園ドラマ”の第2号といえると思います。ちなみに第1号は「アリよさらば」(94年・TBS、主演:矢沢永吉、ブレーンスタッフ:秋元康)です。

「TVテレビステーション」を見てたら、第2話の橘実里がいなくなってる点を指摘して、かなり批判的な批評が載っていました。ボクは、このドラマのコンセプトが“クラスを描かない”ことにあるのだと解釈しているので、この点に関してはまったく気になりません。むしろコンセプトの一貫性を感じてしまいます。(^^ゞ ところで、人生の意味というテーマは、椎名法子の回に続いて2度目の登場ですが、3度目はあるんでしょうか?


00/06/05  天気予報の恋人(9)

演出:星田良子(1)(2)(5)(6)(8)、澤田鎌作(3)(4)(7)(9)

2人の演出分担ですが、記憶が曖昧なので、間違っているかもしれません。m(__)m

星田さんと比較すると澤田さんの演出はハードタッチなんですが、今週は特にハードな感じになっていました。タイトルバック前の数分間は、カットが切り替わる際に画面が暗転してたりして、なんかサスペンスドラマみたいでした。(^^ゞ それ以外でも、深津&稲森がケンカするシーンなど、全体的にハードタッチの演出が目につきました。

3〜4週前の星田さんの回で、ファックス受信の際のピ〜音が効果音として使われていましたが、この回も、米倉涼子のコメディシーンの落ちに使われていました。(^^ゞ ――物語に関していうなら、入れ替わりのネタで引っ張りすぎだと思います。月曜日は展開が遅いドラマが連続してます。(^^ゞ


00/06/06  FLY(5)

演出:赤羽博(1)(2)(5)(6)、中島悟(3)(4)

赤羽さんの演出に戻って、1〜2話の時のテイストが戻ってきました。リアクション重視のカット割りも復活しました。このドラマに限っていうなら、赤羽演出の方が断然に良いですね。あと、顔に光があたらない暗い照明のシーンも多かったですが、暗いながらも、わずかな光で表情のニュアンスが伝わってきて、さすがだなと思わされました。

物語に関していうと、メインの2人よりも、その脇にいる石川伸一郎や清水千賀の方に、感情移入しちゃいそうです。病室に残された石川&清水のシーンは良かったですね。それにしてもこの2人に集中して不幸が訪れています。恋に破れたうえに、パイロットの夢まで失ってしまうなんて……、役者冥利につきます!(^_^.) それに対して、諸悪の根元の鳥羽潤! 彼に共感する人は、あまりいないような気がします。(^_-) でもやっぱり、一番オイシイのは忍成修吾です。今回のトカゲのシーンも面白かったです。おバカとシリアスの両方がOKなので重宝されそうです。今後、窪塚洋介みたいな存在になりそうな予感がします。


00/06/08  別れる2人の事件簿(7)

演出:佐藤健光、辻野正人、橋本一(7)

今期は、どういうわけか切れないドラマが多いので、見るのが大変です。このドラマも演出のクオリティが高くて、今期のテレ朝系では、このドラマの演出が一番良いのではないでしょうか。佐藤健光さんという人は、俳優の持ち味を引き出すのが上手いのか、俳優の持ち味を的確なカット割りで捕らえています。アイドルドラマ的な才能の持ち主といえるでしょう。その意味では、「晴れ着…」の片岡敬司さんあたりと、比較してみたい演出家です。(^^)

京都でロケをしているというのも、新鮮味を生む一因なのかもしれませんが、でもこの枠は全部京都ロケだから、やはり佐藤さんのセンスの差が出ていると見るべきなのでしょう。昨年の「田舎で暮らそうよ」(テレ東)の時もそうですが、佐藤さん以外の人が演出した回でも、佐藤さんのテイストがキープされているように感じます。

この第7話は、学校が舞台になっていたせいか、ちょっと月8っぽいテイストに仕上がっていました(「保健室のオバサン」とか、「あぶない放課後」とか……)。 生徒役には直瀬遥歩、反田孝幸、永山たかしといったおなじみの(?)名前がそろいました。永山たかしはこの後の「アナザヘヴン」にも出てたから、2時間連続で登場していたことになります。

演出の橋本一さんという人は初めて見る名前ですが、これが初のドラマ演出なのかもしれません。だからなのか、カット割りなどに細かいアイデアがたくさんあって、このドラマに対する意気込みみたいなものが伝わってきました。――一見地味なドラマですが、演出はものすごくていねいなドラマだと思います。――ただし、ストーリーには何の興味もありません。(^^ゞ


00/06/08  アナザヘヴン(8)

脚本:飯田譲治
演出:飯田譲治(1)(2)、舞原賢三(3)(4)(10)、下山天(5)(8)、滝川治水(6)(7)(9)

ストーリーには何の興味もありません。パート2(笑)

飯田譲治さんって、一応好きな脚本家の一人だったんですが、このドラマを見ていると、頭の悪いオカルト少年と大差ないんじゃないか、という気がしてきました。マルデックだか何だか知らないですけど、安っぽいオカルト話を見せられているみたいで、どこが面白いのかさっぱりわかりません。最後に何らかのオチがつくのかもしれませんが、その前に見るのをやめちゃう人が大半なんじゃないでしょうか。視聴率も6%台と、初回の半分になっているみたいだし、テレ朝としては、今後同種の企画が来ても通らない可能性が大です。(^^ゞ

しかし、そんなこととは関係なく、下山天さんは良い仕事をしていると思います。同じMTV出身だけあって、不連続系のカット割り(後述)などに堤幸彦さんに通じるテイストがあります。しかし、下山さんがスゴイのは、手の込んだ演出をしても、お芝居がわかりづらくならないことです。「てっぺん」のときにも書きましたが、下山さんはお芝居の演出が上手いです。

この他に印象に残ったのは、加藤晴彦の使い方が上手いことと、BGMのセンスが良いことでしょうか。ボクの場合、ストーリーに興味を持てないので、このドラマで一番面白いのは加藤晴彦のユーモアなんですよね。この点に関していえば、3〜4話の舞原賢三さんの演出も面白かったです。卓球のシーンとか。(^^ゞ

BGMに関しては、好みの問題だとは思うのですが、「このシーンにはこの曲がピッタリだ」と思う場面がたくさんありました。第5話の病院脱出のシーンの最後に、ギターのジャ〜〜ンという音で、聴覚的にオチをつけているところとかも、良かったです。――参考までに書き加えておくと、ボクがこのドラマの演出で一番好きなのは、舞原賢三さんの3〜4話です。(^^)

 不連続系のカット割り

MTV系の人たちが得意とするカット割りに、“不連続系”のカット割りというのがあります。ボクが勝手にネーミングした言葉なので、別にちゃんとした呼称があるのかもしれません。ご存知の方がいたら、指摘してください。m(__)m

普通、カット割りというのは、お芝居がなだらかにつながるように(時間的・空間的に連続するように)組み立てられるのが一般的だと思います。それに対して、不連続系のカット割りというのは、お芝居や映像がなだらかにつながらないので、視聴者にフック(または違和感)を与えます。

たとえば、バスケットボールをシュートするカットの後に、間をおかないでボールがネットに入るカットが続くと、見ている方は違和感を感じます。ボールの滞空時間が省略されているからです。(99/03/14「熱血恋愛道」を参照) 普通こういう場合は、ボールが空中を飛んでいるカットや、選手や観客の表情を間に挿入することによって、自然な流れを作り出します。アクションシーンなども、殴られるカットと倒れているカットをつなぐ場合、その間に倒れている時間を示すカットが挿入されます。

このセオリーを逆手にとって、視聴者に強いインパクトを与えることを目的とするのが、不連続系のカット割りです。この手法が得意なのが、日頃お芝居を気にしないで編集しているMTV出身者なワケです。正確に言うとこの種の手法というのは、決して新しい手法ではなくて、昔のドラマでもさりげなく使われているんだと思われます。だから、新しいのは手法そのものではなくて、使い方になるんだと考えた方が良いようです。このドラマの下山天さんでいうと、第5話の病院脱出シーンや、大沢たかおの部屋に新山千春がいるシーン、第8話の木村剛との格闘シーンなどに、不連続系のカット割りが見られました。

「巨人の星」みたいに、ピッチャーがボールを投げてから、打者にボールが届くまでに、何十秒も掛かってしまうというという演出もありますが、これは“不連続系”というよりはスローモーションのバリエーションに分類しておきましょうか。以上は、時間的な不連続の例ですが、空間的な不連続というのは、「太陽…」第1話の日誌で説明したモンタージュと同じことになるので省略します。格闘シーンとかで、アングルが異なるアップのカットが連続するようなカット割りのことです。最近では「池袋…」第6話(演出:堤幸彦、出演:鈴木藤丸)のラストに出てくる、白竜の事務所での格闘シーンなどがそうです。全体の位置関係がよくわからなくなることによって、逆に迫力が出ます。


00/06/09  池袋ウエストゲートパーク(9)

演出:堤幸彦金子文紀(9)

演出というのは、撮影現場における指揮者のようなものだと思うので、連名で2人が演出としてクレジットされるというのは、かなりめずらしいことです。金子さんの方は文字が小さくなっていましたが、堤さんの舎弟にでもなったのでしょう。(^^ゞ 具体的にどういう分担になっているのかはわかりませんが、堤さんが演出したシーンと、金子さんが演出したシーンが混在しているということなのかもしれません。

それにしても、物語の全貌が見えてくるにしたがって、これまで薄々感じてきた物足りなさが増幅していくような感じがします。サブタイトルを見た段階でシュンこと山下智久が死んじゃうのは予想がついていましたが、見ていてなんかしっくりきません。理由は簡単で、山下智久が死んでもちっとも悲しくないからです。これはマサ役の佐藤隆太にもいえるのですが、死んだら悲しいと思えるほど、この2人の存在が描かれているとは思えないということです。このドラマにおいて、この2人は背景みたいに見えます。

マサの場合、女子高生のエピソードがあったから、まだマシなんですが、シュンの場合、「オタクって呼ぶな」と怒ったところくらいしか印象に残っていません。だから、もし彼を死なせるなら、もう少し彼のことをきちんと描いておいてほしかったです。たとえば、どうせなら元引きこもりの高橋一生が死んでしまった方が、悲しかったと思います。ただ、その高橋一生も、第3話以外は背景みたいな存在なんですけど……。(^_^;)

ちょっぴり「エヴァ」みたいだった都電の車内のシーンでは、「昔は良かった」という会話がありましたが、1〜7話の頃とこの9話とで、池袋の描写に違いがあるように演出されていないから、言葉だけが上滑りしているみたいで、ピンとこないんですよね。喪失感をきっちり映像化できてないと言い換えても良いです。

岡田惠和さんはエッセイで、ドラマが最終回を迎えて、登場人物に別れを告げるのがさみしいと、書いていたことがあります。「天気予報…」でいえば、矢部&米倉コンビなどには、そうした別れ難い愛着感を感じるし、「可愛いだけ…」や「彼女たち…」といった、過去の岡田作品には、そうした感覚が共通します。今期のドラマでいえば、「晴れ着…」とか「天使…」にもそれに近い感覚を感じます。ところが、この「池袋…」に関しては、そこまでの愛着感みたいなものは、ボクには感じられないんです。で、さらにいっちゃうと、堤さんが抜けた「サイコメトラーEIJI2」(演出:猪俣隆一)には感じるんですよね、愛着感を…。(^^ゞ 

これも好み問題なので(共振型の特徴?)、愛着感を感じるという人もいるとは思いますが、他のドラマと比較してみたとき、イマイチなんじゃないかという思いが消えないです。加藤あいに関しても、こういう展開が待っているなら、これとは別の描き方があったんじゃないかという気がしてきます。また、山下智久の死体が出てくるシーンの演出も、「金田一少年」みたいで、「ここは遊ぶところなの?」などと、疑問と違和感を感じました。

――グチャグチャ書いてきてしまいましたが、要するに一言でまとめると、キャラクターの描写と、ストーリーの描写の間に整合性が感じられない、ということになるのでしょうか。と同時に、やっぱり堤さんは、キャラクターを描くのが苦手なのかな……なんて思ったりもします。「楽しくなければ現場じゃない」というのが堤さんの口癖だそうですが、「池袋…」を見てて、いつも思うのは、ドラマよりも現場の方が面白そう…ということです。(^_-)


00/06/09  J家の反乱

STORY57 過去

出演:神田正輝、遠藤久美子

リニューアルしてからはイマイチの「J家」ですが、この回は久々のヒットでした。神田正輝と遠藤久美子が2人で話をするシーンは、変則ローアングルのアップの切り返しで、中江功さんみたいでした。このカメラワークが、2人の秘められた過去に対するイマジネーションを刺激してくるわけです。それにしても、このシーンに限らず、この日は遠藤久美子の表情のクオリティが高かったです。――ビデオは消さないで残しておくことにしました。(^_-)

しかし、一番スゴかったのは、神田正輝が帰った後の縁側のシーン。酒を飲むorタバコを吸う地井武男に回想の音声がかぶっているのですが、問題はその後です。回想の音声が終わってから、遠藤久美子が登場するまでに20秒、遠藤と目が合ってから地井が言葉を発するまでに30秒、合計50秒間も無音のシーンが続いていました。こういう芝居をやらせてもらえる「J家」の人たちは、つくづく幸せだと思います。「J家」は演出のクレジット表示が毎回固定しているので、誰が演出しているのかハッキリしないのですが、この日の演出は、ディレクターとしてクレジットされている谷村政樹さんっぽい気がします。

ところで、この日の「J家」は、いつもと順番が逆で、トークの後にドラマが入っていました。この手の変更があった場合に、まっさきに疑わなくてはいけないのが視聴率不振なんですが、十分ありうる話だとは思います。どうなんでしょうか?

冒頭にも書いたように最近の「J家」は面白くないです。いきなりシリアスなシーンになっちゃって、「何なんだこの番組は」と思っているうちに終わっちゃうというのが、「J家」の魅力だと思うのですが、4月以降は前振りor段取り風のエピソードが増えています。その結果、一話完結的な部分が薄れて、連続ドラマを細切れで見せられてるみたいな感じです。大阪では、放送枠が土曜23時に昇格したみたいですが、今の内容では新規の視聴者を獲得するのは難しいんじゃないでしょうか。

たまたまチャンネルを合わせた視聴者を、引き付けるような要素が今の「J家」には弱いと思います。予算が増えて、本格的にドラマを作ろうとしたのが、裏目に出ちゃったのでしょうか。――視聴率に関しては、実際はどうなっているのかボクは知りません。ひょっとしたら増えているかもしれません。(^^ゞ


00/06/10  伝説の教師(9)

脚本:吉田智子
演出:倉田貴也(1)(2)(4)、大谷太郎(3)(5)(6)(8)、羽住英一郎(7)(9)、猪俣隆一(10)(11)

羽住さんが演出するのはこれが2回目。この回は全体的に重たい雰囲気に仕上がっていて、ちょっと「蘇える金狼」あたりの雰囲気を連想してしまいました。いくつかポイントがあると思いますが、もっとも重要なのはBGMの選曲でしょうか。おなじみのブルース系のギター曲は少な目で、シンセ〜キーボード系の重たい曲が多用されていました。曲の流し方も、だらだら流すのではなく、お芝居の流れに合わせて、かなり入念にシンクロさせていたみたいです。キーボード系のフレーズが、フワァ〜っと入ってくるタイミングが渋い……と思う瞬間がいくつかありました。

中居がボコボコにされるシーンでは、アンビエント風の暗いピアノ曲が流れていましたが、こうした選曲のセンスは、羽住さんがADを務めた「踊る大捜査線」でおなじみの澤田鎌作さんに通じるものがあるような気がします。「池袋…」の演出に欠けているのは、こういう音楽センスですね。

こうして日誌を書いていて、改めて気が付いたのは、名前を出した2本のドラマは、どちらも本広克行さんの演出だということです。ちなみに大谷太郎さんは、「サイコメトラーEIJI」で堤幸彦さん、「金狼」で本広さんと仕事をしている人だから、羽住さんという人は、日本の演出家人脈のおいしい位置に立っているAD〜演出家だといえるのかもしれません。

それにしてもラスト2話で、猪俣隆一さんが演出するっていうのも、変なドラマ。……演出の順番の話ですよ。念のため。(^^)


00/06/11  仮面ライダー・クウガ(20)

EPISODE 20 笑顔

監督:石田秀範(1)(2)(7)(8)(13)(14)(19)(20)、
   渡辺勝也(3)(4)(9)(10)(15)(16)、
   長石多可男(5)(6)(11)(12)(18)、
   鈴村展弘(17)

この回は、日常のシーンが多かったせいか、日常のシーンの演出に手が込んでいました。特に、サブタイトルが「笑顔」だったせいか、オダギリ・ジョーの表情などをていねいに撮っていたようです。幼稚園のシーンにおける、オダギリ・ジョーと妹役のアップの切り返しなどはトレンディ・ドラマ風になっていました。それ以外のシーンでも、お芝居とカット割りに、小さなこだわりが感じられました。

――以下は、蛇足的に気になった点を2つほど。

きたろうの店で食事をするシーンでは、意味不明の相席客が可笑しかったですが、こういうセンスは「池袋…」に通じるものです。このシーンを見て、「クウガ」の演出は堤幸彦さんをかなり意識しているという確信を得ました。

もう一つ、可笑しかったのはラストシーンでのお遊び。クウガと葛山信吾の2人を映したカメラが葛山に寄っていって、カメラのアングルが動いていくと、クウガの位置にオダギリ・ジョーが立っている……というカット。もちろん切れ目がない1カットです。葛山がアップになっている間に、クウガとオダギリ・ジョーが入れ替わったわけです。(^^)


00/06/11  スペースエンジェル〜2001円宇宙の旅

ナンセンス・ギャグも何週も続けられると、さすがに飽きてくるのですが、今週は別の部分に注目しました。東新良和が死ぬときの妄想シーンです。北浦実千枝と2人で芝生の上で寝そべる東新良和が顔を横に倒すと、そこには誰もいない……というカット割り。もちろん東新の目線を模した映像になっているのですが、背筋にぞっと来るようなセンスを感じました。

エンドロールで確認したら、やっぱりというか、監督は原田泉さんでした。「美少女H2」の時の感動を思い出しました。(^^) 映像が綺麗とか、そういう単純な問題じゃないんです。“死”を描く際に、ああいうアイデアを思いつくセンスが凡人離れしてるんです。顔を横に倒したときに、いるべきハズの人がいない。この感覚を、“死”に結び付ける感性がすばらしいと思うわけです。

この番組は視聴率が低迷していますが、7月からは、この枠のヒット作「怖い日曜日」が復活するみたいです。ボクの場合、“面白い日曜日”、または“忙しい日曜日”なんですけど。(^_-)


00/06/22  太陽は沈まない(11)[終]

演出:中江功(1)(2)(4)(6)(9)(11)、水田成英(3)(5)(8)(10)、桜庭信一(7)

青春ドラマなので、三角関係(?)の展開は予想通りだったんですが、ラストのナレーションがくどかったです。それにしても、最終回で一気に20%を越えちゃうなんて、「中盤はかったるいけど最終回は気になる」という人が500万人くらい存在したというワケですね。

実際、中盤はイマイチだったから、500万人の視聴行動は正解なんですが、制作サイドとしては辛いところでしょうね。「人を信じる心を失いたくない」みたいな青春ドラマ的なエピソードは、視聴率に結びつかないということなのかもしれませんが、そうだとしても、物語や映像にもう少しスケール感がほしかったと思います。

あと、滝沢秀明のナレーションなんですが、文節のあいだで、いちいち間を空けるのが、しつこかったです。文章でぇ…………、言うとぉ…………、こんなぁ…………、感じにぃ…………、なりますぅ…………。率直にぃ…………、言ってぇ…………、滝沢ぁ…………、秀明がぁ…………、バカっぽくぅ…………、感じられぇ…………、ましたぁ…………。彼はぁ…………、吉岡ぁ…………、秀隆ぁ…………、よりはぁ…………、ハキハキぃ…………、したぁ……、キャラだとぉ…………、思いますぅ…………。(^_^;)


00/06/23  池袋ウエストゲートパーク(11)[終]

演出:堤幸彦(1)(2)(5)(6)、伊佐野英樹(3)(8)、金子文紀(4)(7)、堤幸彦 金子文紀(9)(10)(11)

このドラマはシュン(山下智久)が死んだ時点で、ハッピーエンドはありえないハズなんですが、むりやりにハッピーエンド風にしちゃった……という感じです。死者や加害者(加藤あい)の視点から見ると、「ブクロ最高!」とか言ってるラストシーンは、不道徳に見えちゃいます。ボクとしては、主要登場人物が全員死んじゃうラストというのも予想してたんですが……。(^^ゞ

ただし、最後に池梟も一緒に映ってるそうなんで、気持ちの上ではシュンも一緒……という意味なんだと思います。ただ、お好み焼き屋のオバサンが死んだというネタだけで3ヵ月も大騒ぎして、裁判に勝ってもハッピーエンドにならないドラマがあるというのに、この差は大きいですね。(-_-;)

ちなみに、このドラマでは窪塚洋介の評判が良かったですが、ボクは途中で飽きちゃいました。窪塚本人も、どこかのインタビューで、「池袋」での演技に満足していないと言っていました。飽きがこないという意味では、「プリズンホテル」の井ノ原快彦の方が面白かったと思います。


00/06/23  QUIZ(11)[終]

脚本:相内美生、関えり香、飯野陽子
演出:今井夏木(1)(2)(5)(8)(11)、那須田淳(3)、難波一弘(4)(9)、福澤克雄(6)(10)、生野慈朗(7)

このドラマに関しては、手厳しい意見が多いようなので、遠慮しておきますが、ボクも子どもに甘すぎると思いました。犯行動機を語る子どもたちを見ながら「ガキみたいなこと言うな!」と、思いました。子どもの視点から家族(大人)批判するというのは、昔からよくあるパターンだし、さほど新鮮なテーマだとは思えません。むしろ、子ども(少年)との和解を拒絶する「TEAM」(脚本:君塚良一)の方が現代的だと思います。

ただ、ボクの場合、第1話のオープニングシーンを見た段階で、子どもが怪しいと思っていたので、最終回を見てキレたりはしませんでした。(^^ゞ 良くも悪くも、予想通りの最終回というのが率直な感想です。現実と虚構・モノローグなどが混在する演出など、試みとしては、それなりに評価されても良いドラマだとは思います。むしろ、これだけグチャグチャした作風にもかかわらず、視聴率11%前後をキープしたことの方に注目したいです。「アナザヘヴン」の倍ですよ。これは意味のある数字です。植田博樹Pには、悪評にめげないで、今後もこの路線でがんばっていってほしいと思います。

――そういえば、エンドロールのスーパーマーケットのシーンに福澤克雄Dが出てました。\(~o~)/


00/06/24  六番目の小夜子(12)[終]

「小夜子」に関しては、悪い声が聞こえないので、2つほど不満点を書いておきます。ひとつは脚本の問題です。これは、以前の日誌にも書いてありますが、山田孝之以外の登場人物の心理描写が中途半端です。鈴木杏がサヨコに憧れる理由も、栗山千明と友情が芽生える過程も、経過説明的なセリフで済ませているだけで、大事なエピソードとして描かれているとは思えませんでした。最終回も、無難な線でまとめちゃったという印象で、「夢〜ロマンのない最終回だな」と思いました。――ボクが考えるロマンというのは、次に示す市川森一さんの発言のようなものです。

「視聴者に対して『こう生きよう』と語るドラマは害悪だと思うんです。それよりも、人間にはわからないことがたくさんある、判断がつかないことのほうが多いんだ、そういうことを早いうちに知っておく――たくさんの謎を生きることが普通の人間には大事だと思います」
(切通理作『怪獣使いと少年・ウルトラマンの作家たち』宝島社文庫)

「小夜子」の制作スタッフは「週刊ステラ」で「人生にはファンタジーが必要だ」と発言しているようです。実際、最終回でもラストで謎を残して終わりましたが、それと市川さんがいう“謎”とは違います。市川さんがいう謎というのは、人生の謎なんであって、人間が作り出した見え透いた謎ではありません。このドラマでいえば、サヨコ伝説とか、超常現象ではなく、登場人物が抱えている“心の闇”こそが謎なんだと思うのですが……。

「私たちで新しいジンクスを作る…」というセリフを聞きながら、「教育テレビでやってる道徳ドラマみたいなこと言うなよ」なんて、ツッコミたくなりました。考えてみたら「小夜子」も教育テレビなんですけど……。(^_^;)

2番目の問題点はお芝居の演出です。たとえば栗山千明は、最近「らぶちゃっと」にも出ていましたが、どちらの方が彼女の持ち味を引き出していたかといえば、「らぶちゃ」の方なんじゃないでしょうか。他の出演者に関してもほぼ同じことがいえます。映像作品としては(cobaの音楽を含めて)優れたドラマと思いますが、それだけに、キャラ設定や、お芝居の演出がもう少し丁寧だったら……と思うととても残念です。

大半の出演者が十代の半ばで、しかも新人ばかりだから、演出する方も大変だとは思います。ただ、それをいったら「FLY」の出演者だって五十歩百歩です。逆にいえば、そういうところこそ、演出家の腕の見せ所なんじゃないでしょうか。――今期のドラマに関していえば、映像の演出なら「小夜子」、芝居の演出なら「FLY」という印象ですね。(^^)

最終回末尾のオマケのコーナーでは、第7話(演出:出水有三)の映像がプレイバックされていましたね。(^_^;)

――余談ですが、このドラマの後にやっている「しゃべり場」とかいう討論番組に、最近ハマっています。(^^) この日は、寺澤憲人とかいうエリート高校生が、集中攻撃を浴びていて、怖かったです。ボクは、こっちの番組の方に“人生の謎”を感じます。(^_-)

――余談、その2。市川さんの発言を引用した「怪獣使いと少年」という本は金城哲夫佐々木守上原正三市川森一という4人の脚本家にスポットをあてた評論ですが、かなり面白いです。しかも、この中で紹介されている「ウルトラマン」〜「ウルトラマンA」のストーリーは、ヘビーなものばっかりで、圧倒されます。

特に「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」(脚本:上原正三)なんて、ホントに救いのない話で、よくこんなのが子供向けの番組で通ったもんだと感心してしまいます。この4人の中で現在も活躍してるのは、市川さんだけですが、70年代以降のドラマ界が、彼らのアクの強さを受け入れられなかった……ということなのかもしれません。


00/06/29  マッハブイロク特別ドラマ 「big」大作戦

脚本:川島澄乃
演出:永山耕三
プロデュース:関卓也、きくち伸、森谷雄
制作:フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ系・木曜夜10時〜11時半

上に並んだ名前はかなり豪華なんですけど、出来上がったドラマの方はキツイものがありました。(..) スケジュールの合間を縫って、急いで撮ったせいなのか、お芝居にしてもカット割りにしても、ものすごく雑な感じがしました。リハーサルとかも、ちゃんとやってなさそうな印象を受けました(実際はどうだかわかりませんが)。こういうバラエティっぽい作りは嫌いじゃないんですけど、こういう作風だったら、それこそ堤幸彦さんの演出で見てみたかったです。

乳母車が階段を落ちていくシーンは、もろに“オデッサの階段”のパロディなんですが、演出意図が不明瞭で、なんかイマイチでした。“オデッサの階段”は、4月にこのホームページでも話題になった“モンタージュ理論”の実践例として有名なシーンで、エイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」に出てきます。

それ以外では、兼末健次郎=風間俊介が出てきたのにちょっとビックリしたんですが……、笑顔の風間俊介って、なんかウソ臭くて信用できない。君に笑顔は似合わない! (^_^;)


00/07/02  その他の最終回・総評

今期は面白いドラマが多かったのですが、最終回に関しては、イマイチなものが多かったです。好印象で終わったのは、「晴れ着…」と「…断崖」くらいです。で、不満はあるものの一応合格点という感じなのが、「太陽…」「…小夜子」「伝説…」あたりでしょうか。

「伝説…」は、「お前はブラック・ジャックか!」などと突っ込みながら見ていました。最後は金八先生みたいになっちゃいましたが、ラス前の回が良かったので、OKです。(^^ゞ

「永遠の仔」は、第1話だけ見ればOKだったんじゃないか? …という気がしました。回想シーンを小出しで見せるという手法が、しつこいというか、かったるいというか……。また、虐待〜トラウマに関する描写も、雰囲気先行という印象で、いまひとつ具体性に欠けてたように思いました。原作がどうなっているのか知りませんが……。

「アナザヘヴン」とか「夜叉」とか「パラダイス・サーティー」(なぜか全部、テレ朝)は、ボクには理解できない世界のお話でした。特に「夜叉」。最後に抱き合う2人の伊藤英明のシーンは、「何なんだコイツらは…???」という感じで、開いた口がふさがりませんでした。(^_^;) また、無意味に暗かったり青かったりする映像処理にも、閉口しました。センス悪いです。(>_<)

「TVライフ」誌のコラムで飯田譲治さんが、「アナザヘヴン」の視聴率が悪かったことに関して、文句を書いていました。「わかりづらい」と敬遠されたことに対する反論が中心でした。ただボクの場合、「わかりづらい」というよりは「面白くない」という感想だったので、飯田さんの言われることは、ピンときませんでした。わかりづらくたって、視聴率が取れてるドラマはあると思います。「眠れる森」とか……。「アナザヘヴン」の場合、見ていて“謎”に対する興味がわかないんですよね〜。(..)

最後に、私選でドラマ大賞を……。

  作品:「六番目の小夜子」(次点:FLY、晴れ着、太陽、池袋etc)
主演女優:ともさかりえ
主演男優:堂本光一
助演女優:橘実里 (^^ゞ
助演男優:なし(次点:窪塚洋介、柏原収司、加藤晴彦、山田孝之etc)
  新人:優香、忍成修吾、勝地涼etc
  脚本:「伝説の教師」
  演出:「FLY」(赤羽博、中島悟)

この他、地味だけど良かったのが「ショカツ」「それぞれの断崖」「別れる2人の事件簿」など、とにかく今期は、(テレ朝以外は)力作が多かったと思います。おかげで見るのが大変でした。(^_^;)

ところで、ボクは番組の公式サイトとかは、ほとんど見てないのですが、「天使が消えた街」の公式サイトにあった河野英裕Pのコラムは面白いです。「ここまで書いて良いの?」というくらい率直な心情が書いてあって、ドラマ本体よりも感動的です。(^_^;) ――で、その公式サイトを見ていて気がついたんですが、大竹まことの息子役をやっていた田中聖は、俳優名が聖(こうき)で、役名が川嶋聖(ひじり)になってたんですね。……これって遊んでるの?


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