ドラマ演出日誌（2000年1-3月期）

"ドラマ演出"日誌（2000年1-3月期）

00/01/04 困ったひとたち

脚本：高橋留美
監修：堤幸彦
監督：麻生学
プロデュース：安藤和久、佐藤直樹etc
制作：関西テレビ、大映株式会社
関東放送枠：フジ系・夜９時～

う～む。これは結構ツライものがありました。(^^)　部分的に堤さんっぽい映像がありましたが、最近は堤さんの影響を受けた演出が多いので新鮮味はないです。芝居のテンポ感もいまひとつだし、俳優の演技・表情にも面白味に欠けていたようです。主役の３人は、他の作品では、もっと良い味を出しているひとたちなので、それが残念です。――唯一、面白いと思わせたのは水前寺清子の「３６５歩のマーチ」をかけていたところですが、あの曲のテンポ感がドラマ全体に持続していれば、もう少し面白くなったような気がします。

ところで、麻生さんは「ケイゾク」「新・俺たちの旅」で演出補をやっていた人ですが、「新俺」では１話だけ演出していたので、これが監督デビュー２作目になると思います。ゴールデンのドラマに限っていえばの話ですが。

脚本の高橋留美さんは、日テレのオムニバスドラマ「結婚できない！！」（室井滋のやつ）、正月２日の「ショムニＳＰ」、このドラマと、年末年始は大活躍なんですが、どれも食い足りない感じが残りました。

00/01/04 外科医有森冴子・母

脚本：井沢満
演出：細野英延
プロデュース：小山正、川原康彦
関東放送枠：日テレ系・夜９時～

ストーリー的には新味はないんですが、井沢満さんの脚本は展開が速くて派手なので、それなりに面白く見れました。ヘリコプターのシーンなんかは「はみだし刑事」みたいでしたね。というか、刑事役の高嶋政伸を柴田恭平にチェンジすれば、そのまま「はみだし刑事」で通用すると思います。

復帰した三田佳子を救済するために企画されたようなドラマですが、健闘した方なんじゃないでしょうか。若手の人気俳優が出てくるわけでもないのに、20％くらいとったみたいだし、なんだかんだいってもこの手のドラマは需要が高いということなんでしょう。ただし、カメラーワークなどは、微妙に今っぽい感じになっていたようです。

しかし、最大の見どころは、復讐モードの時の前田吟で決まりでしょう。「渡る世間」ではお目にかかれないような殺意――でも、ちっとも怖くない。(^^ゞ――に満ちた演技が堪能できました。(^^ゞ

00/01/06 ３年Ｂ組金八先生(11)

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)

２時間ＳＰだったこの回は、演出的に見ても、今シリーズ中のベストだったような気がします。とにかく、すべてのシーンに、小さなアイデアが詰まっていて、しかも、押さえるべきもの（伏線、サブストーリー関係）は、きっちりカメラに収めていたと思います。特に生徒を撮った映像に緊張感があって、生野慈朗Ｄの演出を思わせるものがあります。いちいち挙げていくときりがないのですが、いくつかあげてみます。

餅つきのシーンは、上空から撮った俯瞰のカットから始まって、兼末が登場するところまでノーカットで撮られていました。ステディカムとクレーンを併用した技です。ちなみにステディカム系のカットでは、金八が織本順吉を送って行く路地のシーンや、兼末パパの秋野大作がコンビニですみれちゃん（岡あゆみ）や明彦（亀梨和也）と遭遇するシーンなどがありました。――ちなみにノーカット（長回し）の撮影が多いというのは、撮影現場の志気／一体感を高めたい……という演出意図があるのかもしれません。

小高早紀が登場した時のボーリングのピンみたいな並び方も良かったですが、それに対する３Ｂのリアクション……特にデラのリアクションには注目してほしいですね。この回に関しては、後半の大説教シーンばかりに注目が集まっていますが、むしろ、こういう細かいところにこそ、演出家のセンスの良さ・違いが端的に表れてくるんだと思います。一演出ファンとして、この点に関しては強調しておきたいと思います。

おじいさんがお餅を喉に詰まらせるシーンでは、ひとり一人のこわばった表情のアップをつないでいって、最後にデラのアップからカメラが引いていって全体が映ったところでＣＭに……。カッコイイです。

お正月のシーンでは、「金八４」の生徒たちにインパクトがありました。宮沢歩こと橋本光成がデブになっていたのはビックリしましたが、でもあの２人の子供だったらそれもありかもしれないな……とか考えて納得してたりして。(^^ゞ　藤田瞳子はあいかわらず可愛いんだけど、ちょっと化粧が濃いような……。まあ、そういうところも同窓会っぽい感覚ですね。(^^ゞ

しかし、この回のハイライトは、好太こと森雄介が屋上から飛び降りようとするシーンでしょう。意味不明のヘリコプター音とか、刑事ドラマっぽい演出ですが、さらに、引きのカットの時に金八の声にナチュラルなエコーがかかっていたり、救急車のサイレンがかぶってきたりして、音に対するこだわりが感じられました。また、森雄介のひきつる演技にも迫力があって「こりゃスゲー」とか思ってたら、失禁までしちゃって、いやいやホント参りました……。(@_@)　さっき、名前を調べてみたら、この人もジャニーズなんですね。やはり、風間俊介に負けてられない……という気持ちがあるんでしょうか。

ベストカットは、金八が動転する好太（森）を馬乗りになって押さえつける保健室のシーン。だんだん好太が静かになってきたところの一瞬の静寂に電話の音が入って、病院から織本順吉の報告が入る。その時の金八のこわばった表情をアップでとらえてＣＭに入る……最高にスタイリッシュな演出ですね。(^o^)　好太関連では、説教の後の廊下で金八とすれ違うシーンでスローモーションを使っていて、福澤さんの好太（森雄介）に対するこだわりを感じました。――まあ、森雄介（とデラ）は、一番撮影現場が盛り上がったと思われる説教シーンに参加できないので、その辺のことを考慮してあげたのかもしれません。

――それにして、このシーンに限らず、全体的に３Ｂの生徒のテンションが高かったです。金八の説教のシーンもそうですが、12月収録の段階で、このテンションが生み出せる今回の３Ｂメンバーは、なかなかあなどれないですね。ところで、この説教シーンで、今までの金八にはなかった耳慣れないＢＧＭが派手に使われていました。こういうところも新趣向といえるのでしょう。

ただし、ビンタの部分に関しては、ちょっと疑問が残りました。「先生が好きだから」というのはちょっとした名セリフなんですが、そのことを別にすれば、安易な体罰肯定のプロパガンダに見えちゃいます。演出がすばらしいぶん悪質かもしれません。公式サイトの掲示版には「軍隊式の連帯責任になっている」という批判があって、それも一理あると思いました。もちろん、大多数の書き込みは「感動した」とか「あれは体罰じゃない」というものなんですけど……。

ボクは必ずしも体罰否定論じゃありませんが、このドラマで気になるのは、誰が見たって体罰とは思えないような行為（現実にはありえないような体罰）を、体罰として描くことなんですね。こういうのはフェアじゃないと思うわけです。来週はＰＴＡとかマスコミが体罰教師ということで騒ぐみたいですが、大半の視聴者は金八の側に立って見てしまうはずだし、ＰＴＡやマスコミの方が愚かに見えてしまうに決まっているんですから。

で、話を演出に戻すと、ラストで兼末（風間俊介）と明彦（亀梨和也）が教室に残っているシーン。こういう視聴者のイマジネーションを刺激する演出が、ボクは好きです。ただし、ボクの場合は、ここで友情が芽生えるのかな……な～んて思ったりしてたんで、不敵な笑顔を見た時には、やられたと思いましたが。(^o^)　この先、３Ｂ内の勢力地図がどうなるのか楽しみになってきました。しばらくは戦国状態になるような気がします。そうなると明彦は、明智光秀なんじゃないかと……。(^_-)

――長くなりました。この回に関しては、メカみ（旧メカワカミ）さんが、テレビドラマデータベースの新作掲示版２に書かれています。そちらも面白いのでお読み下さい。(^_^)
http://doramadb.hypermart.net/discussplus/discuss.cgi?page=0

00/01/07 千晶、もう一度笑って

脚本：相内美生
演出：斎藤郁宏
プロデュース：志村彰etc
出演：かたせ梨乃、益岡徹、鈴木杏、邑野未亜、藤崎安可里、大野麻那etc
制作：ＴＢＳ、ＭＭＪ
関東放送枠：ＴＢＳ系・金曜９時～11時

この手のヒューマンドラマというのも、それなりに出来不出来の差があって、一概に否定できないものがあるのですが、このドラマに関しては理解に苦しむものがあります。だって、子供が死んで悲しい…ということ意外にテーマがあるとは思えないんだもん。(^^ゞ　家族のあり方とか、学校教育とか、医療問題といったテーマ性がまったく感じられませんでした。

にもかかわらず、このドラマを取り上げるのは、アイドルドラマとしてのクオリティが高いからです。鈴木杏ちゃんはもちろんのこと、クラスメートや姉妹役で可愛い女の子がバンバン出てくるから、ロリコンの人が見たらヨダレもの間違いなしでしょう。（ボクは違いますよ！(^^ゞ）　しかも、斎藤さんの演出は、女の子の表情を撮るのにかなりのエネルギーを使っていたみたいで、個々のカットのクオリティが高かったです。特に会話の前後や合間の表情を積極的に撮っていて、女の子の表情に対する執念みたいなものが伝わってきました。特に、鈴木杏ちゃんの表情には、微妙な色気があって、見のがせないものがありました。

また、屋外のシーンでも、画像の質感とか、光の加減の感じが微妙に良い感じで、年末年始の単発ドラマの中では、これが演出的に一番なんじゃないかという感じさえします。制作は、月８などでおなじみのＭＭＪ。友情出演の菅野美穂もこのつながりでしょう。ＭＭＪは「イグアナの娘」で注目をあびた制作会社ですが、昨年末の「傷だらけの女ＳＰ」もＭＭＪだったし、すっかりメジャーな制作会社になってしまいました。１月クールでは「月下の棋士」と「恋愛中毒」がＭＭＪ制作です。なお、ＭＭＪとはメディア・ミックス・ジャパンの略だそうです。(^^)

00/01/07 Ｊ家の反乱

STORY38「夢の風」
出演：小原裕貴、渡辺徹

東京では、放送されない回も多いのですが、この回は久々のヒットでした。この番組は箱庭的な限られた条件の中で、どれだけ工夫できるのかを実験しているような番組なので、当たりハズレがあるのですが、そこが面白いところでもあるんです。

圧巻だったのは、小原裕貴と渡辺徹の２人芝居。小汚いベランダで飛行機の操縦のまねごとを数分間に渡って演じていたんですが、普通だったらコックピットのセットを組んだり、ＣＧで見せたりすると思うんですが、このドラマではそういうのは一切なし。２人の演技と効果音だけで、コックピット内のシーンを作り上げていました。ドラマというよりは舞台演技を見ているような雰囲気がありました。

……な～んてことを思いながら見ていたんですが、フロアディレクターの倉木義典さんのホームページ（掲示版）によれば、撮影現場では地井武男さんが同じように感激していたらしく、「こういう台本は役者冥利につきる」と言って、収録現場でアドバイスをしていたそうです。
http://www.nevula.co.jp/~saigetu/kura/news.cgi

00/01/08 そして友だち

脚本：山田太一
演出：星田良子
プロデュース：一杉丈夫
出演：深田恭子、野波麻帆、窪塚洋介、仁科亜紀子、大滝秀治etc
制作：テレビ朝日、共同テレビ
関東放送枠：テレ朝系、土曜９時～11時

星田良子さんといえば、「ＯＵＴ」での活躍ぶりが記憶に新しいので、それなりに期待してみました。正直いって「ＯＵＴ」ほどの統一感はなかったように思います。それでも所々に挿入される変則アングルが効果的に決まっていたりして、完成度は高かったと思います。音楽の入れ方なども微妙に良い感じですね。

今回、星田さんが起用された最大の理由は、女の子２人の友情をリアルに描いてほしいという期待があったからだと思われます。どの程度リアルだったかは、いまひとつよくわかりませんが、ラストシーンなどもそうですがエロチックな手触りがあったことは注目しておきたいと思います。(^^)　星田さんは「ＯＵＴ」最終回でも、田中美佐子＆飯島直子の２人をエロチックに撮っていたので、さすがという感じですね。(^^ゞ

それにしても、キャスティングが渋いドラマです。深田恭子と野波麻帆をペアで起用するセンスがすばらしいし、脇では最近あまり見かけない俳優をきっちり使いこなしているところもシブイです。（仁科亜紀子、うつみみどり、大滝秀治）　脚本に関しては、予想していたよりもアッサリした内容だったので、ちょっと拍子抜けしましたが、ラストでみんなが一堂に会して討論会……みたいにならなくて良かったです。(^^ゞ

ところでラストシーンに出てきた鉄橋は、「金八」でおなじみの北千住界隈でしょうか。山田太一ドラマといえば、去年の春に放送された「春の惑星」（緒形挙、いしだ一成、ともさかりえ）では、北区が舞台になっていました。山田さんは東京の辺境（トレンディじゃない東京）に関心があるんでしょうか。(^^ゞ

00/01/10 賭事女王

脚本：高木登
演出：武内英樹

まさかこの枠に武内英樹さんが出てくるとは思いませんでした。(^^)　全体的にカットバック風の映像を多用して、その上に音楽をガンガンかける演出をしていたようです。脚本は「Ｖの嵐」の高木登さん。今回は正月にちなんでか百人一首対決でしたが、ドラマ内のセリフまで“五七五…調”になっていたのが可笑しかったです。(^^)

00/01/14 Ｊ家の反乱

STORY39「秘密基地」
出演：錦戸亮、上原さくら

更新日誌でオススメしちゃったのでコメントしておきます。ストーリー的には良い話でしたが、演出的には前週の方が面白かったですね。錦戸亮のイジメネタとしては、以前取り上げたウサギの話が凄すぎたので、それと比較するとどうしても見劣りしてしまいます。今回は、ゲスト以外の出演者（スタッフの人たちみたいです）が何人も出てきたり、豆腐屋以外のシーンがあったりして、いつもの「Ｊ家」とは違う要素（禁じ手？）がたくさんありました。

錦戸亮と上原さくらが会話をする２階のシーンでは、ＢＧＭなしでカメラが回ってるような音がちょっぴり入っていましたが、あれも緊張感を出すための効果音なんでしょうか？　沈黙というか会話の間が多いシーンだったので、ちょっとした音でも耳に残ります。

00/01/22 おばあちゃま、壊れちゃったの？(1)

脚本：鈴木貴子
演出：今井和久(1)、池添博
プロデュース：久野昌宏、飯塚正彦（IMO）
協力プロデューサー：東城祐司（MMJ）
ラインプロデューサー：藤本一彦（５年Ｄ組）
チーフプロデューサー：五十嵐文郎
演出補：谷川功
プロデューサー補：秋山純
関東放送枠：テレ朝系・土曜８時

介護問題をコミカルに描くと紹介されていたドラマですが、思っていたよりもシリアスな印象を受けました。赤木春恵のボケぶりもコミカルというよりは痛々しい感じがするし、田村高廣の演技とかも結構ヘビーなんですよね。演出的には、表情のニュアンスで芝居を組み立てているような感じがしたので（犬の表情までアップで撮ってる！）、表情でもう少しコミカルなニュアンスが出せれば、もっとコミカルに見えるのかもしれません。(^^)

それよりも、昨年末の「風の行方」の日誌で注目しておいた鈴木藤丸が、孫役で登場していました。やはり「風の行方」での演技が評価されて今回の出演が決まったのでしょうか。第１話を見た感じでは、けっこう出番が多くて、今井さんも積極的に彼の演技を撮っていたようです。「おばあちゃん、壊れちゃったの」というナレーションも、鈴木藤丸が言ってます。自分が注目した人が活躍していくのを見るのは、気分が良いですね。(^^)

このドラマには、ＭＭＪ系のスタッフと５年Ｄ組系のスタッフが参加しているみたいですが、池添博さんと谷川功さんが５年Ｄ組系になるんでしょうか。確かこの２人は深夜ドラマの「六本木キャバクラ天使」で演出をしていたような気がします。

それそうと、岡江久美子と新山千春が姉妹っていうのは、かなり強引な設定（キャスティング）ですね。(^^)

00/01/22 バーチャルガール(2)

脚本：大石哲也
演出：佐藤東弥(1)(2)、猪俣隆一
プロデュース：田中芳樹
音楽：ＣＭＪＫ
制作協力：５年Ｄ組・太田雅晴
関東放送枠：日テレ系・土曜９時

99年の土９は、それなりにクオリティが高かったと思うのですが、今期の「バーチャルガール」はちょっとツライ感じがありますね。特撮部分は確かに手が込んでいると思うのですが、絵的に感動できるかといわれると……、音楽でいえばギターの早引きを見せられているみたいで、スゴイとは思うけどそれ以上の感動はないです。

それに輪をかけるようにストーリーに面白味がないです。物語をつまらなくしている元凶はVR2000とかいう機械。人の心というのは簡単にわからないから面白くなるのに、VR2000があると手に取るように人の心が分かってしまうから、物語が平板になってしまうんですね。事件が起こって、VR2000で解決して、メデタシメデタシ……という単純な構成になっています。

登場人物にも魅力がなくて、一番マトモなのは榎本加奈子で、それ以外の人たちは常識的な理解を超えたキャラクターです。三宅健なんてすっかり探偵気取りになっていて、精神年齢が子供みたいに見えます。どうしてこんな探偵ごっこをしなけりゃいけないのか、ボクには理解できないのですが、このドラマの登場人物はあんまりそういうことは考えないみたいで、そういうところが子供っぽいんですよね。同じことは篠原ともえにもいえるのですが、彼女の場合は設定の問題というよりは、本人のキャラクターの問題なのかもしれません。ボクの好みの問題なのかもしれませんが、あの顔にしても、声質にしても、なんかウソ臭くってダメです。(^^ゞ

佐藤東弥さんは、ズームしながらカメラが顔に近寄っていくカットが好きみたいで、「金田一」や「君といた未来」の時も、堂本剛のアップで多用していました。また第２話は、第１話よりも登場人物の表情をていねいに撮っていたような気がします。ところで、「P.A.」の頃に比べて、榎本加奈子の表情がキツイ感じになっているような気がします。これは演出・演技の問題なのか、単純に榎本加奈子の顔が変わったからなのか、よくわかりません。

それから、バーチャルシーンで派手な色使いをしているからなのか、普段のシーンではいつもの土９作品よりも色使いが地味な感じがします。バーチャルシーンでは、意図的にノイズを入れていたようです。（うちのビデオが壊れているのでなければ。^^;）　もうひとつ、音楽がＣＭＪＫだというのもチェックポイントですね。電気グルーヴやCONFUSIONに在籍していたテクノクリエイターです。デジタルロックっぽいところは「踊る大捜査線」あたりを意識しているのでしょうか。

第２話では、爆弾のコードを切断するというお決まりの展開に「またかよ～」などと思いながら見ていたら、そこから加藤紀子が撃たれるシーンまでのＢＧＭ（オペラもどき）や映像処理のセンスが、ちょっぴり本広克行さんっぽくて印象に残りました。というか「踊る・歳末ＳＰ」のパロディと言ってしまっても良いかもしれません。警官隊突入のシーンとか。(^^ゞ

00/01/23 ビューティフルライフ(2)

脚本：北川悦吏子
演出：生野慈朗(1)(2)、土井裕泰
プロデュース：生野慈朗、植田博樹
関東放送枠：ＴＢＳ系・日曜９時

初回で視聴率31.8％というのは歴代１位の新記録らしいですが、データ的に見ると、これは「愛していると言ってくれ」（95年ＴＢＳ）の焼き直しという印象があります。脚本が北川さんで、演出が生野さんと土井さんで、テーマが障害者の恋愛で、ヒロインが常盤貴子……と。まあ、相手役がドラマは久しぶりのキムタクだし、焼き直しでも、５年も間をあければ新鮮に見えるだろう…という読みだったのでしょうか。障害者の恋愛ドラマが流行ったのが95～96年頃だから、この時期に復活させるというのは、確かに鋭かったというべきなんでしょう。この方法論でいけば、５年以上前のヒットドラマをパクれ！……みたいな話になっちゃいますが。(^_^;)

ちなみに、ボクの場合、北川さんの恋愛ドラマに対してはマンネリ感があるし、キムタクは苦手な俳優なので、このドラマの視聴者としてはあまり良い視聴者じゃないんですが、そこそこイヤミなく見れてしまうのは、久しぶり効果なんでしょうか？　それとも脚本・演出が良いからでしょうか？

「愛して……」と違っているのが音楽の使い方で、「愛して……」の時は、ドリカムの主題歌とそのメロディを使ったインストがドラマ全編に流れていたのですが、今回のB'sの主題歌はエンディングのタイトルバックのみに使われているようです。（多分）　主題歌のことは別にしても、音楽の使い方が全体的に地味で、あくまでも効果音的に使われていることが多く、ＢＧＭのないシーンも多いです。

カット割りも奇をてらったものはなく、オーソドックスな芝居重視の演出をしているみたいです。ほとんどラジオドラマみたいなんで目をつぶって聞いてるだけでも、十分に楽しめそうなドラマです。逆に言うと芝居とかセリフのテンポ感、間の取り方はとっても聞きやすいです。

生野慈朗さんが演出するのは「L×I×V×E」以来ですが、今回は常盤貴子を撮るのに力を入れてるような印象を受けます。言ったら悪いですが、キムタクを撮ったカットよりも常盤貴子を撮ったカットの方が気合いが入っているような気がします。第１話での、写真撮影の時の表情とか、第２話ラストでの表情のアップ（キムタクが原千晶とアパートを出てくるのを目撃して、ショックで牛丼をこぼして、キムタクと見つめ合うシーン）とか。

あと、カメラアングルに気をつかっている感じもあります。セリフにも出てきましたが、車椅子の高さでの目線をかなり意識して、アングルを決めているようです。常盤貴子と水野美紀が芋を食べながら話すシーンとか、２人とも座っているんだからあたりまえだと言われればそうなんですが、それでも微妙にカメラの高さが気になりました。いずれにしても、今期のドラマは派手な演出が少ないのでコメントが難しいです。(^^ゞ

00/01/24 月下の棋士(2)

脚本：尾崎将也
演出：塚本連平(1)(2)、小松隆志
音楽：寺嶋民哉
プロデュース：杉山登（テレ朝）、遠田孝一（ＭＭＪ）
協力プロデューサー：東城祐司（ＭＭＪ）、両沢和幸
制作：テレビ朝日、ＭＭＪ
関東放送枠：テレ朝系・月曜８時

これまでは少女コミック路線だったこの枠ですが、今回は少年コミック路線にシフトチェンジしたようです。物語や設定は「味いちもんめ」、演出的には「美味しんぼ」（演出：藤田明二）に通じるものがあります。……などと思いながら、エンドロールを見てたら、両沢和幸さんの名前があったので、ニヤリとしてしまいました。(^^)

両沢さんは「味いちもんめ」の脚本を書いていた人で、ＭＭＪのドラマでは、「女教師」「傷だらけの女」などでお馴染みです。今回は脚本プロデュースをしているのだと思われます。その他の出演者・スタッフの顔ぶれを見ると、「イグアナ」～「音無可憐」系の人たちに「ガラスの仮面」系の人たちが合流したという感じでしょうか。そういえば、このドラマ、「ガラス…」の将棋版という趣もありますね。杉山登さんはプロデューサーとして参加されていますが、演出する予定はあるのでしょうか。

森田剛は「新・俺旅」のときも、マンガっぽい演技をする人だったんで、今回は違和感なくハマってます。脇役も中尾彬、寺田農、川島なお美、田辺誠一、高松英郎とウソ臭いキャラクターが揃っていて、なかなか壮観です。この辺のキャラクターをデフォルメするセンスが「美味しんぼ」的なんですよね。また、将棋盤上の駒を真上から撮ってみたり、接写で撮ってみたりするところも、御膳の上の料理を撮る手法を流用しているような気がします。駒が光るところとかも。(^^)

第２話は、伊東努（デビット伊東）との勝負のシーンが、思っていたよりもシリアスな仕上がりになっていて、ちょっと意外でした。率直に言って、伊東のキャラ自体はかなりギャグっぽいので、死んでもあんまり悲しい感じはしないのですが、母親のエピソードがあったおかげで、悲しい感じになりました。原作ではどうなっているのか知りませんが、効果的なエピソードだったと思います。また、このシーンで流れていたＢＧＭも、いままでの寺嶋民哉さんとは一味違った重厚な作風（エスノ～サイケ風？）で、新鮮です。

ところで、伊東が演じた役は実在の人物を下敷きにしていたようですが、だとするなら、もう少し現実的なキャラ設定でも良かったのかなとも思います。そのほうが、シリアス部分のインパクトが強くなったような気がします。第３話以降、シリアスな部分とお笑い部分（デフォルメ系）のバランスの取り方が、どうなるのか注目してみたいですね。

ところで、スケジュールの二宮浩行さんって、フジのドラマでよく見かける名前で、「Age,35」「ドク」「WITH LOVE」などで演出もしている人ですが、こんなところで名前を見かけるとは思いませんでした。^^;

00/01/24 二千年の恋(3)

脚本：藤本有紀
演出：河毛俊作(1)(2)、澤田鎌作(3)
プロデュース：小岩井宏悦
演出補：西浦匡規
関東放送枠：フジ系・月曜９時

これは第３話になってから面白くなりました。河毛さんが演出した１～２話は、月９恋愛ドラマ風の部分と、国際諜報サスペンスの部分のバランスが中途半端な印象だったんですが、第３話では物語が大きく動いたせいもあって、サスペンス的な要素が強くなりました。特にホテルの屋上のシーンは、月９というよりはアクション映画みたいな映像センスでした。

個人的に面白いと思ったのは、サスペンス度が高まった方が恋愛ドラマとしても面白くなりそうな気がしたことです。中山美穂と金城武の会話は、日本人同志のカップルだったらありえないようなヘビーな部分があって、そこがこのドラマの見どころなんだと思いますが、サスペンス風の展開の方がその部分が生きるような気がするんです。だいいち、その部分が弱くなっちゃうと、「ブランド」とかと大差のないドラマになっちゃいます。ちょっとおおげさにいうなら、ドメスティックな恋愛ドラマ空間に外国人の視点を導入する……というのが、今回のドラマのコンセプトだと、ボクは勝手に考えているのですが……。

演出に関していうと、河毛さんが中山美穂（恋愛）に力点を置いているのに対して、澤田さんは金城武（サスペンス）に力点を置いているような印象を受けました。特に、金城の顔（目元？）を変則アングルっぽいアップで撮ったカットを多用していたようです。あと、終盤の方で、サントラのインスト曲をドラマチックな感じでガンガン流していましたが、ああいう押しの強いＢＧＭの使い方も、澤田さんっぽいですね。

演出補の西浦匡規さんは、「神様…」の時に、１回だけ演出をしていましたが、その回だけ金城武の表情がカジュアルな感じになっていて、記憶に残っています。今回は演出する予定があるのでしょうか。

ところで、東幹久は、来週は「賭事女王」にも出るみたいですが、すっかり悪役が板についていますね。(^^)

00/01/24 未来からのラブレター(3)

脚本：羽原大介
演出：相沢淳
音楽：寺嶋民哉
プロデュース：水田伸生、赤羽根敏男
監修：吉野洋
出演：田中美里、大柴邦彦、植松真美、立石涼子、佐々木敏、冨家規政
関東放送枠：日テレ系・月曜深夜　shin-D

このドラマを演出している相沢淳さんが、どういう方なのか知りませんが、実に手堅い演出をする人ですね。寺嶋民哉さんの音楽と映像でメランコリックに決めてみたり、芝居のテンポ感をていねいに組み立てて笑わせたりと、地味だけどクオリティの高い演出をしています。また、幽霊役の大柴邦彦の顔だけ、黄色っぽい色調に画像処理（照明？）するなど、芸が細かいです。

特にお気に入りなのが、田中美里の両親を演じている立石涼子と佐々木敏の２人。「お見合い結婚」に負けないクオリティです。……笑えます。(^o^)

それにしても、最近のshin-Dの劇中音楽って、ほとんどが寺嶋民哉さんなんじゃないでしょうか？

00/01/25 お見合い結婚(3)

脚本：吉田紀子
演出：木下高男(1)(2)、高橋正秀(3)
プロデュース：杉尾敦弘
関東放送枠：フジ系・火曜９時

どこがスゴイのかよくわからないんですが、見ていると笑ってしまうドラマです。キャスティングが良いのか、演技が良いのか、演出が良いのか、音楽が良いのか、台本が良いのか……、まったく要因が特定できないです。^^;

個々のネタとかアイデアは、それほど新しいとは思わないんですが、だとすると、やはり演技とか演出のニュアンスが面白いということになるんでしょうか。

ちなみに演出が高橋さんに替わった第３話ですが、若干笑いのクオリティが落ちたような印象もあります。俳優の演技が大袈裟すぎて、わざとらしく感じられてしまう部分が多くなったような気がしました。ラストシーンはオチがないまま終わってしまいましたが、あそこは感動するところなんでしょうか。それとも往年のトレンディドラマのパロディと解釈するべきなんでしょうか。(^^)

第１話を見たときは、脇役は面白いのに主役の松たか子が一番笑えない…と思ったのですが、第２話ではその点も改善されて、第３話では全体的に心持ちパワーダウンという感じです。第４話以降どうなるのか注意して見ていきたいです。

ところで、第２話で、ラブホテル事件の後にユースケが出社して、今井雅之らと話しているシーン。カメラアングルが切り替わると、それまで、その場に存在していなかった上司の清水省吾がいきなり登場している……というカット割りがありました。「サイコメトラーEIJI２」の第３話（演出：猪俣隆一）では、この手法が連続技で使われていて、カメラが切り替わる度に新しい人物が登場しているという、過激なカット割りになっていたのを思い出しました。

00/01/25 イマジン(3)

原作：槇村さとる
脚本：江頭美智留
演出：新城毅彦(1)(2)、西前俊典(3)
音楽：斎藤ネコ
プロデュース：三宅喜重（関テレ）、見留多佳城、青島武（Ｇ・カンパニー）
制作：関西テレビ、Ｇ・カンパニー
関東放送枠：フジ系・火曜10時

これは、見た人によって、評価が大きく分かれるドラマだと思います。わかる人にはわかる…という世界です。ボクなんかは、オープニングの深田恭子が朝支度をしているシーンだけで、ビビビッと来ちゃいましたね。(^^ゞ　一言でいうと、雰囲気が良いということなんですが、もう少し具体的にいうと、ナレーションの詩的なセンス、深田恭子の声質、斎藤ネコのＢＧＭ、セットが醸し出す空気感……みたいなものが、総合的に良い味を出しているという感じなんです。

また、深田恭子・黒木瞳が会話するシーンにおける、声の響き方というかエコー処理にも、味があるように感じたのですが、気のせいでしょうか？　同じことは朝の会社のシーンにもいえて、独特の空気感に魅せられてしまいました。

新城毅彦さんは、「東京大学物語」「輝く季節の中で」「イグアナの娘」「ボーイハント」「てっぺん」などを手がけてきた演出家ですが、このドラマは新城さんがチーフで演出した「ふたり」に一番近い印象です。「ふたり」も雰囲気の良いドラマでした。さらに、セカンドＤの西前俊典さんは、「ガラスの仮面」でチーフＤを務めていた人なので、このドラマには月８テイストが凝縮されていると考えて間違いないでしょう。また、音楽の斎藤ネコさんという方は、初めて見る名前ですが、やはり月８でお馴染みの寺嶋民哉さんの音楽に非常によく似ていると思いました。この音楽は、このドラマにはなくてはならない存在でしょう。――好きです。(^^)

家事が得意で、男関係は地味で、性格がおとなしめの文学少女……という良妻賢母的なキャラ設定は、時代錯誤っぽい感じもするのですが、ナレーションに説得力があるのか、違和感なく見れちゃうから不思議です。原作を読んでいないので比較はできませんが、脚本（または原作）のクオリティが高いということなんだと思います。

たとえば、職場のお局さん的存在の女性をめぐるエピソード（第２話）なんて、深田恭子のナレーションと中村俊介の一言だけで、ドラマとして成立しているわけで、新鮮です。基本的にドラマというのは、目に見える事件を中心に成り立つものなので、わざとらしい事件が起こりがちなんですが、このドラマでは“内面の事件”を中心に物語が動いている側面が強くて、そこが新鮮なんです。――それだけに、第３話での、すれ違い系の安っぽい物語展開（外面の事件）はちょっと残念です。(-_-;)

なお、西前俊典さんに関しては、共テレの村上正典さんに近い、ヨーロッパ趣味の映像を好む演出家……という印象があったのですが、幼少時代の傘のシーンなどは、まさにそんな感じでした。(^^)

00/01/26 モナリザの微笑(3)

脚本：福田靖(1)(2)、飯野陽子(3)
演出：永山耕三(1)(2)(3)、田島大輔
プロデュース：河合徹
関東放送枠：フジ系・水曜９時

う～ん、これはツライですね～。(^^ゞ　な～んか、メリハリのない「古畑任三郎」という感じ。特に日向敏文さんの音楽が中途半端にチープで、ドラマのインパクトを弱くしています。永山耕三さんとしては、今までの作風とは違ったものにトライしたのだと思われますが、出来栄えはいまひとつという感じです。

弱いといえば、キャラクターも弱いし、ストーリーも毎回贋作がどうのこうの……という展開だから、興味がわかないですね。バブルの時代ならまだしも、この不況の時代にオークションに興味を持つ人がいっぱいいるとは思えないです。この意味では、10時からの「平成夫婦茶碗」と好対照です。内容も視聴率も。(^^ゞ

……な～んて思っていたら、27日の朝日新聞夕刊に池袋の東武美術館が閉館になるという記事があって、昨年のセゾン美術館の閉館など、美術界の冬の時代は当分続きそうだと書いてありました。やはり、美術品オークションというのは時代の流れに合っていないのかもしれないです。

これだったら、むしろ、岡田准一を主人公にして鑑定家としての成長物語にした方が、面白くなったかもしれないですね。その方が視聴者も感情移入しやすいし……。

なお、このドラマには主題歌がなくて、オープニングとエンディングのタイトルバックには日向敏文さんのインスト曲が使われているようです。その代わりなのか挿入歌が２曲クレジットさていますが、第３話では挿入歌が３曲に増えていて、そのうち１曲がエンディングのタイトルバックに使われていました。

その第３話に関して一言チャチャを。(^^)　最後に、杉本哲太が描いた妻の肖像画を見て、江口洋介が「この絵にもっと早く出会いたかった」と言うくだりがありました。ボクには、そんなにすばらしい作品に見えなかったんですが、単にボクに絵心がないだけなんでしょうか？(^^ゞ

このドラマはプロデューサーと脚本家と江口洋介が「救命病棟24時」と同じなので、杉本哲太のゲスト出演もその流れなんでしょう。この先も「救命病棟」関係のゲストがあるかもしれないです。須藤理沙とか、沢村一樹とか、金田明夫とか。(^^)

00/01/26 平成夫婦茶碗(3)

脚本：森下佳子
演出：三枝孝臣(1)(2)、長沼誠(3)
企画プロデュース：遊川和彦
プロデュース：大平太、仲野尚之
関東放送枠：日テレ系・水曜10時

これは放映前から注目していたので、初回視聴率22.2％というのは、ある意味納得がいく結果です。貧乏ネタに子供ネタをプラスして、笑いと涙の人情喜劇……というのは、トレンディドラマ以降、姿を消したスタイルだから、王道なのに新鮮だったんです。しかも、東山紀之が三枚目をやるという意外性もありました。――こういうドラマが好視聴率をとったということは、多くの視聴者が最近のドラマにマンネリ感を感じていたということの証明になるんじゃないでしょうか。さらに、このドラマの場合、「Ｊ家の反乱」との共通点も見逃せないと思います。

演出をしている三枝孝臣さんはバラエティ畑の人らしいですが、詳しいことはわかりません。第１話の演出は、かなりアイデア豊富でした。オープニング部分は、星護さんのスタイルの流用ですが、後半の泣きのシーンは星さんだったら絶対にやらないだろうと思われる、湿っぽい演出になっていました。カメラワークなどにも手が込んだものがありました。ところが、第２話になると力が尽きたのか、ネタ切れっぽい印象でした。なお、クライマックスで洋楽をかけるというのが、三枝さんのパターンのようです。

長沼誠さんの名前は、演出補として見かけることが多いのですが、「聖龍伝説」のころからはときたま演出で見かけるようになりました。今回はセカンドＤです。前半のコメディ部分は星護風のスタイルで、カメラワークで笑いを強調していたような印象を受けました。後半の火事のシーンとかはちょっと土９っぽかったですね。(^^ゞ

個人的には、オープニングにしか出てこない、お隣の一家の存在が気になります。第３話ではキャバクラ（？）のシーンに、父親（清水省吾）と娘（矢沢心）が登場していました。この、メインストーリーとはまったく接点のないサブストーリーの行方にも注目です。(^^)

00/01/27 ３年Ｂ組金八先生(14)

演出：今井夏木(14)
演出補：酒井聖博
プロデュース補：せんのともつぐ

気がついたら、いつのまにか“プロデュース補：森一弘”のクレジットが、せんのともつぐさんになっています。ちなみに森一弘さんは、次週の「金八」の演出も予定されているみたいです。(^^)

しかし、今週はなんといっても「金八」初登場の今井夏木さん。(^^)　ケイゾク派の人（？）にはおなじみの人です。他にも「あきまへんで！」「LxIxVxE」深夜枠のドラマなどでも演出をしています。上手いという印象はあまりないのですが（失礼！）、思い切りのいい派手な演出をする人……という印象があります。^/^

で、今週の演出は、兼末ネタに手の込んだカメラワークを集中させて、それ以外のシーンはお芝居のライブ感を重視するというコンセプトになっていたようです。まあ、演出家だったら一度は風間俊介（兼末）で遊んでみたい、という思いがあるのかもしれません。それに兼末関連のシーンはセリフが少ないから、カメラワークや音楽に凝らざるを得ないという事情もあるのでしょう。

それにしても、机をひっくり返すシーンのカット割りは迫力ありましたね。さすがケイゾク派だと思っちゃいました。その直後、廊下で花子先生（小西美帆）を振り切るシーンでは、小西美帆の顔アップを映したカメラがぐ～んと10メートルぐらい引いていって、次のカットがこれとは逆に、校庭に飛び出した風間俊介を秒速10メートルぐらいのスピードでカメラが接近していく……という展開。ＢＧＭが（「金八」にしては）派手だったこともあって、グッと来ちゃいました。(^^ゞ　ただ、風間が泣きわめくところは、もうちょっと色気というかニュアンスがほしかったですね。

ちなみにこのシーンの前の、風間が職員室で小西につれなくされるシーンでも、画面中央に小さく写ってる風間に向かってカメラがズームしていくカットがあったので、この３つのカットでセットになっていたということなんでしょうか。(^^ゞ

一方、お芝居重視のシーンとしては、好太（森雄介）がストーカー（？）の加奈恵（中島由香里）のことを金八に相談するシーンとか、その加奈恵を保健室で説得するシーンなどがありましたが、やはり圧巻だったのは、金八一家の家族バトル（？）のシーンでしょうか。あのシーンはマルチで一発撮りだったんでしょうか？　いままで存在感が薄かった乙女（星野真里）の演技がたっぷり見れました。ただし、幸作（佐野泰臣）はシリアスな表情よりもバカっぽい表情の方が絵になりますね。(^^ゞ

２クール目に入ってからは、生徒役の個性～持ち味がお芝居に反映されるようになって、ライブ感のあるシーンが増えています。やはり、年末の短歌合評会と新春ＳＰの収録が大きかったんでしょう。ただ、兼末とちはる（岡あゆみ）以外で目立っている生徒は、“バカ系良い人”が多くて、もう少しバラエティがほしいですね。注目キャラとしては、最後列中央の中込祥夫（平野良）あたりでしょうか。画面の隅っこで変なことをやってます。(^^)　先週13話ラストの合格発表のシーンでは、友子（小高早紀）の後ろで失神（？）してました。

ところで、新春ＳＰ以降のストーリー展開は、ちょっとパワーダウンしているような気がしませんか？　兼末以外のエピソードはどれも箸休めみたいな軽い内容で、あまり奥行きが感じられないし、体罰事件を聞きつけた新聞記者の一件にしても御都合主義的でリアリティがなさすぎます。受験会場でのケンカとか、加奈恵のストーカー事件とかも、20年前の「金八」から進歩していないというか、時代錯誤的なエピソードです。さらに、登校拒否だった篤（内田祐介）なんて、早くも御役御免という感じになってるし……。(-_-;)

また、兼末ネタにしても、ブラック兼末から一気にブルー兼末に切り替わっちゃって、もう少し段階を踏んでほしかったな～と思ってしまいます。まあ、急に弱々しくなるというのも、やり方としてはありだと思うのですが、ブラック兼末のイメージが強かっただけに何か物足りないものを感じちゃうんですよね。で、その兼末から悪の顔を引き継いだのが明彦（亀梨和也）なんですが、なんか迫力がないですね……。まあ、ブルー兼末のキーワードは“友情（親友）”らしいから、最後に兼末を救うのは明彦になりそうなんですが……。

00/01/27 ブランド(3)

脚本：田渕久美子
演出：平野眞(1)(2)、村上正典(3)
音楽：林哲司
プロデュース：和田行（フジ）、加藤正俊
演出補：山下学美
プロデューサー補：渡辺直美
制作：フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠：フジ系・木曜10時

これは、共テレスタッフが月９風の王道ラブストーリーにトライした作品のようです。平野眞さんといえば、「ショムニ」「お水の花道」「小市民ケーン」などを手がけた人ですが、このドラマにそういうテイストを期待するとがっかりします。オープニングのタイトルバックで主題歌がかかって、ラストのクライマックスでもう一度かかるという……月９的な王道スタイルです。部分的にトリッキーなカット割りが見られますが、それ以外はオーソドックスな撮り方をしているようです。

セカンドＤの村上正典さんは、ヨーロッパ映画的な演出をする人です。第３話では、茶会の舞台となった日本家屋のシーンが印象に残りました。幾何学的な空間感覚を意識した構図の取り方に力を入れていたようです。欲をいえば、もう少し美術に凝ってほしかったのですが、セットじゃないので、そうもいかなかったのでしょう。

田渕久美子さんの脚本は、「ニュースの女」のヒロイン設定に「殴る女」的な恋愛関係をプラスした、という感じになっています。ただし、第２話に出てきた、年上の女（今井美樹）が年下の男（市川染五郎）を叱りつけるという展開は、今までの恋愛ドラマにはなかったパターンかもしれません。とはいっても、染五郎って結構老けた顔してるから、あんまり年下という感じがしないんですけど……。(^^ゞ

00/01/28 恋の神様(3)

脚本：青柳祐美子
演出：吉田秋生(1)(2)、松原浩(3)
プロデュース：丹羽多聞アンドリウ
関東放送枠：ＴＢＳ系・金曜９時

コメントしづらいドラマですね。特に２～３話に出てきた学費紛失のエピソードがあまりにもリアリティがなさすぎて、他のエピソードまでウソ臭く見えてしまいます。カッシーもいまひとつ存在感がないし、他にも面白そうなキャラクターが見つかりません。

唯一例外なのが、２～３話に出てきた一戸奈未。「賭事女王」（フジ月曜深夜）で四女をやっているコです。画面の前で「シュシュだ～！」と呟いてしまった人もいることでしょう。ちなみにボクは、レストランのシーンでいしだ壱成に向かって「あなたは本当はマゾよ！」などと言い出しそうに見えてドキドキしてしまいました。(^^;;;　――第３話では、どういうワケだか松葉杖姿で登場していましたが、それってまさか「賭事女王」のストーリーとリンクしているっていうことなんでしょうか？　だったらかなり来てますね～。「天国に一番近い男」みたい。(^o^)

演出面で気になったのは自宅のセット。木村佳乃の方が洋風のフローリング＆ベッドなのに対して、いしだ壱成の方は下町風の貧乏臭い和風家屋。ちゃぶ台で夕飯を食べてたりして、なかなかインパクトあります。また、どちらのセットでも比較的ローアングルで登場人物を撮っていることが多いみたいで、狭っ苦しい感じを含めて、独特の臨場感があります。

ＢＧＭの使い方も全体的に控えめで、じっくり演技を見せるという演出方針になっているようです。

00/01/28 金曜日の恋人たちへ(3)

脚本：中山乃梨子
演出：森田光則(1)、倉貫健二郎(2)、冨田勝典(3)
プロデュース：森田光則
制作：ＴＢＳ、木下プロダクション
関東放送枠：ＴＢＳ系・金曜10時

木下プロは「ベストフレンド」につづいて、ここでも一週ごとに演出家が替わっているようです。こちらも「恋の神様」同様、（劇中で高橋克典が弾くピアノ曲を別にすれば）ＢＧＭが地味で、お芝居重視のオーソドックスな撮り方をしています。会社内のセットなども、昔のＴＢＳドラマに通じるような雰囲気があります。ただし、第３話では、バイクで書類を届けるシーンや水野真紀が倒れるシーンなどで、派手なＢＧＭが入っていました。個人的な趣味でいうと、バイクで渋滞をぬけていくシーンはもっと派手に見せてほしかったです。去年の秋にやったＮＨＫ「疾風（ハヤテ）のように」が良かったですから……。

このドラマでの藤原紀香ですが、「ナオミ」や「危険な関係」と比べても、一番違和感がないように感じます。逆境にあっても適度に明るい感じでいるのがハマリ役ということなんでしょう。ちなみに、１～３話の中では、倉貫健二郎さんが演出した第２話の藤原紀香が、セリフや表情のニュアンスに一番味があったような気がします。実をいうと、「ベストフレンド」でも一番演出が良かったのは、倉貫さんが演出した第４話だったじゃないかという気がしているので、今後も倉貫さんの演出には注目してみたいと思っています。(^^)

やはり第２話で、お見合いの席で水野真紀がテーブルのお茶をこぼすシーンがありましたが、あれは梅酒のＣＭのパロディなんでしょうか？　第１話でも「すぐにババァよ！」なんて言ってましたが…。(^^)

ところで、第１話を見た時にエンディングテーマのＬＵＣＡ「Prayer」が気に入ったのですが、第２話ではアレンジがガラリと変わっていたのでびっくりしてしまいました。こういうことってあるんですね。(*_*)　第１話で流れていたのはデモ・バージョンなんでしょうか。ボクとしてはそちらの方がシンプルで良いと思うのですが……。(;_;)

00/02/05 バーチャルガール(4)

演出：佐藤東弥(1)(2)(3)、猪俣隆一(4)(5)
ゲスト：高嶋政伸(3)、安達祐実(4)

先週の第３話は、カット割りの完成度が高かったので、演出家が替わったのかと思ったのですが、ラストのクレジットを見たら佐藤東弥さんだったので、ちょっと意外でした。で、この第４話は、演出が猪股さんに交替していたのですが、大きな違いは感じられませんでした。猪股さんは過去に安達祐実や榎本加奈子のドラマを演出しているので、ある意味、同窓会的な顔ぶれで収録された回だと思われます。

一番印象に残ったのがラストシーン。フラッシュバック（？）でしゃがんでいる榎本加奈子の肩に、手をまわしている三宅健。なんか意味ありげなカットだなと思っていたら、最後のセリフ――。

　三宅健　　「立てるか？」（三宅のアップ）
　榎本加奈子「……うん」（榎本のアップ）
　　　　　　――エンドロール

なんかエロチックな余韻が残って良いですね～。(^_^)　これは、脚本家のアイデアなんでしょうか。それとも猪股さんのアイデアなんでしょうか。センス良いなと思いました。まあ、わかる人にしかわからない感覚だと思いますが……。

【追記】
殺されちゃった安達祐実のクラスメートの子。なかなか顔に趣があって印象的でした。名前は平田裕香というようですが、初めて見る名前です。ひょっとしたら日曜昼のジャニーズJr.のドラマ枠に出たことがあるかもしれません。

00/02/08 大地の産声が聞こえる―15才いちご薄書

脚本：市川森一
演出：雨宮望
プロデュース：酒井浩至
音楽：三枝成章
演出補：相沢淳、近藤一彦
プロデューサー補：前田伸一郎、赤羽根敏男（エフ・プロジェクト）
出演：池脇千鶴、浅野ゆう子、赤井英和、渋谷すばる
制作：日本テレビ
関東放送枠：日テレ系・火曜午後９～11時

「カネボウヒューマンスペシャル」の第20弾で最終作だそうです。市川森一さんと池脇千鶴の組み合わせは、以前ＮＨＫでやった女性警察官のドラマでもありました。演出の雨宮さんは、日テレの中では映像派に属する演出家のようです。最近では24時間テレビのドラマ（滝沢秀明が出てたやつ）や「ラビリンス」を演出していた人です。どちらも、カメラワークやアングルにこだわりが感じられたのですが、いまひとつ物足りない印象がしたのを覚えています。

このドラマでは、映画と同じように１カメで撮影されたようで、自宅のシーンも実際に山中に家を建てて収録したそうです。そのようにしてお金と時間をかけただけあって、風情のある映像が多かったのですが、どこか物足りない印象の残ってしまうのは、どうしてなんでしょうか。ＢＧＭの使い方も含めて微妙に感性が古臭い感じがしちゃうのかな？　それと同時に、俳優（池脇千鶴）とカメラの間に距離があるような、もどかしい印象も残りました。

一番インパクトがあったのは、やはり出産のシーンで、どういう撮り方をしていたのか気になりました。本物の妊婦を連れてきて、その出産シーンをそのまま撮影しているという感じがしました。(^_^)

ただ、物語に関しては、何を言いたいのかよくわからなかったです。(^^ゞ　浅野・赤井夫婦の子育て観にも疑問が残るし、渋谷すばるの一件に関しても、これといった決着もないまま、出産シーンの感動ですべてをウヤムヤにしている……という感じがします。

まあ、池脇千鶴の一家はあれでＯＫかもしれませんが、渋谷すばるの一家はあのままじゃ浮かばれないですよね。そもそも船で沖に出ただけで、なんで死んじゃうのか理解できないし、死因もわからないままでした。渋谷すばるが金持ちの優等生という設定にも違和感を感じたのですが、赤井英和と井戸掘りをしているシーンでは妙にハマっていました。(^^)

00/02/10 ３年Ｂ組金八先生(16)

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)(16)(17)
　　　山崎恆成(2)(5)
　　　鈴木早苗(3)(6)(10)(13)
　　　柳井満　(8)
　　　森一弘　(9)(15)
　　　今井夏木(14)

サブタイトルが「ガラスの少年・１」で、兼末ネタが大きく進展した回でしたが、期待が大きかったぶん、ちょっと物足りない感じもありました。最大の見所は兼末（風間俊介）が金八に抱きついて泣くシーンなんですが、いくつか気になるところがありました。

まず、涙の場面自体は、先週の予告で見ていたので、どのタイミングで出てくるのかに注目していたのですが、あの場面で泣かせるのがベストだったんでしょうか。兼末のキャラを考えるとちょっと素直すぎるような気がします。むしろ、両親を怒鳴りつけてから帰る金八を兼末が追いかけていって、涙でエンディング……の方が、ドラマチックだったんじゃないかと思います。

次に、ＢＧＭの「アメージング・グレース」について。東京の下町を舞台にした「金八」に讃美歌というのはミスマッチだったように感じました。また、この曲はこの場面が初出ではなくて、ドラマ前半部の兼末家の回想シーンで流れていたので、その分インパクトが弱くなってしまいました。どういう意図で、こういう演出になったのか、よくわからないですね。(^^)

さらに、金八が兼末の家の前で携帯電話から電話をかけてた、という展開も、トレンディドラマみたいで笑っちゃいましたね。これは、福澤Ｄ独特のユーモアなんでしょうか。今回の「金八」は演出的に遊んでいる場面が多くて、兼末兄の描写なんてその最たるものなんですが、この場面に関しては、どうなんでしょう？　まあ、出演者の演技自体はテンションが高かったので、ボクみたいに変な見方をしなければ、感動できるシーンだったとは思いますが。――ところで、サブタイトルを見て「まさかKinKi Kidsの曲がかかったりしないよね～」などと心配していたのは、ボクだけでしょうか？　^^;

ところで、公式サイトで風間俊介が面白いことを言っていて、「武田鉄矢は共演者を乗せるのが上手い」とのことです。まあ、そう言ってる風間俊介もなかなかクールで理知的な人みたいですね。ただ、この日の放送で一番美味しかったのは、秋野大作が演じたダメパパかもしれません。さすが、元祖グズ六という感じでした。(^^)

個人的に一番印象に残ったのは、兼末がちはる（岡あゆみ）に「合格おめでとう」と声をかけられた時、間をおいて「ありがとな」と答える場面。ストイックだけど、視聴者のイマジネーションを刺激する感情描写だと思います。ラストでの金八の怒りもインパクトありましたが、この場面の方が好きだという人も、たくさんいるのではないでしょうか。ただし、前にも書いたように、ブラック兼末からブルー兼末への移行に無理があって、かつての兼末と同一人物とは思えないという違和感は残ります。(^^ゞ

兼末ネタ以外では、生意気な優等生（これは定番キャラ）を演じている桑原朋宏（役名：森山慶貴）が良い味を出していました。正直いって、今まではいまひとつ魅力を感じないキャラだったんですが、今回は合否発表シーンでのアップが良かったです。ママ（うつみ宮土理）が登場するシーンも、芝居やカット割りの間の取り方に、福澤Ｄのセンスの良さを感じました。また、米田真規子役の倉沢桃子の存在感が大きくなってきた点にも注目したいです。

今回の「金八」は卒業式を一週繰り上げて、最終回も兼末ネタでいくそうです。福澤Ｄは小山内さんに「パート２を超える脚本を」とリクエストしているようですが、だとすると、この先もっと派手な展開が待っているということになります。(^o^)　そもそも「金八」というのは、パート１にしてもパート２にしても物議を呼んだストーリーだったわけで、このパート５にもそうした展開を期待してたりします。

18話以降の演出の分担がどうなっているのかも気になります。これまでの流れだと、重要なエピソードは福澤さんが担当するようになっているみたいなので、あと２回ぐらい山場がありそうです。

(17)　2/17　福澤（ガラスの少年・２）
(18)　2/24　鈴木
(19)　3/02　森
(20)　3/09　福澤
(21)　3/16　金子文紀（希望的観測です）
(22)　3/23　鈴木（卒業式ＳＰ？）
(23)　3/30　福澤（最終回ＳＰ）

な～んて予測してみましたが、どうでしょう。難しいのは20～21話あたりですね。(^_-)

――いまのところ、まだ誰も死んでいないんですけど、誰か一人くらい死にそうな予感がしませんか？　ただ、生徒が死んじゃうと、将来ＳＰを作るときに出番かなくなっちゃうし、難しいところですね。ホントは兼末が死んじゃったりするとかなり泣けそうな気がするのですが、むしろ、兼末兄か兼末母の可能性の方が高いです。あと、老人センター関連で織本順吉とか。あと、唐突に入院・手術になっちゃった邦平（五十畑迅人）も、ちょっと心配ですね。(^^ゞ

ところで、先週の15話は視聴率が20.4％で、今シリーズ初の20％の大台に乗りました。第11話の新春ＳＰの効果が１ヵ月遅れで反映されたということなんでしょうか。「伊東家の食卓」も今ごろになって27％になっているみたいだし、番組の内容が視聴率に反映されるのには、かなりの時間がかかるということなのかもしれません。そういう意味では、１クールで終わってしまう連続ドラマというのは、ちょっと不利ですね。今後は２クール以上のドラマがもっと増えてくれると良いですね。(^_-)

00/02/10 ブランド(5)

演出：平野眞(1)(2)(4)、村上正典(3)(5)

平野さんが演出した先週の第４話は、前半部がショムニ風のカット割りになっていて、「やっぱり平野さんはこれだよ！」なんて思ってしまいました。興味深かったのは、カット割りがショムニ風なのに、ＢＧＭがしっとり系になっているシーンがいくつかあったこと。これも一種の実験だったのかもしれません。「お水の花道」がショムニスタイルのハード版だったとするなら、「ブランド」第４話はソフト版という感じでしょうか。

この回は、佐藤藍子の表情や演技に力を入れて演出されていたようです。ただ、コミカル系のＢＧＭの入れ方がちょっと雑だったような気がします。(^^ゞ

00/02/11 恋の神様(5)

演出：吉田秋生(1)(2)、松原浩(3)(4)、難波一弘(5)

このドラマのＢＧＭは地味ですが、注意して聞いていると、意外に味があって好きです。キーボードの音色が渋いです。「モナリザの微笑」のキーボードと比較してみると、音色に対するセンスの違いがわかってもらえると思います。

難波一弘さんって、「魔女の条件」や「パパ・サヴァイバル」の演出もされていたように記憶していますが……？　吉田さんが演出した１、２話に近いような印象を持ちました。ちなみにこの日の演出クレジットは、「テレパル」に書いてあったのを見ただけで、エンドロールでは確認していません。（たまに違ってることがあるんですよね）

00/02/11 金曜日の恋人たち(5)

演出：森田光則(1)(5)、倉貫健二郎(2)、冨田勝典(3)、高野英治(4)
プロデュース：森田光則

ここに来て、ストーリーが急に安っぽくなってしまいました。このドラマって、要するに水野真紀がガンで、物語を引っ掻き回しているという感じですね。この回は第１話に続いて森田光則さんの演出なんですが、今までの中でも一番メロドラマっぽい演出になっていて、ちょっと閉口しました。

特に、藤原紀香と高橋克典が見つめ合うシーンなんて、大昔のメロドラマみたいで、笑ってしまいました。ピアノを弾いているときの高橋克典のアップとかも気持ち悪かったし……。少なくても、３～４話の時はこんなにベタな演出じゃなかったはずです。

00/02/12 19（ナインティーン）～LAST TEENAGE SUMMER

脚本：小此木聡、小松壮一郎
演出：小松壮一郎
プロデュース：門田大地
出演：徳山秀典、加々美正史、三田寛子、白竜、クリア・ケアンズ
制作：ＲＣＣ、ゴイス
関東放送枠：ＴＢＳ系・土曜・午後２時

地方局制作による単発ドラマのようですが、正直言ってワケがわからない１時間でした。(^^)　ストーリーらしいものはほとんどなくて、リーバイスのＣＭみたいなオシャレな映像がダラダラと続いているだけ。それなりに「良いな～」と思える映像がなかったわけではないのですが、１時間も続けられると飽きちゃいます。とにかく色彩感が過剰なくらいに派手なので、じっと見てると目がチカチカして疲れちゃうかも。(^^ゞ

ドラマの半分くらいは音楽が流れているだけで、音楽が終わって芝居が始まるのかと思うと、また音楽……という感じ。徳山秀典のアイドルビデオだと思って見れば、それなりに楽しめるのかもしれませんが、深夜の放送だったら眠ってしまいそうですね。(^^)

最大の見せ場は、徳山秀典ともう一人がアコースティックギター２本で、スティーヴィー・ワンダーの「太陽のあたる場所」を歌うシーン。徳山秀典本人が歌っていたみたいです。ちょっと大味な感じがしましたが、60年代の地方都市のフォーク青年とスティーヴィー・ワンダーという組み合わせが新鮮でした。――蛇足ですが、徳山と白竜の組み合わせは「ぼくらの勇気・未満都市」と同じですね。

00/02/17 ３年Ｂ組金八先生(17)

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)(16)(17)

冒頭の土手のシーンが印象的でした。幸作（佐野泰臣）とちはる（岡あゆみ）が兼末家の話をしながら登校しているシーン。ちょっぴり不気味なＢＧＭもヘビーな展開を予感させて、上手い出だしでした。明彦（亀梨和也）が兼末（風間俊介）からお金を受け取るシーン（多分第12話）でもそうでしたが、福澤さんは土手の高さを強調するようなカメラアングルを心がけているようです。この回でも、ステディカムを使ったカメラが垂直方向に上下していて、独特の空間感覚を作り出していました。

前回の「ガラスの少年・１」では、厳しいことも書いてしまいましたが、今回の方が演出の完成度は高かったような気がします。今回の見どころは、慶貴（桑原朋宏）、兼末、明彦の３人のシーンです。生徒役の魅力を最大限に引き出すというのが、２クール目に入ってからの「金八」のポイントですが、福澤Ｄの場合、男子生徒の扱い方が上手いように感じます。公式ホームページによると、福澤さんは慶応大学のラグビー部出身なんだそうで、体育会乗りの演技指導（？）をしているのかもしれません。(^^ゞ

まず、慶貴の自宅のシーンですが、うつみ宮土理との３人の芝居の組み立て方が面白いです。視聴者の予想を裏切るリアクションを多用して、ギャグとシリアスな芝居をつないでいるという感じでした。前回の職員室のシーンでも、相手のリアクションを無視して芝居が進行していく部分がいくつかあって、面白いと思いました。慶貴役の桑原くんも、先週・今週でファンを増やしたことでしょう。(^^)

ただし、「恋の神様」で特徴的なローアングルが頭にあったので、このシーンにおけるカメラの高さが気になりました。金八と慶貴が床に座っている場面などは、もっとローアングルで撮っても良いような気がしました。その方が、もっとリアルな感触が得られたような気がします。

兼末とのからみは、各演出家が力を入れているので、大きな違いは感じられないのですが、今週のベストカットはやはり兼末だと思います。金八が「私は健次郎の方がかわいそうだ」と言った後に挿入された風間俊介のアップ。グッときました。ビデオで再度見直したときも、同じところでグッときたので、セリフではなくて、風間俊介の表情にインパクトを感じたということなんでしょう。風間本人は公式サイトで「16話がオススメ」と言っていますが、ボクとしては今週の17話の方を高く評価したいと思います。

で、終盤に出てきたのが、明彦のシーン。このシーンも良くできていたと思います。亀梨和也のファンはかなり多いみたいで、公式サイトの掲示版でもそうした書き込みをたくさん見かけますが、このシーンはそうしたファンの声に応えて（？）智恵をしぼった……という感じがします。最大のアイデアは、亀梨和也に、終始うつむき加減で半べその演技をさせたことでしょう。台本にはそこまで指定してなかったと思いますが、彼の声質～演技力を考えたら、あれがベストの選択だったと思います。(^^)

以前も書いたかもしれませんが、彼の場合、声に迫力がないので、そこをどう料理するのかが演出上のポイントだったと思います。だから、今回のうつむいて半べそ……というのは、この意味で大ヒットなんです。これだったら、セリフまわしが平板でも違和感がないし。(^^ゞ　しかも、うつむいた涙の表情をアップで映したカットには、けっこう風情がありました。ただし、シーンの冒頭に出てきた窓の外を眺めているカットは、演出意図不明でしたが、まあこれもファンサービスなんでしょう。――誤解のないように書いておきますが、亀梨くんもよくがんばったと思います。(^^)

とはいっても、脚本的には、随分安直な展開です。幸作経由でお金を渡す……という展開からして、御都合主義的で、もう少しなんとかしてほしかったです。　まあ、明彦の“カツアゲ”ネタ自体がインパクト不足だったことを考えると、このネタをさっさと切り上げて、一人旅ネタに移行した方が得策なのかもしれませんが……。(^^)

幸作といえば、ちはるちゃんがらみで、フニャフニャしているシーンが、相変わらず美味しいですね。「《ちはる》なんて、気安く呼ぶなよ～」のところ。(^o^)/

来週18話は今井夏木さん、19話は森一弘さんが演出されるようです。また、ラストは予想した通り、２週連続で２時間ＳＰとなるみたいです。(^^)

00/02/18 恋の神様(6)

演出：吉田秋生(1)(2)(6)、松原浩(3)(4)、難波一弘(5)

「やっぱこのドラマ、地味だけど、微妙に演出が良いよな……」なんて思いながら、エンドロールを見たら、今週は吉田秋生さんの演出でした。たとえば、自宅のシーンで床や畳やベッドに座っている登場人物を、ローアングルでとらえたカットが良いんですよね。登場人物の息遣いが身近に感じられるというか……。

木村佳乃をローアングルから撮ったカットにも味があります。ＢＧＭの使い方も地味なんですが、良いタイミングで入ってきます。――とはいっても、物語自体は、そんなに面白いとは思えないのですが……。(^^ゞ

00/02/20 ビューティフルライフ(6)

演出：生野慈朗(1)(2)(5)(6)、土井裕泰(3)(4)

このドラマの演出に関しては、テレビドラマデータベースの新作掲示版２でも、盛り上がっているようなので、ここでは簡単にコメントしておきます。

生野さんが再度演出した第５、６話ですが、１、２話のときとは違った印象を受けました。一言で言うと「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」っぽいカメラワークが目立つようになりました。お店のシーンなどでは、引きのカットでその空間の広さ／狭さみたいなものを強調していたようです。

また、セットを極力少なくして、照明もリアルな感じにしてロケ収録しているところも、「ケイゾク」～「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」の影響下という感じがします。植田Ｐの趣味なんでしょう。庄野Ｄと植田Ｐは「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」の時と同じコンビだから、意外ではないのですが、こうしたところにも、「ケイゾク」以降の一貫した演出スタイルを感じることができます。(^^)

ところで、この５、６話では70年代風の洋楽がやたらとかかっていましたが、どういう意図があったんでしょうか？　ちなみにボクが知っていた曲は、お店のＢＧＭでかかっていたスティーリー・ダンの「ペグ」（５話）と「ジョージー」（６話）です。

物語に関していうと、第４話以降はちょっとかったるいですね。(^^)　同じようなエピソードのくりかえしという印象がぬぐえません。むしろ、主人公の２人よりも脇の２人の展開の方が気になりました。(^^)

00/02/21 月下の棋士(6)

演出：塚本連平(1)(2)(5)、小松隆志(3)(4)、六車俊治(6)

塚本さんの演出が共テレ～「美味しんぼ」系だとすると、小松さんの演出した３、４話はオフィスクレッシェンド風という印象を持ったんですが、どうでしょう？　塚本さんの方がマンガっぽい感じが強いのに対して、小松さんの方がリアルというか映画っぽい感じがしたんですよね。

で、今週は、オフィスクレッシェンドっぽい感じだったんですが、３、４話よりも映像処理やカメラワークのアイデアが派手になっていたんで、「たぶん小松さんだと思うけど凄いな～」なんて思ってたんですが、クレジットを見たら六車俊治さん！　ビックリしました。(*_*)

六車さんに関しては、昨年６月の「あぶない放課後」(10)を参照してほしいのですが、連ドラの演出をするのもそのとき以来だと思います。テレ朝期待の若手という感じがします。田辺誠一と中尾彬の対決シーンもハデハデでしたが、一番印象に残ったのは、その後、病院のベッドで眠る中尾彬を見つめている森田剛の表情。「森田剛のこんな表情を見るの初めてだ」と思いながら見てました。これも六車さんのセンスなんでしょう。

六車さんの演出は、この第６話だけかもしれませんが、いずれにしても、六車俊治さんの名前は、しっかり頭の中に叩き込んでおいて下さい。(^_-)

物語についていうと、森田剛の内面にもっと揺れがほしいですね。将棋が強くて態度もでかい……というだけでは人間ドラマとしての面白味に欠けます。終盤はそういう展開になっていくのでしょうか？

00/02/24 ３年Ｂ組金八先生(18)

演出：今井夏木(14)(18)

あいかわらず物語はインスタントですね～。(^^)　“一人旅”の中身が“荒川土手の宵越しウォーキング”っていうのは、スリルが無さ過ぎ。もう少し“冒険心”をくすぐる要素がほしかったです。これじゃ心臓手術した邦平のリハビリみたいだ～～。まあ、２月中に明彦ネタや受験ネタを終わらせてしまうところに、終盤に向けての意気込みが感じられたりもするんですが。３月は全部で５週で計７時間。どんなネタを用意しているのでしょうか。――パート６をやる時は、かつての「仙八先生」みたいに４クールぶっ通しでやってほしいですね。可能性は少ないと思いますが……。(^_-)

今井夏木さんが「金八」を演出するのは２度目で、多分これでお終いだと思われます。４月からは初チーフＤを務める新作が始まるみたいですから……。で、今回の演出ですが、やはりお芝居や笑いを演出するのはあまり上手くないですね。「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」の時も同じような感想を持ったんですけど……。(^^ゞ

笑いの演出に関していえば、やはり福澤Ｄと鈴木Ｄの回の完成度が高いです。福澤Ｄの第16～17話の後に見ると、その違いを感じてしまいます。今週のシーンでいえば、幸作（佐野泰臣）がらみのシーンとか、職員室のシーンとか、大森巡査関係とか……、もう少し切れがほしかったです。また、セリフが良く聞こえなかったり、ニュアンスがわかりづらい部分もいくつかあって、気になりました。

引きのカットから、画面中央の人物にズームしていく場面もありましたが、これは第14話の時と同じですね。こうした引きのカットとか、広角レンズ系のカットに「ケイゾク」っぽさを感じなくもないのですが、今週のハイライトはドラマのラスト、金八＆明彦（亀梨和也）が大森巡査らと別れるシーン。――朝靄の荒川河川敷。わずが十数秒のカットでしたが、大掛かりなスモークからして土９的なスケール感を感じる映像でした。土９といえば「サイコメトラーEIJI２」のスモークも凄かったのを思い出しました。(^^)

ちなみに今回の一人旅ロケは、公式サイトにレポートが載っています。それによると収録は早朝から深夜にまで及んだそうで、この朝靄のシーンは夕方に撮影されたとのことです。しかも、このシーンの後に続いた朝焼けの土手の上を歩くシーンはちゃんと早朝に撮影されてたそうなので、随分手の込んだ収録順序になっていたみたいです。でも、あの朝靄のスモークは夜明け前の暗闇の中で準備するのは難しいから、夕方の収録で正解だったのでしょう。

もうひとつの注目シーンは、カレーライス３題（？）のシーンでしょうか。明彦～健次郎～金八一家と、それぞれのカレーライスの光景の対比が明瞭に感じられて、なかなかオシャレなエピソードだったと思いました。こういう、視聴者のイマジネーションを刺激するシーンはドラマの印象を深くします。なお、明彦がカレーを食べてる店の前で大森巡査が食べてたパンがカレーパンだった……という情報もありますが、ボクは未確認です。(^^)　ただ、このシーンにしても、演出的にはもう少し工夫がほしかったような気もします。たとえば鈴木早苗さんだったら、どんな風に撮っていたんでしょうか。(^_-)

ところで、明彦から5500円も取り上げた寿司屋の兄ちゃんが高橋一生でした。彼は今井さんが演出した「Ｌ×Ｉ×Ｖ×Ｅ」第４話にも出ていたから、今井さんのリクエストだったのかもしれないです。(^^)

最初に書いたように物語は陳腐なんですが、どこかロマンチックな余韻が残る回でもありました。もちろん朝靄のカットのインパクトが大きいのは確かなんですが、金八と明彦が焚き火をしているシーンとか、ラストの土手のシーンとか、どこか懐かしいような感触があるんですよね。世代を超えた友情物語みたいなノリがあったからでしょうか。たとえば、亀梨和也にとっては、この日のロケ自体が将来良い思い出になるんじゃないか……な～んてことを考えたりしました。^/^

来週は、森一弘さん。森さんは前回の演出で幸作を上手く撮っていたので、その辺も楽しみです。予告では好太（森雄介）と邦平（五十畑迅人）の正面アップにインパクトを感じましたが……、来週は正面系のアップでガンガン行くんでしょうか？

ちなみに、最終回までのサブタイトルが、私設の応援掲示版に書いてあるのを見かけました。http://www2.plala.or.jp/heart/kin8/kin8.frame.htm

(19)　3/02「生きる事・死ぬ事」
(20)　3/09「ガラスの少年３」
(21)　3/16「ガラスの少年４」
(22)　3/23「卒業直前スペシャル」
(23)　3/30「卒業スペシャル」

ＴＶ雑誌に書いてあったそうですが、これがホントだとすると、終盤も兼末ネタでグイグイ押していくみたいですね。(^^ゞ　１～２月の脚本は終盤の展開を考慮して、兼末以外の生徒の小ネタを駆け足で消化していた……ということなんでしょうか。

兼末といえば、翌25日の「ミュージック・ステーション」（テレ朝・金８）を何気に見ていたら、少年隊のバックで踊ってるのを発見しました。風間俊介がジャニーズなのは以前から知っていたのですが、ボクの中ではいつのまにか兼末のイメージの方が大きくなっていたみたいで、なんとも言いがたい違和感を感じてしまいました。(^^ゞ　両親を見限った兼末が、兄ちゃんの治療費を稼ぐためにジャニーズ入りしちゃった……みたいな感じ。スタジオの脇で、金八とちはるちゃんが「健次郎……かんばれ」とか言って応援しているシーンが目に浮かんできちゃいました。(^_-)

00/02/25 恋の神様(7)

演出：吉田秋生(1)(2)(6)、松原浩(3)(4)(7)、難波一弘(5)

このドラマ、なにげに面白くなってきてますね～。この第７話終了後、「テレビドラマデータベース」の掲示版でも、「恋神」が良いという書き込みが増えているみたいです。

一言で言うと岡田惠和さん風になってきています。「可愛いだけじゃダメかしら？」の終盤のテイストに近いものを感じます。派手な事件は起こらないんだけど、日常が少しずつ変化していく感覚みたいなものを、うまく映像化できてると思います。ラストシーンでの、いしだ壱成の鼻歌もなかなかグッドなアイデアでした。(^^)

前回名前を書き忘れましたが、フレンチポップ風のＢＧＭを担当してるのが山川恵津子さんという、ボクは初めて見かける人。一見地味なんだけど、毎週見ていくに連れて味が出てきました。脚本に関していうと、モノローグは悪くないのですが、ストーリーそのものにはそれほど魅力を感じられません。やはり演出が良いということなんじゃないかと思います。これまで断片的に書いてきたこのドラマの魅力をまとめてみると……
自宅内のシーンにおけるローアングルの多用。登場人物が床や畳の上に座り込んでる場面が多くて、リアルな感触を生んでいる。
ＢＧＭがないシーンにおける間の取り方～息遣いが伝わるようなニュアンス。
山川恵津子さんの一見薄味のＢＧＭ（フレンチポップ風）
キムヨシのモノローグ
……という感じになるでしょうか。特に2、3、4のバランスが良いんですね。ＢＧＭがない部分が多いから、フッと入ってくるオルガンっぽいフレーズにインパクトが出るみたい……。(^^ゞ

また、いしだ壱成が演じる新人タレントのキャラクターも妙にリアルで良いです。ボクの勝手な想像ですが、変に純情なところが現実の芸能人にありがちなキャラのような気がします。(^^ゞ　――ところで、堤幸神の「Love,and Be Silent」とかいう曲は、ＣＤ化されないのでしょうか？　ちょっと気になるぞっ！(^^ゞ

もうひとつ、どうでも良いことですが、キムヨシが「コウシン」という名前を発する度に、「更新」という文字が脳裏に浮かんできてドキッとしてしまいます。(笑)

00/02/25 Ｊ家の反乱(45)

この日の放送は、関東では放送されなかったので、ボクは見ていません。しかし、私設のファンサイトでの反応を見ると、なかなか派手な演出になっていたみたいです。

黒バックに赤文字で「第１章～折れた翼～」というタイトルクレジットが入ったそうです。45回目の放送で「第１章」もクソもないと思うのですが、この辺の感覚は「エヴァ」っぽいですね。また、今までは滅多になかったロケシーンが入るなど、収録作業全体が大規模化しているみたいです。予告では、顔面血だらけの今井翼が出てきたそうですが、「ケイゾク／特別編」みたいな感じになるんでしょうか。次回の放送が待たれます。(^^)

今回の連作シリーズは「第６章」まで続くみたいですが、関東では半分くらいしか放映されないようです。錦戸亮が死んじゃうという情報もあるみたいですが、最後の「第６章」は3/31なので関東では見れない可能性が大です。(>_<)

00/02/26 おばあちゃま、壊れちゃったの？(6)

脚本：鈴木貴子
演出：今井和久(1)(2)(5)、池添博(3)(4)、谷川功(6)

このドラマは演出を云々する以前に、脚本が良くできていると思います。老人介護という社会派的な部分とは別に、人物描写の上手さに感心させられます。ひとり一人の登場人物の微妙な心理がていねいに描かれているので、人間関係～家族親戚関係の難しい部分がリアルに感じられます。老人問題については「金八先生」でも取り上げられていますが、脚本のクオリティはこっちの方が高いかもしれません。

そう思って、鈴木貴子さんのことを調べてみたら、「アリよさらば」「ひと夏のプロポーズ」「アテナ」「P.S.元気です。俊平」など、なかなかユニークな作品名が並びました。(^^)

で、今週はチーフＡＤの谷川功さんの演出でした。このドラマに関しては、演出上の違いがあまりよくわからないのですが、今週は赤木春恵の表情に、いつもより味があったような気がしました。(^^)

あと、子役の鈴木藤丸が大活躍した第４話も、なかなか見ごたえがありました。

00/02/26 バーチャルガール(7)

演出：佐藤東弥(1)(2)(3)(6)、猪俣隆一(4)(5)、南雲聖一(7)
演出補：木内健人

脚本はもう、どうでもいいや……という感じで見ていました。(^^;;　ドラマ～物語的には安達祐実と平田裕香が出た第４話あたりがピークだったのかもしれません。榎本加奈子の記憶喪失ネタにもまったく興味がわきません。

ＶＲのシーンに今までと違うテイスト（絵心）があって、新しさを感じていたら、演出が普段はＡＤの南雲聖一さんでした。ＶＲから抜け出せなくなるシーンもそうですが、MIE（旧名？）の記憶に入り込んだシーンなどでも、ＳＦファンタジー系のアニメみたいなセンスを感じました。

あと、陣内孝則や三宅健のギャグの部分が今までより強調されていたようですが、これも南雲さんの意向なんでしょうか。陣内孝則の意向かもしれません。(~_~;)　物語の方は“陣内＝実は悪役”みたいな展開だから、ギャグの部分と整合性が取れてないような気がしますが、どっちみちつまらないドラマだから、この判断は指示したいと思います。(^^)

南雲さんは日テレのドラマのＡＤでよく見かける人ですが、以前「研修医なな子」のＡＤにクレジットされていたこともあるので、日テレ所属の人ではないのかも知れません。「ラビリンス」は全部見ていなかったのでハッキリしませんが、多分これが「ラビリンス」に続いて２度目の演出なんじゃないかと思います。

サントラ盤プレゼントの告知でも名前が出ていたＣＭＪＫの音楽ですが、オペラ風の曲以外はやはりインパクトがイマイチですね。

00/02/28 その他……

●真夜中のシンデレラ

一見大映ドラマのような設定なのに、過酷な運命と闘うという強い意志がヒロインから感じられないので、見ていてかったるい感じがします。演出も「スウィートデビル」「ボーダー」の上川伸廣さんのスタイルをマネたような部分もあるのですが、いまひとつです。

●行け行けイケメン！

制作協力が共テレ。演出は松田秀知さん、都築淳一さん、荻野哲弘さん。撮影に「美少女Ｈ」でおなじみの大石弘宣さんの名前がありましたが、いつのまにか別の名前に変わっているようです。ただ、映像の質感はいまでも「美少女Ｈ」に通じるものがあります。だから何なんだといわれたら、答えようのない中身なんですけど。(~_~;)

●モーニング娘。の愛物語

こちらも共テレ系のスタッフが制作しているミニドラマ。先週は西谷弘さんが演出していたみたいですが、ドラマとしてはとらえどころのない番組ですね。

●悪いオンナ・ルーズソックス刑事

演出は平野俊一さん。「ケイゾク」のパロディみたいな演出でしたが、「スケバン刑事」みたいな部分もありました。第３話で「ケイゾク」の映画を見に行くシーンがあって笑えました。(^^)

●shin-D・東京らぶ

なんか変なドラマ。１話完結で毎回こちらの予想を裏切るような後味の悪い（？）終わり方をする脚本が印象的です。脚本は長塚圭史さんという人。良く知りません。ただ、演出的には「青空麻雀」や「Ｊ家の反乱」の方が手が込んでると思います。30分の中にドタバタ風の部分とシリアスな部分が混在していて、見終わった後に消化不良を起こしちゃうような感じもあります。舞台用のアイデアをそのままドラマに持ち込んでいるような印象もあって、そこに違和感を感じるのかもしれません。演出は水田伸生さんと小笠原直樹さん。

00/03/02 ３年Ｂ組金八先生(19)

演出：森一弘(9)(15)(19)

今週はラストシーンの演出がカッコよかったですね～。＼(~o~)/

黒板のメッセージを読み上げる生徒の（心の？）声のオーバーラップ度が徐々に上がっていって、それが途切れたところに兼末健次郎（風間俊介）の「ごめんなさい……」の声でエンド。――「新世紀・エヴァンゲリオン」（第拾六話「死に至る病、そして」）の「……とれないや、血の匂い」に通じるスタイリッシュなエンディングでした。

死者に向かって「ごめんなさい」というのは、なんとも切ない一言です。多分このシーンの脚本を考える際、健次郎には何と書かせようかと思案した末に思いついた一言だと思われますが、実に強力な一言でした。先週のカレー３題もそうですが、細かいエピソードのクオリティが高いです。もともと、今週後半の大西さん（織本順吉）の死に関しては、邦平（五十畑迅人）、デラ（香川佑太朗）、好太（森雄介）の３人を中心に描写が展開していたので、最後の最後に健次郎ネタでガ～ンと来られると、その意外性ゆえに切なさがより増幅します。――しかし、こうなってくると“兼末＝おしん”説っていうのもありかもね。(~_~;)

細かいことを言うと、健次郎の声が入る前に黒板の文字が見えているのが減点１でしょうか。(^^;;　さらに、あの文字が黒板の真ん中ではなくて隅っこだったらもっと良かったんですが、まあそれは良いです。また、「ごめんなさい」の文字を接写でなめるように撮っていくとか、その文字だけにスポットを当てて画面を暗転させるとか、いろいろな見せ方がありだったとは思うのですが、それはそれで陳腐に見えるかもしれないし、森さんとしてはそこまでわざとらしい演出にはしたくなかったのかもしれません。

このエンディングだけでも十分に「エヴァ」的だったんですが、その後の予告が、黒バックに「ガラスの少年Ⅲ」の文字で「ママを刺したのは僕です…」という健次郎の声から始まるという、これまた「エヴァ」なテイストになっていて、強いインパクトがありました。――どこかの掲示版に、ビデオ化する時は予告も入れて欲しい……なんて書き込みすらありました。(^^)

大西さんの死に関していえば、ちょっと駆け足ぎみだと感じました。邦平（五十畑迅人）が死を看取るシーンなどは、なかなかエロティックな描写だと思うのですが、伏線になるエピソードが足りないので、いまひとつインパクト不足でした。健次郎の「ごめんなさい……」が強烈なのは、伏線になるエピソードがたくさんあるからですが、邦平の描写にはそれが足りないんです。邦平と大西さんの間で何か事件があれば（好太みたいに）、もっと深みが出てたと思います。放送時間が足りないという事情はよくわかるのですが、演出上のアイデアでもう少しフォローして欲しかったです。五十畑くんのためにも。(^^)

同じことは好太（森雄介）にも言えます。大西さんが入院するきっかけを作ったのは、紛れもなく好太なんだし、彼の自責の念だけで１話分のストーリーができそうなくらいです（ムリなのはわかってます）。森一弘さんはこの部分を、セリフではなくて森雄介の表情で、表現したかったようです。彼は強い目付きにインパクトがあるので、静止画的な表情アップに向いているのですが、……やはりもう少し時間が欲しかったですね。(^^)　で、好太の責任問題がもっと強く描かれていれば、その分、ラストの「ごめんなさい……」も生きてくるんだと思うのですが……、逆かな？

この日全体の演出としては、いかに音楽をかけるかではなく、いかに音楽をかけないか、どの時点で音楽を止めるかがポイントだったような気がしました。重要なところでは音楽をかけないで、芝居のテンションだけで押し切っていました。象徴的だったのは大西さんの訃報を受けた金八が病室の飛び込むシーンと、邦平（五十畑迅人）が教室で語るシーンです。

特に後者では、ＢＧＭが止まって、邦平をローアングルで捕らえたカメラが顔にズームしていく瞬間の緊張感がたまりませんでした。森一弘さんは第９話でも北先生（金田明夫）の語りのシーンを緊張感たっぷりに撮っていましたが、このような教室での大芝居にこだわりを持っているのかもしれません。五十畑くんに関しては、語りに独特の味があって、この人は顔じゃなくて語りで演技する人なんだなと思いました。今シリーズでは風間俊介の次に泣きが取れる生徒役ですね。――これが、隠れバカ担当の中込祥夫（平野良）じゃ泣けないもんね。(笑)

また、前半部分では笑いの演出に力が入っていたようです。たとえば、ラーメン屋さんに必要なものを生徒がひとつずつ挙げていくシーンでは、カット割りや芝居運びが、とてもスピーディーに編集されていて印象に残りました。ラーメン屋さんのシーンでは、加奈恵（中島由香里）と慶貴（桑原朋宏）が良い味を出していましたが、ここでも芝居のテンポ感に対するこだわりの強さを感じました。

――それにしても典型的な優等生キャラだった慶貴が、どんどんバカになっていくのが快感です。(^^ゞ　ヒルマン（小川一樹）とか力也（西原幸男）が“バカ系良い人”だとするなら、加奈恵、慶貴、祥夫らは“変態系バカ”の道を突き進んでいるようです。変態度が一番高そうな祥夫の出番がイマイチ少ないのが残念ですが……。(^J^)

さて、来週と再来週の「ガラスの少年Ⅲ・Ⅳ」は、またまた福澤克雄さんが演出するみたいです。「十五歳の母」や「腐ったミカンの方程式」がそうだったように、今回は「ガラスの少年」を、シリーズ全体を象徴するサブタイトルにしたいようです。このところ芝居重視の演出が多かったので、この辺でまた演出主導のハードタッチな演出を期待したいところです。それにしても、鈴木早苗さんはどうしちゃったんでしょうか？　年が明けてからは、１回演出しただけですが、もう「金八」からは降りちゃったんでしょうか？

話は変わって……。

公式サイトの掲示版に、モーニング娘の後藤真希と、風間俊介が書き込みをしていました（第18話の１ページ目と４ページ目）。後藤真希の方は特に目立つことは書いていないのですが、風間俊介の方は「もう少しで最終話です　とても寂しいのですが　終わりがあるから感動できるんだと思います」などと可愛くないことを書いています。クールというか老成しているというか、変な人ですね。しかもハンドルが「人間ブレーキ」だって……。センス良すぎっ！　まあ、こういうタイプの人だからこそ、あの兼末を演じられるとも言えるのですが……。(^^)

もうひとつ。3/4の朝日新聞朝刊の「批評の広場」というコーナーで「金八」が取り上げられていました。その内容は「現実はこんなに上手くは行かない」といったものばかりで面白くもなんともありません。金八批判というのは20年間ワンパターンで、読んでて退屈です。当の「金八」の方には、時代の変化に合わせて多少なりとも進歩の跡が見られるのに対して、金八批判にはまったく進歩が見られません。

そもそも「現実は違う」なんてことを言い出したら、山田太一も倉本聰も全部ダメだっていう話になってしまうワケで、要するにドラマの前提を無視した子供っぽい議論なんです。現実と虚構の区別がついていない人たちの議論です。すべてのドラマは虚構ですが、逆に考えれば、「金八」というのは虚構（ドラマ）であることを忘れさせてしまうような磁力を持っているということなんでしょうか。まあ、その磁力の分析をするのが、このホームページの目的なんですけど……なんて書いたらカッコつけすぎ？

00/03/03 Ｊ家の反乱(46)

STORY46「第二章　闇」
脚本：吉井三奈子
演出：北川文彦、谷村政樹
出演：今井翼、錦戸亮、別所哲也etc

うわぁぁぁぁぁぁぁ～～～～！　「エヴァ」～「ケイゾク」テイストが炸裂してました。(^o^)　このホームページの読者の中で「Ｊ家の反乱」を見ている人は、ほとんどいないと思いますが（リアクションがないので…^^;）、今日のはホントに凄かったです。

黒バックに極太明朝で「第二章　闇」（縦書き）…なんて赤文字が入ってくるところからして「エヴァ」的なんですが、今週の前半部は、「エヴァ」終盤のシンジくんの内省シーンみたいな、心象風景（？）のコラージュが10分ぐらい続いていました。イジメに苦しんでいる錦戸亮が、鏡の前に立ち尽くしているシーンでは、鏡の中に家族の顔が次々に出てきたりして、まさに“ディラックの海”状態。見ていてアニメっぽいなと思いました。さらに、このシーンでは錦戸亮にくら～い西日がさしていて、シンジくんの電車の中のシーンを連想させます。

で、その鏡のシーン。「イジメられていることを家族に知られたくない」というモノローグが入って、鏡の中に「なんだ、お前イジメられてるのか」などとバカにする家族の姿が映る。その後、今井翼の心象風景のシーン（出生の秘密を知って苦しんでしる）を挟んで、再び錦戸亮の鏡のシーン。ここで優しく微笑む今井翼の姿が鏡の中から浮かび上がってきてＣＭへ……。これで錦戸亮が今井翼に打ち明ける……という次の展開がわかるわけですが、こういうところがスタイリッシュですよね。(^o^)

貧乏臭い部屋にたたずむ今井翼のバックに、意味不明の効果音（電車の音）が入るところなんかも、（手法自体は良くある手法だとはいえ）妙に「エヴァ」っぽかったです。とにかくモノローグ以外のセリフがないので、沈黙と効果音がイマジネーションを刺激してくるんです。なお、顔面血だらけの今井翼のバックにサックスのＢＧＭが入るところは、「ケイゾク」を連想しちゃって笑っちゃいましたが、見ごたえありました。

後半はもう少しドラマっぽくなって、村上信五と別所哲也のエピソードが入るんですが、前半に時間を使いすぎたのか、中途半端な出来になっていました。いつもの豆腐屋のセットではなくて、別所哲也の自室が舞台になっていました。多分ロケだと思いますが、ちょっと暗めの照明になっていました。こちらのシーンでも会話の合間の沈黙が長くて、緊張感が漂っていました。

強いて難点をいうと、効果音の使い方がちょっとわざとらしかった点でしょうか。特に、錦戸亮が今井翼に相談を持ち掛けようとするラスト前のシーン。「聞いて欲しいことがあるんだけど」と言う錦戸亮に、今井翼が「出ていってくれ」と言い放った直後に派手な効果音が入ったのですが、あれはちょっと安っぽかったです。(-_-;)

ただ、このシーン。今井翼の後ろ姿を映したカットが前後左右に揺れていて、オオッと唸ってしまいました。この手法は堤幸彦さんが「金田一少年」の第２シリーズの第１話で使ってから、いろんなドラマでマネされるようになりました。「ケイゾク」第１話で堤さんが見せた独特のタイム感みたいなものがあれば、もっとスゴイ作品になっていたと思います。

「エヴァ」テイストのドラマの第１号が「ケイゾク」だとするなら、第２号は間違いなくこの「Ｊ家の反乱」の連作シリーズだと思います。とにかく、暗いというかドロドロの世界を構築しています。(^^ゞ　関東では先週の「第一章　折れた翼」が放送されなかったので、見れなかったのですが重ね重ね残念です。

ちなみに「Ｊ家」の脚本は３人いるのですが、面白いのは吉井三奈子さんが書いた回であることが多いです。吉井さんがどういう人なのかまったく知りませんが、省略に省略を重ねて視聴者のイマジネーションを刺激する脚本がすばらしいです。また、吉井さんに限らず、バラエティ番組内のドラマでここまでやってしまうこの番組のスタッフの切れ具合（？）には、ホントに敬意を表したいと思います。

このホームページを見ている皆さんも、だまされたと思って、一度見てみてください。一見の価値ありです。この第二章がピークだったりしたらアレなんですけど……(^^ゞ　ちなみに、関東では来週も放送されないみたいです。(;O;)　再来週の「第四章」は放送されるみたいですが……。

それにしても……、「Ｊ家」を録画している関西の人いませんか。いたらお友達になりましょう。メール下さい！　――これなら、合法的だっ！(笑)

00/03/06 「金八批判」について・追記

金八批判の件ですが、3/2の日誌にああいう書き方をしましたが、問題にした朝日の記事には、それなりに面白い指摘もされているので、もし機会がありましたら、一度ご覧ください。m(__)m

読み返してみたら、重松清さんの場合は、作劇の問題としての「リアリティ」を問題にしているのであって、単純に現実と比較しているわけではないようです。ただ、「金八」＝「男はつらいよ」という意見には、ちょっと抵抗を感じます。願望を含めていうなら「金八」は「男はつらいよ」よりはプログレッシブなドラマであって欲しいと思ってしまいます。

むしろ、あの記事の中で一番本質的な部分にふれているのは、一番バカっぽいことを言ってる三原じゅん子かもしれません。(^^ゞ　自分にとってはスタジオが教室で、武田鉄矢が先生だった…と言っていました。

すべてのドラマは虚構だと書きましたが、「金八」の撮影現場においては、金八先生も３年Ｂ組も実在しているというべきなのかもしれません。実際に、過去のシリーズの生徒役は、同窓会を開いているというし、お互いに役名で呼び合っていると聞きます。

「金八」というドラマの特異性は、３年Ｂ組というクラスが二重に存在するところにあり、そのことと「金八」の面白さ～リアリティは、切り離せないと思います。視聴者の多くは、このことを感じ取っているハズです。この“３Ｂ存在の二重性”を視野に入れていない「金八」論というのは、否定論でも肯定論でも、ボクには刺激不足です。また、この意味に限っていうなら、虚構を演じるために私生活を隠しつづけた渥美清と、３年Ｂ組（含む金八）はまったく逆だといえると思います。

話は変わって……、

公式サイトの掲示版には、自分の体験談を書いている人が結構いるのですが、それらを読んでいると、金八先生みたいな先生は現実にたくさん存在するんじゃないかという気がしてきます。――飛び降り自殺しようかと思って、窓の外を見つめていたら、先生に「職員室に来ないか」と声をかけられた。卒業後にその話をしたら、その先生は自分が悩んでいたことに気がついていた――とか。

金八批判をしている人たち（教師）は、自分の経験を絶対化することによって「現実」を矮小化しているのではないでしょうか。事実は小説より奇なり……という言葉がありますが、「金八」以上にドラマティックな現実が存在する可能性を、安易に否定してはいけないと思います。

……というか、よく思い出してみたら、ボクの高１の時の担任も、金八みたいな熱弁型の饒舌な教師で、クラスの雰囲気も３年Ｂ組みたいでした。進級する時、教室でお別れ会をやった記憶があります。泣いてるヤツもいて、「うちのクラスって、金八先生の最終回みたいだ」ってみんなで言っていました……。（*^_^*）

00/03/06 月下の棋士(8)

演出：塚本連平(1)(2)(5)、小松隆志(3)(4)(7)、六車俊治(6)(8)

またまた六車俊治さん！　「月下」で２度目の演出です。(^o^)　滝川（田辺誠一）と大原（中尾彬）が対決した第６話も、テンションの高い演出で圧倒されてしまいましたが、今回も重々しい雰囲気が立ち込めていました。

序盤～中盤は寺嶋民哉さんの和風サイケ風の音楽と、「危険な関係」みたいな変則アングルの嵐で、グイグイ引き込まれていくような感じでした。スペアの酸素ボンベくらい最初っから用意しておけよ～～とか、結構ツッコミどころの多いストーリーだったんですが、そうした不備を演出がフォローしていたと思います。

で、終盤はＶ６の主題歌のメロディーが流れて、メランコリックなテイストにシフトチェンジ。さらに、ＢＧＭなしの無音シーンになってから大原の大往生……という展開になっていました。しつこいくらいだった序盤・中盤の重々しい雰囲気との対比が鮮やかでした。

もうひとつ、印象に残ったのは、徹夜明けの将介（森田剛）がうたた寝しているシーン。そんなに重要なシーンではないハズなのですが、光の処理とかカメラアングルなどにキメの細かさが感じられて、情感豊かなシーンに仕上がっていました。

脚本の話に戻りますが、「おじいちゃんを殺したのはお前だ。」とかいう孫のセリフも、ちょっと無理がありましたね。誰が見たって、事前の準備（ボンベ）を怠った人（本人）が一番悪いです。それに、孫が登場した時点で、展開が読めちゃいました。(~_~;)　第２話の伊東努の母親のエピソードは良かったですが、今回のはイマイチです。

なお、小松隆志さんが演出した第７話も、ちょっぴりドキュメンタリーっぽいカメラワークに味があって、この「月下」は、演出家による映像センスの違いを楽しむのに格好の作品になりました。視聴率も最近の月８の中では良いみたいだし、少年コミック路線に転じたのは正解だったようです。……と思ってたら、４月からはバラエティ枠になっちゃうそうで、もったいない気がしますが、有終の美というところでしょうか。(~_~;)

ところで、六車って、なんて読むの？

00/03/09 ３年Ｂ組金八先生(20)

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)(16)(17)(20)(21)

この20話のコンセプトはユーモアだったのでしょうか？　公式サイトなどには「涙が止まらなかった」などという書き込みが殺到しているようですが、ボク自身は大半のシーンで笑ってました。(^_-)　――この第20話の演出の印象を一言でまとめるなら、「大映ドラマ」＋「特捜最前線」という感じでしょうか……？(~_~;)

まず、「大映ドラマ」の話から始めると――。

主人公に次々と不幸がおそいかかるというのが、シェイクスピア～大映系の悲劇の基本ですが、この際に重要なのは“主人公が運命と闘う”ということです。主人公が悲劇を回避しようとして行動を起こせば起こすほど、運命の罠にはまっていく――これがないと悲劇のカタルシスが生じません。この意味でいえば、兼末兄や兼末父母に、悲劇の主人公（担い手）になる資格はありません。

一方、兼末健次郎（風間俊介）は兼末家の中で一番しっかりしている人物で行動力もあります。この20話の主人公を健次郎とすることに異論はないでしょう。今回の刺傷事故にしても、ダメ母とダメ兄の暴走を食い止めようとしただけだし、事故後の対応もしっかりしていました。救急車を呼んで母親を病院に連れていって、父親に連絡して、失踪した兄を捜しに行く……、こんなことのできる中学生はそうざらにいません。ところが、こうした行動が全部裏目にでて、警察に追われてしまうわけです。――これを大映的と呼ばないでどう呼んだら良いんでしょう。(^^)

それから、動員数はやたらと多いのに、なぜか無能な警察の対応ぶりも、大映ドラマの伝統と呼ぶべきでしょう。ただ、もみ合いになって倒れざまに刺しちゃうという安直な展開は、大映以前の問題だと思いますが……。^^;　ストーリー展開が安直だという批判も、ネット上でいくつか目にしましたが、おおむね妥当な批判だと思います。健次郎の行動から聡明さが感じられなくなると、その分悲劇性も減少してしまいます。悲劇というのは、避けようがないから悲劇なんであって、注意すれば避けられるような不幸は自業自得といいます。(^_-)

ちなみに、今回の刺傷シーンは、健次郎の声を裏返して泣き喚く声がちょっとおおげさすぎるというか、可愛すぎて、それまでの健次郎のキャラとの間に温度差を感じてしまいました。撮影現場のテンションが高いのは十分に伝わってくるのですが、ここは、もう少し抑えた演技でも良かったような気もします。テレビドラマデータベースの新作掲示版１にも、健次郎が泣き叫ぶシーンが多すぎるという意見（rescueさんなど）があったので、同じように思った人は外にもかなりいると思われます。ただ、風間俊介の場合、おおげさな演技にもそれなりの味（ユーモア？）があって、ボクは笑いながら見れました。(^^)

この兼末家のシーンでは、電気のついていない部屋に赤い夕陽だけがさしていましたが、福澤克雄Ｄはこういう照明が多いかも……なんて思いました。ほぼ同じことですが、登場人物の背後から夕陽がさしている逆光系のカットも、福澤Ｄの担当回に多いような気がします。最近では、17話の明彦（亀梨和也）自白（？）の保健室のシーンの照明もこんな感じでした。また、11話の新春ＳＰでおじいさんが餅を詰まらせるシーンでも、夕陽ではありませんでしたが、逆光系の照明が多用されていました。

で、問題の二段攻めのラストシーン――。

幸作のシーン（後述）以外は、ほとんど笑って見ていたボクですが、ラストシーンはそれなりに引きつけられるものがありました。金八が健次郎を抱きかかえるカットの構図が、キリスト教系の宗教画っぽいなと思っていたら、16話でおなじみの「アメージング・グレース」（歌：白鳥英美子）がかかってきました。ボク自身は、16話のときはいまひとつ乗れなかったのですが、今回は違和感を感じませんでした。16話のときは、感情が爆発する“動”のシーンだったのに対して、今回は無力感をズッシリと受けとめる“静”のシーンだったからかもしれません。――なお、風間俊介の発言によれば、彼はこのシーンの収録後に武田鉄矢に誉められたそうです。(^^)　でも、僕が見た印象では、このシーンで目立っていたのは風間じゃなくて武田鉄矢の方だったような気がします……。(^^ゞ

ちなみに「アメージング・グレース」のシーンは、時系列が前後していたようです。普通に考えたら、兼末兄（須藤公一）が逮捕（？）されるシーンが先で、金八と健次郎が対面するシーンが後のはずなんですが（対面シーンの間、兼末兄がずっと逃げていたとは考えにくいでしょう？）、これが逆になっていました。理由はもちろん、「アメージング・グレース」をバックに、健次郎のおんぶと兄の逮捕をシンクロさせたかったからなんだと思いますが。

秀逸だったのは、兼末兄の雄一郎が、ちはるパパの柴俊夫の顔を見て、うなだれるところ。極言してしまえば、これ以外のエピソードはすべて予想の範囲内だといえなくもないのですが、ここだけはハッとさせられる展開でした。兼末パパ（秋野大作）じゃないというところがミソでしょうか。うがった見方をするなら、今後の兼末家の未来が決して明るくないことを暗示しているシーンだともいえますが……？

ちなみに、金八に“おんぶ”されるのは新春ＳＰの好太（森雄介）に続いて２人目です。“おんぶ”というのが今回の「金八」のキーワードみたいですね。つまり、今回の金八は教師というより父親的なんですが、それを象徴するのが“おんぶ”のようです。普通に考えたら、あそこで“おんぶ”は変なんですけど……。(^^ゞ

そして、「アメージング・グレース」に続いて流れてきたのが、石川セリの「三月のうた」という曲で、作詞：谷川俊太郎、作曲：武満徹だそうです。こういうことがすぐにわかっちゃうのがインターネットの良いところですね。石川セリというのは、井上陽水の奥さんでしょうか。ちょっと記憶が曖昧です。

このシーンは、「アメージング・グレース」以上にインパクトが強かったんですが、ボクは「特捜最前線」のエンディングを連想しました。「特捜最前線」というのは、77年からテレビ朝日系で放送されていた哀愁の刑事ドラマです。主演は二谷英明で、毎回ラストにかかるファースト・チリアーノの「私だけの十字架」という曲が、切ない余韻を残すドラマでした。「太陽にほえろ」や「西部警察」の能天気さとは違う、暗い作風に魅せられた熱心なマニアが存在するみたいで、検索すれば、その手のホームページが簡単に見つけられます。

今回の「金八」でいえば、石川セリのＢＧＭが「私だけの十字架」みたいな哀愁効果を生んでいましたが、その他にも、「特捜最前線」などの70年代の刑事ドラマに通じる要素がありました。覆面パトカーの後部座席から振り返る健次郎とか、赤いサイレンを光らせながら暗闇を走る覆面パトカーを後ろから映したカットの上にエンドロールが入るところとか。また、エンドロールの文字がいつもより小さかったという書き込みを見かけましたが、ボク自身は未確認です。(^^)

いずれにしても、ラストの５分くらいは、70年代テイストが濃厚でした。健次郎がパトカーに乗る際に入る花子先生（小西美帆）のアップも、いつもよりも色っぽい感じがしました。これが70年代の刑事ドラマだったら、犯人の少年を警察に通報したバーのママ（？）のアップとかが入るところです。できることなら、ここで、もう少し仕掛けが欲しかったような気がします。こぼれる涙をスローモーションでアップとか……(笑)。まあ、健次郎と花子先生のエピソード自体に、もうすこしエロティックな要素が欲しいところなんですけど……。現時点では、金八と健次郎の方がエロティックでしょう？

その他のシーンで気になったところをあげると――。

今回も、屋外シーンではステディカムが多用されていて、たとえば、兼末ママが救急車に乗せられるシーンは１カットでしたが、あまりインパクトはありませんでした。金八が病院に駆けつけるシーンも、矢崎滋のパトカーのサイレンのアップから始まって、金八と大森巡査の病院の入り口でやり取りを経て、金八が携帯電話をかけながら夜の町へ飛び出していくところまで、切れ目なしの１カットでした。それ以外でも、けっこう大掛かりなカメラワークが随所に見られたんですが……。^^;

健次郎の自転車転倒シ－ンも見せ場の一つなんだったのでしょうか。大森巡査のような“技”は感じられませんでしたが、若いというか、迫力とスピード感のある転倒になっていました。

冒頭のシーンでは、中込祥夫（平野良）が久々にバカをやっているのが、美味しかったです。このシーンでも、主役は健次郎で、彼のアップがバンバン入っていました。これも笑顔が可愛すぎるような気がしましたが、まあ、これはどうでも良いかな。それよりも、健次郎がソーラン節を提案したときの周囲の反応が、ちょっと古臭いような気がしました。明彦が立ち上がって賛成…とかいうところ。

ちなみに、兼末ファン（？）のボクが一番泣けたのは、ラストシーンでも「僕も取ってよ」でもなくて、健次郎が幸作（佐野泰臣）に「お兄ちゃんを一緒に捜して」と頼むシーンでした。「一緒に」という言葉にグッときてこそ、本当の兼末ファンというものでしょう。(笑)　できることなら、このシーンまでの健次郎のセリフ回しをもっと抑えた感じにして、幸作の顔を見た瞬間に感情が爆発する……という展開だったら、もっと泣けるシーンになったように思います。

これまで、健次郎は「犬に食われて死んじまえ――俺もそう思ってる」、「合格おめでとう――あんがとな」、「ごめんなさい」など、心境の変化をあらわす兆候を少しずつ見せてきたのですが、今回の一言もこの一環だと思います。普通のドラマだと２～３段階くらいで決着がついてしまうんですが、今回の「金八」では、段階の踏み方がやたらと細かくて、さすがです。

一方、「僕も取ってよ」の方は、ワザとらしく感じられました。一度は悪を極めたはずの人間が、あんな甘えん坊みたいなセリフを言ってはいけません。(^^)

なお、オープニングの主題歌ですが、他の掲示板を読んでいたら、面白い指摘がありました。タイトルバックの映像が終わったにもかかわらず、曲の方が終わらないでドラマ内にズレ込んでいたんですが、実は、この回だけ歌がワンフレーズ増えていたみたいです。増えていたフレーズは「ペダルをこいで……、君なら行ける、一人で行ける」なんですが、これって、健次郎が中野先生（ラサール石井）にあやまりに行くというエピソードに対応していたみたいです。

オマケ――。

公式サイトで、生徒役の新しいアンケートがアップされていましたが、一番面白かったのは、やっぱり風間俊介でした。メッセージは「放送はビデオじゃなくてちゃんと見てね。」だそうです。……なんか、プロデューサーみたいなこと言ってますね。ひとつひとつの発言に下心が見え隠れしていて、可愛くないよ～。（単なる兼末ファンに成り下がってる自分が情けない……。^^;）

00/03/13 月下の棋士(9)[終]

演出：塚本連平(1)(2)(5)(9)、小松隆志(3)(4)(7)、六車俊治(6)(8)

最終回なんですが、小松さんや六車さんが演出した６～８話の後に見ると、ちょっと迫力不足でしたね。(^^ゞ　画面に文字が入ったりするところがマンガっぽくて、塚本さんが演出した回の特徴です。ただ、クライマックスになるはずの滝川（田辺誠一）との対決では、どうしても緊張感で６～８話に負けてしまいます。

印象的だったのは、海の中に入っていくシーン。どこの海で撮影したのかわかりませんが、まだまだ寒いこの時期に、この撮影は大変そう……なんて思ってしまいました。でも、森田剛は寒そうには見えなかったので、さすがです。

脚本の方も変な感じで、いままで無根拠な自信に満ちていた主人公が、今回は急に弱気になっちゃって、見ていて意味不明でした。(^^ゞ

――さらば、月８～～～！(泣)

00/03/16 ３年Ｂ組金八先生(21)

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)(16)(17)(20)(21)

今週はラストのカツ丼のエピソードがオシャレでしたね～。(^^)　健次郎に関しては、こういう、メインストーリーに直接関係のない小ネタ的なエピソードにも力を入れているみたいです。(^^ゞ　手塚治虫の「ブラック・ジャック」にこんな感じのラストシーンがあったような気がしますが、似たようなエピソードは、60～70年代頃の貧乏臭い（？）日本映画にたくさんあったのかもしれません。また、健次郎のエピソードを見ていると、“孤児”をテーマにした人情ドラマ、アニメでいえば「みなしごハッチ」とかを連想してしまいます。(^^)

ただし、なんで“カツ丼”なのかはよくわかりません。リンゴでもハンバーガーでも良いと思うのですが、やはり警察といえば“カツ丼”なんでしょうか。それに、リンゴやハンバーガーだったら、「家に持って帰れば…」という話になっちゃうし、ラーメンだと、食べるシーンをアップで撮るときに迫力が出ない、という事情もあったのかもしれません。(^^)

性の授業に関しては、第１シリーズ以降何回かやっているネタなので、あまり新鮮味を感じませんでした。女子生徒の真剣そうな表情が多かったのですが、みんな自然な感じの表情になっていたのがよかったです。特に印象的だったのは、白セーターの室岡美佳子（浅井美歌）のアップでしょうか。あんまり出番がない子ですが、このアップにはなかなか味がありました。

でも、この日の最大の見せ場はアスミ（森下加奈）で決まりでしょう。圧巻だったのは、「悪はどこにあるんですか？　学校ですか？　病院ですか？　警察ですか？」と、涙を浮かべて説教する金八に、「あれれ…、泣いちゃって…」などとチャチャを入れるところ。かつての健次郎をはるかに超える悪意を感じました。(^^)　このシーン、演出も感動モードで進行していただけに、テレビ画面の前で涙を流していた視聴者にとって、アスミの一言は“悪魔の言葉”に聞こえたことでしょう。(^o^)――「金八」の歴史に残る、アバンギャルドなシーンでした。さらに、「嘆願書を書こう」と提案する蘭子（金田美香）に「陰気くせえ～」とツッコミを入れるなど、パワー全開～金八に冷や水……という感じでした。(~o~)

ちなみに、このシーンの金八は「健次郎はみんなのことが、うらやましくてうらやましくてたまらなくてね…」というセリフを境に、涙声になっていくんですが、このドラマが“健次郎を不憫に思う”感情を中心に組み立てられていることを、よく表しているシーンでもありました。このシーンの金八は、どこか弱々しい姿をさらしていて、今までとは違う新しい金八像を示しているシーンだともいえると思います。

この後に続いたアスミのエピソードは、あまりに中途半端すぎて、見ているこちらの方に責任があるんじゃないかと思うくらい意味不明でした。アスミに蹴られていた男はいったい何だったのかさっぱりわからないし、アスミが家に帰らないでクラスの男子生徒の家を泊まり歩いていたという展開にも、リアリティが感じられません。

しかし、アスミのセリフ回しには、こちらの神経を逆なでするようなニュアンスがあって、健次郎（風間俊介）の次にインパクトがあるキャラは、やはりアスミ（森下加奈）だと実感させられました。テレビを見ていて、思わずアスミにビンタしたくなった人が全国にたくさんいそうです。森下加奈は、表情よりもセリフで演技するタイプで、セリフの切れ味がバツグンです。金八に「渋谷かどこかに連れていって」とねだるシーンで入る「おい！　おい！　おい！　頼みますよ～」というセリフ。声の強さがド～ンと太くなるところがスゴイです。(^^)　永作博美に通じる資質を感じます。

アスミは金八が健次郎の心配ばかりしているのが気に入らないみたいですが、このドラマのストーリーが健次郎メインになったことで、一番割りを食ったのはこの森下加奈かもしれないので、これはこれでリアルなセリフなのかもしれません。

ところで、金八が３Ｂで中野先生（ラサール石井）の一件についてについて話をするシーン。「一番手を出していたのはお前だろ！」などと明彦（亀梨和也）に突っ込みたくなってしまいました。第１話の暴行事件に関しては、何らかの形で決着を付けなければならないと思うので、ラスト２回でもこの問題が扱われると予想されます。

少年課の刑事の矢崎滋が中野先生の一件に興味を示すシーンで、不気味なＢＧＭが流れていましたが、これが今後の展開に関わってくるのでしょうか。健次郎が罪を問われるとすれば、中野先生の暴行事件の方が妥当だし、そういう展開であれば、物語としても一本筋が通ると思います。ただし、この事件の場合、健次郎一人が責任を問われれば済むという問題ではないと思うのですが……。最終回のお別れ会に矢崎滋が登場して、３Ｂが５人くらい補導される……なんて展開になったら、それはそれで物議を醸すドラマになると思いますが、多分それはないでしょう。(~_~;)

来週は、鈴木早苗さんの演出のようです。前回の演出が第13話だから、ほぼ２ヶ月ぶりの演出となります。間が開いた分、じっくり演出プランを練ることができたんじゃないかと思われるので、期待したいところです。鈴木Ｄは「ソーラン節」の回の演出もしていましたが、「ソーラン節」が見られるのは来週なんでしょうか。（多分再来週でしょう。^^;）

00/03/17 恋の神様(10)[終]

演出：吉田秋生(1)(2)(6)(9)(10)、松原浩(3)(4)(7)、難波一弘(5)(8)
音楽：山川恵津子

ラストの展開は、なんじゃらほい(笑)……という感じでしたが、演出は悪くなかったと思います。このドラマはＢＧＭに盛り上がるような派手な曲調がないので、メリハリに欠けるような印象を与える側面もあるのですが、その代わりにお芝居の間だとか余韻だとかが強調された演出になっていました。

幸神の家にマスコミが乗り込んでくるシーンも、国生さおりとか、岡本麗とか……、登場人物の表情やニュアンスに深みがあって、見ていて好感が持てました。それから、先週のラストシーンですが、「私が必要？」と聞いたときの木村佳乃の表情もインパクトがありました。「ザ・テレビジョン」のドラマアカデミー賞は「ビューティフルライフ」が独占しそうですが、この「恋神」における吉田秋生さんの演出もすばらしいです。

それにしても、頭痛薬で自殺（未遂）というのは、妙に金子賢らしくて笑っちゃいました。頭痛薬で死ねるかどうかは詳しくないですが、空きっ腹に飲んだら胃を悪くすると思います。急性胃潰瘍とか。^^;

00/03/17 Ｊ家の反乱(48)

STORY45「第四章　転落」
脚本：吉井三奈子
演出：北川文彦、谷村政樹
出演：川上麻衣子、今井翼、錦戸亮

冒頭のプレイバックの部分と、前半の電話のシーン以外は、わりかし普通のドラマになっていました。また、大半がロケのシーンだったため、いつもの「Ｊ家」とは違う雰囲気でした。説明不足でニュアンス過剰というのは、「Ｊ家」の脚本・演出の特徴で（１話が15分だし）、これがカッコよく決まると、むちゃくちゃスタイリッシュなんですが、今回の後半部分はちょっと……。(~_~;)

ただ、電話ボックスで隣の川上麻衣子と目が合うシーンとかは、なんとも意味ありげな雰囲気があって面白かったです。路上に落ちた桜（？）の花が雨に打たれているカットとかも。この辺のテイストは、「くれなゐ」などを演出した小田切正明さんっぽいな～なんて思ったりしました。(^^)

それにしても、こういう展開だと、この第四章で初めて「Ｊ家」を見た人が、どういう感想を持つのか、見当がつきませんね。いつもの「Ｊ家」に近いのは前半の電話のシーンだと、イイワケしておきます。(-_-;)　それにしても、冒頭のプレイバック部分でも、第二章の映像はほとんどなかったので、第二章がどれだけストーリー不在だったかが分かってもらえるでしょう。

また、トラックに轢かれるシーンで、衝突音を入れないところに、演出家のこだわりを感じましたが、あのカットはどうやって撮影したのかわかりません。本当に轢かれているように見えました。――ビデオで、よ～く見直してみたら、錦戸亮の立ち位置と車の走行位置が微妙にズレていたみたい。実は凄いローテクだったりして。(^^)

しかし、今週一番インパクトがあったのは、次回予告かも。(~_~;)　錦戸亮は、ホントにこのまま死んじゃうのかい～？　だとしたら、実に救いのない話だ。――逆にいうと、このまま死んじゃったら、ただの犬死にになっちゃってドラマの要件を満たさないから、多分助かると思います。(^^)

00/03/21 お見合い結婚(11)[終]

演出：木下高男(11)、高丸雅隆(10)、鈴木雅之、高橋正秀

高丸雅隆さんが演出した10話もそうだったんですが、シリアスシーンでかかる昔のハリウッド映画風のオーケストラ曲が、やたらいい曲で、ついつい感動してしまいました。特に10話のラストの「お見合い結婚だからです」というセリフに感動した人が多いみたいですが、あの感動の半分以上は音楽のよるものだと思います。(^^)

それにしても、ウソ臭いラストシーンを含めて、こういうファンタジックな展開にするのだったら、基本的な演出コンセプトをもっとウソっぽくした方がよかったような気もします。大人の童話というかファンタジーに徹した演出にしてほしかったです。ロケシーンなどに中途半端なリアリティがあったので、その点が気になりました。もっとセットのシーンを増やして、架空の町の架空のお話……という感じにした方が、ハリウッド風のＢＧＭがもっと効果的になったんじゃないかと思いました。

一番最後のタイトルバックも秀逸でした。主役クラスだけでなく、脇役クラスの出演者の幼少時代の写真を挿入しているところが、ひとりひとりの出演者を大切にしている制作スタッフの姿勢があらわれていたみたいで、後味がよかったです。毎週流れていたマフラーを渡されるシーンで、ユースケのカットが新たに挿入されていたのも渋いです。この部分は、最初から最終回でのオチを考慮して作られていたわけですね。気がつきませんでした。(^^)　このドラマは木下高男さんの代表作になるでしょう。

見終わった後に、「彼女たちの時代」のラストシーンにも通じる、シミジミとした情感が残るドラマでした。連続ドラマを見るというのは、３ヶ月の間、作り手と視聴者が時間を共有することでもあるので、最後にキッチリと余韻を残す最終回＝別れ方というのも、大切な要素なんだと考えさせられました。

00/03/23 ３年Ｂ組金八先生(22)

演出：鈴木早苗(3)(6)(10)(13)(22)

ビデオを見直しているヒマがないので、時短再生で、ざっと見た印象だけで書きます。m(__)m

鈴木早苗さんが演出するのは２ヶ月ぶりなんですが、久しぶりに見るとやはり、健次郎（風間俊介）の撮り方が、福澤Ｄとは微妙に違うと感じました。どこがどう違うのかを上手く説明できないのですが……。(^^ゞ　序盤の健次郎のシーンのカット割りも妙に手が込んでいました。

渋かったのは、花子先生からのメールの文字を、指でなぞっているところ。こんなことまで台本に指定してあったとは思えないので、鈴木Ｄのアイデアなんだと思いますが、エロチックな感じがよかったです。エロチックといえば、中野先生（ラサール石井）の家のシーンで、「３年Ｂ組をお返しする」と言っている金八のことを、不満気に見つめている健次郎の表情もナイスでした。(^^ゞ　人間、タテマエとは別にホンネがあるわけで、そういう感情が見えてくると、ドラマの印象がエロチックになります。(^^)

ただ、中野先生にあやまるシーンはイマイチでした。とにかく健次郎の敬語が上手すぎます。あんなにスラスラと敬語であやまられると、かえってウソっぽく見えてしまいます。ハッキリいって、２学期のころの優等生のフリをしていた兼末と区別がつかなかったです。このシーンに限らず、「金八」には、生徒役の敬語が鼻につくシーンが多々あります。敬語を使っちゃいけないとは思いませんが、もう少しタドタドしい感じがないと、不自然に見えてしまいます。

３年Ｂ組が中野先生にあやまるシーンも、今回のハイライトだと思いますが、ボクはちょっと違和感を感じました。生徒が順番に起立して「ごめんなさい」という展開は、演技的にはテンションが上がるので悪くないと思うし、生徒役全員に見せ場が作れるというメリットもあります。ただ、ドラマとして見ると、違和感が残ります。本心であやまっているというよりも、一種のセレモニーになっている気がするんですよね。人が人に対して頭を下げるという行為は、日常において頻繁に経験することではないし、その際には複雑な心理が働くと思うのですが、そういう部分の描写が希薄です。

このシーンに関しては、ラサール石井本人が公式サイトでコメントしています。要約すると――、掲示板に「感動できなかった」という書き込みがたくさんあったが、これはすべて自分の力不足が原因である。生徒役の子の演技は、シーンのつながりを考えないで盛り上がってしまう傾向があるが、もし金八先生であれば、そうした生徒役の演技を受けとめて、説得力のあるシーンに仕上げていただろう――と。

まあ、ラサールさんが言ってることは、ボク自身も同じように感じていたことなので、必ずしも謙遜だけではないと思います。ただ、武田鉄矢の演技に頼りすぎるのもどうかと思うんです。このシリーズでも、脚本がイマイチなところを、金八や生徒役のテンションでカバーしていた部分がかなりあったと思うので、やはり根本的な問題は、脚本にあると考えた方が妥当なのではないでしょうか。特に、この回と次週の最終回は、テンションだけで押し切っているシーンが多くて、さすがのボクも、ちょっと食傷ぎみです。(^^)

もうひとつの見せ場は、課外授業のシーンでしょう。遠藤先生（山崎銀之丞）が、最近注目の燃料電池の話をしているあたりが報道番組風ですが、一番面白かったのは北先生（金田明夫）のゴミ問題のシーンでしょうか。ゴミ問題がよかったのではなく、クラス全体で学校の外に出るところが、遠足っぽくて懐かしい感じがしました。……えらく個人的な感想でスミマセン。(^^)

最後は、風間ネタ。(^^)　どこかのサイトの掲示板で読んだのですが、風間俊介がどこかの雑誌で、「恋愛ドラマとかはあまりやりたくない。切ない表情とかって苦手だから。」と言っていたそうです。いやいやいや……、この人は自分のことがよくわかってます。後半の切ない健次郎も悪くはないですが、彼が天才的な切れ味を見せたのは、やはり前半の悪人ぶりだったと思うからです。風間のコワイ目付きには美を感じますが、切ない表情には感動はしても、美は感じません。もし風間俊介を、美術館とかに展示・保存するのなら（？）、コワイ表情の方でしょう。(^^ゞ

00/03/23 ブランド(11)[終]

演出：平野眞(1)(2)、村上正典

今井美樹が染五郎と別れた後に、座り込んでユーミンの曲を歌っているシーンが秀逸でした。あのシーンのためだけでも、この最終回を見る価値はあったと思います。(^^)

ただ、それ以外は問題も多かったドラマで、特にヒロインの行動に対しては、賛否両論が出ているようです。“愛ある別れ”をやりたかったみたいですが、ボクの目には、会社を辞める必要もなければ、別れる必要もなかったように思えます。(^^)

記者会見で個人的な意見を言って会社を辞める件にしても、イベントの時間を遅らせる件にしても、その行為自体は一概に否定できないと思います。むしろ、ボクが引っかかるのは、彼女の動機があまりに“抽象的すぎる”ところです。ボクには、今井美樹が「個人を重視」しているというよりは、「個人主義的な言説に酔っている」という風に見えてしまいました。(^^ゞ

「彼女たちの時代」の椎名桔平が「本当の自分」のために会社を辞めても、違和感を感じませんが、今井美樹の場合、「本当の自分」が問題になるほど、切実な状況にいるようには見えません。(^^ゞ　今回の今井美樹の行動は、ドラマの世界では、そんなに珍しいことじゃないと思いますが、にもかかわらず、彼女の行動が問題になってしまうのは、彼女の行動自体に問題があるのではなくて、単に動機が弱いからなんじゃないでしょうか？

このドラマの収穫としては、もう一つ。最近の出演作の中では、佐藤藍子がいつになく魅力的に見えたのですが、どんなもんでしょう？　(^^)

00/03/30 ３年Ｂ組金八先生(23)[終]

演出：福澤克雄(1)(4)(7)(11)(12)(16)(17)(20)(21)(23)
　　　山崎恆成(2)(5)
　　　鈴木早苗(3)(6)(10)(13)(22)
　　　柳井満　(8)
　　　森一弘　(9)(15)(19)
　　　今井夏木(14)(18)

29日の朝日新聞夕刊に武田鉄矢のインタビューが載っていて、70代の脚本家と30代の演出家の間で意見が分かれることが多かった……と書いてありましたが、この最終回もそんな感じだったのでしょうか。(^^)　“健次郎少年院”案と“健次郎無事卒業”案で意見が割れたので、足して２で割った……という感じの最終回でした。健次郎が卒業式に出席できない理由が、家裁審判の日が式の３日後だからというのは、あまりにも中途半端で説得力がなさすぎです。わざわざ最終回に持ってくるようなエピソードじゃありません。^^;　「健次郎を連れてきてほしい」という３Ｂの声に対して、「それはできない」と答える金八のセリフにも説得力がなくて、単に台本上の都合という感じでした。

福澤克雄さんは昨年の番組開始当初に、公式サイトのインタビューで「全員が出席しない卒業式もアリだと思う」などと発言してしたので、その意味では、かろうじて初心を貫徹したといえるのかもしれませんが、全体としては、脚本家の顔を立てた最終回という感じでした。色気のないシーンや演出が多かったです。

唯一、色気（？）があったのはラストのソーラン節のシーンでした。生徒全員のアップが１人につき１～２カットくらいありましたが、あれはすごい手間がかかっていると思います。ひとつひとつのカットを個別に収録していったのだと思いますが、１人分のアップの撮影に10分かかったと仮定して、10分×31人＝5時間10分もかかったことになります。で、これを踊り全体を映した映像の合間に挟み込んでいたわけです。しかも、このすべてのカットを、曲のフレーズにシンクロさせなければいけないので、ミュージックビデオ並みの芸の細かさです。

また、このシーンはステディカム＋クレーンで撮影されていたみたいで、すべてのアップにステディカム特有のニュアンス（接写感覚？）が感じられました。ステディカムの佐光朗さんは日本でも数少ないステディカム使いだそうです。ちなみに、このシーンで一番いい味を出していたのは、北先生（金田明夫）の指でしょう。(~o~)　このシーンは撮影最終日の３月２４日に収録されたようですが、早朝から夕方までかかったそうです。福澤Ｄは、脚本で妥協した分、このシーンに全エネルギーを注ぎ込んだのでしょうか？　(~o~)　いずれにしても、福澤Ｄが持つ独特の空間感覚みたいなものが、よく感じとれるシーンだったと思います。

色気といえば、三角関係の行方も気になるところですが、最終回では幸作（佐野泰臣）とちはるちゃん（岡あゆみ）の意味ありげな２ショットがやたらと目についたのですが、そういうことなんでしょうか？　幸作には失恋の方が似合っていると思うのですが。(^^ゞ　カップルといえば、他にもいくつか気になるカップルの２ショットがありました（お別れ会のシーンなど）。

メインとなる卒業式のシーンは、残念ながらいつもの金八パターンでした。バーチャル下町風のヤジが飛ぶところなどは、そろそろ止めにしてほしいと思ったのはボクだけでしょうか？　あんなことやってるから、「金八」は「男はつらいよ」と同じだ……なんて言われちゃうんです。ただし、ボクみたいに、ほとんどの生徒の顔を覚えてたりすると、それなりに感慨深い卒業式ではあるのですが。(^^ゞ

で、卒業式のハイライトになるのが答辞のシーンなんですが、ボクは誰がやるのか知らないで見ていました。個人的には邦平（五十畑迅人）にやって欲しいという思いがあったので、その通りになったのを見て、ちょこっとガッツポーズが入りました。(^^ゞ　19話の日誌に書いた通り、彼は語りで泣きを取れる役者なので、そこに期待してたわけです。しかし、そこまででした。五十畑くんは悪くなかったと思いますが、答辞の内容自体がイマイチでした。

「金八」の答辞というのはワンパターンの極致で、第２シリーズの加藤優や第４シリーズの広島美香とどこが違うのか区別がつきません。最初に、会場がどよめくような挑発的な言葉があって、最後に「この学校には、全身でぶつかっていけば、応えてくれる教師がいる」とかいうオチになるパターンです。よく言えば、折り目正しい青年の主張なのかもしれませんが、ボクの目には、無難なことしか言わない優等生または官僚の答弁みたいに見えました。ボクとしては、新春ＳＰのときの「先生が好きだから」みたいな、生々しい言葉が聞きたかったです。

これだったら、いっそのこと、明彦（亀梨和也）に答辞をやらせた方が面白かったかもしれません。17話の保健室のシーンみたいに、下を向きながら涙声でしゃべらせる（ときどき鼻水をすする！）とか。(笑)　これはこれで、生々しいでしょう。(^^ゞ　

――ところで、先日「怖い日曜日・傑作選」を見ていたら、亀梨くんが出てきたのでビックリしました。彼が「怖日」に出ていたことは、第１話の日誌にも書いてありますが、すっかり忘れていました。また、現在、関東では「渡る世間」が再放送されていますが、五十畑くんをチェックするためだけに見ました。４年くらい前の作品ですが、かなり雰囲気が違ってて、知らないで見てたら気がつかないですね。(^^)　――このパラグラフは雑談でした。

演出の話題からそれてしまいますが、終盤の「金八」がつまらない理由について、ちょっと考えてみたいと思います。

一番問題なのは、一対一の関係を省略して、すべてを一対多の関係に還元してしまうところにあるように思えます。先週の中野先生（ラサール石井）への謝罪のシーンもそうなんですが、この最終回でも健次郎（風間俊介）がクラスメートにあやまるシーンで、同じような傾向があります。健次郎の場合、クラス全体にあやまる前に、ちはるちゃんや幸作に個人的にあやまるシーンがあってもおかしくないし、過去のエピソードからみても、この２人との関係は、クラス全体との関係に還元されない要素を含んでいたはずです。

一対一の関係が一対多の関係に還元されてしまったとき、ドラマからエロス（全体性に還元され得ない個、または実存）が消えてしまいます。一番わかりやすいエロスは恋愛なんですが、このことに敏感なのが北川悦吏子さんです。北川さんに関してはよく「セリフがいい」と評されますが、北川さんの名セリフというのはエロスの本質を突いたものが多いです。「ビューティフルライフ」の最終回でも、肝になるシーンは全部一対一です。水野美紀の涙も、キムタクの涙も、渡部篤郎の「ありがとう」も――。もし、関係者が病床の常盤貴子を囲んで、全員で号泣するような最終回だったら、多分「金八」最終回と同じようなつまらなさを感じたと思います。そこにはエロスがないからです。

同じことは「Ｊ家の反乱」にもいえます。錦戸亮は自分がイジメに苦しんでいることを、次男の今井翼に打ち明けようとしますが、そここそがエロスが生じる瞬間です。もし、家族全員に打ち明けてしまったら、家族全体に還元され得ない錦戸亮の個が消えてしまうし、今井翼の個も消えてしまいます。ドラマ全体が平板な印象になってしまうでしょう。

健次郎は兄に向かって、「クラスメートにあやまるのが恐い」と言っていましたが、そんなことを部外者の兄に言っても、あまり意味（エロス）がないです。このセリフはちはるちゃんに言ってほしかったです。また、健次郎があやまったときに、明彦（亀梨和也）か誰かが健次郎に「友達だろ」と言っていましたが、これもみんなの前で言ってるからイマイチなんです。こういうセリフは一対一の状況で言ってこそ意味があるんだと思います。

この最終回では、金八が生徒たちに「全体主義だという批判があるが……」と、朝日新聞「批評の広場」での佐藤忠志の批判を意識したようなセリフがありました。もちろん、問題なのは全体主義的なところにあるのではなくて、エロスが消えてしまうところにあるというのがボクの考えです。一対多の関係にはカタルシスがありますがエロスはありません。最終回ではカタルシスばっかりだったので、それなりに感動はできるのですが、やはりエロスのないカタルシスでは物足りないですね。

ラストシーンで、黒板の名前を消す金八が兼末健次郎のところで一瞬手を止めます。生徒を平等に扱うというのは学校教育のタテマエだし、「金八」というドラマのタテマエでもあると思います。明彦が金八に「俺のことも、健次郎と同じように可愛いか」と聞いたときも、金八は「そうだ」と答えていました。しかし、ホンネのところではやはり健次郎には特別の思いがある……ということを示していたシーンだと思います。しかし、その部分にこそ、今回の「金八」を面白くした要因（＝エロス）があるとみるべきでしょう。

まあ、エロスが足りないというのは、第１シリーズ以来の「金八」～小山内美江子さんの特徴でもあるんですが……。(^^ゞ　ちなみに、「金八」よりも一対一の関係（個）を重視していたのは「２年Ｂ組仙八先生」（脚本：重森？？）の方でした。

――最後に、また雑談。小田切先生（ＧＴＯ）こと、深江卓次さんのサイトによれば、３月２６日の夜に六本木で打ち上げがあったそうです。卒業証書の授与（？）などもあったそうですが、一次会終了後に生徒役の子は全員タクシーで自宅に強制送還されたそうです。(^^)　スタッフが生徒役の管理にかなり神経を使っていることがわかるエピソードです。こういうところが、本当の学校っぽいんですけど。(^^)

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